人との信頼関係・友人関係がママと子どもを支える/磯子区地域子育て支援拠点 いそピヨ 施設長・子育てアドバイザー 岩崎千代子さん
JR根岸線「磯子」駅から歩道橋で直結している恵まれたアクセス環境にある磯子区地域子育て支援拠点「いそピヨ」。2010(平成22)年のオープン以降、子育て中のママ・パパ、子どもたちに静かに寄り添いながらサポートしている。「まずはママたちの話をよく聴くことから信頼関係をつくりたい」と、柔らかい笑顔を見せてくれた岩崎施設長に、磯子地区の子育て事情や魅力について尋ねた。
安心して利用できる子育ての拠点
――いそピヨの施設について教えてください
岩崎さん:横浜市では18区全てに1ヵ所または2ヵ所の子育て支援拠点を設置しており、「いそピヨ」は磯子区を中心とする子どもとその保護者のためのサポートの場として、2010(平成22)年1月にオープンしました。「磯子」駅西口から歩道橋で直結した場所にあり、ベビーカーでもアクセスがよいことから、区内のみならず電車で区外から来て下さるママさんも多くいらっしゃいます。
いそピヨは火~土曜日、9:30~15:30まで、未就学児とその保護者や子育てに関わっていらっしゃる方ならどなたでも、予約なく無料で利用していただけます。一角には赤ちゃんコーナーも設けてあり、まだ歩けない赤ちゃんでも安心して遊びに来られます。1日平均で約50組程度、多い時で70~80組の親子がいらっしゃいます。大きい道路に面した建物の角部屋なので1日を通して日当たりがよく、ランチの後はついウトウトするママと赤ちゃんもよく見かけます。そんなリラックスした雰囲気の拠点ですので、是非気軽に遊びに来てほしいですね。
――「いそピヨ」はこの磯子区でどのような役割を担っているのでしょうか?
岩崎さん:「いそピヨ」は子育てをするママやパパ、おじいちゃんやおばあちゃん、そしてそのお子さんたち、子どもと子育てに関わる全ての人々をサポートするための施設です。もちろん妊娠中のプレママ・プレパパも利用していただけます。「おもちゃがあるから遊びに行こう」でもいいですし、「ちょっとオムツ替えに寄ろう」でもいい、もちろん「誰かと話したい」「悩みを相談したい」も大歓迎。とにかく育児に関することなら、何でもウェルカムな場です。
「子どもが幸せになるためには、まずはママ・パパが元気で笑顔でなくては」というのが私たちの考え方ですので、場合によってはスタッフがお子さんを抱っこして親御さんにちょっと休んでもらったりするケースもあります。楽しいけれど大変な育児の合間にホッとできる場が提供できればと考え、スタッフは日々みなさんをお迎えしています。いらっしゃるご家族の様子を見ながら、この場所が「第2のおうち」になれるよう押しつけがましくなく静かに温かく寄り添いたいですね。
信頼できるスタッフ達がママに寄り添う
――ママたちと話をするうえで、スタッフのみなさんが心がけていることはありますか?
