乳幼児から中高生まで、多目的に楽しく過ごせる“みんなのサードプレイス”/ 狛江市立「こまっこ児童館」(東京都)
小田急線「狛江」駅北口から徒歩約16分。狛江市和泉本町3丁目にある「こまっこ児童館」は、狛江市内で3館目に設置された児童館だ。乳幼児から中高生までさまざまな活動ができる同施設の、利用方法や設備、人気のイベント、周辺地域の魅力について、施設長の新井健太さんと主任の大橋らなさんに話をうかがった。
子どもたちの居場所として多彩な役割を担い、利用者に寄り添う児童館
――まずは、「こまっこ児童館」がどのような場所なのか、施設概要を教えてください。
新井さん:2019(平成31)年4月にオープンした児童館で、正式名称は「狛江市立北部児童館」ですが、狛江市の中学生が「こまっこ児童館」という親しみやすい愛称を付けてくれました。
もともと児童館には子どもたちに放課後の居場所を提供するという役割がありますが、最近の政策で小学生は放課後もそのまま学校内で過ごせる環境づくりが進んでいますので、中高生の居場所づくりにも力を入れながら、0歳~18歳までの子どもとその保護者を対象として乳幼児の子育て支援や、中高生の活動の場など、“サードプレイス”として幅広い過ごし方ができる機能を備えています。
比較的新しい児童館なので、設備も充実しています。乳幼児親子専用の部屋「ひろば」には授乳室やボールプールが用意されています。
――利用方法について教えていただけますか?
新井さん:初回利用の際には利用申請書の提出が必要ですが、一度登録していただけば、以降は受付の来館者名簿に記名するだけで利用できます。乳幼児親子さんは平日午前9時半から午後2時15分、土曜日は午前9時から12時まで利用ができます。
現在はコロナ禍のため、利用は来館から2時間までと制限し、乳幼児親子の利用は事前予約制にしています。ただし、利用者が定員より少なければ予約なしでも入っていただけますよ。
大橋さん:一般的な児童館では、何時から何時までの利用という予約の仕方が多いのですが、当館は日にちの予約だけで時間は自由です。小さな子どもの機嫌や体調はすぐに変わるので、予定通りにはいかないですよね。親御さんの負担を少しでも軽減するため、来られるタイミングで来ていただいています。小学生以上の子は先着順です。
――実際のご利用状況はいかがでしょうか。
大橋さん:小学生については、1年生と4・5・6年生の利用が多いです。2・3年生は習い事などが始める年齢ということもあってか比較的少ない傾向です。学童保育を利用していない子たちの多くが来館してくれています。ここなら大人の目がありますから、保護者の方々も安心できるようです。「こまっこクラフト」「アトリエこまっこ」などのイベントが行われる毎週水・土曜日は、どの学年の子たちも多く来ますよ。
新井さん:中高生は「防音室」を使うために来る子が多いですね。部活の吹奏楽の練習や、友だち同士でやっているバンドなどの練習をするために利用しているようです。他にも、ミニバスで有名な狛江市だけあって、バスケットボールをやりに来る子も多いです。あとは勉強しにくる子、週3日のペースで卓球をしに来る親子も何組かいらっしゃいます。
幅広い活動に対応できる充実した設備が魅力
――「こまっこ児童館」ならではの設備の特色を教えてください。
大橋さん:設備でいうと、入ってすぐの場所にある「図書室・フリースペース」が特徴でしょうか。ゴムチップが敷かれた中庭に隣接した開放的な空間で、1,000冊以上の本が並ぶ書棚があり、本を読んだり、貸し出し玩具で遊んだり、思い思いに過ごせます。「防音室」も人気です。ドラムセット、電子ピアノ、アンプ、マイクなど一通りの機材もそろっていますし、鏡張りになっていますのでダンスなどの練習にも使えます。
1階の「遊戯室」に設けられたボルダリングは、小学生を中心に人気があります。2階の「育成室」の隣にある中高生向けの小部屋「リソース室」も、集中して勉強したい子たちに重宝されています。またイベント時のみ開放している広々とした屋上も特徴的なスペースです。いまはコロナ禍で飲食を伴うイベントはできませんが、オープンした年にはみんなでおにぎりを食べたりしました。水道もあるので水遊びもできるんですよ。
大人も子ども楽しい交流でリフレッシュ、自宅ではできない遊びも実施
――乳幼児親子向けの事業について、主な取り組みを教えてください。
