校長 河合成始先生インタビュー

地域の特徴を生かした教育で、主体的に活躍できる力を育む/豊橋市立豊城中学校(愛知県)


愛知県豊橋市の「豊橋」駅から車でおおよそ10分。『豊橋市立豊城中学校』は隣に「豊橋公園」や「豊橋市役所庁舎」を臨む、市中心部の自然と文化が息づく場所にある。今回はそんな同校の特色や教育活動、地域の魅力などについて校長の河合成始先生に伺いました。

河合成始校長先生
河合成始校長先生

創立70余年の豊かな自然が囲う都心部の伝統校

――『豊橋市立豊城中学校』の沿革と概要を教えてください。

河合校長:本校の開校は、昭和22年(1947年)です。開校当時は『豊橋市立中部第2中学校』という校名でしたが、翌年に現校名に変更されました。2年前には創立70周年を迎えています。校内には各所に多数のモニュメントが置かれ、歴史や伝統を感じることができます。周辺環境も特徴の一つで、校舎南側は「豊橋市役所」、東側は「吉田城址」と「豊橋公園」に隣接しています。北側には豊川も流れており、とても自然豊かな環境です。また、豊橋市の中心部にあるので、都会的な街並みも感じられます。1学年3クラス編成で、現在は312名が在籍しています(2019年10月1日現在)。

生徒作の「豊橋張子」
生徒作の「豊橋張子」

地域独自の“生きた”教材を活用し、地域と歩みながら取り組む教育活動

――学校の特色や教育活動について教えてください。

河合校長:独自の取り組みとして平成29年度に『プロジェクト継(KEI)』をスタートしています。これは郷土学習の一環で、校区にある伝統文化に生徒たちが関わり、未来へつなげていこうという活動です。1年生は「チーム文楽」とし、人形浄瑠璃(豊橋市無形指定文化財)を中心に、豊城地区の伝統芸能を学びます。2年生は「チーム鬼」とし、紙垂(しで)作りやたんきり飴の袋詰め作業などを行い、毎年2月に行われる「豊橋鬼祭」に関わります。3年生は「チーム祇園」とし、1、2年生にもボランティア活動の有志をつのって「豊橋祇園祭」に携わり、来場者にゴミ袋やリーフレット、うちわなどを配布し、運営のお手伝いをします。こうして3年間を通じて、生徒たちは地域の主な伝統文化に触れていきます。

プロジェクト継/「チーム祇園」の取り組み
プロジェクト継/「チーム祇園」の取り組み

――『豊城祭』について教えてください。

河合校長:5月開催の「体育の部」と9月開催の「文化の部」をまとめて『豊城祭』と名付けています。たとえば「体育の部」では、各学年がクラスごとにつながって団を結成。1~3年生が一緒になって応援したり、綱引きで対抗したりします。
「文化の部」では、さまざまな学習発表や作品発表のほか、体験学習として地域の方々を講師に迎えて多彩な講座を開催する「地域文化に親しむ会」なども行われます。

プロジェクト継/「チーム鬼」の取り組み
プロジェクト継/「チーム鬼」の取り組み

――そのほか、特徴的な活動があれば教えてください。

河合校長:毎年12月に本校体育館で『豊城朝市』が行われます。一品寄付即売会、いわゆるバザーですね。それを保護者と一緒に運営します。たとえば採れたての野菜を寄付してくださる家庭があれば取りに出向いたり、値付けをしたり、販売を手伝ったりと、まさに小さな社会を体験します。それを保護者や地域の方と一緒に行うので、とても貴重な機会だと考えています。「地域の中にある学校」として独自の“生きた”教材を活用し、地域の方々の力をお借りしながら一緒に子どもたちを育てていくという視点で取り組んでいます。

地域貢献としてエコキャップ回収活動にも取り組む
地域貢献としてエコキャップ回収活動にも取り組む

主体性を高めながら最適解を見つける力を育む

――今後力を入れて取り組んでいきたい教育活動について教えてください。

河合校長:自分で物事を考えて判断・決定し、実践する力を育てていきたいと考えています。その手始めとして、毎週木曜日の帰りの会の前に「BBT(バルーントークタイム)」という時間を設けています。毎回テーマを設定し、それに対してみんなで議論をする時間ですね。自分の意見を述べるだけでなく、人の意見を聴くことで考えを修正したり、深めたりすることもできます。まだ手探り状態の部分もありますが、少しずつ手応えも感じています。それが授業にもつながっていくことを狙っています。
これから子どもたちは、答えのない時代を生きていくことになります。だからこそ、場面ごとに最も適した解答をその都度見つけていける力が必要になると感じています。

各階にある多目的スペース
各階にある多目的スペース

――最後に、豊橋という街の魅力を教えてください。

河合校長:豊橋市は、まざまな文化や多様な価値観を持つ人たちが共生する街だと思います。教育の施策でもグローバル教育や外国人との共生にも力を入れて取り組んでいます。本校にも2名の外国籍生徒がいますが、学校にいながら多様な文化に自然に触れられる機会があります。また、市内の全小中学校がユネスコスクールに加盟しているのも特徴の一つです。
生活面については、豊橋駅は新幹線が通るので交通面でも便利ですし、近くには豊かな自然もあります。都会過ぎず、田舎すぎず、まさに“ちょうど良さ”がある街ではないでしょうか。また、なによりも地域の人たちが温かく、子どもたちを一緒に見守ってくださるのでその部分もこの街の素敵なところだと思っています。

運動場
運動場

まとめ

いかがでしたでしょうか。愛知県豊橋市にある、豊橋という地域の特徴を色濃く継ぎ、街の催しやイベントにも積極的に関わる教育姿勢を取る、『豊橋市立豊城中学校』のインタビュー記事でした。生徒たちの主体性を育む教育方針は、これからの日本や国際社会では必須かもしれません。豊橋エリアは、東三河地方における経済・交通の中心でもありますので、これから、豊橋市への転居や移住をお考えの方の参考になれば幸いです。

 

河合成始校長先生
河合成始校長先生

豊橋市立豊城中学校

校長 河合成始先生
所在地 :愛知県豊橋市今橋町2-1
電話番号:0532-54-1275
URL:http://www.toyohashi-c.ed.jp/houjou-j/
※この情報は2019(令和元)年10月時点のものです。

地域の特徴を生かした教育で、主体的に活躍できる力を育む/豊橋市立豊城中学校(愛知県)
所在地:愛知県豊橋市今橋町2-1 
電話番号:0532-54-1275
http://www.toyohashi-c.ed.jp/houjou-j/