校長 玉置恭美先生インタビュー

地域に根差し、守られ、ともに生きる伝統校/横浜市立日吉台小学校(神奈川県)


東急東横線「日吉」駅西口から徒歩5分に位置する「横浜市立日吉台小学校」。「慶應義塾大学」をはじめ、有名私立大学のキャンパスなどが集中する文教エリアにあり、児童は主体的に日々学習に励み、学校の教育活動に協力的な保護者も多い。学校の取り組みや日吉エリアの魅力について、玉置校長先生にお話を伺った。

玉置校長先生
玉置校長先生

児童数の増加、地域の発展とともに育まれた伝統校

――学校の沿革・概要についてお聞かせください。

玉置校長先生:前身は1863(文久3)年に日吉本町の金蔵寺に設けられた寺子屋で、創立は1873(明治6)年の横浜市でも最も古い学校のひとつです。現在の川崎市と横浜市にまたがった広大な「日吉村」から分離した地域にあり、明治時代には当時の村の名前にちなんで「駒林尋常小学校」と呼ばれていました。その後1932(昭和7)年に東急電鉄が今の「日吉」駅周辺を開発し、「日吉台」と名付けて売り出したのをきっかけに「日吉台尋常小学校」となり、その後国民学校を経て、新しい学校制度が敷かれた1947(昭和22年)に現在の「日吉台小学校」となりました。

街の発展とともにその後どんどん児童が増え、次々に分校が生まれ、独立していき、現在の駒林小、矢上小、下田小、日吉南小などになりました。2020(令和2)年には新しく「箕輪小学校」が開校しました。綱島街道の東側に広がる工場跡地に大規模なマンションや住宅建設が進み、児童数が大幅に増加したため、設立が決まりました。それにより本校に通っていた一部の児童も、新しい学区に従って新小学校に移ることになり、2021(令和3)年度の全校生徒は522名です。

創立100周年記念
創立100周年記念

商店街の魅力を子どもたちが情報発信

――特徴的な取り組みなどがあれば教えてください。

玉置校長先生:本校の3年生は総合的な学習の時間に、地元の商店街について理解を深める学習をしています。昨年度は、日吉商店街の飲食店や美容院を応援しました。コロナで困っている商店街の店舗をどのように盛り上げていくか、どのようにしたらお客さんが来てくれるのかという課題のもと、調査や取材、インタビューなどを担当。営業時間や料金、店の雰囲気などを調査してポスターやチラシ、クーポン券などの作成をしました。これにより店側も子どもたちが来店したことをホームページで告知したり、子どもたちが親御さんと来店したりと相乗効果が生まれ、商店街と学校との新しい交流ができました。店側からも「子どもたちから元気をもらいました!」という感謝の言葉をいただき嬉しく思います。

コロナの影響で商店街も私たちの暮らしも大変ですが、これにより子どもたち自身が何かできることはないか、という視点で物事を考えることができたのはとても良かったと思います。

開放的な校庭
開放的な校庭

タブレット端末による先進教育を行う

――「 ICTの活用に積極的」とお伺いましたが、新たな導入設備などがあれば教えてください。

玉置校長先生:何年も前からタブレットは活用しており、タブレットで撮影した写真や動画を教室のテレビに映し出してクラスで共有したり、体育の授業で児童が自身の跳躍や走り方のフォームの確認に役立てたりしています。

令和2年度、横浜市の全小学校各教室にWi-Fiルーターが設置され、児童一人一台のタブレット端末が貸与されました。各端末にグーグルアカウントと連携するクラウドサービス「ロイロノート・スクール」アプリをインストールしています。これにより先生・児童間の課題提出、閲覧、共有もスムーズになりました。低学年では学校探検をしてその時の写真を発表・共有、高学年では検索ワードを与えて動画や資料などの情報収集を行うなど活用をしています。

その他にもタイピング練習やプログラミング体験なども行い、学校でのICT化の進展と、より「リアル」な学習の融合を進めています。また、2020(令和2)年4月の緊急事態宣言発令時は課題のプリントを山のように印刷して校庭で生徒一人ひとりに配布していました。今後は、必要に応じて「ロイロノート・スクール」を活用して、課題の配布が可能になりました。

教室
教室

あいさつが繋ぐ人と人とのコミュニケーション

――あいさつに関する取り組みもあると伺いました。

玉置校長先生:本校を含めた近隣の4つの小学校と1つの中学校からなる「日吉台中学校区ブロック」では、共通の目標として「笑顔とあいさつ」を掲げています。地域の皆様からもお褒めの言葉を頂くこともありますし、「行ってきます。」「ただいま。」の挨拶を大きな声でするようになったとの親御さんからのお声もあります。コミュニケーションの基本でもある挨拶を通して、人と人とを繋げるというもので、小学校の時から指導を受けている児童はやはりあいさつが習慣づいていると感じます。今後も近隣の小中学校とも連携し、9年間でしっかりと子どもたちを育んでいきたいと思います。

