持続可能なまちの実現をめざす/玉川学園地区まちづくりの会」(東京都)
「NPO法人玉川学園地区まちづくりの会」は、より良いまちづくりのために活動するグループ。この地区に住む30人ほどが会員となっていて、代表の木村真理子さんと副代表の清瀬壮一さんは一級建築士でもある。同会の発足の経緯や活動内容、玉川学園エリアの魅力について、この日集まったメンバーのみなさんに伺った。
住民側からまちづくりに参画できる仕組みづくりを推進
――「玉川学園地区まちづくりの会」の設立経緯と趣旨、活動内容を教えてください。
木村真理子さん:「玉川学園地区まちづくりの会」は2005(平成17)年にできました。きっかけになったのは、その頃南大谷にできた大規模マンションの建設でした。貴重なオオタカの営巣地である森林を伐採することなどが近隣住民の間で問題になり、反対運動が起きたんです。この中でルール作りの必要性などを痛感し、まちづくりについて住民側からできる手立てや仕組みを考えようと立ち上げられました。
専門家の助言もいただいてルールをまとめた結果、2011(平成23)年には「建築協約」が制定され、今では問題のある建築や開発があれば地域で協議するようになっています。近年は植樹や空き家の利活用も大きな活動テーマになっていて、「街並みづくり・憲章普及プロジェクト」に加え、「地域資源活性化プロジェクト」「さくらと緑のプロジェクト」と計3つのプロジェクトが動いています。
木村彰男さん:私が担当する「さくらと緑のプロジェクト」は、植樹などによって老木化の進んだ桜並木を再生させる取り組みです。併せて、落ち葉を掃除してくる人にお礼として落ち葉からつくった腐葉土を返す「葉っぱバンク」も行っています。
――「えんがわカフェ」の運営もされているんですよね。開設経緯などお聞かせください。
木村真理子さん:「えんがわカフェ」は去年の4月から始め、月に4回開いています。地域の人が立ち寄ってよもやま話をするような気軽な集まりです。わざわざ役所まで行って相談するほどのことではないけど、誰かに知恵を貸してもらいたいといったときなどに立ち寄っていただければと思います。もちろん、ただおしゃべりしたい人も大歓迎です。また、不定期ですがコンサートや映画鑑賞などのイベントを行う、「えんがわサロン」も実施しています。
木村真理子さん:場所は今回の会場でもある、ここ「まちの縁側 一丁目の加々美さんち」で行います。ここは基本的にはイベントスペースとなっていて、地域の人に貸し出して、お茶の教室やマルシェなど、さまざまな催しにご利用いただいています。
この建物は居住者だったご夫婦が亡くなって空き家になっていたんですが、隣に住んでいるお子さんが、私たちが不定期に発行している新聞で空き家問題についての記事を読み、「両親が住んでいた家を空き家にしたくないので、良かったら使ってください」と貸してくださいました。
――新たな取り組み予定や挑戦したいことなどがあればお聞かせください。
清瀬さん:良い開発計画に関しては開発者を評価しようという計画があり、評価基準を作っているところです。良いものをつくってくれたことに対する地域からの感謝の意を込めて、社名と建築の質を公表するつもりです。建てる人も元々の環境を享受するだけでなく、より良いものにする責任があるのではないでしょうか。もちろん住む人も、一人ひとりの暮らし方がまちの個性になるので、まちを寂れさせないよう努める必要がありますね。
毎日坂を歩くおかげで、年を重ねても元気でいられる
――玉川学園エリアの住みよい点、特に「坂の街」だからこその魅力をお聞かせください。
木村真理子さん:眺めのいい場所が多いですね。ここは谷底部分に「玉川学園前」駅があり、両側は高台の住宅地になっています。どちらも少し登れば、あちこちから小田急線を挟んで反対側の緑が目に入るんです。桜の木が多いので、春には向こう側のかすみがかったような桜の花が見えて素敵なんですよ。
坂の途中や上にはベンチがあり、バス停の前や桜の木に囲まれた所など、ここでちょっと休憩したいなという場所に多く設置してあります。振り返るといい景色があるということが、日常のちょっとした楽しみになっています。
塩澤さん:日常的に坂や階段を上り下りすることで自然と鍛えられ、結果的に元気でいられるというのはあると思います。私の母は、105歳で亡くなるまで元気でしたし、81歳の私も多少の坂であれば苦なく上り下りすることができています。
親しみやすい人柄が創り出す、コミュニティや文化
――玉川学園は作家をはじめ多くの著人にも愛された街だと聞きますが、そういった足跡もあるのでしょうか。
木村真理子さん:例えば、コミュニティバス「玉ちゃんバス」には、かつてこの街に住んでいた、漫画家・みつはしちかこさんの代表作「ハーイあっこです」の登場人物が描かれています。最近お亡くなりになった小説家・森村誠一さんは、駅前の「玉川珈琲倶楽部」によく出入りしていて、お店には指定席があったほどです。
木村真理子さん:また、作家・赤瀬川原平さんが住まれていた家はまだ残っていまして、以前は屋根にニラが植わっていたので、「ニラハウス」という愛称で親しまれています。
――「玉川学園」のエリアで特に好きなスポット、人におすすめしたい「自慢できること」「名物」などがあれば教えてください。
木村真理子さん:私はここに住んでいる人たちの親しみやすさが好きです。引っ越してきたときの近所の人の対応に、「なんか村みたいだな」と思ったんですよ(笑)プライバシーに踏み込んできたりはしないけど、人付き合いを大事にしている人が多いと感じます。都会過ぎず田舎過ぎないところ、活動的な人が多いところが玉川学園らしいところかもしれません。
地域の人が気軽に本を貸し借りできる「きんじょの本棚」が広まり、店や家の軒先に設置されているのもいいですね。また、近年は毎年のように猛暑が話題になりますが、都心に比べて涼しいのもひとつの魅力じゃないでしょうか。
木村彰男さん:駅前のシンボルとして長年愛された立派なケヤキの木が駅前にあったのですが、道路の拡幅のため切り倒されました。そのまま残すことは叶いませんでしたが、そのケヤキは地元の彫刻家によってテーブルとベンチに生まれ変わり、駅前のコミュニティセンター内に設置されていまして、私はそれが好きですね。見かけるたびに当時を思い出すことができますので。
――最後に、これからこのエリアに住まわれる方々に向けて一言お願いいたします!
清瀬さん:持続可能なまちであるためには、新たに移り住んで来られる方々の協力が欠かせません。みなさんがスムーズに地域に溶け込めるよう努めますので、みなさんも気軽に声をかけてください。今ある自然環境や景観を守り、そして新たに育て、みんなで力を合わせてより良いまちをつくっていきましょう!
NPO法人 玉川学園地区まちづくりの会
代表 木村真理子さん、副代表 清瀬壮一さん、副代表 木村彰男さんら会員のみなさん
メール:tamagakumachi@gmail.com
電話番号:090-1619-2911
URL:https://tamagawagakuen-machizukuri-2.blogspot.com/
Facebook:https://www.facebook.com/tamagakumachiplan
※この情報は2023(令和5)年10月時点のものです。
持続可能なまちの実現をめざす/玉川学園地区まちづくりの会」(東京都)
所在地:東京都町田市玉川学園2-19-5
電話番号:090-1619-2911
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