江東区立深川第八中学校 校長 佐藤太先生 インタビュー


江東区立深川第八中学校 校長 佐藤太先生

生徒、保護者、地域、教職員が共に進んでいくために。
質の高い教育に取り組む「江東区立深川第八中学校」

東陽町と深川を分ける運河沿いにある「江東区立深川第八中学校」。全体が船の形をしているという近代的な造りの校舎で、約300名の生徒が学んでいる。 “第八”という名前からは比較的新しい学校を想像する人もいるだろうが、実際には1961年に開校し、半世紀以上の歴史を刻んでいる伝統校である。地域の人々からは「八中」と呼ばれて親しまれている。今回はこちらに校長として2年前に赴任して以来、独自の教育哲学と情熱で腕をふるっている佐藤太校長に、学校の特色や地域との関わりについてお話を伺った。

佐藤校長先生が教育目標として力を入れている「3つのK」について教えてください。

「3つのK」というのは、「共生」、「共有」、「協働」の3つの学校経営方針でして、私が着任した2年前から取り組んでいるものです。学校方針というのは、教員だけで決めるのではなくて、子ども、教員、地域、保護者が一緒になって考え、進めていくものですので、その実現のためにどうすれば良いのかを、「3つのK」という言葉で具体化しました。

いろんな子どもたちがいる中で、「共に生きていく」ために、本質的な生き方を学ばせていきたい。子ども達同士でいろんなものを「共有」し、さらには子ども達だけではなく、教職員、保護者、地域も一緒に共有しながら、学校を進めていきたい。そのために、一緒になって、みんなで動いたり、汗をかいたり、考えたりして「協働」したい。この3つの方針について、それをイメージしやすいようにしています。

「3つのK」について、校長先生の着任から実践を始めた具体的な取り組みはありますか?

深川第八中学校インタビュー
深川第八中学校インタビュー

まず「共生」に関しては、相手を理解しながら、切磋琢磨して、学校を動かしていくということがありますから、生徒、地域、保護者のニーズを、学校側がしっかりと把握することに取り組んでいます。「ニーズがあるのに、今まで手がいかなかった部分」について、そのニーズを捉え、教育に生かしていくことを考えています。「今までこうだったから」ではなく、「今、生徒や保護者は何を求めているのか」ということを拾い上げて、一緒になって進んでいこう、ということですね。

具体的には、「学習」、「学校行事・部活動」について特に力を入れて取り組んでいます。学習面では、たとえば放課後の補習授業、土曜日と夏休みの補習授業を新たに始めました。“授業で不十分だったところを補ってほしい。”こういうことが、実際に「ニーズ」として挙がってきたんですね。

それから、「基礎学力が大事」という意見もありましたので、根本的な「読み・書き・そろばん」という基礎を身につけるため、朝の実習で国語、英語、数学の3教科、3年生に関してはは理科、社会も、基本的なことを繰り返して行うようにしました。これに関しては、年間9回の「コンテスト」も行っていまして、成績優秀な生徒達は、朝礼で表彰するなどして意欲を高めています。このコンテストについては、内容としてはごく基礎的なものですので、誰でも頑張れば成果が出せるものになっています。

また、全学年で数学と英語の少人数授業にも取り組んでいます。これは普通の体制では出来ませんから、東京都から特別に教員を配置してもらっていまして、クラス数を増やしています。これも本校独自の取り組みです。確かに先生にとっては大変なことですが、私はあくまでも「子どものためになるかならないか」という判断基準で考えていますから、子どものためになる、学力が付くというのであれば、厭わずそれを導入しますし、今後もそうしたいと思っています。

学校行事や部活動についても盛んとお聞きしました。

木場六丁目 インタビュー
木場六丁目 インタビュー

学校行事に関しましては、本校の伝統的な教育目標の「自主・自立」に基づいて、子ども達が主体となって企画し、生徒会やそれぞれの実行委員会などが中心になって行っております。それは、子どもたちの「自分がやった」という達成感、満足感にもつながりますから、「みんなでやりきっていく」という気持ちが生まれてとても盛り上がします。また、本校では特別支援学級の子ども達も一緒になって、運動会、文化祭、合唱コンクールなどの行事を行っていますので、自然にお互いを思いやる心が育ちますし、子ども達も全力で頑張ってくれています。

