調布市街づくり事業課 担当者インタビュー

京王線地下化にともなう駅前広場の再整備が完了。 今後は鉄道敷地跡の整備が進む、国領エリアの将来像とは?/調布市街づくり事業課 田中潤さん・日向基浩さん


「国領」駅周辺を含む調布市内の京王線沿線エリアでは、かねてから行われていた駅前の再開発事業が進むとともに、2012(平成24)年に地下化が完了した京王線の鉄道敷地跡の利用計画が作られ、事業に移されつつある。今後、鉄道の跡地はどのように整備され、住民の暮らしはどのように変わっていくのだろうか。その辺りについて、担当する調布市街づくり事業課の田中潤さんと日向基浩さんにお話を聞いた。

生活機能のバランスがとられた市街地形成を図る「中心市街地まちづくりプログラム」

開発の概要を説明する担当者の方
開発の概要を説明する担当者の方

――まず、調布市の再開発の全体プランである「中心市街地まちづくりプログラム」について教えてください。

日向さん:「中心市街地まちづくりプログラム」は、中心市街地として定めている「調布」駅、「布田」駅、「国領」駅について、道路網整備や駅前広場など、駅周辺のまちづくり事業を段階的に進めていくためのプログラムとなっています。

まず「調布」駅エリアでは、駅周辺の3つの地区において再開発を行っておりまして、土地の有効・高度利用によって、商業、業務、文化、居住等の生活機能のバランスがとられた市街地形成を図っているところです。「調布」駅の駅前広場については、ロータリー整備による交通結節機能の向上や、市民が利用できる多目的な空間の創出を目標としております。また同時に、都市計画道路、生活道路整備によって、交通の円滑化や、駅周辺の回遊性の向上なども図っておりまして、より魅力ある市街地の形成を目指しております。

調布市役所
調布市役所

「布田」駅エリアについては、2005(平成17)年度から進められていた土地区画整理事業により、駅前広場や都市計画道路を整備し、駅前にふさわしい土地利用を図るとともに、生活道路や公園の整備を行い、市民生活の利便性の向上と、安全性の確保を目的としまして、整備を進めているところです。

「国領」駅エリアについては、駅前広場の整備、歩行者専用道路整備、車橋の架け替え、区画道路の再整備等によって、より良好な歩行者空間の確保を目指していきます。以上の3つの整備をまとめたものが、「中心市街地まちづくりプログラム」です。

市街地環境と自然環境を調和させ、街全体を繋ぐ駅前広場

駅前広場
駅前広場

――エリアの事業が並行して進んでいるということですが、今回は特に「国領」駅周辺についてうかがいます。まず、「国領駅周辺の街づくり」について、過去の開発経緯や、今後の方向性について、詳しく教えてください。

日向さん:「国領」駅周辺地区では、商業、住宅、業務、文化、コミュニティなどの機能を備えた魅力的な市街地環境の形成が求められている一方で、野川のような自然環境と調和した住環境も求められておりますので、そういった声を受けて、2004(平成16)年度に「緑豊かで、人にやさしく、にぎわいあふれるまち・国領」を目指した「国領駅周辺地区計画」を定め、それに沿った再開発を進めてまいりました。

その後、2005(平成17)年度までに駅の南北で市街地再開発事業が完了しまして、公共広場、区画道路及び駅前広場が新しく設置されたわけですが、京王線の地下化に伴いまして、駅前広場を南北統合するための再整備が必要になり、これを進めてまいりました。それがつい先日、2016(平成28)年の5月に完了したというところです。

今後については、駅周辺の鉄道敷地の整備をはじめ、駅周辺の歩行者専用道路の整備、駅の東側で線路と立体交差する新しい車道の整備等を予定しておりまして、将来的にはより安全で、よりゆとりのある歩行空間が、駅の周辺に形成されていくかと思います。

日向さん・田中さん
日向さん・田中さん

――新たに生まれ変わった国領駅前広場について、魅力やポイントを教えてください。

日向さん:一番のポイントは、「交通の結節機能が充実した」という点になるかと思います。電車を降りてバスやタクシー等に乗られる方はもちろん、一般車両の方や、福祉車両用の乗降スペースも設けておりますので、乗り換えの利便性は高まったかと思います。特にバスについては、従来は狛江通り沿いにバス停があった路線についても、すべて駅のロータリー内に停まるようになりましたので、便利になったと思います。踏切が無くなったことで渋滞も非常に緩和されましたので、定時性も高くなりました。

京王線地下化にともなう駅前広場の再整備が完了。 今後は鉄道敷地跡の整備が進む、国領エリアの将来像とは? 駅前ロータリー
京王線地下化にともなう駅前広場の再整備が完了。 今後は鉄道敷地跡の整備が進む、国領エリアの将来像とは? 駅前ロータリー

