社会福祉法人わか竹会 インタビュー

自然を通して子どもたちの豊かな感性を育む/社会福祉法人わか竹会(埼玉県)


所沢市の保育ニーズに応える「社会福祉法人わか竹会」
所沢市の保育ニーズに応える「社会福祉法人わか竹会」

都心部への交通アクセスに優れた生活環境が魅力の所沢駅周辺エリア。駅直結の大型商業施設「グランエミオ所沢」をはじめ、2019年11月にリニューアルオープンした「西武所沢S.C.」や、プロペ通りと呼ばれる商店街にはグルメやファッションなど多くのお店が軒を連ね、利便性の高いライフスタイルを求めて移り住む人も多い。地域の保育ニーズに応えるため、2001(平成13)年に設立された「社会福祉法人わか竹会」では、子どもたちの豊かな感性を育むことを保育目標に掲げ、郊外の自然環境を生かした独自の取り組みを進めている。

今回は、同法人が運営する「わかたけ鳩峯(はとみね)保育園」を訪ね、保育の実際や所沢駅周辺エリアの特色についても話を伺った。

わかたけ鳩峯(はとみね)保育園
わかたけ鳩峯(はとみね)保育園

所沢市の保育ニーズに応える「社会福祉法人わか竹会」

――「社会福祉法人わか竹会」の概要について教えてください。

「社会福祉法人わか竹会」は、地域の保育ニーズに応えるため2001(平成13年)年に設立されました。現在は、「わかたけ保育園」、「わかたけ元町(もとまち)保育園」、「わかたけ鳩峯(はとみね)保育園」の3つの保育所の運営と、所沢児童クラブ等の運営にも携わっています。

2001年に開園した「わかたけ保育園」は、「所沢小学校」の西側にあり閑静な住宅地に囲まれています。0歳児から2歳児までの低年齢児を対象にした保育施設として運営をスタートしたのですが、就学前まで子どもたちを見られる場所を作りたいと、2004(平成16)年に「わかたけ元町保育園」を開園しました。

さらに地域の保育ニーズの高まりを受けて、当時、郊外のサテライト施設として使っていた場所を保育園として整備し直し、2010(平成22)年に「わかたけ鳩峯保育園」の運営がスタートしました。

木のぬくもり溢れる園内
木のぬくもり溢れる園内

「豊かな感性を育む」ことを保育目標に掲げる保育園

――各園の概要、特徴について教えてください。

まず「わかたけ保育園」は、定員30名の小規模な保育園で、生後8週から2歳までの子どもたちが一緒に生活しています。家庭的な雰囲気が特徴で、子どもたち一人ひとりの気持ちをしっかりと受け止めながら、安全で快適な生活を送れるよう配慮しています。また小さな子どもたちが安心して遊べるように工夫した園庭には、いつも花が咲いていて、心豊かに過ごせるよう心がけています。

「わかたけ元町保育園」は、「わかたけ保育園」から徒歩1分の場所にあり、生後8週から就学前の5歳児まで定員90名の保育園として運営しています。園庭には四季折々の草花や実のなる木があり、果実をみんなで摘み取って食べたり、収穫してジャムや果実のジュースにしたりして楽しんでいます。またウサギなどの小動物も飼っていて、子どもたちが自主的に餌をあげたり、撫でたりして、日々触れ合いながら大切にお世話をして育てています。

「わかたけ鳩峯保育園」は、元町から歩いて20分ほどの「鳩峯公園」の近くにあり、豊かな自然環境に恵まれているのが特徴です。定員は50名で、生後8週から就学前の5歳児までお預かりしています。園庭には様々な樹木を植え季節ごとに色々な花が咲くように工夫しています。また畑では野菜の栽培や収穫を楽しんだり、獲りたての野菜にかぶりついたりと、郊外にある施設ならではの取り組みをしています。普段私たちは“森”と呼んでいるのですが、「鳩峯公園」への散歩も日課になっていて、自然の中で生き物や植物に触れることなど、日々の体験が子どもたちの心身や感性をたくましく豊かにしてくれていると思います。

