ハイレベルな学校と緑豊かな環境に恵まれた 文教エリアの小学校の取り組み/目黒区立駒場小学校 校長 福留潮先生
目黒区立駒場小学校
校長 福留潮先生
ハイレベルな学校と緑豊かな環境に恵まれた
文教エリアの小学校の取り組み
京王井の頭線の「駒場東大前」駅周辺は都内でも有数の文教地区で、「東京大学駒場キャンパス」や「筑波大学付属駒場中学高等学校」などの日本屈指の学校が軒を連ねるエリアである。閑静な住宅街が広がり、駒場公園や駒場野公園など自然環境にも恵まれているこの街は、ファミリーからシニア世代まで幅広い層から支持されるエリアでもある。今回は駒場エリアにある小学校、「目黒区立駒場小学校」校長の福留先生にお話しを伺った。
「駒場小学校」の概要や教育目標を教えてください。
本校は1934(昭和9)年に開校し、今年で79年目を迎えます。「東京大学駒場キャンパス」や「筑波大学付属駒場中高等学校」、「日本工業大学駒場高等学校」、「駒場東邦中高等学校」、「都立駒場高校」、「都立国際高等学校」、など多くの学校と隣接し、それらの学校との交流も盛んです。
現在各学年2クラスずつで全12クラス、全校児童384名です。目黒区では隣接の小学校であれば希望を出せば越境ができるのですが、本校はスペースの関係上学区以外の児童は受け入れができないのが現状です。 教育目標は、「健康でゆたかな子ども」「よく考えて実行する子ども」「すすんで学習する子ども」で、人間性豊かで自ら学び考えることのできる児童を育成することを目標にしています。
午前5時間制の導入の経緯などについてお聞かせください。
子どもたちは午前中の方が元気で授業に集中できること、一つの教科に長い時間を費やすよりも違う教科をリズムよく学習した方が集中力が継続すること、そして何より教師が子どもたちと触れ合う時間を確保するために、午前5時間制を導入しました。午前の授業を1コマ40分に設定して午前中に5時間学習し、午後の授業は従来通り45分授業にしています。
「授業時間が短くなる=学習時間が短縮になる」という印象があるかもしれませんが、週30時間の授業時間を確保しトータルの学習時間は他の学校とも同じです。 教師は、内容の見直しなど大変だったと思います。また新しく本校に転任になった教師には、研修などをして指導もしています。
この制度にしたことで明らかによくなったポイントは2点あります。一つは、昼帯学習タイム(駒場ベーシックタイム)の時間を捻出できるようになり、学習効果が目に見えて表れたこと。もう一つは教師が、その時間で子どもと触れ合ったり、進度が遅い子どものフォローにあたれるようになったことです。当初想像していた以上の効果があり、非常に満足しています。
前掲の昼帯学習タイム(駒場ベーシックタイム)とはどんな時間なのですか?
これは週4日、20分の昼学習タイムを取り、漢字・音読・読解・視写・計算練習などの基本的な学習をし、毎日少しずつ取り組むことで基礎基本の定着を図るというものです。国語教育は全ての教科の根幹にあたるという考えから、国語に力を入れています。教材は全て「駒場小学校」の教師の手づくり。得意な子も不得意な子も同じく楽しんでできるよう工夫されている、スモールステップ式の教材です。私から見ても、とてもよくできている教材だと思います。
実はこの学習教材をもとに目黒区の教育委員会が教材を作成し、目黒区の小学校全校で使用されるようになりました。本校の教師にとっても、保護者・児童たちにとっても、とても嬉しく光栄な出来事です。
「気仙沼市立大島小学校」と交流されていると伺いました。
「大島小学校」は、大島という島内にあるたった一つの小学校で、全校児童が60名くらいの学校です。震災の時に本校の子どもたちが「何かできることはないか」と、文具を集めて送ったことがきっかけになり、その後も募金をしたりと地道に交流を続けていました。
アメリカ軍の被災地支援活動のひとつ「トモダチ作戦」の一環で、「大島小学校」の子どもたちに訪れたい場所を聞いた時、「駒場小学校」の名前を挙げてくださったんです。そして「大島小学校」の子どもたちが本校に来校し、晴れて本校の子どもたちと会うことができました。その時、大島小の踊りを校庭で披露してくださり、全員で記念写真を撮ったのが良い記念になっています。
