どっしりとしたバオバブの木のように 伸びやかで豊かな子どもを育てる/バオバブちいさな家保育園 遠山洋一園長先生
バオバブちいさな家保育園
園長 遠山洋一先生
どっしりとしたバオバブの木のように
伸びやかで豊かな子どもを育てる
京王線聖蹟桜ヶ丘は、多摩の田園調布ともいわれる大規模な桜ヶ丘住宅地にある駅。多摩川周辺の豊かな自然と、暮らしやすい住環境が同居した理想的な地区で、住みたい街として常に上位にランクインされる人気の街でもある。駅前には京王百貨店やオーパなどのショッピング施設、スーパーマーケットなども多く軒を連ね、日常的な買い物にも事欠かない。そんな地区で40年以上保育園を運営されている「バオバブちいさな家保育園」の遠山園長先生にお話を伺った。
「バオバブちいさな家保育園」の概要についてお聞かせください。
1973(昭和48)年4月に創立した「バオバブ保育園」は、一ノ宮に「(通称)おおきな家」「ちいさな家」、世田谷区喜多見、稲城市若葉台、横浜市緑区の霧が丘の合計5つのバオバブ保育園を運営しています。また多摩市より委託され、関戸と一宮の学童クラブも運営しています。
ここ「ちいさい家」は2001(平成13)年4月に駅前に開設しましたが、整備計画が浮上したことから2014(平成26)年3月にこの場所に移転。木をふんだんに使用した屋上も使用できる2階建ての建物になり、それまでは2歳までだった保育も0歳~5歳まで一貫して行えるようになりました。 0歳の「こすずめ組」は9名、1歳の「こぶた組」は12名、2歳の「こやぎ組」は14名、3歳の「かっぱ組」、4歳の「てんぐ組」、5歳の「だるま組」はそれぞれ15名という編成です。
バオバブ保育園という名前はとてもユニークですね。
バオバブという木は、見た目は決して美しくもスマートでもないのですが、幹が太くどっしりと地に足をつけた木です。千年単位で生きるこの木を保育園の名前につけたのは、「他にはない名前を」という理由と、そんな風に「しっかりとした子どもを育てたい」という思いからでした。
私はもともと理系の大学を卒業したビジネスマンで保育の世界とは全く無関係ともいえる生活をしていましたが、子どもを保育園に送迎する中で保育園というものを知り、また幼稚園教諭をしていた妻の話を聞いて「子どもたちと一緒に過ごす仕事」に非常に魅力を感じました。ちょうどその頃、多摩ニュータウンで新しい民間保育所の公募があり、応募したところ指名を受けられることになりました。それが「バオバブ保育園」の始まりでした。
日々の保育のなかで目標にされていることはどんなことですか?
保育園は子どもたちの「生活の場」であり、そのなかで育ちあっていく場です。これから育つ子どもたちが、未知で困難が多い社会で幸せな人生を送るために、今なにが必要かを考え保育の目標を掲げました。「自分のことを大切に思える人」「柔らかに開かれた心を持ち、様々な人と共に生きていける人」に育ってくれることを願い、保護者とともに子育てをすすめる、というものです。人には弱さもありますが、基本的な部分で自分を肯定できる、自分に希望を持てることは、人として生きるうえで最も大事なことです。
そんな子どもたちを育てるために、保育者は常に、子どもたちが何を望んでいるのか、泣いている時や不満を表に出している時はもちろん、笑っている時でも喜んでいる時でも子どもの本当の気持ちに寄り添うような保育を心がけてます。慣れてくると、つい「こういう時はこうだ」「きっとこうだろう」と保育者が子どもの気持ちを決めつけてしまいがちです。でもその場合によって、その子どもによって思いも感じ方も違うはず。決めつけをせず、子どもにとっての一番の理解者であるように努めています。
中庭を囲むように作られた教室や、屋上も工夫して利用するなど設備もとても魅力的ですね。
全ての教室や階段がこんなに明るいのは、やはり中庭から明かりが取れるからだと思いますね。ただ現在の中庭は園庭へ出る時の通り道や夏のプール場として使用する程度ですので、もう少し整備をして有効に使って行くつもりです。
