パークロード石神井 理事長 八方清文さんインタビュー

パークロード石神井/理事長 八方清文さん

「石神井公園商店街振興組合(パークロード石神井)」の八方(はっぽう)理事長
「石神井公園商店街振興組合(パークロード石神井)」の八方(はっぽう)理事長

戦前戦後から石神井公園への散歩道として、そして住民の生活を支える商店街として発展してきた「パークロード石神井」。個人商店は減りつつありますが、2代目3代目の若旦那たちが新たなイベントを企画するなど、祭り好き・世話好きのDNAは脈々と受け継がれています。今年で理事長6年目という八方さんに、商店街のイベントの話や街の魅力についてお伺いしました。

街路灯設置で生まれた商店街は、多様なイベントで今なお賑わう

パークロード石神井
パークロード石神井

――「石神井公園商店街振興組合(パークロード石神井)」の歴史や概要について教えてください。

八方さん:大正時代に1軒のたばこ屋から端を発したこの商店街は、戦後の1948(昭和23)年頃には40数店が軒を連ねる商店街まで成長しました。この頃から町の宣伝のために、大灯籠を山車に乗せて子どもたちに引かせて練り回るお祭りを開催。それが後の「灯籠流し花火大会」につながっています。
その後1950(昭和25)年に、戦争で何もなくなった街を明るくしようと街路灯設置の動きが起こり、120本の街路灯を設置しました。それをきっかけに5ブロックに分かれていた商店街が団結し、街路灯で明るくなった街を象徴して「光」の文字を入れ「商光会」となりました。
高度成長期とともに商店街は最盛期を迎え、のど自慢大会や納涼盆踊り、お年玉抽選会などのイベントや行事も盛りだくさんの賑やかな商店街になりました。

その後、1990(平成2)年には4つの通りに分散していた商店街を、石神井公園商店街振興組合として一つに統合し、2年後の1992(平成4)年に「パークロード石神井」という愛称が決定。街路灯に名入りペナントも取りつけました。
今は当時に比べると静かになりましたが、練馬区内でも有数のイベントや行事が多い賑やかな商店街だと思います。店舗の入れ替えが多いので組合員数は170店舗前後で推移しており、街灯のみの準会員ですと200を超えます。

 

――さまざまな催しもたくさん開催されていますね。

八方さん:「灯篭流しの夕べ」はこの商店街ができた当時からの古い行事で、一番盛んだった頃は、灯籠を乗せた船が何艘も連なって石神井池を走る大きなお祭りでした。僕が小さな頃は「灯籠流し花火大会」という名称で、花火と花火の間にスポンサーになってくれた企業の名前をアナウンスして、大きな花火を何発も打ち上げてね。当時は周囲が畑でしたからそんなこともできましたが、今は住宅街ですから、家庭用の花火の大きなものをいくつか打ち上げるようにしています。

「灯篭流しの夕べ」のチラシ
「灯篭流しの夕べ」のチラシ

灯籠を乗せる船も1〜2艘と少なくなりましたが、灯籠自体は750個ほど作ります。近隣の作業所や福祉園に材料を提供して制作してもらい、当日会場で絵付けができるようになっています。池に浮かぶ灯籠は時代を超えて幻想的で、この商店街を象徴する目玉のお祭りです。2,000〜3,000人の来場者がありますので、今年は商店街を車両通行止めにして、お客様にも歩きやすい環境を整えました。

この他にも石神井城落城の歴史と照姫の伝説にちなんだ「照姫まつり」というイベントも、1988(昭和63)年から実施しています。これは地域の歴史に親しんでもらいながら地域活性を行うという目的から生まれたお祭りで、練馬区2大祭りの一つです。駅から商店街、石神井公園一帯が会場になり、一般公募された総勢100名もの人たちが豊島氏一族に扮して街を練り歩きます。まつり当日は、路面の店はもちろん、地下や2階の店舗もこの日ばかりは商店街に露店を出し、賑やかにお客様をお迎えしています。いつもは店を閉めている仕舞屋(しもたや)でも、年に1回のこのお祭りのために家族全員で手作りの品を用意して出店するところもあるくらいです。

200店舗以上が軒を連ねる
200店舗以上が軒を連ねる

――そのような代表的なおまつりの他にも、「チルコロ石神井」などのユニークなイベントもありますね。

八方さん:「チルコロ石神井」は毎年3月と10月に、商店街の店や地域団体が商店街銀座通りに産直野菜や飲食メニュー、手作り雑貨、ゲームなどのテント露店を出店するイベントです。商店街の活性化委員会から生まれた有志の集まりで運営をしており、毎月第3木曜日に集まって商店街を盛り上げるための話し合いをしています。
もともと近隣の「冒険遊びの会(プレーパーク)」という団体がハロウィーンイベントをしていたのを、せっかくなら商店街で一緒にやろうということになり、毎年10月のチルコロはハロウィーンも兼ねたものになっています。今年は初めて専用のチラシも刷って、今まで以上に力の入ったイベントになりました。

この他にも、商店街全体がかわいい犬猫の雰囲気に包まれ「ねこフェス+ワン!」や、酒屋さんが独自で企画する「ワイン祭」などもあり、「パークロード石神井」はイベントやお祭りだけでも年間数えきれないほどあります。

チルコロ石神井
チルコロ石神井

閉店店舗を開放し、地域コミュニティの場に

――ふれあい広場第1と第2というスポットがありますが、どのような場所なのでしょうか?

