次世代へと受け継がれていく誰もが快適に過ごせる街づくり/二子玉川東第二地区市街地再開発組合 理事長 川邉義髙さん
二子玉川東第二地区市街地再開発組合
理事長 川邉義髙さん
次世代へと受け継がれていく
誰もが快適に過ごせる街づくり
2011(平成23)年に二子玉川東地区で「二子玉川ライズ」という新しい街が誕生しました。現在も第二期事業が進行中で、さらに魅力的で回遊性・利便性の高い街になる予定です。今回、長年街の変化を見守ってきた「二子玉川東第二地区市街地再開発組合」の理事長・川邉義髙氏にお話を伺うことができました。
introduction:「二子玉川ライズ」誕生までの歴史・経緯
二子玉川は、古くは多摩川や遊園地があったため多くの行楽客が訪れ、東京にあるリゾート地として発展してきた。1969(昭和44)年には「玉川高島屋S・C」が誕生し、上質な街のイメージも定着しつつある一方、駅の東側はというと昔のままで、古い木造家屋が多く、防災上の問題も抱えていた。道路も狭く、安心して歩ける歩道もない。交通機能が集中する地区であったため渋滞緩和という問題も抱えており、歩道をつくったり基盤整備をすることが、街のためにも将来のためにも必要だということになった。
そこで1982(昭和57)年に東地区の地元有志が集まって「再開発を考える会」を発足。それを契機に再開発の機運が高まる一方で、世田谷区が二子玉川を広域生活拠点に位置づけたことにより、地域と行政が一体となって災害に強く活気あるまちづくりを行うことが強く期待されるようになった。
2000(平成12)年には都市計画決定、2005(平成17)年には悲願であった「二子玉川東地区市街地再開発組合」を設立。その後、2007(平成19)年から街区ごとに順次着工し、2010(平成22)年に商業施設の一部(オークモール)やマンションが竣工した。そして、2011(平成23)年3月には第一期事業の竣工式典が行われ、駅前に待望の大規模商業施設がオープンした。
二子玉川エリアの再開発の経緯を教えてください。
「玉川高島屋S・C」ができたのが約40年前ですが、それ以降、二子玉川エリアは玉川高島屋S・Cを中心として発展してきました。その後、東急が運営していた遊園地「二子玉川園」が閉園し大きな跡地ができたこともあり、これを生かして「二子玉川」駅から「二子玉川園」跡地まで一体的に再開発して、新たな街の核をつくろうという構想が持ち上がりました。
途中、バブル景気の崩壊など状況の変化で約30年という長い期間の開発になりましたが、ようやく二期工事も完成の目途が付き、ほっとしています。
2015(平成27)年春に二期工事も完成を迎えますが、お気持ちはいかがでしょうか。
確かに長い時間はかかりましたが、終わりが近づいた今、改めて振り返ってみると、それほど長い時間だったとは感じません。最初に勉強会を立ち上げ、その後再開発組合を設立しました。再開発組合では権利者が多かったこともあり、会議を繰り返しました。この間、理想的な街を作ろうという思いで進めてきましたが、広い道路、交通広場、公開空地ができ、二子玉川も若いファミリーの方が楽しめる街になっています。
以前はどちらかというと「玉川高島屋S・C」に代表される高級イメージの街でしたが、若いファミリー向けの場所ができて、街に広がりができました。「二子玉川ライズ」のガレリアではイベントを年間250日程度開催していますが、ここでは町会と協力して神輿の渡御も行っています。このように地域の交流の場としても使われているのはとてもうれしく思います。
30年という長い間の事業でしたが、計画が変わった部分はあるのでしょうか。
当初は商業施設とオフィス中心の街づくりを考えていました。しかしながら、時間の経過とともにイメージはもちろん変わっていくもので、最終的な計画では、容積率は変わらないものの、内容は大きく変わりました。
一番の違いは住居施設をつくったことです。また、オフィスのスペースも大きくしました。二子玉川は郊外ですから、商業中心ですと人の流れが週末のみに偏ってしまう。そこにオフィスが入ることによって、平日も街に活気が生まれ、同時に商業施設は平日も賑わうことになります。さらに住居施設をつくったことで、お住まいの方は駅までの間にあるオフィスや商業施設を休日平日問わず利用できますから、これらが相まって、廃れない街づくりができたのではないかと思っています。