岩崎さん:とにかく「寄り添うこと」「話を聴くこと」、これは私がスタッフ全員に常に話していることです。つい育児の話や悩みを聞いていると自分の考えを伝えたくなってしまい、特に育児経験があると「私の時はこうだった」「友人はこういう風にした」という話をしてしまうものです。でもここにいらっしゃる方の育児環境や悩みはさまざまで、特に悩んでいるときは気持ちがしぼんでいますから、人の話を聞かされても「人はうまくいっているのに私はダメ」と思いがちです。とにかくスタッフには「あなたの主観は求められていない」と口を酸っぱくして言っています。
またここにいらしてからお帰りになるまで、ママさんやお子さんの様子をしっかり見ること。疲れていないか、何か話したそうにしていないか、サインを発していないかをよく観察するように心がけています。「さぁ相談してください」と言って相談してくださる方は稀です。人は「この人なら信頼できる」と思って初めて本心を吐露できるものです。その日の気分や体調もあるでしょうし、スタッフとの相性もある。まずはリラックスしてもらい信頼関係を構築するところからはじめたいと思っています。
――年間を通じていろいろなイベントが盛りだくさんですね
岩崎さん:ここに足を運んでくださるきっかけにもなるので、いろいろな趣向のイベントを開催しています。自由参加・申し込み不要のイベントとしては、「おはなし会」や「布おもちゃで遊ぼう」、「保育士さんと遊ぼう」など、磯子地区に新たに引っ越してきた方対象の「あつまれ!ニューフェイス」や「アラフォーママの会」などユニークなイベントも用意しています。
また事前申し込み制のイベントとしては、「マタニティヨガ」、「ベビーマッサージ」、「離乳食講座」などのほか「就職支援セミナー」も開催しています。「ベビーマッサージ」は生後2~3ヶ月頃から参加できるので、赤ちゃんの初めてのお出かけとしてはじめる方も多いようです。
「おはなし会」は以前はひろばの隅っこで開いていましたが、どんどん人数が増えて、「おはなし会」に参加したくないお子さんの遊び場所が狭くなってしまったため、今では研修室で行うほど人気です。
興味のあるイベントに参加することがママたちの外出のきっかけになり、イベントの参加がママ友との出会いのきっかけになることもあります。私自身がそうなのですが、子育ての大変な時期を共有した友だちはまるで戦友のようで、その後も関係が続くことが多いようです。その当時はギクシャクすることがあっても、思い出話になって一緒に笑えるようになるかもしれない。そんな素敵な関係が、この「いそピヨ」での出会いから生まれたら、これ以上幸せなことはありません。
子育てに重点を置く磯子地区の魅力
――磯子地区の子育て環境について教えてください
岩崎さん:横浜市のなかでも磯子区は子育て支援に力を入れている区だと感じます。しかもそれが行政のみならず、民生委員さんや主任児童員さんという隅々の方まで高い意識が浸透しているように感じます。このすぐ裏の「横浜プリンスホテル」跡地に大きなマンションがありますが、そこに引っ越してきた方々へも働きかけをしたり、地区ごとに小さな子育てフェスタなどを開催したりして、地域の子育て世代のことをよく理解しようと積極的に活動されているように思います。なかなか外に出られないママさんたちもすくい上げたいと、きめ細かい配慮がされているようです。
また若い子育て世代の方たちもサークルを主宰したり、教室を開いたり、横のつながりもしっかり取れているように思います。今どきの冷めた雰囲気ではなく、“熱い方”が多くて頼もしい限りです。
――磯子地区の地域の魅力はどんなところだと思いますか?
岩崎さん:住んでいる人たちのとにかく温かい人柄、でしょうか。困っている人を放っておけない、ひと昔前の人情味あふれる街、という感じです。
磯子区は南北に細長い地形で、金沢区や栄区との区境の辺りはまだ山も多く残っているような地区である反面、北の中区と隣接する辺りはちょっと開けた雰囲気だったり、様々な表情を持っています。これは横浜やみなとみらい、八景島などからも近くて利便性も高いのに、海が見えて静かで住みやすいという両面性とも似ていて、面白い区だなぁと思います。
「磯子」駅前の広々とした産業道路は両隣の「根岸」駅とも「新杉田」駅ともつながっていて、勾配が全くない。ベビーカーを押してのんびりお散歩ができるので、天気のよい日などは隣の駅から「散歩がてら歩いてきました」なんてママさんもいて、環境のよさを感じます。裏は高台になっていて緑もたっぷりありますし、公園も多い。なんだかコマーシャルみたいになってしまいましたが(笑)、暮らしやすさがギュッと詰まった街ですね。
磯子区地域子育て支援拠点 いそピヨ
施設長・子育てアドバイザー 岩崎千代子
所在地:神奈川県横浜市磯子区森1-7-10 トワイシア横濱磯子2F
TEL:045-750-1322
URL:http://www.isopiyo-isogo.jp/
※この情報は2016(平成28)年4月時点のものです。
人との信頼関係・友人関係がママと子どもを支える/磯子区地域子育て支援拠点 いそピヨ 施設長・子育てアドバイザー 岩崎千代子さん
所在地:神奈川県横浜市磯子区森1-7-10
電話番号:045-750-1322
利用時間:9:00~15:30
休業日:日曜祝日・月曜日(祝日の場合は火曜も休業日)・年末年始
http://www.isopiyo-isogo.com/