女将 樫原貴子さんインタビュー

料理に感動のおもてなしを。老舗割烹が守る伝統とチャレンジとは/三太郎


仙台市中心部に位置する立町は、東北最大の繁華街である一番町に隣接するエリア。歴史は深く、かつては割烹が多く点在していた仙台を代表する和食の街。「割烹 天ぷら 三太郎」は地元の長い歴史とともに愛されてきた老舗で、地域からの信頼も厚い。今回は、女将の樫原貴子さんに「三太郎」の歴史と現在、仙台の魅力についてお話を伺った。

先代から約半世紀に渡り地域に愛される老舗割烹

――歴史ある佇まいが素敵なお店ですね。

樫原さん:「割烹 天ぷら 三太郎」は、1974(昭和49)年に開業した日本料理店です。お店の歴史は古く、料理人だった叔父が赤提灯のお店を開店。その後お座敷割烹へと時代に合わせながら形を変え、現在の店の姿になったと聞いています。店名の由来は諸説ありますが、先代の女将が好きだった阿部次郎の書籍「三太郎の日記」から名付けたそうです。先代の女将は母で、私で二代目。創業時から家族経営の店になります。

「割烹 天ぷら 三太郎」
「割烹 天ぷら 三太郎」

立町には割烹料理屋が点在していており、10年ほど前までは、夕方になると芸者さんが街を歩く姿も見られた、日本文化が根付いた街。「三太郎」は珍しい一軒家の割烹でして、1階はテーブル席とカウンター席、2階は完全個室のお座敷がある広い造りです。揚げたての天ぷらをお召し上がりいただけるカウンター席も好評いただいています。天ぷらだけではなく、季節の懐石料理や一品料理、しゃぶしゃぶやすき焼き、ふぐ料理、鴨料理等もご用意いたしております。

カウンター席では揚げたての天ぷらをいただける
カウンター席では揚げたての天ぷらをいただける

旬の食材を使った日本料理を伝統の味で

――おすすめのメニューを教えてください!

樫原さん:「天ぷらのコース」は、その時の旬の食材を楽しむことができる当店自慢のものです。海老の天ぷらは九州産の巻きエビを使用しています。生簀から出した新鮮なものを職人が揚げた、海老の甘さを感じる絶品の一品です。野菜は宮城県産のものを可能な限り使用しています。旬の食材がたっぷりと入った、「しゃぶしゃぶやすき焼き」も年間を通して人気です。オススメは季節限定(10月〜4月)の下関のとらふぐ。特に唐揚げは当店の人気メニューで、とらふぐを楽しみに毎週お越しになるお客様もいらっしゃる程です。ふぐの唐揚げは小ぶりなのが一般的ですが、当店ではアラの部分まで衣をつけたボリューム感のある一品となっています。「こんなに美味しい唐揚げは食べたことがない!」とビックリされる方も多いですね。

九州産の巻きエビを使用した「海老の天ぷら」
九州産の巻きエビを使用した「海老の天ぷら」

食後のお茶と和菓子がセットになったカジュアル懐石のコースもおすすめです。当店で食事の後、併設する「茶房三」に移り、お茶と和菓子も同時に楽しめる人気のメニューです。夏限定で始めたコースでしたが、大変好評につき、引き続きお楽しみいただけるようになりました。

野菜は可能な限り宮城県産のものを使用
野菜は可能な限り宮城県産のものを使用

普段使いからビジネスまで、幅広い利用が可能

――お店を経営するにあたって大切にしていることはありますか。

樫原さん:ご家族・ご友人とのお食事からビジネスや接待の場までしっかりと対応できるよう、地元の方に愛されるお店でありたいと考えています。結納や結婚記念日、ご家族の喜寿、お祝い事等、特別な日に当店を選んでいただく事も多く、スタッフ一同が常に緊張感を持ちつつ、お客様に感動していただける接客を心掛けています。

