印西市立小倉台小学校 校長 伊東洋樹 先生 インタビュー

「そうすあじ」が合言葉、チーム小倉台で取り組む「印西市立小倉台小学校」の教育/印西市立小倉台小学校 校長 伊東洋樹先生


開発が進む千葉ニュータウンエリア。その中心ともいえる「千葉ニュータウン中央」駅の北側にあるのが「印西市立小倉台小学校」だ。生徒数は約900人を数え、北総エリア最大の児童数を誇っている。今回はそんな「印西市立小倉台小学校」の伊東洋樹校長先生に、学校の特徴やエリアの魅力、地域とのかかわりについてお話を伺った。

優しく、かしこく、たくましい子どもの成長を目指して

伊東洋樹校長先生
伊東洋樹校長先生

――まずは学校の概要についてお教えください

伊東先生:生徒数は今年度が927名。来年度は1,050人くらいになる予定で、北総エリアの中でも一番大きな小学校となっています。
学校教育目標は「豊かな心を育み 自ら学び たくましく生きる子ども」を目標としています。また、経営方針は、「豊かな心、確かな学力、健やかな体の調和のとれた教育活動の推進」、「教師は授業で勝負を合言葉に、わかる授業づくりを目指す」、「全職員の共同体性「チーム小倉台」の教育活動を推進する」、「地域・家庭と信頼し合い、安全で安心な開かれた学校づくりに努める」の4つを掲げています。
目指す児童像は「やさしく」、「かしこく」、「たくましく」という3つの柱があり、「豊かな心の育成」、「確かな学力の育成」、「健やかな体の育成」、「特別支援教育の充実」、「情報教育・国際理解教育の推進」、「研究・研修の推進」、「特色ある学校環境・施設・設備の整備」、「開かれた学校づくりの推進」の8つの具体的な方策を決めています。

学校外観
学校外観

――授業で勝負は、やはり授業が大事ということですね

伊東先生:教師というのは、子どもが好きなのはもちろんですが、授業を通して、子どもを育てる、一時間一時間を大事にして、楽しい授業を作るということも大切だと考えています。

――授業力向上などで取り組んでいることはありますか?

伊東先生:算数科では思考力、表現力を高める問題解決学習ということを研修で行っています。子どもたちがおはじきを使ったりお手玉を使ったり、具体的操作を通して、いろいろ考えて、計算を行いながら自分の計算力を高めていく。そういう思考をしながら、なぜそうなるのかを、友達と話し合い表現する。思考と表現をインプット、アウトプットしながら、スパイラル的に高めていくということを目指しています。
また、今年度から外国語活動を始めましたので、少しずつ研究を進めているところです。今までもALTの先生が来て英語の授業は行っていましたが、研究指定という形で市から指定して頂きました。今まではALTの先生が中心で授業を行っていましたが、学級担任がしっかりと主導しながら進めていく形にしていければと思っています。他にも、ICT教育や2020(平成32)年に始まる道徳科に向けても研修なども行っています。

 

小倉台小学校グランドデザイン
小倉台小学校グランドデザイン

――指導に関してはいかがですか?

伊東先生:生徒指導に関しては「そうすあじ」という合言葉を決めています。これは私が赴任してから作ったものなのですが、何を子どもたちに目指してもらおうか決める時に、共通認識を持たなくてはいけないということで、教職員で話し合って決めました。「そ」は掃除で気づく、「う」は歌声ひびけ、「す」はすっきり整頓、「あ」は明るいあいさつ、「じ」は時間を守るの頭文字を取っています。昭和初期に教育学者の森信三という方がいらっしゃったのですが、「時を守り、場を清め、礼を正す」という言葉を残されているんです。時を守るは時間を守る、場を清めは掃除、礼を正すはあいさつ。その3つは人間教育として一番大事だろうということで入れています。
この言葉は私自身もずっと大事にしてきたことで、お隣の「木刈小学校」にいたときにも、この3つに、みんな仲良しの「み」もいれて、「みそあじ」という合言葉を作っていたんです。
じゃあ「小倉台小学校」ではどうしようかと考えたときに、何が大事だろうと話し合い、安全性と、集団がきちっと一つになるということ、それが何より大事じゃないかということで、歌声ひびけの「う」と、すっきり整頓の「す」を入れることにしたんです。自分の身の回りがきちっと整頓できるということ、けが防止につながります。また、歌声ひびけはハーモリー、つまり調和を表しています。ハーモニーによって子どもたちの集団意識も高まっていくのではないかと思っています。
あいさつに関しては、笑顔の登校、満足の下校ということを目指しています。何かを期待して学校が楽しみになるとあいさつも元気になるんです。そのためには楽しいこと、自分が存在感を持てるようなこと、友だちとの関わりなど、いろいろな満足感を持って下校することが大切なんです。そしてそれが次の笑顔につながって、それが循環する。それを目指したいなと思っています。

「印西市立小倉台小学校」
「印西市立小倉台小学校」

――子どもたちの様子はいかがですか?

