大倉山を盛り上げるための”出会いの拠点”/街カフェ 大倉山ミエル 鈴木智香子さん インタビュー

街カフェ 大倉山ミエル
発起人 鈴木智香子さん

大倉山を盛り上げるための”出会いの拠点”

大倉山の駅前を東西に貫く目抜き通りの中ほどにある「街カフェ 大倉山ミエル」は地元に暮らす有志がボランティアで運営しているタウンカフェ。

「ミエル」とは「蜂蜜」を意味する言葉で、その名の通り、大倉山で採取された蜂蜜を使ったメニューを提供するカフェとして始まり、雑誌などで何かと話題に上ることも多い。
いっぽうで、店内には地元在住のクリエイターや主婦らが制作した小物やアクセサリーなどが並ぶ「BOXショップ」がおよそ40個も並んでおり、地域密着型カフェとしての側面も見せている。店内でさまざまなカルチャー講座も行われており、訪れた日に行われていたのは、歌を楽しみながら絵本を読み聞かせる「おはなしカフェ」。

今回はその様子と、カフェの発起人である鈴木智香子さんへのインタビューでお届けしよう。

立ち上げまでの経緯を教えていただけますか?

私は20年近く前から大倉山に住んでいたのですが、家族の転勤で一時的に札幌に移り住んでいました。当時私は建築士として働いていましたので、街づくりにも興味があり、札幌市の公園を市民参加で作ろうというワークショップに参加したんです。
でも、そこに集まったのは、私以外の全員が行政関係や事業関係者だったんです。愕然としまして、「これからは私達市民が街づくりの中心に立たなければ」と思い始めたのはその頃からです。

そして2007年に大倉山に戻ってきまして、札幌で立ち上げていた「公園遊び会」をモデルに大倉山でも同じような活動を始めました。それが2009年には「大倉山文化村」という地元女性5人のグループになりまして、そこでは今のような各種講座をはじめ、イベントやコンサートなども行っていたのですが、拠点となるような「場所」が無いことにもどかしさは感じていました。

その頃、「コミュニティカフェ」という動きが全国的に広がっていまして、同じ横浜市内の港南台にも「港南台タウンカフェ」が出来て話題になっていたのですが、これを見に行った時に「大倉山にもこんなカフェが出来たら」と思ったものでした。
港南台タウンカフェは、大倉山ミエルを立ち上げる時のモデルにもさせていただいています。

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そんな折に、大倉山のエルム商店会さんから「地元産の蜂蜜を売るアンテナショップを持ちたいと思っている」という話がありまして、「じゃあコミュニティカフェを作って、カフェとして運営していったらどうでしょう」と商店会さんに提案しました。

その後は横浜市の商店街総連合会さん、横浜建設業協会さんの協力も取り付けられまして、「ヨコハマ商建連携事業大倉山プロジェクト」のひとつとして「大倉山ミエル」が生まれました。2010年12月のことです。
商店会は蜂蜜を宣伝したくて、私達はタウンカフェを作りたくて、その両方の希望を担ったカフェというわけです。

「タウンカフェ」とはそもそもどういう場所なのでしょうか?

「タウンカフェ」は税金や補助金で運営しているカフェではありません。

特徴は収益構造が明確で、自立的で継続可能なスタイルを取っていることにあります。地元の人、モノ、資金で運営するという点も特長です。

収入はもちろんカフェの売り上げが大きいのですが、これは材料費やカフェスタッフの人件費に充てられますので、家賃などの固定費は店内におよそ40ある「BOXショップ」の収益でほぼ賄っています。

「BOXショップ」はどんな仕組みなのでしょうか

こちらは地元の在住の作家さんやクリエイターさんなどが中心となって、作品や手工芸などを展示即売しているスペースですが、月ごとの設置費と、売り上げから一定割合の金額を頂いています。

オーナーさん自身で定期的にメンテナンスをしていただくので、オーナーさんもカフェのお客さんになるという仕組みです。飛ぶように売れるものではないのですが、月額は3千円程度ですので、カフェへの維持協力費という感覚で、参加されている作家さんにも楽しみながら利用していただいてます。

