区民一人ひとりが主体となる “トップアスリートのまち・北区”を目指して/北区 東京オリンピック・パラリンピック担当課


北区 教育委員会事務局
スポーツ施策推進担当課長:坪井宏之さん
東京オリンピック・パラリンピック担当課長:松村誠司さん

区民一人ひとりが主体となる
“トップアスリートのまち・北区”を目指して

北区には、国内におけるトップレベル競技者の国際競技力の総合的な向上を図るトレーニング施設として、「味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)」や「国立スポーツ科学センター(JISS)」「東京都障害者総合スポーツセンター」があることから、「トップアスリートのまち・北区」を打ち出している。そして2020(平成32)年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて「東京オリンピック・パラリンピック担当課」を設けて区民のスポーツ推進を図っている。そんな北区のスポーツ施策についてスポーツ推進担当課長の坪井さんとオリンピック担当課長の松村さんにお話を伺った。

まず初めに、東京オリンピック・パラリンピック担当課の概要・取り組みについて教えてください。

北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
「国立スポーツ科学センター」

北区には「味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)」「国立スポーツ科学センター(JISS)」「東京都障害者総合スポーツセンター」があります。北区では、こういった貴重な資源を活用して、「トップアスリートのまち・北区」を推進していこうとしています。その取り組みの中で、「スポーツ推進と運動能力の向上」「トップアスリートのまちにふさわしいまちなみ整備」「地域連携・魅力づくりと発信」を3本柱として、北区を活性化をしていこうと計画しています。

国立スポーツ科学センター フットサルコート
国立スポーツ科学センター フットサルコート
「国立スポーツ科学センター フットサルコート」

『スポーツを軸としたさまざまな事業展開を図ることで、活気に満ち溢れた「トップアスリートのまち・北区」を作っていく』そのような趣旨で取り組んでいる課が「東京オリンピック・パラリンピック担当課」です。また、トリノオリンピックでスピードスケート代表の石野枝里子さんを「北区スポーツコンダクター」として区の非常勤職員に採用し、区内のスポーツイベントの企画や学校におけるスポーツ指導などを行っています。

北区では、北区の実情に合わせた「スポーツ推進計画」を策定していますが、具体的にはどのような取り組みをお考えですか。

地域の交流や連携・協働を促し、区民一人ひとりが主体的にスポーツを楽しめるまち」を基本理念に定めています。この基本理念を策定する1年前にアンケート調査を実施したところ、スポーツを週に1回以上する成人の割合が33.4%でした。この数値を推進計画の中では5年後には50%、10年後には65%にまで増やそうという目標を掲げています。

北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
「スポーツ祭り2014」バスケットボール教室

目標実現のために、基本目標を3つ掲げています。

1.ライフステージに応じたスポーツ参加の促進。
2.さまざまな交流や連携によるスポーツ活動の推進。
3.スポーツ関係の整備、及び有効活用。

北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
「スポーツ祭り2014」サッカー教室

基本目標1の「ライフステージに応じたスポーツ参加の促進」では、子ども、成人や子育て世代、高齢者、障害者と4つの方向で考えています。子どものスポーツ活動への参加ですが、学校の体力測定の結果を見ると、体格は全国よりも大きいのですが、体力では全国平均に達していませんでした。また、子ども、働き世代、高齢者と3つの年齢層に分けてみた場合、働き世代がスポーツ実施率が一番低い結果となっています。

高齢者もなかなか運動習慣がつきづらく、また、障害のある方は、実際に運動をされている方が少なく、1割を切っています。このような状況を打開するため、それぞれのライフステージに応じて、スポーツを推進していくことが、大きなテーマとなっています。

北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
「プレパーク」活動

どのように進めて行くのかという点については、基本目標2の「さまざまな交流や連携によるスポーツ活動の推進」です。「地域ぐるみで運動をしていきましょう」と、3つの方向を考えています。
1.家庭・学校・地域等の連携によるスポーツの推進。
2.総合型地域スポーツクラブの育成・支援。
3.競技スポーツ選手などとの区民の交流促進。

特に2番目の、「総合型地域スポーツクラブの育成・支援」では、誰でも身近な場所で運動ができる仕組みを地域の中に作っていこうとしています。たとえば学校の体育館を借りて、小さなお子さんでも参加できる親子体操や、高齢者には体操やスポーツ吹矢、詩吟のような文化的なことも体験できる要素を取り入れながら実践していく予定です。

北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
「れっど★しゃっふる」スポーツ体育塾

そして基本目標3の「スポーツ関係の整備、及び有効活用」については、現在「(仮称)赤羽体育館」を建設中です。2016(平成28)年の夏に完成予定で、オープンは2017(平成29)年1月末を予定しています。面積的には「滝野川体育館」とほぼ同じです。

区民の方へのアンケート結果の中で、北区が力を入れてほしいという項目に「スポーツ教室・行事の開催」が40%を占めていましたが、この結果を踏まえて今後、どのような対策をとられるのでしょうか。また、その対策によってどのような効果があるとお考えですか。

北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
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「れっど★しゃっふる」サッカー教室

現在、赤羽地区に、特定非営利活動法人「れっど★しゃっふる」というクラブがあります。学校の校庭や体育館を使って、バドミントンや、フットサル、バスケットボールなどの種目を開催しています。そのような総合型スポーツクラブを滝野川地区に作る計画が進んでいます。今後、赤羽地区、滝野川地区、王子地区に1つずつ作るという計画のもと、初心者向けのスポーツ教室をやっていきたいと考えています。

北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
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「北区アクアスロン大会2015」ポスター