また、ゆとりのある歩行空間と、一定規模の広場空間も創出していますので、歩行者の方の安全性が担保されましたし、皆さんが使われるような、各種イベントのための空間も確保されています。広場空間を使ってのイベントについては、私共もあまり詳しくは申し上げられないのですが、もともと、地域の夏祭りを駅前で開催していまして、その時には毎回、南側の広場の交通を一部閉鎖して行っていたそうなのですが、今後は交通を止めること無く、ある程度の規模のイベントも開催していけるのかと思います。

――先ほどのお話の中で「歩行者専用道路」とおっしゃていましたが、これはどこに整備されるのでしょうか。また、どんなことが期待できますか?

日向さん:「国領」駅周辺の歩行者専用道路については,駅北側に計画幅員8mの「歩行者専用道路1号」を、駅南側に計画幅員6mの「歩行者専用道路2号」を、地区計画に定めています。これは駅から東側に、線路跡地の南北に沿って、100mほどの長さになります。また、その先についても、線路の下を南北に通過する道路の新設が進んでおりますので、地上の歩行空間については、安全な環境が整ってくるかと思います。

鉄道敷地跡を生かして、うるおいとやすらぎに満ちた街へ

うるおい・やすらぎエリア
うるおい・やすらぎエリア

――京王線の地下化により、どんなことが改善されたのでしょうか。また、今後どのようなことが期待できますか?

日向さん:2012(平成24)年8月に京王線の「柴崎」駅~「西調布」駅間の約2.8kmと相模原線の「調布」駅~「京王多摩川」駅間の約0.9kmの地下化が実現しまして、以来、交通渋滞の解消、歩行者・自転車の安全性向上、分断されていた市街地の一体化などが実現してきたかと思います。

今後は地下化によって生み出された都市空間を有効に活用し、緑道や自転車駐車場、公園などの整備が進められるわけですが、これによって地域ににぎわいや交流、やすらぎある空間を創出したいと考えております。

駅前駐輪場
駅前駐輪場

――具体的に、「国領」駅付近の鉄道敷地跡にはどのような整備がなされる予定なのでしょうか。

日向さん:鉄道敷地につきましては、市民参加の形で、2002(平成14)年度ごろから議論を続けているところでして、昨年からは「鉄道敷地ミーティング」というものも開きながら、今後の鉄道敷地の整備の方針について、地元の商店街の方や、自治会さんとも意見を交換しながら、検討しているところです。

全体の整備テーマは「桜を全体に配置した四季感豊かな緑道空間」というものになっておりまして、その中で「にぎわい・交流エリア」「うるおい・やすらぎエリア」というように、枝分かれをしながら、いろいろな「ゾーニング」がなされています。「国領」駅付近については、全体が「うるおい・やすらぎエリア」にゾーニングされておりまして、それに沿った整備が進んでいくことになります。

具体的には、「国領」駅の東側、線路が地上に出るまでの間の敷地には自転車駐車場、福祉施設等が計画されております。一方、西側については鉄道敷地全体に緑道が整備される予定になっておりまして、これは「布田」駅付近まで続くものとなります。

緑道は今後10年以内ぐらいで順次整備されてまいりますので、全体が完成するのは、おそらく2023~2024年ごろになると思います。東側自転車駐車場については先行して事業が進んでおりまして、間もなく、2016(平成28)年度中に工事に入る予定です。

緑道イメージ
緑道イメージ

――後さらに利便性、住環境ともに向上しそうで、とても楽しみですね。では最後に、この「国領」エリアの魅力について、それぞれ一言頂いてもよろしいでしょうか。

田中さん:「国領」駅については、「布田」駅や「柴崎」駅付近と比べても商業施設等が整っていますし、これから緑ももっと増えてくると思いますので、特にファミリー層の方にとっては、今後さらに住みやすい街になっていくのかな、と思います。ぜひご期待いただければと思います。

日向さん:私も同じ意見なのですが、加えて言えば、もともとは南北に分かれていたロータリーが、新たな一つのロータリーになりましたので、交通結節機能は格段に向上したと思います。南北の再開発にともなって商業施設も充実していますし、新しい広場ではいろいろなイベントも開催されていくでしょうし、今後もっともっと、魅力のある街になっていくのかな、と思っています。

整備係田中潤さん(右)、日向基浩さん(左) 
整備係田中潤さん(右)、日向基浩さん(左) 

調布市都市整備部 街づくり事業課

調布市都市整備部 街づくり事業課 整備係 田中潤さん(右)
調布市都市整備部 街づくり事業課 整備係 技師 日向基浩さん(左)
所在地:東京都調布市小島町2-35-1 7F
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※この情報は2016(平成28)年6月時点のものです。

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