各園に共通した「保育目標」として、「よく食べ元気に遊べる子」「慈しみ育てる保育」「豊かな感性を育む」の3つを掲げておりますが、最近は特に「豊かな感性を育む」ことの大切さを感じています。

「よく食べ元気に遊べる子」を育む、みんながお楽しみのおやつ
「よく食べ元気に遊べる子」を育む、みんながお楽しみのおやつ

「豊かな感性を育む」ことを保育目標に掲げる保育園

ーー「わかたけ鳩峯保育園」について詳しく教えてください。

先ほども少し触れましたが、所沢市でも待機児童が大きな課題のひとつになっていまして、当時、郊外のサテライト施設として使っていたこの場所を整備し直して「わかたけ鳩峯保育園」ができました。0歳から就学前の5歳児まで、定員は50名で運営していまして、3・4・5歳児は“縦割り班”で活動しています。

施設の特徴としては、もともと山だった場所に施設を作ったので、園庭には自然の地形をそのまま生かしたゆるやかな起伏もあり、日々の遊びや活動を通じて運動機能が高められるような環境になっています。また自分が子どもの頃に遊んでいたような自然の中で遊べる環境を作ってあげたくて、道を一本はさんだ場所に「わかたけランド」という施設も作りました。敷地内には子ども用のサーキットコースや思いっきり走り回れる広いグラウンド、また巨大迷路のお城もあって、子どもたちが安心して遊べる環境が整っています。

園庭にある築山の上の小屋やウッドフェンスなどもそうですが、職員と一緒に手作りしたものも多く、サーキットコースのピットや小屋もそうですし、お城も友人の大工さんやご近所の方の協力をいただきながら作り上げました。さらに今は、保育園の南側に「わかたけプレイランド」という新たな施設の整備も進めていて、子どもたちにはさまざまな自然体験を通して五感を鍛え、生きていく力の基盤となる豊かな感性を育んでいって欲しいと思っています。

子どもたちが、思う存分遊べる「わかたけランド」
子どもたちが、思う存分遊べる「わかたけランド」

保育園や「わかたけランド」など施設間の交流も盛んな放課後児童クラブ

ーー「所沢市立所沢児童クラブ」、「所沢市立第二所沢児童クラブ」について教えてください。

放課後児童クラブの運営は、2010(平成22)年に「所沢市立第二所沢児童クラブ」の運営を受託したのが始まりで、2018(平成30)年には「所沢市立所沢児童クラブ」の運営も行うようになりました。「所沢市立第二所沢児童クラブ」は、「所沢小学校」から徒歩3分の場所にあり、主に「所沢小学校」の児童およそ120名が放課後や学校休業日を一緒に過ごします。家庭的な雰囲気が特徴で、児童の自主性や主体性を大切にしながら一人ひとりとしっかり向き合い、安心してのびのびと生活が送れるような関わり合いをしています。

 一方、「所沢市立所沢児童クラブ」は「所沢小学校」の敷地内にあり、校庭遊びや室内遊びなどのびのびと遊ぶことができる環境で、年上の児童が年下の児童のお世話をする“縦割り班”で一緒に遊ぶ姿が多く見られます。また保育園に足を運んで小さい子どものお世話をしたり、専用のバスで「わかたけランド」に行って思いっきり身体を動かしたりと、施設間の交流もあり楽しい時間を過ごしています。

施設間の交流が深まる環境が整っている
施設間の交流が深まる環境が整っている

保育園や「わかたけランド」など施設間の交流も盛んな放課後児童クラブ

ーー所沢駅周辺の地域の特徴や生活環境としての魅力について教えてください。

私は「わかたけ元町保育園」の近くに住んでいるのですが、子どもが「所沢小学校」、「所沢中学校」とお世話になって、私もPTAの活動などを通じていろんな勉強をさせてもらいました。所沢市内の中でも特に駅前のこのエリアはつながりが強くて、「所沢小学校」、「所沢中学校」でPTAをやっていた方が、駅前の商店街であったり、商工会や青年会議所、ライオンズクラブやロータリークラブといった組織の一員としてもずーっとつながっているんですよ。「ところざわまつり」の実行委員もほぼみんなPTAの役員だった方で、そういう人たちがまちの伝統を守っているんだなというのを感じますね。

