校長 阿部満佐子先生インタビュー

田んぼに囲まれた自然豊かな環境で、季節の移ろいとともに成長できる/平塚市立金田小学校(神奈川県)


緑豊かな田んぼに囲まれた神奈川県平塚市入野に建つ「平塚市立金田小学校」。 校舎からは阿夫利山や富士山を望むことができ、草の香りが混じった爽やかな風が教室を通り抜けていく。こんなに自然豊かな場所にある学校は、首都圏広しと言っても数少ないと思われます。 今回はそんな「平塚市立金田小学校」を訪ね、学校の特徴や地域との交流などについて校長の阿部満佐子先生にお話を伺いました。

「平塚市立金田小学校」
「平塚市立金田小学校」

――まずは、小学校の概要や歴史についてお聞かせください。

阿部先生:この学校は1877(明治10)年、蓮昭寺(れんしょうじ)というお寺の境内に開校しまして、当時は「寺田縄校」と呼ばれていたそうです。寺田縄という地名がもともとありましたので、そこの学校という意味ですね。昔は飯島、寺田縄、入野という3つの村があった地域でして、その3つの村でひとつの学校を作ったということです。

その後、町村の合併や学校の名称変更を幾度と経て、1898(昭和31)年に街が平塚市と合併し、「平塚市立金田小学校」という現在の名称になりました。学校の位置は近くに新幹線が通ることが決まった時に「騒音から子どもたちを守ろう」ということで、線路から少し離れたこの田んぼの真ん中の場所に移転してきました。

現在の児童数は471名で、支援級を含め19クラスとなっています。最近は少しずつ児童数も減ってきていましたが、今後、周辺に分譲地が増えると聞いており、子どもたちの数も増えていくのではと思っています。

阿部満佐子校長先生
阿部満佐子校長先生

――校歌や校章もかわいらしくて、ユニークなものですね。

阿部先生:この校歌は1910(昭和43)年から歌い継がれています。富士山や阿夫利の山々がきれいに見える風景やいちご栽培がさかんな土地なので「いちごの実は赤い」という歌詞が入っていたりと、街の風景や文化を描いた歌詞になっています。

校章は、ぱっと見た感じだと折り鶴のようにも見えますが、これは稲の葉っぱと穂がモチーフになっています。また、上の部分は金目川の桜と富士山をイメージしているそうです。もともとの形は大正時代に考えられたもので、80周年記念の時に手を加えて、現在の校章になったようです。とても愛らしい、素敵な校章ですよね。

校内から見える阿夫利山が歌われている
校内から見える阿夫利山が歌われている

稲穂がモチーフの愛らしい校章
稲穂がモチーフの愛らしい校章

――校舎の特徴を教えてください。

阿部先生: 校舎は南棟と北棟のふたつの建物に分かれていまして、その間に中庭があります。西側と東側それぞれ、各階に渡り廊下が通っていますので、どこからでも、どちらの校舎にも、行き来がしやすい校舎になっています。

北棟については普通教室が、南棟については特別教室や図書館などが主に配置されています。 南棟からは新幹線もよく見えますし、晴れた日には富士山も見えまして、特に渡り廊下から見る富士山は、とてもきれいですね。

学校校舎
学校校舎

富士山がきれいに見える風景
富士山がきれいに見える風景

校舎から見える新幹線
校舎から見える新幹線

――稲作がかなり本格的に行われているそうですね。

阿部先生:学校の周りに田んぼがありますので、そのひとつをお借りして稲作を行っています。5年生が主になりますが、田起こしから始まって、代掻きをして、田植えをして、稲刈り、脱穀まで、お米作りの全工程を体験しています。地域の農協の青壮年部の皆さんが非常に力を貸してくださっていて、本当に生きた体験をさせていただいていますね。

田んぼ以外にも、学校からすぐ道路を挟んだところに畑があるのでそちらでも栽培活動をしています。低学年はサツマイモに取り組むことが多いのですが、ほかの学年についても、敷地内の畑でミニトマトやナスを育てたり、4年生はへちまを育てたり、5年生から6年生にかけてはジャガイモの栽培もしています。

地域の皆さんと稲作に取り組む様子
地域の皆さんと稲作に取り組む様子

――田んぼで収穫したお米はどのようにしていますか?

阿部先生:コロナ禍の前は餅つきをやっていたのですが、今は難しい状況になってしまいました。一昨年度は、作ったお米をお世話になった方たちに届けに行き、地域との連携のひとつとして活用させていただきました。 まだ今後餅つきを再開できるかはわかりませんが、せっかく育てたお米ですから、安心できる形で味わうことができればと思っています。

学校の所有する畑
学校の所有する畑

――今年度から、ひとり1台のタブレット端末が使えるようになったそうですね。ICTの活用状況はいかがでしょうか?

