「10の実践より1つの徹底」、人間形成の基礎・基本を身につける場として/さいたま市立三橋小学校 校長 松本 勝先生
日常のあいさつから見える『一事徹底』の理念と家庭とのつながり。「10の実践より1つの徹底」、人間形成の基礎・基本を身につける場として。
開校より125年を迎える地域に根ざした「さいたま市立三橋小学校」。2013(平成25)年時点で全校児童数が1,056名にのぼる大規模校で、地域と一体となった子育て環境に恵まれています。近隣には「三橋公園」をはじめとした緑豊かな公園も多く、子育てに適した地域として担う役割もよりいっそう大きくなることが期待されています。『一事徹底』を理念に掲げる同校ではいったいどんな取り組みが行われているのか、今回は、松本勝校長先生にお話を伺ってきました。
まず、「さいたま市立三橋小学校」の学校の歴史や特徴についてお教えいただけますでしょうか。
本校の歴史は1889(明治22)年開校の「並木尋常小学校」にはじまります。「三橋小学校」と呼ばれるようになったのは昭和に入ってからのことで、本校の西側を流れる加茂川に3つの橋がかかっていたことに由来しているようです。
私は、28代目の校長として着任し2年目を迎えますが、2013(平成25)年度で開校より125年を迎える歴史ある学校です。現在、全校児童数は1,056名にのぼり通常学級30クラス、特別支援学級2クラスの計32クラスを擁する大規模校となっています。
通学区も南は大宮バイパスを越えた「さいたま市立大宮西高校」あたりから北は「三橋総合公園」の南端あたりまでと広く、近隣地域において果たす役割は非常に大きいと感じています。
各クラスの担任、専科副担任に加え、教頭も2名体制で教育と学校運営に携わり、“人間形成の基礎・基本を身につける場”としての学校の役割に徹底しています。着任と同時に経営理念として掲げた『一事徹底(いちじてってい)』には、「10の実践より1つの徹底」を前提に、日常の“あいさつ”を徹底させることからはじまりました。
理念として掲げる『一事徹底』の具体的なエピソードについてお聞かせください。
まず学力面での取り組みとしては、〈読み・書き・そろばん〉の基礎学力の向上を重視し、徹底しています。具体的な方法としては「水曜朝カルタタイム」と名付け、週1回、8時15分から25分までの10分間を充てています。低学年は「犬棒カルタ」、中学年は「埼玉郷土カルタ」、高学年は「百人一首」と、年齢に応じた教材を用いて豊富な語彙力の習得を目指しています。
また、徳力いわゆる情操面での取り組みについては、2013(平成25)年5月にはじめて実施した「ほめほめ週間」が挙げられます。
教師も親も、つい叱ったり注意したりするところからはじまる子どもへの関わり方をしてしまったりしますが、まずはいったん受け止めて“褒めて育てる”ところからはじめるようにしよう、という取り組みです。まだ初めての試みで、長い時間をかけて取り組むべき課題ですが、学校が主体となって親の意識改革を促してゆく有効な取り組みだと思います。
ほかには、一年間のうち2日を「お弁当の日」と指定し、お弁当づくりを通じた親子の交流を促しています。低学年は一緒に買い物するところからはじまり、中学年は朝早起きして一緒に作る、そして高学年になったら自分自身でお弁当を作ってみる、といったように子どもの成長段階に合わせた働きかけも大切にしています。
このように、学校の取り組みや理念が日常の“あいさつ”に象徴されるように、目に見えるかたちで子どもたちが変わる様子が見える、言い換えれば“可視化”されることで各家庭の理解や関心もより深まるのではないかと考えています。
大規模校ならではの魅力、また「三橋小学校」の特色についてお聞かせください。
「三橋小学校」における特徴的な活動としてまず挙げられるのは、金管バンドの「LUX(ルクス)ブラスバンド」です。本校の卒業生でもあり、日本フィルハーモニー交響楽団でも活躍しているトランペット奏者の中里州宏さんが指導にあたってくれたこともありました。現在、4年生から6年生までの43名の部員が平日月・火・木・金曜日の17時30分までと、土曜日にも練習に励んでいます。2013(平成25)年度の県の吹奏楽コンクールでは「金賞」を受賞し、その活動はメディアでも紹介されました。
また、本校ならではの活動として、隣接する「三橋公民館」でのクラブ活動も特色があります。〈融合施設〉という位置づけで2000(平成12)年に建て直しされた公民館ですが、上履きを履いたままで行き来できる環境が整っています。もちろん施錠管理によるセキュリティにも配慮されたつくりですが、地域との交流を促す場としても注目を集めています。
近隣では珍しい「茶道クラブ」は女子児童14名による活動で、公民館の茶室を利用して行っています。指導者にはもともと公民館の利用者だったお茶の先生に協力をいただき13年目を迎える本格的な活動へと発展してきました。
本校には、もともと地域の方々が子どもを見守り育ててくれるという地域性が根付いていたことから、先のクラブ活動への協力をはじめ防犯ボランティア83名、交通指導員20名と地域と一体となった子育て環境に恵まれている点も三橋小学校ならではの魅力でしょうか。
子育て環境としての、さいたま市大宮区三橋の街の魅力についてお聞かせください。
三橋周辺には緑が多く、学区内にある「大平公園」や「並木公園」といった身近な公園をはじめ、学区と隣接する「三橋総合公園」は約10.3haもの広さを誇る市内でも有数の広大な緑地空間です。週末に家族そろって楽しめる場としても人気が高く、散歩やレジャーなど子育てに役立つ環境です。
「大宮」駅西口からバスで約7分と交通のアクセスも良く、自然環境にも恵まれた環境は子育てたちが健やかに成長するために適した環境と言えるでしょう。
本校でも、先の「LUXブラスバンド」の活動をはじめ、昨今ではさいたま市の駅伝大会で女子が29年ぶりに優勝に輝き、男子も堂々の3位に入賞するなど子どもたちの活躍には目覚ましいものがあります。
“あいさつ”を徹底することにはじまった「三橋小学校」の取り組みが、今後ますます魅力ある学校として発展し続けることを願うばかりです。
今回、話を聞いた人さいたま市立三橋小学校 校長 松本 勝先生所在地:さいたま市大宮区三橋2-20 ※記事内容は2013(平成25)年8月時点の情報です。 |
「10の実践より1つの徹底」、人間形成の基礎・基本を身につける場として/さいたま市立三橋小学校 校長 松本 勝先生
所在地:埼玉県さいたま市大宮区三橋2-20
電話番号:048-641-0792
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