部活動に関しては、子どものニーズに合わせて出来る範囲の部活動を展開しています。私が着任してからは、「部活動の充実をはかろう」ということでバレー部、野球部、美術部を新しく創設しました。本校では教職員全員が部活動の顧問になっていて、より活性化しています。

行事や部活動に限らず、子どもたちがやりたいという活動は、なるべく出来るように、充実・活性化に取り組んでいますので、今後もこういう課程外のものに関してもしっかりニーズを捉えて、それを提供していきたいと思いますね。

特に活躍している部活動、特徴的な部活動などはありますでしょうか。

木場六丁目 インタビュー
木場六丁目 インタビュー

部活動に関しては運動系が強いです。昨年でいいますと、バスケットボール部は、男子が区大会とブロック大会で優勝しましたし、都大会でもベスト16に入りました。女子も区の大会で4位で、ブロック大会にも出場しました。またテニス部も、区の大会で男子は優勝、女子も3位になって、都大会やブロック大会に出場しました。バドミントン部も強かったですね。もちろんそのほかの部も頑張っていますね。

文化系の部は、地域で活躍しています。文化部の中で特色ある部としては「ダンス部」がありまして、地域の色々なお祭りなどに呼ばれて、ダンスを披露する機会も多いようです。吹奏楽部もたびたび地域の老人ホームなどで演奏をしています。

高校への進学実績などについて教えていただけますでしょうか。

木場六丁目 インタビュー
木場六丁目 インタビュー

進路先の高校はそれぞれですが、国立や難関といわれる学校に合格している子も毎年いますね。先生方も進学指導には熱心に取り組んでくださっていますし、生徒たちの進学に対する意欲は高いと思います。

生徒達の生活面のケア、トラブルへの対応・体制はどのようにされているのでしょうか。

まず、子どもの情報はすべて共有しようということで、たとえばイジメや不登校などはあってはならない問題ですが、「起こりうる問題」ということでいつも目を配っています。教員も子ども達ときめ細かく接して、サインをきちんと読み取るようにしていますし、もし何かが起きた場合は、早期に解決ができるように取り組んでいます。

週に1回のペースで「生活指導部会」というものを行っておりまして、そこで問題の種があれば全部出すようにしています。会議の場にはスクールカウンセラーも入っていまして、問題があれば即時に対応できるようにしています。問題を把握したら、すぐに保護者に連絡をして、保護者と子どもを交えて話し合い、早い段階で解決するようにしています。でも実際には、この学校はすごく心の優しい子が多いですから、問題はあまり起きていませんね。

保護者や生徒の相談窓口などはありますか?

スクールカウンセラーが週に1回居りますので、どんなことでも気軽に相談していただけます。子ども達も思春期ですのでいろいろな悩みもありますが、心を開きやすいようにできるだけアットホームな感じで接するようにしています。

土曜日に行われている「学校公開日」とはどのようなものでしょうか。

江東区立深川第八中学校
江東区立深川第八中学校

本校は独自に土曜日の授業を行っていまして、そのうち年に5日ほどを、「学校公開日」ということで、保護者の方や地域の方にも自由に来ていただけるようにしています。自分の子どもがどんな教育を受けているか、ということは保護者の方の一番の関心事ですよね。だから、保護者の方のニーズを拾って、出来ることは一生懸命にやっていきたいと思っています。ここでは“ありまのままの学校”を見ていただきますから、先生の授業が悪ければ批判もきますし、クラスの様子がおかしければ批判がくるわけです。しかし全てのことをオープンにして、見てもらって「説明責任」を果たすようにしています。

学校の施設設備などの特徴や魅力的な部分がありましたらご紹介いただけますか。

木場六丁目 インタビュー
木場六丁目 インタビュー

校舎内をご覧になるとおわかりになって頂けると思いますが、うちは「きれいな学校」です。きれいな環境からきれいな心が育ったり、物を壊さない心が育ったりすると考えておりますので、校舎は徹底的にきれいにさせています。これがまず第一の魅力だと思います。

