NPO法人 横浜市馬術協会 会長 武石敏勝さん インタビュー

馬と心を通わせることで生まれる「無心の時間」/横浜市馬術協会 会長 武石敏勝さん


横浜市三ツ沢、第三京浜の脇にある「三ツ沢公園」。テニスコートのある辺りから少し坂道を下った場所に、横浜市より業務管理を委託され、厩舎と馬術練習場の運営管理・活動を行っている「NPO法人 横浜市馬術協会」がある。この地に戦後間もなくから続く、伝統の長い乗馬クラブだ。乗馬のベテランから近隣に住む初心者の“馬好き”の方々まで、総勢200名以上が活動しているという、横浜市内でも随一の規模のクラブである。
今回は一般市民も観覧できる秋の恒例イベントのひとつ、「ホースショー」にお邪魔して、会長の武石敏勝さんにお話を伺った。

個人の遊びから始まった馬術協会

ホースショーに臨む人々
ホースショーに臨む人々

「NPO法人 横浜市馬術協会」の始まりは、今から69年前の1946(昭和21)年、戦後間もなくのことです。当時、この近辺で、馬と一緒に遊んでいた方々が何人かいたそうです。しかし、この場所だと危ないので、安全に遊べる場所として、横浜市より現在の場所を借用できることになり、ここで活動するようになったそうです。その後、その方たちが前身となる「横浜市馬術協会」という組織と、「横浜乗馬倶楽部」という乗馬クラブを作り、あくまでも市の土地なのですが、市から委託を受けて、馬場の管理をするという形になりました。

ホースショーの様子
ホースショーの様子

最初の頃は自分たちだけで楽しんでいた遊びが、徐々に個人的な遊びだけではなく、「横浜市民に対して、安い値段で乗馬を普及していこう」という目標になり、「横浜市馬術協会」が組織されたということです。

ホースショーに臨む人々
ホースショーに臨む人々

その後は2005(平成17)年にNPO法人を立ち上げ、「NPO法人 横浜市馬術協会」としての活動が始まりましたが、目的は当初と変わらず、「より広く、横浜市民の皆様のために、馬について普及していく」ことを目指している団体です。

子どもから大人まで楽しめる大会

馬術練習場の様子
馬術練習場の様子

昔は会員制の「倶楽部」でしたが、今はNPO法人になりましたので、一応会員制のようなものですが、NPO法人に入っていただいた方が利用できるという形になっています。会員はほとんどが、横浜市民の方ですね。ただ、横浜市外の方でも利用できるので、ほかのエリアにお住まいの方も参加していただけます。

大人も子どもも一緒に楽しめる
大人も子どもも一緒に楽しめる

活動としては主に、「部班」という3人程度のグループ練習を中心に活動を行っています。その中でいろいろな競技の練習をするのですが、中には「ホースショー」で行っているような障害や、カドリールなどもあります。

観客を楽しませるパフォーマンス
観客を楽しませるパフォーマンス

その成果は障害の大会や部班の大会など、それぞれの種目別の大会が年に何回かありますので、そこで競うということになります。大会になると、参加する方も協会内だけではなく、市内にあるほかの団体も招へいしますし、あるいは市外の方でも、誰でも参加できますよ、という形で行いますので、たくさんの方に参加していただいています。

乗馬の練習風景
乗馬の練習風景

近年は根岸の少年団も来て、試合で戦っています。子どもも大人も一緒に、ハンデなしの大会なのですが、子どもも大人も変わらないぐらい、それぞれ実績を残されています。

馬の魅力を知ってもらうために

乗るための準備(馬装)をする人
乗るための準備(馬装)をする人

乗馬の体験イベントについては、歴史が古くて、月に1回の「無料体験乗馬」を開催しています。これは参加資格は3歳以上で、馬が好きな方なら、どなたでも乗っていただけます。

この体験乗馬については、一応「引き馬」という形になりますが、乗る方の体格によって、サラブレットに乗ってもらうことも、ポニーに乗ってもらうこともあります。開催日など詳しい情報はホームページで公開していますので、そちらを見ていただければと思います。