伊東先生:素直な子が多いですね。ただ、言われたことだけやるのではなく、気づき考える行動をとれるように、自主性を伸ばせるといいなと思います。
また、頑張り屋な子も多いですね。陸上の郡大会があるのですが、昨年度本校の男子チームがリレーで優勝しましたし、「印西市駅伝大会」でも、女子チームが新記録で優勝しました。子どもたちも非常に頑張っていて、毎朝、早起きして一生懸命練習を行っていましたよ。

自然と触れ合える大きなビオトープ

ビオトープ
ビオトープ

――「小倉台小学校」ならではの設備について教えてください

伊東先生:特徴的なのは教室前のオープンスペースです。「ふれあいの里」という大きなビオトープもあります。水が循環しながら植物やメダカなど、いろいろな生態系が形成されており、子どもたちが自然と触れ合える貴重なスペースとなっています。あとは、テントですね。テントの下が中庭のようなスペースになっているので、そこを覆っているのですが、その形がワニに似ているということで、子どもたちがワニマル君というキャラクターを作ったりもしました。

地域とのつながりも大切に

校舎内の様子
校舎内の様子

――地域とのかかわりや連携についてお教えください

伊東先生:この地区にはPTAや民生委員、児童委員、青少年相談員、高齢者クラブなど、いろいろな団体の代表者が集まる「さわやかコミュニティ推進会議」という組織があるのですが、話し合いをしたり、授業を見学する機会を設けています。その中で学校や地域の情報を交換して、協力して子どもたちを育てていきましょうとしています。あとは、読み聞かせボランティアとして、地域の方々に協力して頂いています。お手玉やけん玉などの昔遊びを教えてもらったりもしています。あとは、父母の皆さんに朝の登校指導や放課後の安心パトロールなどを行って頂いています。

校舎内の様子
校舎内の様子

――子どもたちが地域の行事に参加することはありますか?

伊東先生:「フレンドリープラザ」という公共施設があるのですが、そこのお祭りで合唱部が合唱を行ったりしています。合唱でいいますと、年に三回ほど「小倉台歌広場」という会を開催しています。二学年ずつが発表するんですが、それを保護者に聞いて頂いています。

――「フレンドリープラザ」に行くのは、合唱部の子たちですか?

伊東先生:そうですね。あとは、中学校の中に「福祉協議会」が高齢者を招く行事を行っているのですが、そこに本校の4年生が行って歌を発表したりもしています。

教師の取り組みを保護者にも知ってもらうことも大事

校内でも情報発信
校内でも情報発信

――ホームページでも研修内容を載せていますね

伊東先生:子どもたちのために私たちが行っていることを、保護者にお知らせして理解をしてもらうことも大事なことだと考えていますので、ホームページなどでもオープンに内容を公開しています。

――このあたりは比較的新しい住宅地ですが、地域の皆さんの学校に対する思いなどはどんな様子でしょうか?

伊東先生:非常に学校に対して思い入れが強いように感じています。実は2000(平成12)年くらいに、小倉台小学校でミニバスケットボール部を教えていたことがあるのですが、その時に全国大会にも行ったりしたんです。その時から保護者の雰囲気もよく、協力的なイメージがありました。もともと、地域としてのまとまりが強かったんだと思います。
最近は学区が広がったこともあり、雰囲気が違ってきましたが、それを“自分たちの学校”にしてもらいたいと思っています。その手立てとしてホームページを更新して、子どもと教師のかかわりや、教育方針などをうまく保護者に伝えていけるようにしています。最初は文章だけでしたが、写真を入れたり、五七五調にしてみたり、何とか興味関心を持って頂けたらと工夫しています。そのかいもあって、楽しみにしてますよ、と言って頂く機会も増ました。そうして学校に対する理解が深まると、学校をどんどんバックアップしてくれているなと、実感は沸いてます。

若い世代が多い子育てしやすい環境が揃った街

校庭
校庭

――千葉ニュータウン中央エリアの子育て環境の魅力をお教えください

伊東先生:やはりここは、住みよい街ランキングでナンバーワンに選ばれるくらい、利便性や快適性が高いですね。利便性でいくと、「成田空港」や東京が近いというアクセスに加えて、大型ショッピングセンターが非常に多いです。
あと、このあたりは北総台地上にあり地盤が強いんです。ですので、企業の電算システムなんかが結構このあたりに来ていますね。ですから、そういった安全性や安心性もあるかもしれません。それから街づくりも非常に良いですね。この小倉台地区は電柱が地中化されていますし、ゴミ処理のシステムなんかも充実しています。そういう意味で機能性的な街づくりで暮らしやすいので、若い人たちがたくさん来て、子どもたちも増えているのではないでしょうか。
同じ世代がたくさんいて、ネットワークやコミュニティが形成されやすいので、一緒に学校に足を運んでもらって、学校の事を一緒に考えていけると、さらに地域と学校が一体になっていけるのではないかと思います。

「そうすあじ」が合言葉、チーム小倉台で取り組む「印西市立小倉台小学校」の教育
「そうすあじ」が合言葉、チーム小倉台で取り組む「印西市立小倉台小学校」の教育

印西市立小倉台小学校

校長 伊東洋樹 先生
所在地 :千葉県印西市小倉台2-3
TEL :0476-46-5711
URL:http://inzai.ed.jp/oguradai-e/
※この情報は2016(平成28)年8月時点のものです。

「そうすあじ」が合言葉、チーム小倉台で取り組む「印西市立小倉台小学校」の教育/印西市立小倉台小学校 校長 伊東洋樹先生
所在地:千葉県印西市小倉台2-3 
電話番号:0476-46-5711
http://inzai.ed.jp/oguradai-e/