所沢駅周辺の高まる保育ニーズと受け入れができない保育園の現状

ーー所沢駅周辺の子育て環境についてお聞かせください。

駅前はマンションが増えると、保育園の数が圧倒的に足りないので、今後どうなってしまうんでしょうね。マンションの一室を利用して小規模の保育園を運営しているところはありますが、あとは幼稚園の預かり保育に活路を見出すのかなと感じています。当園では毎週水曜日の10時から見学会を行なっているのですが、毎週7〜8組の見学希望があってお話を伺うと、産休・育休をとって1歳で復帰という方も多く、当園は0歳から受け入れているため空きが無い状況で。また育休退園という課題もあり、なかなかご希望に添えないのが実情です。

駅周辺の子どもたちを見ていると、マンションの上り下りと保育園や学校までの横の移動がほとんどなので、「鳩峯公園」や「わかたけランド」にあるような自然の起伏やでこぼこ、自然の中にある発見や体験の大切さを感じます。だからこそ保育園の子どもたちには、虫をつかまえたり、実を採ったり。ふきのとうもバケツいっぱいになるくらい採れるんですが、給食の先生にお願いしてふき味噌にして食べたりと、いろんな体験をさせてあげたいと思っています。

他にもブルーベリーやブラックベリー、柿、いちごなど、保育園のまわりには色んな実がなっていて。ブラックベリーは赤いのを採っちゃうと酸っぱくて食べられないのですが、食べて良いものといけないものについては、経験のある上の子が下の子に教えてあげるといった関わりもあるんです。“縦割り班”の活動がこういったところでも生かされているのかなと感じています。

身近に広がる自然環境が、子ども達を豊かにはぐくむ
身近に広がる自然環境が、子ども達を豊かにはぐくむ

考察:生活の利便性と豊かな自然環境も享受できる所沢駅周辺エリアの魅力

大規模な再開発事業が進められている所沢駅周辺エリアから郊外へ少し足を伸ばすと、「所沢航空記念公園」や「トトロの森」と呼ばれる自然環境の豊かな場所があります。「所沢航空記念公園」は、約50haもの広大な面積を有する公園で、園内には人工芝の運動場やテニスコート、野球場などの運動施設のほか、野外ステージもあり音楽イベントが行われています。バッテリーカーや小さな子どもでも楽しめる遊具もあり、子育て世帯も多く訪れる人気スポットのひとつです。

また、今回取材で伺った「わかたけ鳩峯保育園」近くの「鳩峯公園」は、トトロの森2号地に隣接する場所で、コナラやクヌギ、アカマツが生い茂る雑木林が広がり散策できるようになっています。夏場にはカブトムシやクワガタなど昆虫も多く見られるようで、貴重な自然体験ができそうです。見出し:地域とのつながりも感じられる所沢駅周辺エリアの子育て環境

所沢駅周辺エリアが子育て世帯の人気を集める理由はもうひとつ、地域とのつながりを感じられるという点にあります。所沢駅西口から金山町交差点まで、1.5kmにわたり盛大に開催される「ところざわまつり」も、地域の文化や魅力を感じられるイベントのひとつです。山車のひきまわしやお囃子をはじめ、子どもみこしやパレードもあり、市内の子どもたちも数多く参加します。また「所沢まちづくりセンター」や「子育てオアシス“であい”」など、子育てを通じてつながれる交流の場もあり、安心して子育てができそうです。

駅周辺の利便性の高い生活環境と郊外の豊かな自然環境、地域とのつながりも享受できるのが所沢駅周辺エリアの魅力です。

社会福祉法人わか竹会

所在地:埼玉県所沢市元町6-13
電話番号:04-2940-8135
URL:http://wakatakekai.ed.jp/
※この情報は2020(令和2)年2月時点のものです。

自然を通して子どもたちの豊かな感性を育む/社会福祉法人わか竹会(埼玉県)
所在地:埼玉県所沢市元町6-13 
電話番号:04-2940-8135
連絡可能時間:10:00~16:00
定休日:土曜日、日曜日
http://wakatakekai.ed.jp/