八方さん:「ふれあい広場」は、商店街のお店のなかで閉店後に特に活用していない場所を借り受け、地域の団体やサークル、教室などが活動できるよう開放している場です。シャッターを閉めたままにしておいたり、駐車場にするより、誰かが出入りしていた方が活気があるでしょ。

毎週借りている団体はありますが、例えば商店街のイベントで使いたいとなれば、ちょっと休んでもらって場所を空けてもらったり、その辺りは臨機応変にやらせてもらっています。鍵はウチの店で預かっていますから、利用者はまずウチのお店に来て鍵を持って行き、帰りはまたウチに返す。ただの鍵のやりとりのように見えますけど、「元気?」「最近誰々さん、見ないね」なんて声を掛け合って、昔ながらのご近所付き合いみたいな感じです。どんな人が使っていて、どんなことをやろうとしているのかもよく分かるし、何か助けが必要だったら商店街の若いメンバーが手伝ったり。このふれあい広場第2は、僕の先輩の店舗だったところだから、お金をかけないように床や壁紙を貼ったり仲間と一緒にやりました。

ふれあい広場
ふれあい広場

――この商店街や石神井の街に暮らしているなかで感じる、この街の魅力はどんなところでしょうか。

八方さん:商店街は最盛期に比べたら閉店してしまったお店も多いですが、2代目〜3代目に代替わりをして、若い人たちの間で新たなアイデアを出したり、色々な企画が外から持ち込まれることもあり、お誘いも多い活気のある商店街です。区からの助成も結構いただけているのは、それだけイベントや行事が多いということ。これからも若い人たちによる新しいイベントが出てくるのではないでしょうか。

個人でやりたいことと、商店街として取り組むべきことに多少ずれはありますが、自然発生的に「商店街を盛り上げよう」という話が出て、若い人たちが熱心に活動するのは活気が出てよいことだと思っています。
商店街とは関係のない人たちから結成される、「パークロード石神井・応援団」もあり、とにかく石神井が好きな人たちが集まっている愛情深い場所です。商店街のお店には近年チェーン店も増え、なかなか商店街に参加していただけないという悩みもありますが、少しずつこの場所に馴染んで、ぜひ私たちと一緒に商店街を盛り上げてほしいと期待しています。

商店街の様子
商店街の様子

個人商店での買い物で店主とのコミュニケーションを楽しんで

――南口周辺の整備も計画されていますが、昔ながらの街のよさと、変化する街の今後についてどうお考えですか?

八方さん:南北に電車を突っ切るように走る補助第132号線、そして「石神井公園」駅南口前に横たわるように走る補助第232号線、それになかなか進んでいないようですが、この232号線を富士街道まで延伸させるという計画もあるようですね。この都市計画道路が完成すれば狭い商店街をバスが走ることもなくなり、歩道を広くしてお客さんが散策しやすい商店街にできるかもしれないという話は出ています。

「石神井公園」駅
「石神井公園」駅

「エミナード石神井公園」も、現在建設中の駅前のビルも、要不要の意見はさまざまです。私なんかは「駅前ビルの建設地を公園にしちゃえば」なんてふざけて話していますが(笑)。例えば商店街の電柱地下化の話だって、「道が広くなる」と喜ぶ人もいれば、「電柱はバスが通る時の避難所みたいなものだから、なくなったら怖い」と言う人もいる。新しい動きに対する賛否の意見はつきものですからね。いずれにしてもこの街のほのぼのとした温かさ、義理人情が厚くて人を放っておけない気質、さまざまなイベントに真剣に取り組む真面目な姿勢など、昔ながらの商店街だから残っているよさが失われないようにしたいですね。

――これからこの街に暮らそうと思っている方に向けて、メッセージをお願いいたします。

八方さん:ぜひ地元の個人商店と仲良くなって、コミュニケーションを取りながら買い物をしてほしいですね。スーパーもいいけど、魚屋・肉屋・八百屋・酒屋の店主はその道のプロ揃い。旬の食材や料理の仕方、おすすめの商品など、買い物をしながら話しをすれば、いろいろな知識を教えて授けてもらえると思います。店主たちも世話好きが集まっていますから、話をしながら買い物してくれる人を待っていると思いますよ。お子さんの買い物の練習にも、商店街はうってつけです。
私たちも、これからの商店街のあり方、個人商店のあり方を考える時がきていると感じています。少しずつ若い人たちに役割を移して、新しい風を取り入れないといけませんね。ぜひ商店街まで買い物に来てください。

パークロード石神井
パークロード石神井

石神井公園商店街振興組合(パークロード石神井)

理事長 八方清文さん
所在地 :東京都練馬区石神井町3-17-17(八方さんの店 シューズハウスふみや)
URL:http://www.shakujii.net
※この情報は2018(平成30)年11月時点のものです。

パークロード石神井/理事長 八方清文さん
所在地:東京都練馬区石神井町3ほか 
http://www.shakujii.net/