9年間の一貫教育で 子どもの可能性を広げる、 練馬区の新たな取り組み/練馬区立小中一貫教育校 大泉桜学園 校長 木下川 肇先生

練馬区立小中一貫教育校 大泉桜学園
校長 木下川 肇先生

大泉桜学園インタビュー
大泉桜学園インタビュー

9年間の一貫教育で
子どもの可能性を広げる、
練馬区の新たな取り組み

 

 

 

大泉学園は当初学園都市として開発が進められたという、閑静な住宅が並ぶ人気の高い街。区画整理がなされた整然とした街並みには、街路樹や緑が多く、落ち着いた雰囲気が漂う。駅前には商店街があり、駅から続く「大泉学園通り」にもスーパーマーケットや小売店、レストランなどが立ち並び、日々の生活を支えてくれる。「大泉学園」駅から「池袋」駅までは西武池袋線で13分、西武線は東京メトロ副都心線にも直通運転しており、都心部へのアクセスにも便利だ。そんな大泉学園に新しく生まれた小中一貫教育校・大泉桜学園の校長・木下川 肇先生にお話を伺った。

「大泉桜学園」の概要について教えてください。

大泉桜学園インタビュー
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本校は練馬区が初めて取り組んだ小中一貫教育の第1校目として2011(平成23)年4月1日に開校しました。この大泉学園という環境が新たな教育的取り組みにふさわしい場所として選ばれ、本校が誕生しました。現在、全校児童生徒668名、全20クラス。中学生を7~9年生とし、1年生から9年生まで皆一緒にここで学んでいます。小学校と中学校を1つの学校にしたことで、プールも体育館も校庭も2倍の広さを確保しており、子どもたちに負担をかけることなく授業を進めることができます。

御校設立の経緯についてお聞かせください。

大泉桜学園インタビュー
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練馬区教育委員会が学校教育の活性化をめざし、新しい教育のパイロット校として立ち上げたのがこの大泉桜学園です。初めての試みだったこともあり、設立する場所は非常に慎重に行われました。

ここ大泉学園という街は、もともと学園都市の都市計画によって生まれ、教育熱心な方々が多い場所でもあります。学校への協力体制、新しい試みに対する柔軟な対応など、様々な面でこれ以上ないという良い条件が揃っていたのが大泉学園でした。

大泉桜学園インタビュー
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小学校と中学校が隣り合っており、敷地の広さも申し分ないということで、この場所に練馬区初の小中一貫校が生まれました。

教育方針と特徴ある取り組みについて教えてください。

大泉桜学園インタビュー
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全9学年を3期に分け、それぞれの心理的・身体的特徴に応じた学びを進めていきます。まず1~4年生までを第Ⅰ期とし基礎基本を徹底して学び、第Ⅱ期の5~7年生までで論理的・抽象的な思考へ移行しながら意欲的な学びへつなげ、8~9年生の第Ⅲ期では応用的かつ主体的な学びを習得します。これにより中1ギャップなどの問題が軽減され、9年間連続させることができます。

 

また通常、児童会活動や小学校のリーダーは6年生がなるのですが、本校では期別の活動を充実させ、Ⅰ期のリーダーを4年生にしました。そうすると6年生リーダーが当たり前だった頃は見られなかった子どもたちの成長が感じられます。なお、教育課程は学習指導要領に準拠していますので、教科書を使用し、基礎的・基本的な学習の充実を図っています。

部活動も5年生から参加できるのですね?

大泉桜学園インタビュー
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通常は中学に入ると始まる子どもによる自主的な活動の「生徒会活動」の開始時期を本校では5年生からとしたことから、同じ子どもの自主活動である部活動も5年生から参加できるようにしました。実際は小学校の時期には習い事をしている児童が多いので、5年生で部活に参加しているのは約45%、7年生になると約85%です。

小中一貫校のメリットはどんな部分でしょうか?

大泉桜学園インタビュー
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まず子ども同士の異年齢交流の幅が広がり、上の子が下の子を見るという文化が定着していますので、学校全体が仲が良く、子どもたちの気持ちも非常に落ち着いているということが挙げられます。

年度スタート時に5~7年生が校庭で飯盒炊爨をしたり、ランチルームで異学年がふれあい給食をしたり、とにかく交流の機会を多く設けています。

大泉桜学園インタビュー
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そして教師が1~9年生まで連続して見守ることができるので、9年間の見通しを持った教育を実践し、子どもの成長が明確になり、可能性を広げてあげられること。例えば小学校低学年の時期を見てくれていた先生がずっと学校にいる訳ですから、一人の子どもを多くの先生方が見守っていることになります。このように人間関係が構築しやすく、安心して通学できる環境が整っており、反抗期や難しい時期にも、その年齢や個性に合わせた指導ができると自負しております。