地元の人々が、自分達の居場所としてカフェを認識してくださっているということですね。

カフェの商品、料理について教えてください

ひとくちに「タウンカフェ」と言っても料理を提供しないカフェもあるのですが、「ミエル」はもともと軽飲食を提供するカフェを想定していました。

大倉山産蜂蜜のアンテナショップという意味合いもあるので、カフェでは地元産の野菜や蜂蜜を使ったメニュー、例えば蜂蜜プリンなどを提供しています。

「蜂」に関連させて、ランチタイムには888円のランチプレートも提供しています。
商品としての蜂蜜は、そもそも生産量が少ないので今は菊名産の瓶蜂蜜しかありませんが、大倉山産の蜂蜜が並ぶこともあります。

各種講座に参加するにはどうすれば良いでしょうか

カフェではほぼ毎日のように手作りワークショップや、英会話講座、IT講座、文章講座、子ども向けイベントなどの企画や講座が行われています。

これは地元の講師が地元の方向けに行っている講座ですので、内容は色々と幅広いですが、ホームページに詳しいカレンダーを掲載していますので、そちらで毎月の講座内容はご確認ください。

参加申し込みはメールからも可能です。
講座を開催している時間でも、お客さんが来ればいつでもお茶を飲んでいただけます。

カフェや各種講座以外の活動もあるのでしょうか

近隣で行われるいろいろなイベントへの協力も行っていまして、これは「ミエル」が応援するというよりは、ここに集まって繋がった人たちが協力するというものですが、例えば商店会主催の七夕イベント、ハロウィーンイベント、芸術祭などに参加・協力をしています。

その他にも「保育ボランティア」といって、お子さんがちょっと大きくなられた方に、保育つき講座の保育を担当していただいたりしています。

これらのイベントは、今まで商店会や地元の団体でいろいろと企画はされているんですが、やはり企画側の平均年齢が高く、話題性や若い力を求められていて、ミエルでは「やりたい」と手を挙げてくださるメンバーの後押しをする形で、イベントに新しい風を吹き込んでいこうと思っています。

地域の皆さん、主に若いお母さん方やシニア層の方々には、何らかの形で「地域につながりたい」という思いを持っていらっしゃる方がとても多いですから、いずれ「商店会主催のイベント」ではなく、「街ぐるみの参加型イベント」ができていけば良いと思っています。

今後の「大倉山ミエル」の方向性を教えてください

私もその一人ですが、大倉山は引っ越してきた人が多い街なので、新旧の住民同士が繋がる機会というのは、これまで少なかったと思います。

「地元」という意識が薄い住民と、高齢化する既存住民や商店会が互いに孤立していましたし、子ども達もまた、地域の大人と接触する機会がありませんでした。

一方で、「街のために何かを始めたい」と思う人々も多かったのですが、そんな人々に機会を提供する「場」も、これまではありませんでした。

「ミエル」はこういったミスマッチを結びつけるために作った「新しい居場所」ですので、ここを拠点にして、街を盛り上げるいろんな企画が立ち上がっていけばと思います。
もちろんそれにはカフェ自体が継続することが必須ですから、私は継続可能な収益構造を作れるよう、日々努力をしています。

今ではお陰さまで黒字に転換し、コミュニティカフェのモデルケースのひとつとして、遠方からの市民グループが視察に来てくださるようになりました。

今後も”人と人とのつながり”を大切にしながら、大倉山の魅力を市民の手で発信していけたらと思います。そうすることで、大倉山に誇りを持ち、「いつまでも住み続けたい」と思う人が増えればいいですね。

今回、話を聞いた人

NPO法人街カフェミエル代表
鈴木智香子さん(すずき・ちかこ)さん

カフェの立ち上げ人であり、運営から渉外までほとんどを一人でこなす。以前は建築士として活躍していたが、現在はカフェの仕事に専念。大倉山商店会街づくり担当役員の肩書きも持つ。

NPO法人街カフェミエル http://cafemiel.jimdo.com/