自ら興味を持った事に対して自分なりに取り組む。子ども達の主体性を大事にする子育てを。/おだ認定こども園 石阪恒子園長
「学校法人織田学園」が運営する「おだ認定こども園」は多摩地域26市で初の幼保連携型認定こども園。「元気でたくましい子」「自分や人を大切に思える子」「感性豊かな子ども」を教育目標に心を育てる保育に取組んでいる。子ども達は自然豊かな環境で好きな遊びをしてのびのびとした毎日を送る。そんな「おだ認定こども園」について石阪恒子園長にお話を伺いました。
多摩地域26市初の幼保連携型認定こども園、おだ認定こども園とは
Q.園の概要について教えてください。
当園は5年前に市内の豊ヶ丘からこちらに引っ越しをしてまいりました。元々幼稚園を30年以上やっておりまして、園児の減少や仕事をしている保護者の方も増えてきたので東京都の認証保育所を立ち上げました。これは学校法人としては第1号になります。認定こども園制度ができてからは幼児と乳児の保育を一体的にやることを目指して、建物も設計から考えて作りました。0歳から3歳までが1階で、4歳、5歳児が2階と年齢別に生活の場所を整えています。
役割としては地域に開かれた場所であると思います。幼稚園運営をしていた時には、地域とのつながりについて今ほど意識していませんでしたが、認定こども園は地域のすべての子ども達、在宅で子育てをしている方や、幼稚園の方、保育園を選択される方でも幼児教育を受けたいというニーズがあれば門を開いて長時間保育を保証していく。地域のすべての人に私達の持っているものを提供できるところが一つのニーズであり、私たちが取り掛かりたかったところです。
Q.大事にされていることは何でしょうか
「生きる力」を育む教育です。その手法の一つとして「アクティブ・ラーニング」という能動的学習がありますが、教師がただ単に知識を注ぐことだけではなく、子どもの興味や関心に大人が寄り添って、子どもの主体性を引き出していきながら教育を進めていくことを大事にしています。子どもの主体性を大事にしていますので、大人主導で一律に教科を行うような小学校の先取り教育は進めていません。保護者とともに子どもを育てつつ、保護者もだんだんとわが子のことを知っていき、子育てが楽しくなっていくというのを入園してから卒園までの年月をかけてやっています。
保護者もわが子だけではなく他のお子さんにも目を向けてくださるので、小学校に行ったあと、お母様方がPTAの役員をしてくださったり、「おだパパ会」というパパの会も盛大にやっていますので、お父様方が小学校のパパ会を立ち上げて活躍したり、そういう人材がここから排出されていますので、すごく保護者の方に恵まれていると思っています。
ここだから出来る、おだ認定子ども園の取り組み
Q.園のこだわりついて、教えて下さい
①食を重視した保育
多摩市内で唯一の完全給食です。園内調理をしていて無添加でダシもきちんととって和食を中心にした食事の形態に気を付けています。年長になると小学校のように配膳当番がいてどのくらい食べますかって聞いて、たくさんとか普通とか自己申告をしてその量に責任をもって食べます。自分が食べられる量を決めますが、年長として食べなければいけない量を栄養士から提示されるので、「この量は食べられるように頑張っていこう」と指導しています。
年長になると「チャイルドクッキング」といって保護者の方に来ていただいてお料理を作ったり、日本の昔ながらの梅干をつけたり、味噌を作ったりします。日本食は、今見直されていて発酵食品などが話題ですよね。これはどういう加工食品になるんだよとか、子どもと一緒に体験的に学習していきます。秋になるとサンマの1本焼きを園庭で焼いて年長の子達は身をほぐして1匹食べる。命を丁寧に頂くということ、そしてお箸も正しく使えるようにということで、そういう体験もするようにしています。
②地域を生かした園外活動
多摩市は公園がたくさんありますので、この近隣はよくお散歩に行ったり、月に一回おむすびを持って遠足に行ったりします。年長はちょっと足を延ばして、「唐木田」駅の上の方に「小山田緑地」という公園があって、そこに季節ごとに行って自然の散策をしますね。春にはこういう虫がいたけど冬には違う虫がいるとか、葉っぱの色が違うとか、様々な発見があるんですね。そういった子どもの発信を受けたり、こっちから発信して気付きにつなげたりしますね。
Q.「子育て広場 ぽこあぽこ」、「ばんび」といった子育て支援も行っていますね
「子育て広場」は地域で子育てをしている方が気楽に来ていただける場所ということで一部屋設けています。ここでは例えば助産師さんの健康相談とかベビーマッサージなど専門職の方に来ていただいて特別な時間を設けていたり、園は看護師がいますので病気についてなどの健康相談を定期的に行ったりしています。
一時保育の「ばんび」は普段は保育園に行っていないけれども、この日お願いしますという一時的な預かりですね。今年から待機児童解消のための事業として、週3日くらい仕事をして保育園に預けるほどじゃないという方を定期的にお預かりしています。
有能感を持てる人に育ってほしい
Q.園児さんたちの特徴があれば教えてください
元気で体がよく動く子ども達が多いと思います。自分が好きなこと、僕はこれがやりたいということを持っているお子さんが多いです。好きな事を存分に取り組んでいるので、自然に集中力も育まれますし、年齢が上がるにしたがって、仲間と協働的な活動の中で遊びを作り出す力もついてきます。「失敗は成功の基」という気持ちを持って挑戦意欲が豊かな子どもがたくさんいます。
Q.子どもたちはどのような生活を送っているのでしょうか?
