上級生に学ぶ校風を受け継ぎ 地域ぐるみで輝く子どもたちを育む/横浜市立川上北小学校 校長 武山朋子先生
都心や横浜へのアクセス至便、商業施設や子育て施設が充実していながら、豊かな自然環境にも恵まれている東戸塚。再開発が盛んなこの地域で、「東戸塚」駅が開業する10年以上前に開校したのが「横浜市立川上北小学校」だ。駅前の商業地と住宅地に隣接し、年々児童数が増加している。今回は、武山朋子校長先生に学校の特色や地域とのつながりについてお話を伺った。
地域の方々にとって想い入れある学校
本校は、1969(昭和44)年開校で、平成27年度で創立47年になります。今でこそ「東戸塚」駅から徒歩ですぐそばという場所にありますが、創立当時はこの地域に駅はなく、とてものどかな田園地帯で、子どもたちはずっと平戸の方にある小学校へ歩いて通っていたそうです。それを、地域の方たちが少しずつ土地を出し合って用地を確保し、横浜市にお願いして本校を建ててもらいました。ですから、地域の方たちにとってもすごく思い入れのある小学校なんです。
児童数増加に伴い建替えた新校舎
駅前に大きなマンションができたことなどから、児童数はこの10年で3倍に増え、現在30学級の約940人です。戸塚では3番目ですが、横浜市の中でもかなり大規模な学校になります。学区内のマンションから通っているお子さんがかなりの割合を占めていて、今後も学区に新しいマンションが建てば、1,000人ぐらいまで児童数が増えるかもしれません。
児童数の増加にともなって、数年前、校舎も増改築しました。東側にあったプレハブ校舎を鉄筋の新校舎に建て替え、同時に西側の校舎を改修して東西をつなぎ、L字型のとてもきれいな校舎になりました。
元気なあいさつは子どもたちの自慢
本校の教育目標として挙げられる一つ目は、きちんとあいさつができる子。そして、人の話をきちんと聞いて一緒に考え、活動できる子です。あいさつについては日ごろから教員が積極的に声を掛けていますし、子どもたちも朝校門に立ってあいさつ運動をしています。実際、本校の児童はあいさつがとても上手で、保護者や来校者などからよくお褒めの言葉をいただいています。高学年の子どもたちが積極的にあいさつをするので、それが自然と下の子どもたちにも伝わり、元気なあいさつが自分たちの自慢になっているようです。
国際理解教室を通して各国の文化を学ぶ
学習面では、これまで読書活動に積極的に取り組んできました。お母さんたちの朝の読み聞かせはもちろん、保護者や地域ボランティアの方々の協力で、ペープサート(紙人形劇)やブックトーク、おはなしミニコンサートなどを実施しています。
明るく広々とした図書室もあり、2013(平成25)年から司書の方に常駐していただき、子どもたちの読書相談やニーズに応じて本を揃えてもらうなどして、蔵書がすごく充実してきました。子どもたちもよく利用しています。
また、横浜市が力を入れている英語学習についても積極的に取り組んでいます。本校では、英語活動と国際理解教室のふたつの授業を行っていて、どちらも英語で話す外国人の先生がいらしています。英語活動では、各クラスとも英語専任の教員がメインで担任がサブティーチャーとなり、アクティビティを中心に楽しく英語活動をしています。また、国際理解教室は横浜市が昔から行っている取り組みで、言葉を学ぶというよりは、いろいろな国の文化に触れることを目的としています。2014(平成25)年はガーナの先生に来ていただいていますが、子どもたちは全く屈託なく英語を楽しんでいます。
いきいきと活動する!『わくわく三大行事』
行事については、子どもたちがいきいき活動し、輝けるようにと「わくわく運動会」、「オータムコンサート」、「わくわくランド」という“わくわく三大行事”を開いています。
4色対抗の「わくわく運動会」では、オープニングやファイナルセレモニーの企画運営をする「セレモニーSP(SPはスーパープロジェクトの略)」、各色の応援を担当する「応援SP」など、計9つのプロジェクトチームに分かれて自分たちで運動会を作り上げます。毎年大々的に開催していて、2014(平成27)年は保護者や地域の方たちを合わせ、3,500人で校庭がいっぱいになりました。
また、毎秋、2日間にわたって開催している「オータムコンサート」は、各学年による歌や合奏の発表会で、学年ごとに子どもたちが成長している姿が見られます。
