特徴的な教育を進める伝統校/杉並区立桃井第一小学校 校長 内田裕司先生
特徴的な教育を進める伝統校
青梅街道の北側に位置し、開校以来138年、杉並でも3本の指に入る伝統校として地域に馴染んでいる「桃井第一小学校」。ここは同時に、区内で最も児童数の多いマンモス小学校としても知られており、体育教育を中心に、先進的な取り組みも多数行われてきている。今回はここ「桃一」こと「桃井第一小学校」で6年間校長を務めている内田裕司先生を訪ね、学校の魅力、地域の魅力についてお話を伺った。
桃井第一小学校は非常に歴史の長い学校とお聞きしました。
本校は明治8(1875)年に開校した学校でして、いわゆる「杉並3校」、区内で最も古い3つの小学校のうちの1つになります。今年で開校から138年目を迎えます。学校の隣にある薬王院というお寺さんから始まった学校でして、当初は「桃井小学校」と呼ばれていたそうです。
歴史の非常に古い学校ですので、何世代も続いてこの学校を卒業しているという方も多くおられまして、そういう意味では、とても地域に根付いている学校です。近年は学区域に大きなマンションが建ちましたので、新しい方と、昔からいらっしゃる方が融合した学校になっています。
規模としても区内最大とお聞きしました。
平成25(2013)年度は714名でスタートしまして、これは杉並区内でも一番の児童数となります。各学年が4クラス、合計24クラスとなっています。人数が多いと活動の幅が広がりますから、たとえば運動会なども縦割りにして、縦の関係が強くできるだとか、紅白でやっているのを違う形にできたりというメリットもあります。
この「縦割りの関係」も力を入れている点でして、今日もこれから「縦割り給食」があって、そのあと「縦割り遊び」がありますけれども、異学年同士で交流して、交流する機会を多く持つように取り組んでいます。これも人数が多いからこそ、よりやり易くなっているもののひとつです。
学校施設面での特徴をお聞かせください。
特徴でしょうか。屋上にも芝生があり、4年生以上の児童が休み時間に遊んでいます。低学年の子は小校庭の芝生で遊ぶ、という具合に、とてもくつろげる場所になっています。低学年の子は小校庭の芝生で遊ぶという具合に、とてもくつろげる場所になっています。
杉並ですので、(他の新しい小学校だと)校庭をなかなか広く取れないという事情がありますが、その中では、比較的広い校庭が取れているかと思います。
杉並区独自の取り組み、桃一独自の取り組みなどがあればお教えください。
教員は普通ですと都道府県の教員ですが、杉並区には“区独自の教員”がおりまして、それを学校に入れることによって、「30人程度学級」というものを実現しています。これによって都の基準よりも若干少ない基準でクラスを編成できます。少人数できめ細やかな指導ができているかと思います。
桃一小独自の取り組みとしては、本校が24年度から杉並区の「体力向上センター校」に位置づけられていることもあり、「運動、食、生活習慣」という3つについて「からだ力」と称し、重点的に育成しています。
体力と書いて「からだ力」と読ませているのですが、これを子どもたちはもちろんですが、保護者の方、地域の方にも浸透してもらい、総合的に子ども達を伸ばしていくという活動です。これは私が着任した6年前から取り組んでいます。
「からだ力」について、具体的にどのような実践をされていますか?