大橋さん:月に2回、「子育てクラブ」という活動を行っています。0~1歳児の「あぶあぶクラス」、1~2歳児の「よちよちクラス」、2~3歳児の「とことこクラス」と年齢別に分け、親子で体操や遊び歌などを楽しんでいます。保護者同士の交流を深める場にもなっています。いつ来ても飽きずに楽しんでいただけるよう、機械で大量のシャボン玉を出したり、寒天に食紅で色付けして感触を楽しんだり、遊びもいろいろ用意しています。
また、月に1度、親子で協力して工作を行う「チャレンジタイム」を設けています。例えば今月は、お子さんの手形を取って敬老の日に送るハガキ作りを行っています。受付の横にブースを設け、思い立ったらすぐできるようにしています。5日間ほど実施期間を設けているので、都合のつく日に気軽に挑戦していただけます。
保護者向けのイベント「すまいるサロン」「すまいるカフェ」も毎月行っています。保育士資格を持つ職員がお子さんの面倒をみている間に、大人同士の会話や没頭できるものづくりを楽しんでいただき、保護者の方にリフレッシュしていただくものです。作るのは、レジンを使ったおしゃれなネームプレートや、お子さんの足型を使ったアートなど、ご自宅でお子さんがいるときにはできないような、集中して取り組めるものを意識しています。短い時間でも子どもから少し離れて、心がときめくような時間を楽しんでいただきたいです。「子育てクラブ」も「すまいるサロン」も、すべて予約不要ですよ。イベントの詳細は児童館にお問合せください。
スポーツを中心にイベントが目白押し!学習をサポートする「楽しく教え隊」も活躍
――小学生以上の子どもに向けた事業について、特色のあるプログラムや、夏休みや冬休み期間のイベントがあれば教えてください。
新井さん:児童館としては子どもの体力作りも大事なテーマなので、基本的に毎日何かしらのスポーツを楽しめるようにスケジュールを組んでいます。週2回は小学生向けに「一輪車タイム」と「ボルダリングタイム」を設けています。
また、週に1回「JUMP-JAM(ジャンジャン)」という運動遊びプログラムを実施しています。これは「児童健全育成推進財団」とスポーツメーカーの「ナイキ」が開発したもので、運動が苦手な子でも遊びを通してスポーツに親しめるものなので、子どもたちはみんな大好きです。遊びの種類が50個くらいあって、毎回「今日のJUMP-JAMは何かな」と楽しみにしています。それぞれ基本のルールはありますが、「こういうルールを作ったら面白いんじゃないか」と意見を出し合う時間を設けて、子どもたち自身で遊びを自由に展開できるよう職員がサポートしています。
スポーツ以外では工作イベントを月4回設けていて、うち2回は工作を楽しむ「こまっこクラフト」、残りの2回は絵画などの創作活動「アトリエこまっこ」です。それとは別に、紙コップタワーなどゲーム性の高い「レクリエーション」を月に1度行っています。子どもたちは、どのイベントも大好きです。
新井さん:学習サポートも特色の一つだと思います。月・火・木曜日には、「楽しく教え隊」という地域ボランティアの方が来て、主に小学生に勉強を教えてくださるんです。ボランティアの多くは地域にお住まいのシニアの方ですが、普段から小学校での取り出し授業(学習ペースに課題がある子や外国籍の子など、個別の支援が必要な子たちへの個別指導のこと)を担当されているので、いまの小学校で行われている教え方で子どもたちに指導できるんです。勉強に気が向かない子に対しては一緒に遊ぶことでコミュニケーションを取り、そこから上手に勉強に誘導してくださって、とても心強いボランティアさんです。
子どもたちも、おじいさんやおばあさんが遊んでくれたり、話を聞いてくれたりする場所という認識なので、自分から部屋に入っていくんです。いつも宿題をやりたがらない子が机に向かっていたりして、驚かされます。15時半から17時過ぎまでいてくださるので、その間私たちは中庭や遊戯室で遊ぶ子どもたちの見守りに集中できますし、保護者の方とも自然なコミュニケーションを取ってくださいますし、ありがたい事ばかりです。
新井さん:さらに季節のイベントとして、「夏祭りウィーク」、「ハロウィンウィーク」、クリスマスと年末年始を合わせた「ハッピーホリデイウィーク」を設けています。これは乳幼児親子も含め利用者全員が楽しめます。参加予約や参加費用も不要です。
日々のイベントも予約不要で気軽に参加できる
――児童館を利用されている保護者のご感想はいかがでしょうか?