歴代の在校生による運動会の参加賞デザイン
歴代の在校生による運動会の参加賞デザイン

「学校」「保護者」「地域」三位一体の連携体制で子どもたちを守りたい

――地域の方の学校支援活動についてお聞かせください。

玉置校長先生:「日吉台小学校おやじの会」は様々な体験会、陶芸教室、正月遊びなど、子どもたちが喜ぶイベントをたくさん企画してくださっており、学校行事の運営でも支援していただいています。どうやったら“おやじ”が学校教育に参加できるか?どうせ関わるなら楽しくしたい!という思いから、昔遊びやお化け屋敷、水鉄砲遊び、ジャズコンサート、日吉の街を散策するウォークラリーなどの企画をはじめとし、学校教育と子どもたちのサポートをしてくださっています。

また、校庭の花壇は、花ボランティアの方々のおかげでいつもきれいに整備されていますし、図書ボランティアの方による読み聞かせVTRを朝読書の時間に週に一回視聴しています。とても心強く助かっています。日吉エリアは親子三代で住む家庭も多く、これからの街を盛り上げたいと考える方々も多い街です。この街の為に何かをしたい、というエネルギーと地域愛に溢れた方々との連携が強いことが、学校を強く支えてくれています。まさに地域に守られた学校と言えるでしょう。

玉置校長先生
玉置校長先生

充実したアカデミックな学習環境が身近に

――「慶應義塾大学」の方々と連携していることはありますか。

玉置校長先生:「慶應義塾大学」のラグビー部の学生さんに、タグラグビーを教えて頂いています。最初はパスもできない状態でしたが、空間認識の仕方やパスまわし、走り方などを指導いただき、GPSを使って子どもたちの動きを科学的に分析してレクチャーをして頂いています。

また、ZOOMを使った家庭でもできるオンライン体力づくり、ラジオ体操なども行っています。子どもたちは学生さんとの交流を楽しみにしていますし、アカデミックな環境が身近な日吉エリアならではの学習環境は魅力だと思います。コロナが収束した暁には、今以上に地域の皆様と交流を深め、学校、地域を盛り上げていけたら嬉しいですね。

職員玄関に飾られた壁画
職員玄関に飾られた壁画

――校長先生が子どもたちと関わる上で大事にされていることはありますか。

玉置校長先生:積極的な子、消極的な子など様々な児童が通う学校ですから、児童一人ひとりを大事に、ちょっとした変化にも気づくことができるように接していきたいです。また、子育ての悩みなど雑談でもよいので保護者の声にも耳をしっかりと傾けて、じっくりと会話をする時間を作っていきたいと思います。そして子どもたちには、自分も他人も大切にできる温かい思いやりの心を持つ人に成長してほしいと願っています。

明るく広々とした廊下
明るく広々とした廊下

古き良き人の温かさと街並みが残された暮らしやすいエリア

――最後に、日吉エリアの街の魅力についてお聞かせください。

玉置校長先生:昭和の雰囲気が色濃く残っているところが、日吉エリアの大きな魅力だと思います。特に、「日吉」駅の西口から放射線状に道路が伸びる駅前の街並みは、東急が開発した頃からほとんど変わっていません。昔ながらの喫茶店もあって、ノスタルジックな気持ちに浸れます。もちろん新しいお店などもできていますが、古い建物の面影を残して上手にリノベーションされているところが多いように思います。小さな扇型の中に昭和、平成、令和がうまく共存しているんです。

利便性が高く、都心への玄関口とも言える日吉エリアですが、豊かな自然や心温かい地域の人など、大変暮らしやすい環境があります。古き良き伝統や街並みが残る一方で、新しい住民も多く街の雰囲気も賑やか。日吉エリアが大好きという人たちの想いが脈々と受け継がれていて、新旧のコラボレーションが新たな魅力を生み出している街と言えるでしょう。

玉置校長先生
玉置校長先生

横浜市立日吉台小学校

校長 玉置 恭美 先生
所在地 :神奈川県横浜市港北区日吉本町1-34-21
電話番号:045-561-2042
URL:http://www.edu.city.yokohama.lg.jp/school/es/hiyoshidai/
※この情報は2021(令和3)年7月時点のものです。

地域に根差し、守られ、ともに生きる伝統校/横浜市立日吉台小学校(神奈川県)
所在地:神奈川県横浜市港北区日吉本町1-34-21
電話番号:045-561-2042
https://www.edu.city.yokohama.lg.jp/scho..