「運動」の面ですと、毎朝「早朝スポーツ」というものを7時45分からやっていますし、週に2日の「長なわタイム」や、「マラソンタイム」、体育授業の前に行っている「桃一体操」、「MOMOリズム」、「リズム水泳」などが独自の取り組みになっております。
特に「早朝スポーツ」は4年生以上の希望者が参加するものですが、バドミントン、サッカー、卓球、野球、ボレーボール、バスケットボールなど、色々な種目がありますので、沢山の児童が参加しています。
「食」に関しては、給食を残さず食べたクラスに「完食賞」を贈ったり、給食の時にかむ回数をカウントする「かみかみセンサー」を使って、かむ回数をチェックするなどの取り組みをしています。
「生活」に関しては、歩数調査を毎月1週間行っていたり、「歯磨きタイム」として給食後に5分間歯磨きをしたり、授業中なども「シャキッとサイン」ということで、「せすじ」、すなわち「しっかり脚を床につける」「せすじをのばす」「いすに深く腰かける」ということで、号令かけを行っています。これらの取り組みも既に6年やっていますから、生活の一部として溶け込んでいるような状態です。
学習面での取り組みについて、特徴があればご紹介ください。
音楽、図工、家庭科、理科、体育に専科の教員がいますし、学習支援教員や講師にも入ってもらって、個別指導やTT(チームティーチング)も出来るようになっています。たとえば国語や算数などですと、毎回というわけではありませんが、全体指導は先生がやって、個別の指導はそばに寄って講師がやるなどして、マンツーマンの機会も多く取っています。また、3年生以上では「少人数算数」があります。4クラスを習熟度別に5クラスに分け、より少人数での授業を行っています。
クラブ活動について特徴的なところはありますか?
先ほどお話したとおり、学校が主催している「早朝スポーツクラブ」というものがひとつありますが、これ以外にも、地域の方が中心となって作る「学校支援本部」というものがありまして、ここが主催する放課後のスポーツクラブもあります。また、囲碁教室なども行っています。この他、野球、サッカー、ミニバス、剣道などが地域のクラブとしてあります。
「学校支援本部」とは何でしょうか?
これは文部科学省の指針に沿って各学校に作られているもので、学校支援本部を通して、地域の方と学校とが連携しながら教育活動にあたってます。たとえば花ボランティア、読み聞かせ、図書ボランティアなどでサポートもしていただいていますし、さきほどのクラブ活動もそのひとつです。学校支援本部以外にも、PTAや、保護者のお父さんで作る「おやじの会」などもありまして、地域が一体となって学校を支援して下さっています。
地域との共催イベントなどもあるのでしょうか?
7月に「桃一まつり」がありまして、これもやはり、町会や学校支援本部など、たくさんの方の力をいただいておりまして、例年3000人以上が参加する大きなお祭りとなっています。学校からも6年生が代表になって、毎年出し物をしています。
子どもたちの性格の特徴など、お感じになるところはありますか?
地域に見守られている、ということがありますので、やはり地域の大人と接触する機会が多くあるためでしょうか、温厚な子が多いという印象です。地域性が穏やかですから、子どもたちもそういう風になるのでしょうね。
児童や保護者の相談窓口などもあるのでしょうか?
スクールカウンセラーは二人おります。毎日ではありませんが、定期的に来ておりまして、子ども達の話を聞くだけではなく、保護者の方からの依頼を受けて話を聞くこともしております。どんな内容でも相談を受けますし、秘密も厳守しますから、相談に来られる保護者の方は多いですね。
もし問題が発生した際にも、まず担任が情報をしっかりと収集しまして、学年全体が一丸となって対応して、生活指導部会とも連携を図りながら、しっかりと取り組んでいきます。
最後に、この地域の魅力についてお聞かせください。
魅力といえばまず、緑が豊かなことでしょう。昔、日産の工場があった跡地には「はらっぱ公園」が出来ましたし、遊ぶ場所は沢山あると思います。周辺も閑静な住宅地ですので落ち着いていますし、青梅街道の向かい側も学区域なんですけれども、そちらも閑静な地域です。周辺には警察、消防、図書館、美術館など、いろいろな公共施設もありまして、静かに勉強に打ち込める環境かと思います。
今回お話を聞いた人杉並区立桃井第一小学校 校長 内田裕司先生住所:東京都杉並区桃井2-6-1 URLhttp://www.suginami-school.ed.jp/momo1shou/ ※記事内容は2013(平成25)年6月時点の情報です。 |
特徴的な教育を進める伝統校/杉並区立桃井第一小学校 校長 内田裕司先生
所在地:東京都杉並区桃井2-6-1
電話番号:03-3390-3178
https://www.suginami-school.ed.jp/momo1s..