Torinosu(トリノス)

「東京大学」の前を南北に走る通称「本郷通り」沿い、「文京学院大学」の向かい側にある「Torinosu」は、「鳥の巣のように、人々がほっと帰ってくるような場所にしたい」という思いが込められた、フレンドリーな雰囲気のイタリアン・バルです。

Torinosu(トリノス)

店主である一ノ瀬雄太郎氏は、スラリとした雰囲気の若手シェフ。イケメンでありつつも少しワイルドな雰囲気を漂わせています。会話の節々でおどけてみせるユーモアたっぷりな人柄は、当店を行きつけにしている人を虜にしているのかもしれません。

一ノ瀬氏は東京都板橋区で生まれ、千葉県で育ちました。2013(平成25)年にこの店を持つまで、東大前エリアの存在は知らなかったと言います。そんな一ノ瀬氏が、なぜこの地を選んだのでしょうか。
「予算内で借りられる物件を求めて、あらゆるエリアを検討していました。すると東大前に予算内で借りられるうえ、希望にあった今の店舗に出会うことができたんです。」
およそ4年が経った今、「ここに店を開いて本当に良かった。」と話す一ノ瀬氏。

木材を基調とした外観

その理由は「客層の良さ」。一ノ瀬氏がそれまで腕を磨いてきた店は、都心の繁華街が多く、当然、酒が入れば多少のいざこざもあるような店でした。
「この店のお客さんは本当に良い人ばかり。いざこざなど全然起きないですし、週に何度も来てくれる常連さんも多いです。こういうお客様がいるから、『美味しい料理を提供したい』と思えるのだと思います。」と、一ノ瀬氏からはお客さんに対する感謝の言葉だけが漏れていきます。

統一された店内

聞けば一ノ瀬氏がもともと目指していたのは、美味しい野菜と一緒に、お酒を飲んでもらうイタリアンバル。夜に仕事終わりの女性が一人でも立ち寄れるようなお店にしたいと考えていたそうです。ところが蓋を開けてみると、訪れるのは近隣に住むオジサマ達が過半数。その他は、教育関係者の方々など、想像していた層とは異なっていました。少し理想とは違う結果に一ノ瀬氏は「それでもいいんです。地域の方に愛される店でいられれば」と微笑みます。

「トリノス」のメニューは、昼と夜で全く異なります。昼は3種類のセットメニューのみで、限定10食の「プレートランチ」のほか、「生パスタランチ」や「野菜焼きカレー」が揃い、価格は1,000円から1,200円とリーズナブル。

プレートランチ

特にユニークなメニューはご飯で、オリジナルの「古代米の野菜炊き込みご飯」を炊き、定食とカレーに使用しています。野菜のほのかな甘味が絶品で、いつまでも食べていたい気持ちになってしまうご飯です。また、野菜に力を入れているとあって、サラダの野菜も、その上にかけられる手作りシーザードレッシングも美味。思いのほか繊細な味わいの品々で、少し驚かされてしまいます。特に女性や年配の方に人気というのも納得です。

イベリコブタのベジョータのグリル

野菜を中心とした、創作イタリアン

一方、ディナータイムはメニューががらりと変わり、野菜を中心とした創作料理を、アラカルトでオーダーするスタイルになります。複数で来店される方々はシェアをして楽しむそうですが、予算を伝えればコース仕立ての料理や、パーティーメニューにも対応してくれます。

もちろん、ディナータイムに子連れで来ても問題はありません。むしろ安心・安全・無添加の食材から手作りで作っているので、子どもたちにこそ相応しいのかもしれません。常連さんの中には、毎日の保育園帰りに、ここでパスタを食べてから家に帰るという方もいるほど主婦層の味方でもあるのです。

店内を彩るランプ

ディナーの中でも、一番の人気メニューは「本日の蒸し野菜」という、季節ごとの野菜を“蒸しただけ”のメニュー。塩、柚子胡椒、香味醤油をお好みで付けて食べるスタイルです。ほかにも「本日の野菜ロースト」「フルーツトマトのカプレーゼ」「無農薬リーフサラダ」など、わりとシンプルな仕立ての野菜料理が名を連ねています。

本日の野菜のロースト

そもそも、「トリノス」が野菜を主役に据えたのは、ある「出会い」がきっかけだったと言います。店を始める前に、長野県千曲市姨捨(おばすて)の棚田の保存活動に誘われ、興味本位で参加したという一ノ瀬氏。そこで出会った仲間が、いま、主に野菜を仕入れている農家さんだと言います。

つながりのある農家さんから仕入れる新鮮な野菜

仕入先の農家さんも紹介

棚田仲間の玉ねぎ農家の方からは、なかなか市場に出回らない「甘70」という、糖度が高い玉ねぎを送ってもらい、これが店の“看板野菜”となっています。そのほかにも、千曲市産のさまざまな野菜を送ってもらったり、親戚のいる青森や、各地の「道の駅」などからも季節の野菜を直送してもらい、それを店のメニューにしているそうです。調理は極力シンプルに、味付けはできるだけ薄味で仕上げています。「もともと美味しい野菜だからこそ、最小限の加工で食べるのが一番美味しい。」というのが、一ノ瀬氏のポリシーなのです。

白のシャルドネ

常連客お好みのお酒が並ぶ

これに合わせるお酒は、ワインが一番のお薦め。赤白ともに揃えているが、野菜メニューには「白のシャルドネがお薦め」だそうです。もちろんビールや焼酎なども置いていますが、「お酒はお客さんが揃えていくもの」と、それほど多くの銘柄は置いていません。但し「希望があれば何でも置きます」ということで、常連客のお好みの酒が、徐々に増えていっているそうです。また、スタッフの一人がシェリー酒を扱える資格を持っているそうで、「ベネンシア」と呼ばれる長い酌を使ってシェリーをサーブしてくれます。これも珍しい光景かもしれません。

元々は「野菜とお酒を楽しむ、大人のためのワインバル」としてスタートした「トリノス」。住民の色に染まりながら、今ではすっかり街の方々を虜にしてしまいました。この店が地域の人々に愛されているのは、一ノ瀬氏が何も知らず、気負わずに、この地に根を下ろし、変化を厭わなかったからでしょう。

大切な部分は守りつつも、そうでない部分は流され、染められ、変えられてきました。だからこそ、この店はこの地の一部になれたのです。「これからも常連さんを大切に、地域に愛される店であり続けたい」と話す一ノ瀬シェフ。彼の想いは、きっと現実のものになることでしょう。

Torinosu(トリノス)
所在地:東京都文京区向丘2-8-6 ヴェルデュール本郷壱番館1F
電話番号:03-3830-0326
営業時間:11:30~14:00LO、18:00~23:00(22:00LO)※土曜日のみ21:00フードLO
定休日:日曜日、祝日

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