みんなが「いきいき」過ごせる保育園/株式会社チャイルドハート 代表取締役 木田聖子さん
21の保育園を運営するチャイルドハート。「先生たちがいきいき」と働く環境づくりに力をこめ、園児やお母さん方にも「いきいき」としてもらう、幸福追求を掲げている。子どもたちにとってのファーストティーチャーということを心がけて、少人数制を採用し、園児たちとのコミュニケーションを大切にしながら運営に当たっている。2000(平成12)年に法人化した第1号園である舞子校で、同社社長の木田聖子氏にお話を伺った。
関わる人みんなハッピーに、舞子から歩み始めた活動
――「チャイルドハート」保育園のコンセプトを教えてください。
“関わるすべての人たちがみんなハッピー”になることを目標として掲げています。名刺にも書いている「PursuIT of happiness」、幸福の追求という意味ですが、子どもたちもハッピー、お母さんたちもハッピー、先生たちもハッピー、それが何より一番なんです。先生たちが笑顔で働いていることが、子どもたちへの一番の愛情ですし、お母さんたちにも愛情をかけることができます、それが会社の方針になっています。私自身も保育の現場で働いていましたが、保育現場というのは離職率がとても高いんですね。仕事もすごくハードで、人間関係など子ども子ども以外のところで悩むことも多い。だからこそ、精神的にゆったり、いきいきと働ける環境がとても大切です。自分に余裕があれば相手に愛情をかけることができますしね。
――働く保育士たちの「働きやすさ」を重視されているのですね。
そうですね。先生方にアンケートをとっているんですが、現在、先生は104名、うち2人が育休なので102名が対象になります。その中の、「日々いきいきと生きがいを持って仕事ができていますか?」の設問では、「はい」が81%、「まあまあ」が17%、「いいえ」が2%という回答でした。これでも一般的には高い満足度だと思いますが、「まあまあ」と「いいえ」の人を「はい」にすることが今後の目標です。ここがうちの保育で一番大切なところですし、いきいきと働くことが子どもたちへの愛情につながると思いますので。
不慮の事故を防ぎたい――ITを駆使した安全管理
――園内にカメラを設置されていますが、その経緯を教えてください。
チャイルドハートを開園した2000(平成12)年頃に他の保育園でのことですが、虐待であったり、一つのベッドに寝かしているときに寝返りをうって子どもが亡くなってしまったりという問題がありました。「見えない」ことによる気のゆるみが事故につながっていたのですよね。そこでチャイルドハートではそうした問題を「見える化」で解決したいと思いました。当時はカメラを探すことがとても大変で、専用のものが少なく、値段もすごく高かった。でも、「見える化」はとても大切なことですし、なんとしても果たしたかったんです。
――カメラを設置していることについて、お母さん方からの評判はいかがですか。
保育環境が見られるので安心できる、という声をいただいています。おじいちゃんやおばあちゃんが見ていることもありますし、お母さんも最初に預けるときはやはり心配ですので、様子が見られて安心できるようです。ウェブサイトで見られるようになっていますが、毎月変わるパスワードで安全管理も徹底しています。
――他にITを活用した取り組みはありますか。
昨年まで加古川の保育園ではICタグを子どもにつけていました。始めた当時は、子どもの連れ去り事件が起きていた頃で、何か対策ができないかと思って取り組みました。今は神戸市との取り組みを考えています。じつは、保育園で最も事故が起きやすいのは寝ているときなんです。「乳幼児突然死症候群」という事故や窒息ではなく眠っている間に突然死亡してしまう病気があって、それをなんとか防ぐための取り組みです。今でも先生たちは5分に1回呼吸をチェックしているのですが、それでも起きる可能性のある病気という点がとても怖いのです。そのため、センサーで子どもの呼吸を感知して、映像で確認できるような仕組みを2年くらいかけて開発しているところですね。
