社会で活躍できる力をバランス良く育み、地域に愛される/帝塚山学園(奈良県)
卒業生約11万人、在校生約6千人、教職員約800人を誇る『学校法人帝塚山学園』は、幼稚園から大学・大学院までの学校を運営する奈良市学園南にある総合学園です。現在、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学(心理学部、現代生活学部、教育学部)を擁する奈良・学園前キャンパスと大学(文学部、経済経営学部、法学部)を擁する奈良・東生駒キャンパスの2つのキャンパスがあり、合計27万㎡ほどの広大な校地を有しています。今回、近鉄「学園前」駅に直結する奈良・学園前キャンパスに伺い、学園長である冨岡將人さんに『学校法人帝塚山学園』の今についてお話をお聞きしました。
総合学園『帝塚山学園』となるまで
ーまずは『帝塚山学園』の沿革を教えてください
冨岡さん:1941(昭和16)年、当時は「生駒郡伏見村」と呼んでいたこの地に、「旧制中学校」として開学したのが始まりです。当時の入学生はわずか171人だったと聞いています。その後の学制改革により、1947(昭和22)年に男女共学の新制中学校となり、翌年に高等学校を開学しました。1952(昭和27)年には、小学校と幼稚園とを同時に開学。その後、経済成長期を迎え、女子の高等教育への期待が高まり、それに応えるべく、創立20周年にあたる1961(昭和36)年に短期大学、そして、1964(昭和39)年に東生駒の地に大学を開学しました。まさにこの時、総合学園としての体制が整ったわけです。2006(平成18)年には、幼児教育のニーズに応えるため、2歳児教育をスタート。そして、短期大学の改組や大学の学部の改編を経て今に至り、2021(令和3)年には創立80周年を迎えます。
社会と将来を見据えた特徴
ー『帝塚山学園』の特徴を教えてください。
冨岡さん:やはり最大の特徴は、2歳児から大学院生まで、発達段階に即した教育を展開している総合学園であるということです。「社会に有為な人材を育成する」という建学の精神を今でも一貫して持ち続け、教育において『子供や若い人達は学園の宝』として、人間性を養う、よい人間をつくる、よい人柄をつくる、よい品性を培うという4つの根本理念を標榜しています。それが「帝塚山教育」です。幅広い年齢と交流できる総合学園ならではの強みを生かし、学園内での校種間連携を図っています。
ー現在進められている「第4次中期計画」について教えてください。
冨岡さん:2016(平成28)年度に策定した「第4次中期計画」では、帝塚山学園のあるべき姿として「帝塚山教育を通じて変化する時代に選ばれ続ける総合学園を目指す」ことを目標に、それを実現するために「教育内容の質の向上」「組織力の強化」「財政基盤の強化」という3つの柱を示し、学園創立80周年となる2021(令和3)年度を最終年次として取り組んでいます。昨今、少子化により、就学適齢人口が減少していますが、この計画を推進することによって、変化する時代に選ばれ続ける総合学園になれると思っています。
ー各学校園の特徴を教えてください。
冨岡さん:幼稚園では、自立心を育て、体を鍛え、社会性を養う根っこを育てる教育を行っています。英語、体操、礼法といった必修授業のほかに、バレエ、合奏、体育、茶道、サイエンス&クラフトから自由に選択できるチャレンジプログラムがあります。さらに、早期教育として、2歳児教育も行っています。小学校では、「考える子どもを育てる」、「心を磨き共感力を高める」、「本物にふれ可能性を広げる」という3つの柱を掲げ、根っこを鍛える教育を展開しています。小学校においては、創立当初より英語・国際理解教育に力を入れてきました。国内のリゾート施設に世界中から講師を集め、実践的な英語力を教える「国内留学プログラム」や、海外の小学校との交流など、英語を深く学ぶ環境も整っています。またコンピュータ技術を習得できるICT教育にも力を入れています。