新井さん:光栄なことに、好意的な声を多くいただいています。時間予約ではないこと、どのイベントにも予約不要で参加できることは非常に喜ばれています。特に「子育てクラブ」のようなイベントは、一回参加するとその後も参加するのが暗黙の了解みたいな空気がありがちですが、当館では毎回完結する内容にしていて、その点も評価いただいています。あと、「スマイルサロン」や「チャレンジタイム」で作るアイテムがおしゃれでかわいいと評判が良く、SNSに写真を載せて紹介される方もいらっしゃるんですよ。
施設の環境が整っている点も、喜んでいただいています。施設自体がまだ新しいですし、開放的な空間で気持ちよく過ごしていただけているようです。「帰りたくない」と言って泣いている子を見かけると、小さな子にも楽しい場所だと思ってもらえていると実感でき、うれしいです。私も3人の子を持つ親なのですが、こんな児童館が家の近くにあったらいいのになぁと、利用者の方が羨ましいですね!(笑)
また、必要な場合は積極的に声掛けをし、逆に干渉されたくなさそうな方にはあえて声掛けを控えるなど、職員全員が利用者をよく観察して対応しているのですが、その塩梅もちょうど良く感じていただけているようです。
生活しやすく、身近な自然も魅力の狛江市和泉本町
――最後に、この地域の魅力をお聞かせください。
新井さん:まずは生活しやすい点ですね。ここ和泉本町は、駅も郵便局も近いし、薬局もあるし、スーパーもあるし、駅前には家電店もあるし、ここだけで大抵のことが完結できます。そして、豊かな自然が身近にあります。近くには野川が流れていますし、ちょっと行けば多摩川もあります。子どもにとって自然遊びは非常に大切なので、親子で気軽に出かけられる距離にそういう環境があるのは子育て環境としても良いと思います。
あと、幹線道路で大抵の場所にアクセスできるのも特徴です。外灯の少ない暗く細い道を通らずに移動できるのは安心ですよね。
大橋さん:街並みなど景色がいいからか、狛江はドラマ撮影によく使われています。最近はカフェなどおしゃれなお店もたくさんできていて街の魅力もアップしていますよ!
狛江市立こまっこ児童館
施設長 新井 健太さん
主任 大橋 らなさん
所在地:東京都狛江市和泉本町3-31-19
電話番号:03-3480-5701
開館時間:9:00~19:00 ※18:00~19:00の小学生の利用は保護者の方同伴時のみ可能
休館日:日曜日、祝日、年末年始
URL:https://komakkojidoukan.jimdofree.com/
※この情報は2022(令和4)年9月時点のものです。
乳幼児から中高生まで、多目的に楽しく過ごせる“みんなのサードプレイス”/ 狛江市立「こまっこ児童館」(東京都)
所在地:東京都狛江市和泉本町3-31-19
電話番号:03-3480-5701
開館時間:9:00~19:00 ※18:00~19:00の小学生の利用は保護者の方同伴時のみ可能
休館日:日曜日、祝日、年末年始
https://komakkojidoukan.jimdofree.com/