代表取締役 西村隆さんインタビュー

湘南平塚の地で本物のチーズフォンデュを。/ル シャレー(神奈川県)


スイス料理店「ル シャレー」は1984(昭和59)年に創業した。旅行をしなくても、世界各国の料理が味わえる時代で大切なのは、本物を選び、体験すること。では、本物であるかどうかの判断はどのようにすればいいのだろうか。そのひとつの解は、本国出身の客がいるかどうかということだ。「ル シャレー」には、母国の味を求めて多くのスイス人が訪ねてくる。平塚にスイス料理を根付かせ、スイス文化を紹介してきた代表取締役 西村 隆さんにインタビューした。

「ル シャレー」代表取締役 西村隆さん
「ル シャレー」代表取締役 西村隆さん

六本木のスイス料理店での修行。誰よりも勉強し、多くのことを学んだ

――スイス料理店「ル シャレー」を開業されるまでの経緯を聞かせてください。

西村さん:10代のとき、西洋料理の料理人になりたいと思い修業先を探していたのですが、今のように選択肢が多い時代ではなく、有名フランス料理店で働きたいと思っても、希望者が多いことから何年も待たなくてはいけませんでした。

そんなあるとき友人から“六本木にいい店がある”と教えてもらい、翌日さっそく食べに行きました。そこは六本木にあるスイス料理店で、オーナーもシェフもスイス人。また、9割以上が外国人という環境で、すぐに異国情緒あふれるこの店で働きたいと思いました。それがスイス料理との出会いでした。

「ル シャレー」外観
「ル シャレー」外観

――そのスイス料理店で働きはじめたのは何歳のときでしたか?

西村さん:20歳ですね。そしてシェフになったのは26歳です。誰よりも勉強し、誰よりも多くのことを質問してきました。その結果として、短期間でシェフになれたのではないかと思います。最終的には総料理長という立場で、料理だけでなく経営面にも携わっていました。
その後、店を任せられる人材が育ったタイミングで、地元・平塚で独立することにしました。当時の「平塚」駅南口には西洋料理店がわずか1軒しかなく、しかも私が出すのはあまり馴染みのないスイス料理の店。大丈夫なのかと心配する人もいましたが、ありがたいことに、すぐ行列のできる店になりました。

現地で入手した店内雑貨
現地で入手した店内雑貨

――スイス料理とは、一口で言うとどのような料理ですか?

西村さん:スイスはドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語が公用語という多文化国家ですが、それは料理についても当てはまります。ドイツとの国境が近いところではドイツ料理に近く、同様にフランス料理やイタリア料理に近いものもスイス料理にはあります。ただスイス人としては、いずれも自分たちの国の料理と捉えているので、ドイツ料理を食べている、またイタリア料理を食べているといった意識は希薄だと思います。

お店のこだわりは、本物を提供すること

――人気の「チーズフォンデュ」についてと、それ以外のおすすめメニューについても教えてください。

スイス製のぬくもりのあるフォンデュ専用鍋「カクロン」
スイス製のぬくもりのあるフォンデュ専用鍋「カクロン」

西村さん:開業当時と比べると「チーズフォンデュ」を提供する店は増えました。当店では、スイス料理の専門店として“本物”を提供するように心がけています。チーズはもちろんですが、フォンデュ専用の鍋「カクロン」もスイス製。多人数で料理をシェアするというのは、ヨーロッパでは例外的なことですから、「チーズフォンデュ」は文化としても独特な位置づけです。「チーズフォンデュ」以外でスイス人がよく注文するメニューは、「熱いチーズのタート」、「スイス特産のドライビーフ」、「仔牛肉のクリームソース チューリッヒ風」があります。

チーズフォンデュを絡めたパン
チーズフォンデュを絡めたパン

――店内には色々なものが飾られていますが、ご自身が現地で手に入れたものですか?

店内風景
店内風景

西村さん:そうですね。牛の首にかけるカウベルや、100年以上も前につくられたアンティークものもあります。ステンドグラス、アルプホルンなどいずれも思い入れのあるものばかりです。自宅には、家族から“何とかして”と言われるほどの量がありますよ(笑)。それと、オブジェではありませんが、味わいがあることから陶器製のビールサーバーを設置しています。

カウベル
カウベル

陶器製のビールサーバー
陶器製のビールサーバー

――こちらに来店される方についてもお聞かせください。

西村さん:地元の方だけでなく、北は北海道、南は九州まで全国からいらっしゃいます。スイス料理を食べようと思ってインターネットで検索したというケースも増えていますし、反対に創業時からいらしてくれる親子3代・4代という方もいます。それ以外では、平塚のスイス系企業で働いているスイス人もよく来店されています。

西村さんの料理を求めて全国各地からお客様が訪れる
西村さんの料理を求めて全国各地からお客様が訪れる

改めて振り返ってみると、こだわりを持って仕事をしてきたから今があるのかなと思います。私としては、料理だけでなく文化を売っているという意識です。大切なのはここに来れば日常と異なる空間があると思ってもらうこと。一輪のバラをテーブルに飾るなどの演出は、開業時から変わっていません。自分がされて嬉しいことをそのままお客さんにして差し上げるということですね。

テーブルにセッティングされた一輪のバラ
テーブルにセッティングされた一輪のバラ

――長きにわたり、スイス料理に携わってこられました。とっておきのエピソードはありますか?

西村さん:実は、チーズの断面を熱で溶かして削いでいてく料理「ラクレット」を日本で初めて紹介したのは私です。それと、ヨーロッパの一般的なデザートと思っている方もいるかもしれませんが、「チョコレートフォンデュ」を編み出したのも私です。

自然にも恵まれ、利便性も高い魅力あふれる平塚

平塚市の街並み
平塚市の街並み

――平塚、特に松風町周辺での思い出があればぜひ聞かせてください。

西村さん:今は落ち着いた住宅街となっていますが、当時は松林が広がっていました。町名そのままの光景ですね。その松林を抜け、子どものときはよく海に行きました。

――平塚という街の魅力、もしくは好きな場所はありますか?

西村さん:魅力はやはり、海だけでなく山もあることですね。自然環境に恵まれている一方で、交通の便がよく、横浜や東京にも乗換なしで行くことができます。弟子の1人が住んでいる宇都宮からも、電車1本で来ることができます。

海の近くに別荘としてマンションを持っている方がいるのですが、その方は学生時代、海岸のあまりの美しさに感動して、いつかは平塚に別荘を持つというのが夢だったそうです。平塚は大都会ではありませんが、東京にはない魅力があると思います。

ル シャレー

代表取締役 西村 隆さん
所在地 :神奈川県平塚市八重咲町26-19 1F
電話番号:0463-23-9037
URL: https://gh0d200.gorp.jp/
※この情報は2022(令和4)年1月時点のものです。

湘南平塚の地で本物のチーズフォンデュを。/ル シャレー(神奈川県)
所在地:神奈川県平塚市八重咲町26-19 1F
電話番号:0463-23-9037
営業時間:11:30~14:00、17:00~22:00
定休日:月曜日
https://gh0d200.gorp.jp/