カウンター席は少人数やご夫婦での利用が多い
カウンター席は少人数やご夫婦での利用が多い

1階カウンター席は2、3名での少人数での利用やご夫婦での利用が多いです。また、貸切で会社関係の歓送迎会等に使用されることもあります。テーブル席は地元の方が普段使いで利用するシーンも多く、暖簾がある半個室もありますので、小規模の接待やお祝いの席でのご利用もできます。2階の完全個室のお座敷は、広くプライベートな空間になっていますので、結納や顔合わせ、会社の特別な接待での利用が殆どです。旅館のような佇まいなので、小さなお子様からは「ここ泊まれるの?」と聞かれる事もありますね(笑)。

カウンター席
カウンター席

より気軽に、よりカジュアルに日本茶を楽しんで欲しい

――敷地内に併設されている「茶房三」についてお聞かせください。

樫原さん:日本茶を通して世界とつながり、日本茶の発展に貢献するブランド「茶方會(さぼえ)」に加盟したことをきっかけに、2019(平成31)年1月にオープンしました。「茶房三」は、時代に合わせた日本茶の楽しみ方を提案する店で、「三太郎」に併設しています。

「茶房三」
「茶房三」

日本茶を提供する店ですが、カウンターを採用することでよりカジュアルに楽しむことができることも特徴です。日本茶をはじめ、茶房でしか召し上がれないお昼のメニューや、お好きなお茶と木箱の中からお好きな和菓子を選んでいただくセットも人気です。20代、30代の比較的若い層や女性同士のお客様にも好評です。茶房への来店がきっかけで「三太郎」を訪れるお客様も多いですね。夜になるとバーとしての利用も可能ですので、一人でふらっと飲みに来る方も多くいらっしゃいます。

カジュアルに日本茶を楽しむことができる店内
カジュアルに日本茶を楽しむことができる店内

店の伝統を守りつつ、時代に合った新メニューも積極的に考案

――今後どのようなお店でありたいとお考えですか?

樫原さん:私が子どもの頃の立町は、夕方になると各料理店の灯りがつき、お出汁の良い香りと琴の音色が聞こえる…、どこか懐かしい日本の街並みがありました。時代の流れとともに割烹の店舗数は減少し、お座敷がある一軒家の料理店は希少な存在になりました。当店は創業当時から幅広い層のお客様に来店いただいておりまして、中には30年来のお客様もいらっしゃいます。

先代の伝統と味を守りながら、次の時代へと「三太郎」の良さを伝えていく
先代の伝統と味を守りながら、次の時代へと「三太郎」の良さを伝えていく

先代から受け継いだ伝統と味をしっかりと守りつつ、時代に合った新しいメニューも考案するよう心がけています。特別感や安心感のあるお食事を提供して、より多くの方に「三太郎」の良さをお伝えできたらと思います。

杜の都仙台の中心地は住環境も抜群!

――仙台の街や青葉区の魅力を教えてください。

女将の樫原貴子さん
女将の樫原貴子さん

樫原さん:仙台は「定禅寺通り」、「青葉通り」や「勾当台公園」、「西公園」など緑に囲まれた環境が魅力です。道路の幅が広く、空が大きく見えるのも仙台の良いところですね。春は山菜、夏はホヤや牡蠣など…、1年中美味しいものが食べられる点も仙台の特徴ではないでしょうか。立町エリアは近年、若い方が次々とおしゃれなショップをオープンしていて、賑わいも新たになりました。当店近くの「Origami Sendai」は、作家さんがデザインしたおしゃれな食器や雑貨が販売されていて、店内にはカフェスペースもありお気に入りのお店です。

女将の樫原貴子さん
女将の樫原貴子さん

割烹 天ぷら 三太郎

女将 樫原貴子さん
所在地:宮城県仙台市青葉区立町1-20
電話番号:022-224-1671
URL:https://santarou.gorp.jp/
※この情報は2019(令和元)年9月時点のものです。

料理に感動のおもてなしを。老舗割烹が守る伝統とチャレンジとは/三太郎
所在地:宮城県仙台市青葉区立町1−20 
電話番号:022-224-1671
営業時間:11:30~14:00(L.O.13:30、天ぷらコースは13:00)、17:00~22:00(L.O.21:10)
定休日:月曜日、日曜不定休(第2または第3日曜日)
http://santarou.jp/
https://santarou.gorp.jp/