自分らしく過ごし、ワクワクできる学びの機会が多い/名古屋市立東桜小学校(愛知県)
「Hisaya-odori Park(久屋大通公園)」や名古屋の繁華街、栄エリアに近い名古屋市の中心市街地がそばにありながら、ひとつ道を入れば歴史が根付く、落ち着いた雰囲気がある泉一丁目エリア。地域の方に見守られた安心感がある「名古屋市立東桜小学校」には、充実した施設やアクセスの良いまちなかの学校としての特徴が生かされた、子どもたちにとってワクワクするような学びの環境が整っている。今回は、地域の歴史や学びの環境について、校長 橋本新(はしもと しん)先生にお話を伺った。
創立150年、教育施設のルーツとなる歴史があるエリア
――東桜小学校の成り立ちを教えてください。
橋本校長 もともとは1872年(明治5年)に学制発布と同時に創立された学校で、「第三十義校」として開校しました。徐々にほかの地域の学校も集まることになるのですが、戦後、久屋大通の北にあった「久屋尋常小学校」と、「冨士中学校」の敷地にあった「高岳尋常小学校」が、この場所にあった「東新尋常小学校」と一緒になり、新しい学制のもと「東桜小学校」として発足されました。当時は「桜通」がこの辺りまでしかなく、東の突き当たりということで「東桜」の名前がついたとされています。
小学校の名前に「桜」がついているのに、当時は周囲に桜がなかったため、地域の方が学校の敷地に桜の木を植えたと聞いています。また、戦後すぐの国民体育大会でバドミントンの会場になったという記録も残っており、地域の方に親しまれながら学校が活用されてきた歴史があります。
――周辺地域は、さまざまな教育施設のルーツの場所ともなっているようですね。
橋本校長 過去に愛知県庁や名古屋市の庁舎がこの辺りにあり、その跡地に教育関係の施設が開設されました。例えば、「愛知教育大学」の前身になる師範学校もこの辺りにあったようです。いわば、名古屋市の文教のスタートの地とも言えるエリアと考えることができます。
合言葉は「東桜STEP」、「主体的に学ぶ姿」で自ら学ぶ力をつける
――現在のクラス編成について教えてください。
橋本校長 児童数350人で、2022(令和4)年度は通常学級が13クラス、特別支援学級が1クラスあります。本校の特徴として、言語障害と難聴の通級指導教室もあります。通級指導教室は早い時期に設置されており、言葉や聞こえ方に困っている児童が本校に通っています。
――目指す学校像について教えてください。
橋本校長 「いつもあいさつの響き合う、笑顔あふれる学校」、「一人一人の子どもの良さを見付け、伸ばせる学校」、「教職員、保護者、地域がともに協力し合い、教育の質を高めていく学校」を目指す学校像としています。子どもたちには「東桜STEP」を合言葉に、誰もが通いたくなる学校にしていこうね、と呼びかけています。Sは笑顔(Smile)、Tはありがとう(Thank you)、Eはごめんなさい(Excuse me)、Pはどうぞ・感謝の気持ち(Please)の意味です。2022(令和4)年度は1学期に挨拶を、2学期からは感謝の気持ちをもって活動していきましょうと話しています。
――目指す子ども像はいかがでしょうか。
橋本校長 「主体的に学ぶ姿」を目指しています。自ら学びを求める力をつけるために、「今日は何ができたのか」「分かったことはどんなことか」「次の時間にどんなことを活かしたいか、また、学びたいのか」といった授業の振り返りを行い、言葉にして記録することを全校で取り組んでいます。特に算数の授業には力を入れています。これにより、子どもたちが自ら「こんなことをしたい」という意欲につながる授業を行っています。
また、国の方針もありますが、高学年に教科担任制を導入しています。専門性をもった教師が授業をすることで、教育の質を高めると同時に、子どもたちには担任以外の先生とも関わる機会をもつことができます。
――全面芝生の運動場も特徴的ですね。
橋本校長 名古屋市唯一の全面芝生の運動場です。今から25年ほど前に芝生化されたと聞いています。都市部の緑地化の一貫としても気持ちの良い場所となっています。コロナ禍以前は裸足活動の日があり、子どもたちは元気に運動場で走り回っていました。
――名古屋市の施設を活用した中津川野外学習についても教えてください。