最近は若いご夫婦も多くお住まいになっていまして、ベビーカーで歩いている姿もよく見かけます。最寄りの「世田谷区立二子玉川小学校」も再開発エリア内から1年生だけで30人以上通学しているそうで、街全体に活気が出てきたのはとても良かったですね。
地域の方々の感想はいかがでしょうか。
再開発エリアでは、長い間商業を行っていた方もいらっしゃいましたし、お住まいの方ももちろんいらっしゃいました。以前から商業をされていた方で希望される方は、「二子玉川ライズ」のバーズモールやオークモールで引き続き商業ができることになりました。ほかの再開発エリアではもともとの地権者の方が残ることが少ないことと聞きますが、バーズモールやオークモールではほとんど地元の商売をされていた方のお店です。ですから、以前からここに住んでいた方、商業をされていた方にも喜んでいただけたと思っています。
街の緑も豊富ですね。
再開発エリアでは緑地を30%確保しています。ただ木を植えるだけでなく、Ⅱ-a街区ではビオトープをつくり、多摩川にいるメダカを繁殖させるなど、自然環境を再現しようという考え方でつくられています。小鳥もたくさん飛んで来ていますね。
多摩川の水もきれいになってきました。6月1日から鮎釣りが解禁になりましたが、2014(平成26)年は何万匹もの鮎が多摩川を遡上しています。こうした都市でこれほどの自然があるのは世界的にも珍しいそうです。
二子玉川の再開発エリアの一押しスポットをおしえてください。
二期工事が終わると、リボンストリートという歩行者専用の空間が、「二子玉川」駅からⅡ-a街区、Ⅲ街区の2階部分を通って、世田谷区が施行した「二子玉川公園」までつながります。
二子玉川という街の魅力を教えてください。
二子玉川周辺では、多摩川に国分寺崖線、少し南には等々力渓谷と豊かな自然に恵まれています。再開発エリアでもⅡ-a街区のビオトープなど、新たな自然環境を増やす開発を行いました。ビオトープで自然観察をするのも楽しいでしょうし、多摩川では鮎釣りもできます(※)。
また、エリア内にはスポーツ施設がありますし、映画館もあります。暮らしの中でそれぞれの楽しみができる街だと思います。私はゴルフが好きなのですが、近くに練習場やコースがありますので、趣味を満喫しています。
(※多摩川の鮎釣りは6月1日から順次解禁される。また、釣りには漁業権を持つ各漁協に遊漁料を支払う必要がある。)
二子玉川はこれからどのような街に発展していくのでしょうか。
駅の西側は昔ながらの商店街や、かつての面影を今に残す「柳小路」がある一方で、東側に「二子玉川ライズ」という新たな街づくりが行われていますので、新旧それぞれの魅力が交流する街になっていくと思います。
「二子玉川ライズ」のオフィスには楽天の本社が移転する予定です。外国人の方も多くお勤めになりますので、国際色豊かな街になっていくでしょう。今も自然が豊かな二子玉川は外国人の方に人気で、外国人のお子さんも住んでいます。ゆくゆくは、子どもたちが国籍を問わず一緒に遊び、お母さん同士も自然にコミュニティができるようになるなど、さまざまな人と人との交流が楽しめる街になっていくのではないでしょうか。
今回、話を聞いた人
二子玉川東第二地区市街地再開発組合
理事長 川邉義髙さん
住所:東京都世田谷区玉川1-14-1
電話番号:03-3707-0643
http://www.futakotamagawa-rise.com/
※2014(平成26)年7月の取材内容に基づき記事を作成しています。
記載情報については、今後変わる可能性がございます。
次世代へと受け継がれていく誰もが快適に過ごせる街づくり/二子玉川東第二地区市街地再開発組合 理事長 川邉義髙さん
所在地:東京都世田谷区玉川1-14-1
電話番号:03-3707-0643
http://www.futakotamagawa-rise.com/