「神戸鹿の子幼稚園」宮城和子園長、宮城豊副園長インタビュー

健全で健やかな育児が実現する絶好の環境/神戸鹿の子幼稚園 宮城和子園長・宮城豊副園長


近年、ニュータウン開発が進んでいる神戸市北区。神戸市の面積の44%を占める広大な土地は六甲山系の北西に位置する山林・農村地区となる。ベッドタウンとして注目を集め人口増加が目覚ましい地域だが、広大な自然に囲まれた環境を活かしたバランスの良い都市整備は近隣地域のなかでも抜群と言える。そんな恵まれた環境を活かして、教育・保育を行っている「神戸鹿の子幼稚園」。子どもたちの元気な笑顔が街のアクセントのようにも思える、そんな子どもたちが集う当園の宮城和子園長と、宮城豊副園長にお話を伺った。

元気に遊ぶ子どもたち
元気に遊ぶ子どもたち

――園の沿革について教えてください。

宮城和子園長:本園は尼崎市にあり、今年で創立65年を迎えるのですが、神戸鹿の子幼稚園は神戸市からの要請を受けて1991(平成3)年に開園、今年で27年になります。今年、幼保連携型の認定子ども園になりました。現在の園児数は296名。3歳児が3クラス、4歳児が4クラス、5歳児が4クラスで0歳から2歳児が19名です。0歳から2歳の受け入れは今年からということもあり、まだ園児数は少ないですが、これから少しずつ増えていくのではないかと感じています。

――園内での1日の流れを教えてください。

宮城和子園長:登園は歩いてくる子どもたちは8時半から9時くらいまで、バス通園は8時半から9時半くらいまでの間にバスのコース別で到着します。全員が揃うのが9時40分くらいですが、全員が集まるまでは園内で自由遊びをしています。10時からは設定保育の活動が入ります。朝の会をして歌を歌ったり、今の時期(4月)ではこいのぼり製作をしています。お昼になると給食が出ますが、今年完成した新しい南館の2階が給食室となっていて、給食は自園調理を行なっています。昼食後は絵本を読んだり、外遊びをした後、帰る準備をします。

また、幼稚園の施設で専門の図書室を持っているのは珍しいのですが、本園には3,000冊の絵本がある図書室があり、絵本の貸し出しや、「お話の時間」として読み聞かせ、お話の先生として専任の先生がストーリーテリングを行ったりしています。

 

情緒豊かに、健全に。将来の綺羅星を育てる

園庭の遊具と後ろは新設した南館
園庭の遊具と後ろは新設した南館

――ストーリーテリングとはどのようなものか教えていただけませんか。

宮城和子園長:本園の特徴として取り上げている事のひとつなのですが、読み聞かせとは違い、図書館の部屋のなかで照明を落とし、ろうそくの灯をともして夢や希望を与えるお話を聞かせるのです。素話と言ったりもしますが、絵本の読み聞かせだと絵を見ますが、このストーリーテリングは何も見ないで、お話だけに意識を集中させます。そうすると、お話を聞いている子どもたちは、自分の頭の中でお話の情景を思い浮かべるので、より、お話のなかに入り込みやすくなります。子どもの幼児期には言葉や情操の発達の重要な時期なので、非常に良いとされています。

――クラブ活動や二科展などの独自の取り組みを行っておられるようですが、お話を伺えますか。

宮城和子園長:年長組の子どもたちがクラスを離れて自分の希望するクラブに参加して、ほかのクラスの友だちと一緒にクラブ活動を行っています。週に1回の時間割で1年間クラブ活動の時間を割り当てています。クラブの種類は「音楽クラブ」「体育クラブ」「飼育栽培クラブ」「絵画制作クラブ」の4つです。音楽クラブは洋楽器からラテン楽器、和太鼓までたくさんの楽器を体験でき、マーチングなども行なっています。体育クラブでは組体操、跳び箱、ボールを使った遊びなどを中心にのびのびと体を動かしています。
飼育栽培クラブでは草花の栽培や小動物の飼育を行います。鈴虫も飼っているのですが、農園ではナスやキュウリを育てていますので、それが鈴虫のエサにもなるという自然のサイクルを体験できます。また、自園の田んぼで米作りを行い、田植え、稲刈り、脱穀など自分たちで作ったお米を食べるまでを体験しています。絵画制作クラブは絵を描いたり手作りおもちゃを作っています。3学期に行うクラブ参観では子どもたちが作った衣裳、品物などを使って「お店屋さんごっこ」を行っています。
また絵画の活動にも力を入れ、年中・年長組の園児が「こども二科展」へ応募し、入選もしています。「こども二科展」でこれまで多くの表彰を受けていますが、当園では専門の講師の指導ではなく、担任の指導のみで成果を出しています。

広々としたホール
広々としたホール

――そういった活動の成果とかメリットについて感じておられることはありますか。

宮城和子園長:この時期の子どもというのは、いろんな可能性を秘めていますので、運動面であったり、情操面であったり、できるだけいろんなことに触れ、刺激を与えてあげることが、その後の成長にとても役立つと考えています。

 

自然のなかで育む豊かな心

農園を通して自然に触れることができる
農園を通して自然に触れることができる

――農園など豊かな自然環境を大事にされている理由はなんですか?