その後、「駒場小学校」の5年生とその保護者が「大島小学校」を自費で訪れましたが、今年度からは目黒区の教育委員会が行う、自然宿泊体験教室の一環として全5年生が「大島小学校」を訪れています。
近隣の「東京大学」や「筑波大学付属駒場中学高等学校」の学生との交流もあると聞きました。
夏休みの間、筑駒(「筑波大学付属駒場中学高等学校」の略称)の中学生が本校を訪れ、科学や実験の授業をしてくれます。4年生以上から希望者を募るのですが、毎回満員になるほどの盛況ぶりです。このほか、東大の学生さん、「日本工業大学付属駒場高等学校」の先生方などもサマースクールの講師をしてくださっています。 また「東京大学」等の学生さんが、本校の放課後遊びの「ランドセル広場」に来て下さり、体を使って子どもと一緒に遊んでくれています。
兄弟が少なくなっている昨今、年上のお兄さん・お姉さんと交わり遊ぶことは、とても貴重な体験で子どもたちは実に楽しそうに過ごしています。このように近隣の学校の学生さんたちが本校に関わってくれていることは嬉しいですし、子どもたちにも良い影響を与えてくださっています。
東大のグラウンドを利用したペースランニングというイベントもあるそうですね。
隣にある東大の400メートルトラックのあるグラウンドをお借りして、低学年は2周800メートル、高学年は4周1600メートルと、各学年の子どもたちの体力・能力に合った距離を走るイベントを毎年開催しています。このペースランニングとは、「順位ではなく、自分のペースで自分に克つために走る」という思いから生まれた名前。前年の自分の記録と比較し、自分がどれだけ成長したか、どれだけ頑張れたかをきちんと確認する機会にもなっています。
保護者の方々が非常に学校の活動に協力的だということですが。
はい。放課後の子どもの居場所「駒ちゃん広場」は、PTAを中心に運営されている活動です。将棋の教室や、ジャグリング、おもしろ理科教室、花育などの内容の企画はもちろん、各教室の申し込み受付から講師の手配、当日の見守りなど、全て保護者の方々で手分けして行ってくださっています。そのアイデアのユニークさ、講師の先生方を見つけてきてくださる人脈の広さ、そして献身的な運営姿勢には非常に感銘を受けています。
熱心な保護者の方の協力のもと、放課後にもこのような多岐にわたる活動ができ、「駒場小学校」の子どもたちは本当に幸せだと思います。
「駒場小学校」に通うお子さんたちは、どんな子どもたちが多いのですか?
教育熱心で、学校にも協力的な保護者に育てられていますから、非常に素直で真っ直ぐな子どもたちが多いんです。そして文武両道といいますか、都会の学校ではありながら運動会などの行事では全力を出して燃える、そして勉強も頑張る、メリハリのある子どもたちです。実は体力的にも全国平均を上回る成績で、体を動かして遊ぶ放課後遊びなども良い影響があるのだと思います。
そんな子どもたちを教育するうえで、心がけていらっしゃることは何ですか?
実力があり伸びしろもたっぷりある子どもたちですから、縛り付けてその伸びる力を奪ったらいけない、いかに伸び伸びと学習させてあげるかということに心を砕いています。自由闊達・文武両道、ハイレベルな教育をしたいと進学先である「目黒区立第一中学校 」とともに常に考えています。
目黒区駒場エリアの子育て環境としての魅力を教えてください。
この辺りは、「東京大学」や「筑波大学」の農学部の前身にあたる旧制の教育機関「駒場農学校」の敷地だったこともあり、非常に恵まれた自然環境が残されています。駒場野公園、ケルネル田圃、駒場公園などが点在し、野鳥の姿を見ることも多い自然を感じられる環境です。また「東京大学」をはじめとした優秀な学校が揃い、そういった諸先輩方の姿を日々目にすることで良い影響もあるのではないかと思います。
今回、話を聞いた人
目黒区立駒場小学校
校長 福留潮先生
住所:東京都目黒区駒場3-11-13
電話番号:03-3467-4461
URL:http://www.meguro.ed.jp/mekmabeh/
※記事内容は2013(平成25)年12月時点の情報です。
ハイレベルな学校と緑豊かな環境に恵まれた 文教エリアの小学校の取り組み/目黒区立駒場小学校 校長 福留潮先生
所在地:東京都目黒区駒場3-11-13
電話番号:03-3467-4461
http://www.meguro.ed.jp/mekmabeh/