橋本校長 5年生は夏、岐阜県にある中津川野外学習センターへ行き、コロナ禍以前は2泊3日、現在は1泊2日で野外活動をおこなっています。飯ごう炊飯、アスレチック、キャンプファイヤー、ハイキング、雨が降ったら民芸作品づくりなどを行い、自然豊かな場所で仲間との助け合い、自主性を養っています。
企業、専門家、学生などさまざまな人と関わり合いながら学ぶ子どもたち
――企業とコラボレーションされた、カーボンニュートラル出張授業について教えてください。
橋本校長 2022(令和4)年度の名古屋市の初の試みとして、カーボンニュートラル出張授業を本校で行いました。トヨタ自動車、中部電力、レゴランド・ジャパンの合同企画で、水素エンジン車の仕組みやカーボンニュートラルの考え方などを学び、子どもたちはエネルギーを得るためのアイデアを提案し、そのアイデアをレゴブロックで表現するという内容の授業でした。笑う力でエネルギーを作るアイデアなど、子どもたちは自由な発想で授業に取り組んでいました。
――ほかにも特徴的な授業は行われているのでしょうか。
橋本校長 プロスポーツ選手や専門家によるキャリア教育の実施をしています。また、保健教育の一環として、近くにある「ナゴノ福祉歯科医療専門学校」の学生さんに来校いただき、歯磨き指導をしていただいています。
――泉一丁目周辺にはさまざまな文化施設がありますが、授業で活用されることもあるのでしょうか。
橋本校長 NHK名古屋放送が隣接されているため、NHKとコラボレーションするような授業もあります。また、課外授業で「愛知県美術館」、「名古屋市美術館」やプラネタリウムのある「名古屋市科学館」へ歩いて行くことができますし、愛知県や名古屋市の庁舎、市政資料館などの重要文化財のような歴史的な建造物にふれることもできます。子どもたちにとってワクワクするような、さまざまな出会いや学びができる環境が整っています。
人、風景、環境、心地良さを感じられる地域の魅力
――地域とのつながりについて教えてください。
橋本校長 平日の放課後の居場所づくりとして、地域の方によるトワイライトスクールの活動が行われています。トワイライトスクールの中で、フラダンスや手芸の講座などが行われており、敬老会や地域のイベント、「オアシス21」などでの発表も行っています。
また、子どもたちは交通安全や防犯、見守りなどのポスター展、書道展へ参加しています。地域の方は交通安全指導や下校時の見守りをしてくださったり、保護者は子ども会主催のラジオ体操に参加してくださったりして、地域の方がこの地に根ざし、子どもたちや小学校を大切にしてくださっていることを強く感じます。
――泉一丁目周辺の暮らし環境はいかがでしょうか。
橋本校長 「Hisaya-odori Park(久屋大通公園)」が整備されて緑豊かな芝生広場ができ、南を見ればテレビ塔があり、見上げればまちなかではあるけれども広い空が見えます。心ゆったりと過ごせる環境だと感じます。周辺には子どもたちが遊べる適度な広さの公園があり、先ほども申しました通り、文化施設、歴史的な施設もある、住むにも、子どもたちの学びの環境にも良いエリアではないでしょうか。
信じることで子どもの可能性を伸ばす
――最後に、校長先生自身が大切にしていることを教えてください。
橋本校長 職員に対しての信頼、子どもたちについても可能性を伸ばすという意味で「信じる」ことを大切にしています。日頃から子どもたちに対しては、自分を大切にして自分の可能性を感じられるような教育環境に整える必要があると考えており、そのベースになるのが、家庭、地域、子ども、職員に対する信頼ではないかと思っています。
名古屋市立東桜小学校
校長 橋本 新(はしもと しん)先生
所在地:愛知県名古屋市東区東桜1-13-1
電話番号:052-961-7877
URL:https://www.nagoya-c.ed.jp/school/higashisakura-e/
※この情報は2022(令和4)年10月時点のものです。
自分らしく過ごし、ワクワクできる学びの機会が多い/名古屋市立東桜小学校(愛知県)
所在地:愛知県名古屋市東区東桜1-13-1
電話番号:052-961-7877
https://www.nagoya-c.ed.jp/school/higash..