子ども達が登園して外遊びに行きたい人は行く、砂場や鉄棒など自分がやりたいことを選択して進めていきます。年齢によっては朝の会を行って今日はどんなことをしたいって話をして進めていきます。9時45分から学年の取組みでクッキングや製作活動をやっています。11時半からお昼ご飯を食べて、年少は13時で全員帰ります。年長と年中はコアな時間が15時までで、15時以降が預かり保育になります。午後は「わんぱく保育」といって外に出て体を伸び伸び使って遊ぼうという時間帯なので、ほとんど外に行っています。
地域で育まれる”おだ”の子どもたち
Q.最近先生が「この園っていいな」と思った出来事があれば教えてください
12月の土曜日に「餅つき大会」をやりました。お父さん達が50名くらい来て、2グループでそれぞれ8臼ずつ一緒について、みんなで一緒に食べたんです。保護者の協力が豊かに気前よくやってくださるので、子ども達は大人に囲まれながら安心して生活ができるという所がこの園の特徴だなぁって思いました。いい距離感で保護者の方と一緒に生活ができているので、そこはこの園の良さだと実感したところです。
Q.周辺の地域とはどのようなかかわりがあるのでしょうか
小学校、中学校、地域で構成される「青少年問題協議会」という集まりがあって、夏祭りをしたりどんと焼きをしたり、そういったイベントが地域としてあるんですね。そこに職員が一緒に出てお手伝いをしています。そうすることで地域にどういう方が住んでいらっしゃって、どういう組織がこの地域の見守りをしているのか職員もわかりますし、「あの子はおださんの子ね」って大人も認識してくださったり、地域で見かけたら声掛けをしてくださったり、そういったつながりがあります。多摩市は地域ごとにそういった活動を活発にやっているところは多いかと思うんですけど、幼稚園がこれだけ地域の活動に参加しているところは少ないと思います。
目の前の「西落合小学校」とも、よく連携をしています。多摩市では「たまっこ5歳児かがやきプログラム」という小学校と幼稚園と保育園が連携するプログラムがあって、「西落合小学校」とこども園がモデル園で取組みをさせて頂いているんですね。小学校で必要なスキル(良い姿勢・声の大きさなどいくつかのプログラム)を就学前に身につけておくことで、小学校入学当初子どもも緊張している時期に園で習った事と同じルールでスタートできることによって、子ども達の戸惑いが少なく、スムーズに1年生に移行できるようにしています。その他に年に何回か5年生の子と交流をして遊んだり、2月になると学校探検に行ったり、秋遊びでは1、2年生がどんぐりコマとかを幼児に教えてくれる授業を行ったりして交流を持っています。
Q.先生が「この街っていいな」と思うところはどんなところですか
この近くの公園は春になると桜が満開で富士山が綺麗に見えて、すごくいいロケーションなんですね。夏にはセミがすごく鳴いて、the夏!っていう、四季折々の変化を心身ともに感じることができます。夏にはセミの抜け殻をもってきたり、秋になると子ども達が枯れ葉やドングリをお土産に持ってきたり、季節と共に子ども達が育っている情景が重なる、そういう自然豊かなこの地域は子育てをするのに非常に適していると思っています。
おだ認定子ども園
石阪恒子園長
東京都多摩市落合5-7-2
TEL:042-376-0211
URL: https://www.odakids.com/
※この情報は2015(平成27)年12月時点のものです。
自ら興味を持った事に対して自分なりに取り組む。子ども達の主体性を大事にする子育てを。/おだ認定こども園 石阪恒子園長
所在地:東京都多摩市落合5-7-2
電話番号:042-376-0211
http://www.odakids.com/