屋上には人工芝を敷き詰めて、スクーターや三輪車などの乗り物も置いてあり、3~4歳の子どもたちが思いきって走り回れるスペースがあります。屋上菜園もあって、周囲には高い建物もありませんから日当たりも良いですし、富士山も見えますのでとても気持ちの良い場所ですよ。
非常用として螺旋のすべり台があるのですが、普段も利用できるようにしてあるので、子どもたちは2階からすべって園庭に降りられるようになっています。園庭自体は広くはないのですが、砂場や土管が通った築山もあります。そしてお隣の方のご厚意でボール遊びができるほどの広いスペースも貸していただいてますので、子どもたちは外でも充分体を動かせます。大きくはなくても、工夫をして子どもが快適に楽しく過ごせるスペースを作れているのではないかと自負しています。
この園ならではの行事などを教えてください。
「ちいさな家」は、これまでずっと「おおきな家」と合同で行事を行ってきました。でも今年からは新たな出発をしましたので、行事の全てを見直しゼロベースで考えようと決めました。そこで初年度は3つの行事を職員一同で考えました。
一つ目は5月末の「つばめ祭り」(運動会)。これは子どもたちの日頃の成果を見せる会ではなく、大人が遊ぶ運動会にしました。これは4月から新しい顔ぶれになった新クラス内で大人同士が親睦を深めるという意味があります。
二つ目は7月末の「夏の夕べ」。屋上とホールを解放して、夏の夕べを親子で楽しんでもらう会です。バイオリン講師の方が保護者にいらっしゃったことから、バイオリン演奏と先生方の歌も披露しました。
そして11月末の「くいしんぼう祭り」。給食で食べているお米を作ってくださっている山形県高畠町の有機栽培農家さんとは、モノのやりとりだけに終わらないお付き合いをしています。食いしん坊祭の時は、農家の方々にお米の話をしてもらって、新米でおにぎりを握って豚汁と一緒に庭で食べるお祭りをしました。持参してくださったお野菜の即売会なども開かれたり、ウチの自慢のキッチンもオープンにして賑やかでしたよ。子どもが飽きないように、米袋でリース作りをしたり、野菜のスタンプでカードを作ったり、ワークショップのようなこともしました。規模が小さい「ちいさな家」だからこそできる、こじんまりとした温かな行事をこれからもアイデアを出しながら作っていきたいと思っています。
最後にこの地区の魅力についてお聞かせいただけますか?
まず自然環境が豊かで公園が多いということですね。子どもたちが日常的に行く公園は、近くにいくつも点在していますし、少し歩けば明治天皇がうさぎ狩りにいらしていたという連光寺の「大谷戸公園」や「都立桜ヶ丘公園」といった広い公園もあります。また隣の日野市には「百草園」という梅の名所もあり、四季折々の花々を愛でることもできる。この「百草園」に歩いて行く道も、途中に牛小屋があったり、丘の上の畠が見えたりととても味わいがあります。
多摩川に出れば空が広くて、心が開放されるような気分が味わえます。子どもたちも日常のお散歩で開放感や清々しい気持ちを味わっているのではないかと思いますよ。
駅前はデパートやスーパーなどの商業施設も充実しているので、私はこの辺りのことを「都会と自然の波打ち際」なんて呼んでいます。本当に暮らしやすく、良い街だと思います。
今回、話を聞いた人
社会福祉法人バオバブ保育の会
バオバブちいさな家保育園
常務理事・園長 遠山洋一先生
住所:東京都多摩郡一ノ宮3-9-1
電話番号:042-375-4701
http://baobabcc.jp/chiisanaie/index.html
※記事内容は2014(平成26)年12月時点の情報です。
どっしりとしたバオバブの木のように 伸びやかで豊かな子どもを育てる/バオバブちいさな家保育園 遠山洋一園長先生
所在地:東京都多摩市一ノ宮3-9-1
電話番号:042-375-4701
開園時間:7:00~19:00
延長保育:あり
http://baobabcc.jp/chiisanaie/index.html