ここで生まれ育ち、骨をうずめる人々による愛の溢れる笑店街/巣鴨地蔵通り商店街振興組合 理事 木﨑禎一さん
巣鴨地蔵通り商店街振興組合
理事 木﨑禎一さん
ここで生まれ育ち、骨をうずめる人々による愛の溢れる笑店街
「おばあちゃんの原宿」として名高い巣鴨地蔵通り商店街。江戸時代には五街道の一つである中山道として栄え、その歴史は今なお賑やかな商店街として引き継いでいる。4、14、24日の縁日はもちろん、年間60を超えるイベントで訪れる人々を楽しませ、キュートなゆるキャラ「すがもん」で癒しも提供する。「ここで生まれ育ち、骨をうずめる人たちが商売をする街」と誇らしげに語ってくれた地蔵通り商店街振興組合・理事の木﨑さんに、この街の魅力と楽しさについてお伺いした。
―― 巣鴨地蔵通り商店街の歴史についてお聞かせください。
木崎:この商店街の通りそのものが江戸時代に「板橋宿」に続いていた中山道です。当時は植木屋さんが多く立ち並んでいて、今でも趣のある木造家屋などが残っています。こういった古い家屋を取り壊すと、食器など当時の人々が使用していたものが出てくることもありますね。入口にある「江戸六地蔵尊眞性寺」は、“ここから先は江戸”という関所であり、境界線のような場所だったそうです。
木崎:もともと上野にあった「とげぬき地蔵尊高岩寺」が区画整備のために1891(明治24)年にこの地に移転し、そのため檀家さんが減少してしまったことを受け、今でいう広報活動をしようと始まったのが縁日でした。本来はお地蔵さんなので24日だけでしたが、どうせなら4のつく日ということで「4日、14日、24日」の3日に設定しました。谷中の露天商の親分たちにも声をかけ、賑やかな縁日に育ててきたと聞いています。
木崎:昭和になると商店街のお店は衣料品が中心になります。現在でも他の商店街と比べて惣菜屋さんや食料品店が少ないのは、その名残ですね。
―― 商店街の特徴について教えてください。
木崎:「おばあちゃんの原宿」として知られるこの商店街ですが、お客さんの60歳以上の割合は3割程度。50代が2割、40代が2割、残りの3割は30代以下ですから、想像以上に若年層が多いですよね。70代と言っても若い頃は裕次郎ブームなどで尖っていた世代ですし、50代では「BEAMS」をはじめとするセレクトショップや「アフタヌーンティー」などのおしゃれ雑貨に親しんできた世代ですから、今では“おばあちゃん”という概念が昔とはガラリと変わりました。
木崎:この商店街の特徴は、ここで生まれ育ち骨をうずめる人たちが商店街で商売をして暮らしている、という点ですね。だからこそ商店街への愛着も来てくださる方々への感謝も人一倍です。
そうしたお客さまへの配慮として、例えば、この商店街の照明は24時間点灯させています。以前は街灯だけを残して消していたんですが、近隣の方々から「明るくしてほしい」との要望があり、点けることにしました。おかげさまで通勤・通学の方はもちろん、ランニングやウォーキング、犬のお散歩など、お店が閉まっている時間でもこの通りには人が集まってくるようになりました(笑)。電気代は正直結構かかりますが、これこそが商店街への愛だと思っています。
木崎:これは余談ですが、普通AEDはいたずら防止のために建物の中にあることが多いですが、「地蔵尊高岩寺」の住職が自費で購入してくださり、24時間誰でも使用できるように商店街に設置してあります。これも愛ですよね。
―― 商店街には昔ながらの買い物の風景が残っている印象を受けました。
木崎:商店街は専門店街でもあるので、大きなセレクトショップのようなもの、と考えています。自分のお気に入りの店に立ち寄り、馴染みの店員さんとコミュニケーションを取りながら買い物をする。お店側もお客さまの要望を吸い上げ、独自のおもてなしをするのが腕の見せどころです。存続が危ぶまれる商店街も増えている昨今、何かに特化しないと復活も生き残りも難しいと思います。
―― イベントも盛りだくさんのイメージがあります。
木崎:毎月4日、14日、24日に開催している縁日は、たくさんの方々に来ていただいています。平日ですと約1万5000人くらい、土日になると3万人くらい、1月4日や5月4日など休日と縁日が重なる日は多くて10万人くらいの方々に足を運んでいただいています。
木崎:縁日のほかにも、「どんがら市」は春と秋の年2回、開催しています。これは文字通り、倉庫に眠っているものを「ドンドン・ガラガラ」引っぱり出してお値打ち価格で販売するという、いわゆるアウトレットセールのようなものです。
そのほか「巣鴨1丁目商店街」「巣鴨駅前商店街」「地蔵通り商店街」「折戸商店街」「庚申塚商店街」と5つの商店街をウォークラリーで巡る「商人まつり」など、年間を通して60イベント程度を実施しています。イベントに合わせて来ていただくというよりも、「ここに来たら何かやっている」と感じていただくのが理想ですね。
―― SNSなどを使用した若者向けのPRにも力を入れていらっしゃいますね。
木崎:かなり定着した感のある「巣鴨地蔵通り商店街」のキャラクター「すがもん」によるツイッターや着ぐるみなど、老いも若きもとっつきやすいキャラクターづくりは心がけています。もともとこの「すがもん」は早稲田大学の広告研究グループが、「巣鴨地蔵通り商店街」のイベントやキャラクターのアイデアを持ってきてくれて提案してくれたものです。それを買い取り、イラストレーターさんにイラストをおこしてもらって、現在に至ります。実際は運営会社に任せておりますので、若いスタッフが上手に浸透させてくれてるという感じでしょうか(笑)。
木崎:おかげさまでTシャツやストラップなども好評ですし、入口にある「すがもんのおしり」も、縁結びや世話いらずのおまじないとしてとても人気のスポットになっています。 今年は「全国ご当地キャラクター年賀はがき」に「すがもん」が採用されました。商店街にある郵便局前のポストにも、「すがもん」が座ってみなさんをお迎えしていますので、是非見に来てください。
―― この地域の魅力はどんなところだと感じますか。
木崎:先ほどもふれましたが、大きな街道という歴史的背景もあり、それが現在の商店街につながっているところでしょうか。この辺りは大巣鴨村と呼ばれて、現在の豊島区の東半分を占めるくらいの大きな集落でした。駒込で生まれたソメイヨシノも、当時は巣鴨村の一部でしたので大きな意味で言うと巣鴨生まれでもあるんですよ(笑)。
木崎:また「巣鴨地蔵通り商店街」は、正しくは3つの町会が集まって成り立っています。この土地に代々住み暮らしている人たちが、お互い協力し合いながら商店街を盛り上げて、守っています。愛着も強いしトラブルも少ない、つまり皆が同じ方向を向いている、そういった点が魅力の源なのかもしれませんね。
巣鴨地蔵通り商店街振興組合
理事/広報宣伝渉外部長 木﨑禎一さん
所在地 :東京都豊島区巣鴨4-22-8
TEL :03-3918-2101
URL:http://www.sugamo.or.jp/
※この情報は2016(平成28)年2月時点のものです。
ここで生まれ育ち、骨をうずめる人々による愛の溢れる笑店街/巣鴨地蔵通り商店街振興組合 理事 木﨑禎一さん
所在地:東京都豊島区巣鴨3、4
電話番号:03-3918-2101(巣鴨地蔵通り商店街振興組合)
https://www.sugamo.or.jp/