スポーツクラブは区が作るのではなく、スポーツ推進委員を筆頭に、教育委員会や体育協会、町会、自治会、青少年地区委員会、学校関係、PTAなど、地域の人達が一体となって、連携しながら作っていきます。学校の体育館を使って、主に初心者を対象に開催する予定です。そのためには、「どの地域に、どの年齢層の方が集まっているのか」や、「働く世代や高齢者が多い地域では、空いている時間はいつだろうか」、「その人たちが望むメニューはどういうのがあるのだろうか」など、綿密に調査して受け入れるプログラムをしっかり組んで提供していきます。

北区では、「東京都障害者総合スポーツセンター」がありますが、23区唯一の障害者専用スポーツ施設として、施設の見直しや、活用などはどのようにお考えですか。

滝野川体育館
滝野川体育館
「滝野川体育館」

スポーツ施設のバリアフリー化に関しましては、推進計画の基本目標3で、「スポーツ関係の整備、及び有効活用」で提示しています。「滝野川体育館」については、2014(平成26)年4月にエレベーターや、一部に手すりが設置されました。また、バリアフリー化を検討する際に、パラリンピック出場選手などで構成された障害者スポーツアドバイザーに助言をいただいています。

アドバイザー自身が、実際に徒歩や車椅子を活用して、最寄りの駅やバス停から区内の各スポーツ施設まで向かいます。正面玄関から受付を通って、更衣室で着替えたり、トイレを利用したりと、設備をすべて見て回り、チェックしていくんですね。どこに危険があるのか、またどの箇所を改善したらいいのかなど、ご意見をいただきます。その後、実際にどこの施設を最優先に直していくか、優先順位をつけて、なるべく高齢者や障害者にやさしい環境を作っていこうという施策を進めています。

区内には、JISSやNTCといったトップアスリートのための施設がありますが、トップ選手含め、 地域や子どもたちとの交流については、具体的な実施内容も計画されているのでしょうか。

北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
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「スポーツ祭り2014」開会式

NTCは月に3回公開日があり、団体向けに定員を設けて見学の募集をしています。また、体育の日に「スポーツ祭り」という大きなスポーツイベントをやっています。これは国のイベントで、北区は後援をしています。味の素フィールド西が丘で開会式を行い、テレビに出演しているようなメジャーなスポーツ選手など、約50人参加して運動会などを開催していますね。

北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
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「スポーツ祭り2014」

その日はいろいろなスポーツ教室もあって、公募ですが、北区枠をいただいています。昼休みにステージで地元の児童館がバトンをやったり、「東京都立赤羽商業高等学校」の皆さんが演劇を披露してくれたり、自治会が模擬店を出したりと、地域一体となった取り組みをしていますね。

2020(平成32)年のオリンピック・パラリンピックに向けて、「赤羽」駅からNTCまでの3キロのバス通りに、選手の応援も含めて「ROUTE2020トレセン通り」という名前をつけました。この春から標識も設置する予定です。

2020(平成32)年に向けた人材の育成も目標として挙げられていますが、「わくわく土曜スポーツクラブ」や「プレーパーク」の取り組みについて教えてください。

北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
「わくわく土曜スポーツクラブ」

「わくわく土曜スポーツクラブ」はスポーツ振興係で行っています。土日、学校の週5日制に対応する事業ということで、子どもたちがスポーツに親しむことを目的にしています。また子どもたちの居場所作りにも役立っています。2014(平成26)年には区内各所で卓球や剣道、バドミントンなど8種目が行われました。

北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
「プレパーク」自由に遊ぶ子どもたち

「プレパーク」は、子育て支援課次世代育成係が行っています。子どもたちが自分の責任で自由に遊ぶことにより自主性や創造性を育み大人も子どもも外遊びをとおしてふれあいを深めるという目的でやっています。

北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
「プレパーク」野外活動

泥んこ遊びや水遊び、穴掘り、たき火、カマド料理、釘刺し遊びなど自由に遊ぶことができる場所です。

スポーツ推進計画を中心に、オリンピック・パラリンピック、そして2020(平成32)年以降の取り組みも含めて今後の展望について教えてください。

味の素フィールド西が丘
味の素フィールド西が丘
「味の素フィールド西が丘」

スポーツ施策では10年後のスポーツ実施率、65%を目指しています。東京オリンピック・パラリンピックが終わるとスポーツ熱が冷めてしまいますので、それまでが勝負だと思っています。2つ目、3つ目の総合型地域スポーツクラブを作ってスポーツとして活気ある街にしていきたいと思います。また、バリアフリー化や「(仮称)赤羽体育館」の施設設備を進める中で、区民のみなさんの運動習慣をいかにつけていくか。一生涯続いていく習慣を身につける土壌作りを、今のうちからしっかりとやっていこうと考えています。

北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー
北区役所オリンピック・パラリンピック課 インタビュー

今回、話を聞いた人

北区 教育委員会事務局

スポーツ施策推進担当課長:坪井宏之さん(写真:右)
東京オリンピック・パラリンピック担当課長:松村誠司さん(写真:左)

北区役所滝野川分庁舎
所在地:東京都北区滝野川2-52-10(旧滝野川中学校)
電話番号:03-3908-1111(代表)
http://www.city.kita.tokyo.jp/madoguchi/office_takinogawa.html

※この情報は2015(平成27)年4月時点のものです。組織名称、事務局所在地など変更の場合もございます。

区民一人ひとりが主体となる “トップアスリートのまち・北区”を目指して/北区 東京オリンピック・パラリンピック担当課
所在地:東京都北区王子本町1-15-22 
電話番号:03-3908-1111
開庁時間:8:30~17:00
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始
https://www.city.kita.tokyo.jp/