ホースショーに参加する方々と市民
ホースショーに参加する方々と市民

また、障がい児、障がい者の方も一緒に参加することができます(※希望の方は応相談)。これは今でも個人経営のクラブでは珍しいケースかと思いますが、馬術協会では、前身の「横浜乗馬倶楽部」の頃から、障がい者の方を受け入れていこうということで積極的に取り組んでいます。

それ以外に、要請があれば近郊の公共施設や幼稚園、小学校などに、ポニーを連れていって、引き馬体験などもやっていますし、この間は大学の同窓会から要請があったので、そこに馬を出すということもしました。要請があれば、可能な範囲で対応するようにしていますね。

一から指導して、乗馬をサポート

乗馬の練習風景
乗馬の練習風景

本格的に取り組みたいという方は、まずは体験に来ていただくことですね。そのうえでオリエンテーションを受けて、希望者は入会ということになります。経験がないという方についても、一から指導して乗れるように導きますので、未経験の方もぜひチャレンジしていただきたいですね。

ビジター乗馬についても、今ではどなたでも参加できる形で行っていますので、経験者の方はそちらからビジター乗馬もしていただけます。万が一ということもありますから、最初に登録をして、簡単な質問をしたうえで乗っていただいています。

幅広い年齢層が会員

乗馬を練習する参加者
乗馬を練習する参加者

年齢層は幅広いですね。一応今は、体験乗馬をしていただいた後、オリエンテーションをしまして、それから入会という形にしていますが、来年度以降はここの運営主体が変わる予定なので、横浜市が公募で選定した業者がここを管理・運営をしていくという形になるかと思います。

競走馬としても活躍していた馬たち

馬術協会で管理している馬
馬術協会で管理している馬

馬は会有馬、預託馬などいろいろな形なのですが、全部を合わせると29頭です。ポニーが4頭で、それ以外はサラブレッドです。競走馬として活躍していた馬も多いですよ。

今の世の中に必要な「無心になれる時間」

馬とともに楽しむ
馬とともに楽しむ

馬に乗ることで、本当に「無心になれる」ということでしょうね。心が「無」になれるんです。今の世の中、集中できる時間ってなかなかないじゃないですか。でも、馬に乗っていると、馬に乗ったことだけに集中できますから、心がリフレッシュされて、健康状態もすごく良い状態になれるんですね。「無心になれる」という時間が欲しい方には、乗馬はお薦めですよ。

私もいろいろと、ほかのスポーツにも取り組んできましたが、なかなか雑念といいますか、いろんな気持ちが入ってきてしまうんです。ところが馬というのは不思議なもので、乗っていると、馬と話し合う、コンタクトしあうということだけに集中できるんですね。ここではいろんな馬に乗れますので、コンタクトの取り方も馬によってまたバラバラです。その日の状態によっても違うんです。「人馬一体」という言葉もありますが、そうなれた瞬間は最高です。

暮らしを堪能できる住環境

三ツ沢公園
三ツ沢公園

まずこの「三ツ沢公園」を中心に、公園全体にいろんなものがあるので、それを楽しんでいただきたいですね。サッカー場もあって、運動公園もあって、テニスコートもあって、いろんなスポーツが楽しめます。ジョギングをしている方も多いですね。また一方では、豊顕寺(ぶげんじ)の森は、すごく静かなところで、おすすめです。滑り台もあるので、お子さんにも楽しめるところだと思います。

街に向かうと、古いお蕎麦屋などもあれば、最近できたインド料理屋、ハンバーグ屋など、そういったオシャレな店もあり、楽しめると思います。「横浜」駅前も近いですし、お散歩ついでに、食事や買い物も楽しめるというのはいいですね。

もっともこのエリアの魅力は、「横浜」駅に近く、便利という点ではないでしょうか。その割には緑が豊かで、静かな環境があるので、とても住み良いところだと思いますよ。

今回お話を聞いた人

NPO法人 横浜市馬術協会
会長 武石敏勝さん
NPO法人 横浜市馬術協会
http://www.horse-yrc.com/
※この情報は2015(平成27)年10月時点のものです。