阿部先生:現在は各教室に、ひとり1台分の端末が配置されています。まだまだ、本格的な活用はこれからという段階ですが、授業の中で積極的に活用していこうと活用方法を検討し始めているところです。

授業に限らず、今は体育館に一堂に会して行事をするということができないので、ICTを利用して、学年で撮ったものを一斉に教室で観て、6年生を送る会をしたりという活用はすでに行っています。各教室にも大きな液晶モニターが配置されています。

教室ごとに設置されている大型モニター
教室ごとに設置されている大型モニター

――今年度、学童(放課後児童クラブ)のための部屋が校舎内にできたそうですね。

阿部先生:今までは学校の外にあり、歩いて行かないといけなかったのですが、現在は校内にできたことで往復の安全面が担保できるので良かったと思います。児童の安心・安全に繋がることができたのかな、と思っています。

校舎内に設立された学童
校舎内に設立された学童

――地域との交流も大切にされているそうですが、どのような交流ががあるのでしょうか?

阿部先生:地域交流の一つとしては、PTAさんとの共催で「金田秋祭り」というものを毎年秋、土曜日の午後に開催しています。地域の方々がいろんな体験コーナーを作ってくださって、子どもたちは自分の希望のものに参加しながら、地域の方々と一緒に楽しんでいます。この時にはたくさんの中学生も来てくれて、中でも吹奏楽部の皆さんが体育館で演奏してくださることは、「本物」に触れることができるとってもいい機会になっています。

――秋祭りではどのような体験ができるのでしょうか?

阿部先生:点字体験ができたり、勾玉(まがたま)作り、キャンドル作り、石けん作り、スライム作りといった製作体験があったり、筝体験、サッカーや野球などのスポーツなど、本当にいろいろなものがあります。昨年はコロナの関係で開催できませんでしたが、また開催したいですね。

児童がまとめた「ウッドプロジェクト」
児童がまとめた「ウッドプロジェクト」

――秋祭り以外にはいかがでしょうか?

阿部先生:秋祭り以外では、中学校区で「地域教育力ネットワーク」という組織がありますので、そこの方たちが、いろいろな体験教室を提供してくださっています。先ほど稲作のお話をしましたけれども、その稲のわらを使って、お正月のお飾り作りをしました。また、地域の福祉村の方たちが中心になって、昔の遊びを教えに来てくださったりもしています。

また、この地域ではそれぞれの神社ごとに太鼓を持っていて、春祭りの時に、熊野神社という神社に3つの神社から集まって、競いあって叩くという文化があります。その時には子どもたちもそれぞれの神社の太鼓に参加して、一緒に演奏をしています。

――自然豊かな環境が子どもたちに良い影響を与えている印象はありますか?

阿部先生:もちろんです。やはり季節の移ろいを自然を通して感じることができるのは大きいと思っています。 農家の方たちが一生懸命に育てている様子を見ながら「あ、田植えが終わったんだな」とか、「今度はカエルが鳴き始めたな」といったことを身近に感じることができる環境は、子どもたちの情操にもすごく良いと思っています。

本校にはすごく素直で、素朴な子どもたちがいっぱいいるんですよ。それもやはりこの自然豊かな環境があってのものだと感じています。私達としても、その素直さや素朴さをそのまま伸ばしてあげたいと思っています。

自然豊かな周辺環境
自然豊かな周辺環境

――子どもたちと日々関わる中で、先生方が大切にしている思いは何でしょうか?

阿部先生:豊かな人間性の育成ということを大事しており、「明日も来たいな金田小」という言葉をみんなの合言葉に、児童みんながそう思えるような学校を作っていきたいという意識をもちながら教育活動を行っています。また、「学び合おう」「認め合おう」ということも大事にしていて、子ども同士の関わりの中で、互いに成長できるような環境にしたいと思っております。

「自分は大事に思われている」と思えるように、自己肯定感を育むことができるように、教職員全員で子どもたちを見ていくことで「明日も来たいな金田小」にもつながると思っています。また、学校という場は集団で過ごす場所ですので、学校だからこそ学べる「社会性」の部分が身につくようにと思っています。 

学校内図書館の様子
学校内図書館の様子

――最後に、金田地域の魅力を教えてください。

阿部先生:何と言っても、自然の豊かなところが一番の魅力ですね。金目川沿いではサギが川原に集まっている姿が見られますし、春には桜の木々も美しいです。また、先ほどは騒音の関係で学校が移動したというお話をしましたけれど、新幹線が見える学校ということも、ある意味魅力だと思っています。ドクターイエローが見えると、ちょっとワクワクしたり。そういう部分もまた魅力になっているのかなと思います。

――近隣のおすすめスポットを教えてください。

阿部先生:県立の「花菜(かな)ガーデン」が学校の近くにございまして、ここには豊かな原っぱがあって、四季折々の花が咲いていますので、とても素敵な場所ですね。本校でも、校外学習で毎年行かせていただいています。特に春と秋のバラのシーズンには、とても多くの方が来られている場所ですので、ぜひ訪れてみてください。

花菜ガーデン(神奈川県立花と緑のふれあいセンター)
花菜ガーデン(神奈川県立花と緑のふれあいセンター)

阿部満佐子校長先生
阿部満佐子校長先生

平塚市立金田小学校

平塚市立金田小学校 校長 阿部満佐子先生
所在地 :神奈川県平塚市入野514
電話番号:0463-58-1128
URL: http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/kyoiku/page-c_02135.html
※この情報は2021(令和3)年4月時点のものです。

田んぼに囲まれた自然豊かな環境で、季節の移ろいとともに成長できる/平塚市立金田小学校(神奈川県)
所在地:神奈川県平塚市入野514 
電話番号:0463-58-1128
http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/ky..