大泉桜の里でのコメ作りについて教えてください。

これは開校以来行っている本校の「命の教育」の一環で、日本人が古来から命をつないできた米づくりを体験することで、作物を育てることの難しさ・命の大切さを学ぶものです。

校庭の一部に田んぼ(大泉桜の里)をつくり、埼玉県川島町から農業指導員の方をお呼びして、田おこし・代掻き・田植え・雑草取り・水抜き・収穫までの一連の工程を、指導員の方に丁寧に教えていただきながら、子どもたちが体験していきます。

大泉桜学園インタビュー
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学校内にある田んぼ(大泉桜の里)で育てているので、日常的なお世話を通して作物を慈しむ心を養い、米づくりの苦労や収穫の喜びを体感します。 多い年ですと12kgほどの米が収穫できます。それを脱穀・籾すり・精米して「美味しいお米の炊き方」を習い、指導員の方々を招待して「おにぎりパーティ」も開催します。この取り組みは、4年生までに学んできた植物栽培体験の集大成であり、9年生の技術・家庭における「生物育成」の基礎となる学習です。

「命の教育」はこの米づくりから綿々と続くものなのですね?

大泉桜学園インタビュー
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自分のことを知り、日本のことを学んで見つめ直すことで「自分の命」「人の命」を大切にすることを学ぶ。これが大泉桜学園の命の教育です。5年生で稲作(食育)を体験し、一番身近な食材を育てることで命を考え、5~7年では防災訓練でリーダーを務めて、命を守る方法を学びます。6年生では墨絵や茶道などの室町体験を通じて、心に潤いを持ち自分の成長を感じてもらいます。この室町体験の講師も地元の方々にお願いしています。 そして7~8年生では自己表現の活動として「民舞」「和太鼓」を体験し、体を動かしながら自分と他者の関係を構築していきます。

大泉桜学園インタビュー
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最終学年である9年生の修学旅行では京都に赴き、これまで勉強してきた日本の伝統文化に直接触れる機会を持ちます。1年生からの素地があるからこそ、本物に触れた時の感動もひとしおです。このように長い時間をかけて準備ができるのは、小中一貫の利点であると考えます。

地域との関わり、連携が密だとお聞きしました。

大泉桜学園校長先生 スペシャルインタビュー
大泉桜学園校長先生 スペシャルインタビュー

はい。学校開校以来、地域の方々の「桜学園の子どもたちを盛り上げよう」「活躍の場を提供しよう」というお気持ちが、実際に子どもたちの成長へとつながっています。

例えば、ジャパン・アニメーション発祥の地である大泉学園ではアニメまつりが大々的に開かれていますが、その前夜祭に吹奏楽部の子どもたちが出演しています。そのほか、老人ホームなどでの演奏会は年10回を越え、そのほとんどが地域の方々の尽力で実現している演奏会です。

大泉桜学園インタビュー
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また地域防災訓練では、5~7年生の子どもたちが飯盒炊爨の経験を生かして校庭で炊き出しを行い、災害時に素早く働けるようにシュミレーションをします。東日本大震災の時もそうでしたが、災害時に本当に地域の役に立つのは地元の中学生。そんな彼らを育て、活躍してもらおうという意見を町会長さんたちから挙げていただき、彼らが中心になった防災訓練も実現します。

 

積極的に子どもたちと関わろう・育てようとしてくださる地域の姿勢は、本当に有難く感じますし、そのような地域のお子さんたちをお預かりしているんだと、身が引き締まる思いがします。

この大泉学園エリアの魅力を教えてください。

大泉桜学園インタビュー
大泉桜学園インタビュー

ここは学園都市として開発された場所柄、教育活動に熱心な方々が多いのが特徴です。その子どもに向けて下さる視線の温かさ、「地域をより良くしよう」という意識の高さ、そして新しい取り組みにも柔軟に対応してくださるフレキシブルさが大きな魅力だと思います。 練馬区は子どものいるファミリー世代にも行政のサポートが手厚く、子育てしやすい環境が整っています。住宅街が多く静かで、少し歩くと畑も広がっている。のんびりとした雰囲気が生活しやすい街ですね。

 

今回、話を伺った人

練馬区立小中一貫教育校 大泉桜学園

校長 木下川 肇先生

所在地:東京都練馬区大泉学園町9-2-1
電話番号:03-3924-1126
http://www.sakuragakuen.nerima-tky.ed.jp/

※記事内容は2014(平成26)年1月時点の情報です。

9年間の一貫教育で 子どもの可能性を広げる、 練馬区の新たな取り組み/練馬区立小中一貫教育校 大泉桜学園 校長 木下川 肇先生
所在地:東京都練馬区大泉学園町9-2-1 
電話番号:03-3924-1126
http://www.sakuragakuen.nerima-tky.ed.jp..