2月に開催する「わくわくランド」はいわば、学習発表会です。それまで各学級や学年が生活科や総合的な学習の時間で取り組んできた学習を、ほかのクラスの子や保護者に見てもらう場となっています。例えば、5年生は今、東戸塚にある牧場の牛乳を使ったアイスクリームなど地域の特産品について調べていますし、6年生は備蓄品の調査や起震車の体験をするなど防災について調べているので、そういった発表が見られるのではと思います。
「川北体操」で体力づくり
また、体力づくりについては、各クラス対抗のなわとび集会を設けていて、それに向けた縄跳び週間では休み時間もクラスで一生懸命練習しています。また、運動会で音楽に合わせて簡単なストレッチと体操をする「川北体操」を作ったので、毎週月曜日の朝は全校生徒でこの体操をしてから朝会を開いています。
部活や校庭のシェアで交流を深める
周辺の小・中学校、保育園との交流も行っています。本校と「横浜市立名瀬小学校」は「横浜市立名瀬中学校」の学区にあたり、3校は教師間でも交流があります。特に「横浜市立名瀬中学校」とは、同校のブラスバンド部を招いて地域音楽祭を開き、中学生と6年生の演奏を地域の方に聴いていただくという活動をしています。また、すぐ隣の「横浜市川上保育園」からは、園児たちがよく校庭に遊びに来ています。自由に来てもらえるようにしているので、授業中などで空いている時間帯に校庭の遊具で遊んでいますね。
上級生への憧れが学校全体の成長へと繋がる
本校の子どもたちの特長は、素直さ、明るさ、優しさ、前向きさです。特に、上の学年の子どもたちに下の学年の子どもたちが憧れを持っているところが素敵だなと思います。運動会では各色の応援団長が全学年の子どもたちを集めて一緒に応援練習をしたりするんですが、そうやって先頭を切っている6年生の姿を見て、下の子たちが「カッコいいな」と憧れる。6年生の姿を見て学ぶというのが、本校の伝統になっています。
保護者・地域が一緒に子どもたちを見守る
地域の方々との連携については、読書活動だけでなく、クラブ活動でも保護者ボランティアの方にサポートや見守りなどで協力していただいています。PTA役員のみなさんもとても協力的で、運動会前の校庭の草むしりや夏休み中のラジオ体操など、積極的に参加してくださっています。
近年始まったのが、“見守りPちゃん隊”です。朝の通学時、交差点などで保護者の方たちに黄色い旗を持って子どもたちの登校を見守ってもらうという活動で、校外委員さんの協力で全家庭に1本ずつ旗を配り、持ち回りで参加をしていただています。保護者の方たちに登校の様子を実際に見てもらうことで、危険な場所やよくない歩き方に気付いていただけますし、地域の方からもお母さんたちが一生懸命やってくれていると好評です。
このほか、地域の老人会の方たちが毎朝、グリーンのベストを着て1年生の子どもたちを送り出し、下校時に学校まで迎えに来てくださっています。保護者・地域が一緒に子どもたちを見守っていこうというのが、本当にありがたいですね。
今後は横浜市の研修を受けた「学校・地域コーディネーター」をつなぎ役に、これまで個別に活動してきた地域・PTA・支援団体・有識者の各代表などを“川北っ子支援隊”としてまとめていくことで、子どもたちの育ちを支えていく人や組織のネットワークを作っていきます。
自然や人とのつながりといった温かさが残る街
東戸塚という街は、買い物施設が充実しているなど、大人の生活にとっても便利ですが、ちょっと駅から離れるとのどかな畑があり、地域のお年寄りが子どもたちに気軽に声をかけて見守ってくれる街です。学校近くの団地にはすごく立派な桜並木があって、その近くの公園でクワガタが見つかるとか、豊かな自然がたくさん残っています。学習活動でも、子どもたちが近くのお店で社会科の学習をしたり、畑で農家の方からお話を聴き、芋ほりをさせていただいたりしています。便利さもあるけれど、自然や人とのつながりといった温かさが残っているところが東戸塚の魅力ではないでしょうか。
今回お話を聞いた人
横浜市立川上北小学校
所在地:横浜市戸塚区川上町 63-1
電話番号:045-822-0845
http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/es/kawakamikita/
※この情報は2014(平成26)年12月の取材を基に作成した記事です。
上級生に学ぶ校風を受け継ぎ 地域ぐるみで輝く子どもたちを育む/横浜市立川上北小学校 校長 武山朋子先生
所在地:神奈川県横浜市戸塚区川上町63-1
電話番号:045-822-0845
http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/es/k..