地域で見守る園児たちの成長、ファーストティーチャーとしての責任
――地域との関わりについて教えてください。
日々のことでいえば公園に行けば必ずゴミを拾って帰ってくることもそうですし、地域の行事にも参加したり、保育園はどうしても屋内なので、外に出ていくことを大切にしています。三宮の保育園では、「生田神社」の節分の豆まきに呼んでいただいて、舞台に上がらせていただきます。それに三宮センター街で子どものファッションショーをしたり(笑)、制服を着て歩くだけなんですけど、すごく可愛いですよ。舞子では、ハロウィンのときに子どもたちが当園のある「ティオ舞子」の館内を回ります。先にお店の方たちにお菓子を預けておいて、子どもたちがみんなに挨拶をしてお菓子をもらいにいくイベントです。
――保育園を運営する中での苦労や大切にしていることはありますか。
子どもの命を守っている、という意識は常にもつようにしています。なにか問題が発生したら、PDCAサイクルを回していって再発防止に努めていますね、お母さんは子どもが怪我なく、笑顔でお迎えに来たいと思っていますから。また、舞子は定員15名定員、他の園も少人数なので、子どもが何かを言ったときに、ちゃんと一人ひとりに応じることができるようにしています。私たちはファーストティーチャーですから、この時期に受け止めてあげることがとても大切なんです。
初めての「お母さん」、子育ては一緒に行う
――子どもたちやお母さん方の人柄はいかがでしょうか。
子どもたちは落ち着いていますね。0歳から4歳まで同じ空間で一緒に遊んでいます。小学校に入ると学年ごとに分かれてしまいますから、兄弟みたいに一緒にいられる環境でいろいろなことを学んでほしいですね。お母さん方もみんなフレンドリーで、保護者の方と一緒に子育てさせていただいているという実感をもっています。
――お母さん方からは悩み事の相談なども受けられますか。
そうですね、特に一人目の子どもをもつお母さんは、「お母さんは子育てできるもの」とみんな思っています。でもそんなことはないんです、お母さんも初めてのお母さんですからね。働いているお母さんはまだいいのですが、家にいる方ですと孤立してしまうこともあります。うちの保育士にも育休の者がおりますが、「早く働きに出たい」「保育園と自分の子どもでは違う」と言うんですね。保育のプロでもそうなんですから、一般のお母さんはもっと子育てが大変だと思います。ですから、そうした相談も私たちがしっかりと対応しています。
際限のない保育、ステップアップはこれからも続く
――これからの抱負を聞かせてください。
社員の「いきいき」と働く気持ちを高めていきたいですし、お母さんにも同じように「いきいき」と育児に取り組んでいただきたいと考えています。保育には際限がないので、つねにステップアップしていかなければなりません。保育の質と幸福の追求、それはずっと続きます。収益を追求するなら多くの園を作ればいいこと、でもそうではありません。追求するものを間違えない、そこは揺るぎませんね。
――舞子周辺の魅力を教えてもらえますか。
ここはとにかく最高の場所だと思っています。カーテンを開くと、海がキラキラしていて「明石海峡大橋」も目の前、舞子公園の緑もありますし、こんなロケーションは日本一良い保育園だと思います。夕日も本当にきれいで、子どもたちもみんな窓越しにへばりついて見ています(笑)。それに人がとても温かくて、地域に必要なのは住みやすさや人間関係だったりするのだなと実感します。電車に乗ればすぐに三宮や大阪の街に行くこともできますから、本当に便利な街だと思いますね。
株式会社チャイルドハート
代表取締役 木田 聖子さん
神戸市西区今寺3-22
TEL:078-783-2800
http://www.child-heart.com/
※この情報は2016(平成28)年2月時点のものです。
みんなが「いきいき」過ごせる保育園/株式会社チャイルドハート 代表取締役 木田聖子さん
所在地:兵庫県神戸市西区今寺3-22
電話番号:078-783-2800
http://www.child-heart.com/