宮城和子園長:当園の理事長は90歳を超えているのですが、自身がトンボを追いかけたり、魚釣りをしたり、木になる実を食べたりと自然のなかでのびのびとした子ども時代を過ごして、そこからいろんなことを学んだという経験から、現代の子どもであってもできるだけ、自然と共生して学ぶということを大切にしたいと考えています。自然と共生して自らも成長するということは、いつの時代であっても有効なことだと、創立から65年の運営をしてきたなかで最も大切なことだと考えています。またこの鹿の子台という場所が今でもそれが可能な環境であることが、とても幸いなことだということです。

――年間の行事はどんなものがありますか?

宮城和子園長:6月には「父の日参観」があります。父の日参観という名前がついていますが、どなたが参加していただいてもいい行事で、年少組は紙飛行機を作って飛ばしたり、保護者の方と一緒に体操などをして親子で遊び、年中組は動くおもちゃを手作りします。年長組では竹馬を作って、竹馬に乗る練習もします。10月には隣の小学校の運動場を借りて運動会を行っています。11月には作品展を行なっていて、絵などの作品と、保護者の方にペットボトルやダンボールなどいろんな廃品を持ち寄っていただいて、それらを使ってクラスごとに作品を作って展示します。保護者の方にも協力していただいて焼きそばやカレーなどの模擬店の出店もしています。毎月、さまざまな行事やたくさんの活動を通じて、子どもたちがたくましく、感性豊かに成長していく姿を見守っています。

――下の子どもも通わせたいという親御さんも多いということですが、何が神戸鹿の子幼稚園の魅力になっていると感じておられますか?

宮城和子園長:バランスがとれているということでしょうか。豊かな情操と可能性を持った人間に育つよう、子どもの時には子どもらしくのびのびと育てるという方針に理解を示していただいているのではないかと思います。

東正門側、緑豊かな外観
東正門側、緑豊かな外観

 

学ぶこと・教えること。未来のこと

優しい笑顔で子どもたちを見守るお地蔵様(※当園は無宗教)
優しい笑顔で子どもたちを見守るお地蔵様(※当園は無宗教)

――今後、予定されている取り組みや行事などはありますか?

宮城豊副園長:国際交流の一環で、アイセック(AIESEC)を通じてメキシコの20代の学生さんが2ヵ月間、当園に来て交流を行うことが決まっています。学校などで国際交流というテーマになれば、とかく英語教育とか手段のみで語られてしまうところがあるのですが、例え同じ言葉が喋れなくとも、肌感覚のコミニュケーションを行えば、異文化に対する興味や関心が生まれ、もっと知りたいという意欲が湧くのではないかと思っています。幼児期からそういう体験があれば、異文化に対するアレルギーみたいなものはなくなり、より広い目で物事を見ることができる、そういう体験をさせてあげたいというのが、この取り組みの着眼点です。

外で元気に遊ぶ子どもたちが印象的だった
外で元気に遊ぶ子どもたちが印象的だった

――具体的にはどんなことを行うのでしょうか?

宮城豊副園長:初めての取り組みになるので、未知数な部分はあるのですが、メキシコの幼稚園の写真などを持ち寄っていただいて、日本の幼稚園との比較、文化の違いなどを発表してもらいながら交流を行っていくことになると思います。また、メキシコの学生さんが、いろいろと日本のことについて質問をされると思います。ですが、日本人である我々が答えられないことも、たくさん出てくると思います。そうなった時に「日本ってなんだろう?日本人って何だろう?」と自分の国の文化や自分たちのことに目を向けることになります。子どもたちだけでなく我々職員含め、そういった今までにない体験ができるのではないかと考えています。

――地域の魅力について教えていただけないですか。

宮城和子園長:やはりこの鹿の子台や周辺地域は自然の環境に恵まれていることですね。よく園児とお散歩しますが、園の隣には甲子園球場のグラウンドの1.5倍の広さの「千代が谷公園」など公園もたくさんあります。開発が進んでいるとはいえ、緑は十分に残されていて街路樹も大きく綺麗です。ショッピングにはイオンモールもすぐ近くにあって生活するのに不自由はないと思います。子育てするのにはこれだけの良い環境はないと私は思っています。いつも卒園の時にお話させてもらうのですが、この鹿の子台の地名の由来なんですが、ケガをした鹿の子どもが小川に沸いた温泉で傷を癒やしたという逸話からついたそうです。

「千代が谷公園」
「千代が谷公園」

認定こども園 神戸鹿の子幼稚園

宮城和子園長
所在地:兵庫県神戸市北区鹿の子台北町6-34-2
電話番号:078-951-9901
URL:http://kobe-kanoko.net/
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。

健全で健やかな育児が実現する絶好の環境/神戸鹿の子幼稚園 宮城和子園長・宮城豊副園長
所在地:兵庫県神戸市北区鹿の子台北町6-34-2 
電話番号:078-951-9901
保育時間:9:00~14:00(午前保育日は11:30まで)
預かり保育:7:00~8:30、保育終了後~19:00 ※予約制で休園日の預かり保育もあり
http://kobe-kanoko.net/