冨岡さん:中学校高等学校では、授業は男女別のクラスで、課外活動や全校行事などは合同で行う「男女併学」制度を採用し、一人ひとりの目標をコース制でサポートしています。2019(令和元)年度の進学実績としては、約200名の学生が国公立大学へ進学しています。前職にいた時は、中学、高校は特に進学校で「勉学に励む学校」というイメージを強く持っていましたが、実際は文武両道であることがわかりました。さらに、感性を刺激する文化的な学びや視野を広げる体験学習にも力を入れているのには驚かされました。体育祭や文化祭にも力を入れていて、生徒たちが積極的に取り組む姿が見られます。
大学では、「実学の帝塚山大学」をスローガンに、社会の即戦力となるスキルを磨ける教育を展開し、全体の就職内定率は98.1%(2020年5月1日現在)、教育学部こども教育学科(前:現代生活学部こども学科)においては、学科開設以来100%の就職・進学を達成しています。また、学園の各学校の卒業後の進学先として、内部進学推薦制度があり、一貫教育としての連携を図っています。
地域交流も活発
ー地域と連携されていることがあれば教えてください。
冨岡さん:私は、前職の教育委員会にいた時、それも文部科学省から通達がある前から「開かれた学校づくり」を展開すべきと考えておりました。やはり地域に愛されてこその学校だと。そこでこの帝塚山学園に来た2年目の2015(平成27)年に、その一環として「学園前アートフェスタ」を学園南地区自治連合会の皆さんとスタートさせました。地域の魅力を見つめ直し、積極的に世代交流を行うことで街を育てる街育の推進を目的にしたイベントで、地域の至る所に現代アートを展示する周遊型の地域ぐるみのプロジェクトです。約7日間の開催で約1万人を超える来場者があります。
また、地域との交流という点では、帝塚山大学に「子育て支援センター」があり、地域に開かれた施設として、保護者や子どもたちの交流のお手伝いや子育て講座や親子のふれあい遊び、子育てに関する相談活動などの子育て支援プログラムを企画、実施しています。その他にも、大学内には心理相談施設「こころのケアセンター」があり、心の健康に関する相談を受けることができます。「こころのケアセンター」は年間1,500人を超える方々にご利用いただいています。
ー子どもたちにとって、将来、社会で活躍できるためにはどのような力を育てる必要があると思われますか?
冨岡さん:ずば抜けた知力を身につけるという偏った考えではなく、知力、体力、忍耐力の3つをバランス良く兼ね備えた子どもが社会で活躍できるのだと思います。私は以前からずっとそう考えており、自分の子どもに対しても常に「公明正大でいなさい」と説いてきました。その信念は今も変わりません。そういった意味でも当学園はバランスよく育つ環境が整っている学校だと思います。
ー最後に学園前エリアの魅力について教えてください。
冨岡さん:学園前はいわるゆる都市計画法に基づく文教地区ではないのですが、私はあえて「文化の香る街」と呼んでいます。帝塚山学園の周辺には日本、中国、韓国の美術品を所蔵する「大和文華館」や日本近代美術作品を公開する「中野美術館」、上村松園・松篁・淳之三代にわたる日本画を展示する「松伯美術館」といった質の高い美術館が点在しており、その周りは閑静な住宅街を成しているからです。さらに大阪の都心部にも近く、利便性が優れており、まさに住むのには非常に良い環境だと思います。学園前アートフェスタを実施したことによって、新たな街の魅力にたくさん気づくことができました。周辺を歩いていただければ、きっとその魅力を実感いただけると思います。
学校法人帝塚山学園
学園長 冨岡將人氏
所在地:奈良・学園前キャンパス 奈良県奈良市学園南3-1-3
奈良・東生駒キャンパス 奈良県奈良市帝塚山7-1-1
TEL:0742-43-4433(代表)
URL:https://tezukayamagakuen.jp
※この情報は2020(令和2)年5月時点のものです。
社会で活躍できる力をバランス良く育み、地域に愛される/帝塚山学園(奈良県)
所在地:奈良県奈良市学園南3-1-3
電話番号:0742-43-4433
https://tezukayamagakuen.jp