施設面としては、生徒数の割に体育館が大きいですね。大会などの会場になるくらいの大きさですし、もちろんここもきれいです。各階に憩えるスペースがあり、生徒が休み時間などに自由に使えるという構造も珍しいと思います。また、エレベーターがあるのは江東区23校の中でも珍しいと思います。これは特別支援学級の子どものため車椅子等でも安心して使用できるように設置しています。

生徒達の様子について教えてください。

まず、「優しい」ことです。7組(特別支援学級)も含めみんなで共に行事などをやることが多いこともあり、非常に人に対して理解や思いやりのある優しい子どもたちになるんでしょう。それに付随して、やはり「素直な心」というのも感じますね。言い換えれば「スレていない」とでも言うのでしょうか、思春期になるとちょっと斜に構えて大人を見る子どももいるのではないかと思いますが、本校の生徒はとても素直な子ども達だと感じます。3クラス編成という小さな学校ですから、先生と生徒の距離も近くて、丁寧に接しているんだと思いますね。子ども達も「見てもらえている」という安心感があるのでしょうか、がさつな動きが無いですし、そもそも地域全体が「優しい地域」ということもあるのでしょう。

地域との関わりについて、特質すべき点などがあればお教えください。

深川第八中学校インタビュー
深川第八中学校インタビュー

地域との関わり、という部分については、まず「避難所」としての役割が大きいかもしれません。江東区では従来まで、小学校が災害時の避難所となっていました。ですが、ここの地域は運河が多いですから、小学校に避難できないかもしれないということがありまして、平成17年度から、中学校独自と地域の町会とで、避難所を作って運営しているんです。避難所運営の会議も開いていますし、校内で物資の備蓄もしていますので、防災を通じた地域との関わりというのは大きいですね。クラスの表示の横には町会名が書いてありますが、これも災害時のためのものです。

学校運営面では、地域の方による「学校評議会」というものがありまして、学校に対する意見をいただいています。地域の皆さんも協力的な方が多くて、校長として私も嬉しいですね。地域の皆さんが「学校の応援団」になってくれているんです。

木場六丁目 インタビュー
木場六丁目 インタビュー

また、学校の教育活動、学習面、部活面、安全面など、40の点検項目を自分達で作ってアンケートをとっています。これは学校評議会と保護者全員の方々にしていただいていまして、それに基づいて、次の年度の計画を考えています。アンケートは匿名でして、私に直接持ってきてもらって、その結果を教職員にフィードバックするようにしています。教員が見てしまうと本音を書けないという部分はありますからね。このような取り組みも、ほかの学校もおそらくいろいろやっているものかとは思いますが、「匿名で校長に直接提出する」という形は珍しいのではないでしょうか。でも、私はこれは匿名でやったほうが良いと思っているので、そうしています。

土曜日の公開授業の日は、保護者だけでなく、地域の方も含めて1日で150人くらいの方に来ていただいていますよ。

 

最後に、佐藤校長先生が思う、江東区木場の地域の魅力についてお聞かせください。

地域の人たちがとても温かいところが良いですね。地域を大事にする人たちが多いと感じます。どの地域もそういった点はあるのだとは思いますが、とてもその想いが熱い、強い地域ではないかと思います。実際に住んでみればわかると思いますが、子ども達のために一生懸命に地域が動いてくれるんですね。“下町的な人情のある地域”、とでも言えばいいのでしょうか。

その反面で、都会的な面もありまして、バスなどの交通機関がとても充実していますので、都心にもすぐに出られますし、「生活のしやすさ」という点でもとても魅力的かと思います。下町であり、都会的でもあるという、両方を共有しているのがユニークなところですね。

また江東区のキャッチフレーズに「水彩都市」というものがあるのですが、この辺りは“まさしく”といった感じでして、水のある風景、水のある暮らしというのも良いですね。

 
木場六丁目 インタビュー
木場六丁目 インタビュー

今回、話を聞いた人

江東区立深川第八中学校 校長 佐藤太先生

所在地:東京都江東区塩浜2-21-14

電話番号:03-3647-0581

※記事内容は2013(平成25)年6月時点の情報です。

江東区立深川第八中学校 校長 佐藤太先生 インタビュー
所在地:東京都江東区塩浜2-21-14 
電話番号:03-3647-0581
http://www.koto.ed.jp/fuka8-chu/