ボランティアスタッフやイベント参加者など、 “地域の人と一緒につくっていく公園”/木場公園 サービスセンター長 小谷野利幸さん
江戸時代初期から材木業が集まっていた木場が、新木場に移転したのをきっかけに、1992(平成4)年、その貯木場跡地を「木場公園」としてオープンした。24.2haの広大な土地は現在、地域の人々の心のオアシスとなっている。一方で防災公園としての側面もあり、三ツ目通り側には耐火性植物も植えられ、防災に関するイベントなども積極的に行っており、参加者は増加傾向にある。そんな地域住民の日常生活の一部にも溶け込んでいる「木場公園」のイベント活動や、都立公園としてのサービス提供について伺った。
――「木場公園」はどういったエリアや施設があるのでしょうか?
東京メトロ東西線「木場」駅方面に当たる南側から挙げると、まずは広い芝生の「ふれあい広場」と「都市緑化植物園」、そして「バーベキュー広場」「噴水広場」、アスレチックや遊具が集まった「南の冒険広場」と続き、「木場公園」のシンボルである「木場公園大橋」を渡ると、「イベント広場」とテニスコート、災害時にヘリコプターも着陸できる「多目的広場」と、子どもに人気の「徒渉池」「北の冒険広場」などで構成されています。
多彩な広場や施設を擁する公園なので、近隣の方のジョギングやウォーキングはもちろん、平日昼間は「ふれあい広場」に幼稚園児や保育園児が遠足に来ることも少なくありません。時には、複数の団体が重なって1,000人以上になることもあるほどです。都心にありながら、広大な敷地を誇る公園として皆さまに好評をいただいています。週末は家族連れの利用も多く、ライフスタイルに合わせて上手に利用していただける公園だと思います。
24.2haの広い公園ですが、利用者が安心して使っていただけるよう、昼間は公園のスタッフが園内を見回り、夜間は警備会社に巡回してもらうことで、安全面の配慮には特に力を注いでいます。さらに、園路灯の故障チェックや、園内で迷惑行為が行われていないかなど、スタッフも定期的に夜間の確認を行っています。
――緑豊かな環境のもと、さまざまな年齢の方が安心して利用できる公園だということですね。
そうですね。遊んだり、散歩したり、運動したり、さらにバーベキューも楽しめます。「バーベキュー広場」は夏でも木陰になっていますし、広々としているので、ファミリーだけでなく、会社の行事などにも利用されています。何より、事前予約すれば“無料”という点が人気の理由でしょう。その分、私たちは場所を提供するだけなので、機材や食材はすべて準備していただくことになっています。
3月から11月にかけての週末は、窓口前に100人以上が並ぶこともあります。電話か窓口に来ていただき予約手続きをするのですが、混雑するシーズンは、電話だと非常につながりにくいので、お近くであれば直接お越しいただくことをオススメします。1名につき1サイト40名までしか予約できませんので、大人数で利用される場合はお友だちと一緒に来ていただいた方がいいでしょう。
――「木場公園」は“防災公園”としての一面もあるとうかがいましたが。
「多目的広場」は、災害時や緊急時に自衛隊などのヘリコプターが離発着できる「大規模救出救助活動拠点」に指定されています。公園の敷地内には、マンホールにテントを張って使用する「災害対応トイレ」や、停電でも使えるソーラー発電の誘導灯や公園灯、「バーベキュー広場」には座る部分を取り外すと煮炊きができる「かまどベンチ」などが配置されており、園内の地図にもその場所が表示してあります。
「“防災”については、そうしたハード面の充実だけでなく、町内会やボランティアと一緒に防災訓練を行ったり、防災施設を実際に使ってみたり、「わんぱく防災フェスタ」で子どもたちに手づくりの毛布担架を作ってもらったりするなどして、災害時・緊急時に役立つ知識や技術を楽しく学ぶ場も提供しています。
「わんぱく防災フェスタ」は年に1回、子どもたちの夏休みシーズンに開催しているのですが、2015年度は1,600人ものご家族が集まり、防災に関する意識の高まりを感じます。同時に、このイベントが地域の人たちに認知されつつある手応えも感じています。
――「わんぱく防災フェスタ」のほかにも、さまざまなイベントが開催されているそうですね。
「イベント広場」で区内のアマチュアバンドのライブや「大江戸ソーラン祭り」の実施をはじめ、チャリティ団体による震災の募金を募るマラソン大会、子どもたちが木材と工具を使って何かを作る体験学習など、公園のインフラを利用した幅広いテーマでのイベントを開催しています。「バーベキュー広場」近くにある「木場ミドリアム」ではボランティアスタッフが中心となって、2週間交替で写真やスケッチ、クラフトの展示会を常時行っているだけでなく、グリーンアドバイザーによる園芸相談、花・木に関係したセミナーのような活動も行っています。先日「木場ミドリアム」で行われた「ラベンダースティック」作りは盛況でした。近年、イベントの参加者が増加しているので、今後はもっといろいろなイベントを企画したり、回数の工夫も必要だと考えています。秋には、どんぐりなどを使ったリース作りのイベントもやってみたいですね。
――ボランティアスタッフの方たちの協力は、「木場公園」の管理やイベント開催において大きな力となっているのですね。
「木場公園」が地域に密着した公園となっているのは、ボランティアスタッフの方々の協力あってこそだと思います。たとえば、年間をとおして美しい花や緑に溢れている「都市緑化植物園」は、ボランティア団体「木場公園友の会」をはじめ、8つの団体が中心となって維持・管理されています。ガーデニング広場、洋風&和風庭園、果樹園など各エリア、毎日ボランティアスタッフの方々が交代で手入れに来てくれています。また、「ふれあい広場」の一画にある「ドッグラン」は、ボランティアのドッグランサポーターズによって運営され、毎月「犬のしつけ教室」なども開催されています。
そうしたボランティアスタッフの方々の協力もあって、「木場公園」は四季折々の樹木や草花が途切れなく咲き、都会に残る自然をいつでも楽しめる環境となっています。「都市緑化植物園」の草木を見ると、私自身もこれまで知らなかった花が咲いていたり、都会ではなかなか見かけない虫や鳥を見かけ、新しい発見があります。今後も“地域の人と一緒につくっていく公園”として、どんな季節でも楽しめる公園づくりや多彩なイベントを提供していきたいと考えています。
公益財団法人 東京都公園協会
木場公園サービスセンター長 小谷野 利幸さん
公園所在地:東京都江東区平野4 ほか
電話番号:03-5245-1770
「都市緑化植物園」開園時間:9:00~16:30
URL:http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index020.html
※記事内容は2015(平成27)年8月時点の情報です。記載している情報については、今後変わる場合がございます。
ボランティアスタッフやイベント参加者など、 “地域の人と一緒につくっていく公園”/木場公園 サービスセンター長 小谷野利幸さん
所在地:東京都江東区木場4・5丁目・平野4丁目 など
電話番号:03-5245-1770(木場公園サービスセンター)
https://www.tokyo-park.or.jp/park/kiba/i..