最新設備と個性的教育を導入、歴史・自然と共に歩む/八王子市立七国小学校(東京都)
平成15年(2003年)4月、八王子に開校した『八王子市立七国小学校』は、その名の通り屋上から、奈良時代から利用されていたといわれる八王子市と町田市の境にある鎌倉古道山ノ道の峠『七国峠』を望むことができる、自然と歴史が身近にある小学校。同校は、八王子市教育委員会の研究指定校になるなど、さまざまな取り組みを行っている小学校でもあります。今回は、同校の鈴木淳校長先生に、学校の取り組みについてお話を伺いました。
よりよく生きる力を育てる
――教育目標と、その実践に向けて力を入れていることをお教えください。
鈴木先生:本校の教育目標は、“公教育の目的である基礎的・基本的な学力の定着・向上と、人格形成に向けてバランスの取れた教育の展開。そして義務教育9年間を見通した学びと育ちの連続性・系統性を重視し、教養と品格のある人間を育成する”です。“生涯にわたってよりよく生きる力”の基礎を育む場所というのが、我々の理想とする学校像です。また、子どもの行動的な表現として“自分を伸ばします・進んで学びます・心をみがきます・体をきたえます”を掲げ、今年度については“考える力の育成”と“社会性の育成”に力を入れています。
――特徴的な取組みはありますか?
鈴木先生:1つ目は“考える力の育成”です。児童の実態を踏まえた上で、各教科・領域を通して考える力の向上に取り組んでいます。昨年度と今年度については、八王子市教育委員会の研究指定校として、“考える力を育てる指導の工夫と実践”を研究主題に設定し、仕掛けを盛り込みながら、国語科の授業実践を重ねています。2019(平成31)年1月22日には、市内の小学校に向けて研究成果を発表する予定です。
2つ目は“外国語(英語)教育の充実”ですね。市内で英語専科の教員が配置されたのは本校だけです。専門性の高い加配教員による外国語活動を5・6年生には年間70時間、3・4年生には年間15時間実施しています。2018(平成30)年4月の実施から半年近くが経過した段階で、子どもの英語に対する関心が高まったという確かな手応えを感じています。家で英語の話題を持ち出すようになったという話や、英語検定を受けようとする子どもが増えたといううれしい報告もあります。英語教育に対する保護者の関心も高く、学校公開時には、授業を行っている「English room」に入りきれないという方が出てしまうほどです。それ以外にも、本校は以前から「玉川大学」との連携による英語教育をしていますが、昨年度からは1・2年生を対象に、同大学の教員と学生による英語活動の時間を実施しています。英語を学ぶというよりは、英語に親しみ、興味を持ってもらうというのが狙いです。
閑静な住宅街にたたずむ小学校
――校舎を含む設備面についてもお聞かせください。
鈴木先生:敷地は18,362平方メートルと広く、そのなかに“ロ”の字型をしている2階建て校舎が立っています。広い中庭や、壁のない教室、いわゆるオープンスペースが設けられているわけですが、多様な学習形態に対応できるようになっています。また、ガラスを多用しているため建物内は明るく、爽やかな気持ちで学校生活を送れるのではないかと思います。他にも、「七国峠」を望める屋上にはプールと緑化スペースだけでなく、雨水の再利用システムやソーラーパネルも設置されており、環境への意識が自然と高まる校舎になっています。
――小中一貫教育では、どのようなことに取り組まれていますか?
鈴木先生:義務教育9年間を見通した教育活動を通じて、児童・生徒の学力向上を図るとともに、社会性・人間性を育むため、小中一貫教育を推進しています。児童と生徒との交流については、児童会・生徒会の交流事業としてユニセフ募金を合同で行いました。小学生が中学校の体育館で、劇を通じてユニセフ募金を呼びかけ、反対に中学生はプレゼンテーションをしました。また、小学1・2年生と中学1年生が、1学期と2学期に交流するのですが、中学生が後輩たちを楽しませようと色々な工夫をしています。思いやりの心が育っているという実感は、我々にとっても大変うれしいものです。それ以外では、中1ギャップの解消につなげるため、6年生による部活動見学や、中学校の先生による英語・数学の出前授業も実施。また中学校の職場体験では、4名の中学生を受け入れました。教員同士の連携についても、年4回の小中合同研修会を通じて、教員同士が話し合える関係性を築いています。
――転入生も多いと思いますが、特に心がけていることはありますか?
鈴木先生:新しい環境に入っていくというのは、大人でも大変なエネルギーが必要になります。学校によって考え・対応は異なるかもしれませんが、本校としては、楽しく学校に通うために何が必要で、どのようなサインに気づくべきかを話し合っています。
――八王子みなみ野エリアの特徴・魅力について、どのようにお考えでしょうか。
鈴木先生:本校の校歌は“広い大地に輝く風 歴史と共に生きる ここは七国――”で始まり、2番は“広い大地に輝く風 自然と共に生きる ここは七国――”から始まります。この歌詞に見られるように、歴史と自然と共に生きるという実感が得られることが、この街の魅力ではないかなと思います。「八王子みなみ野」駅の近くには複合商業施設があるので、日常生活で不便を感じることはないと思います。生活上の高い利便性も魅力のひとつですね。
この地を支え、発展させてくださった昔から住んでいる方と、新しく移り住まれた方によって創られた街――。ここは歴史と伝統、そして新しい文化が融合した理想的な街ではないかなと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。歴史を刻む八王子の地に根差した『八王子市立七国小学校』。グローバル化を見据えた外国語教育への取り組みは、専門性の高い教諭のもと、大学との連携などもおこないより本格的に。小中一貫の教育により、社会性、人間性も育まれ、着実に成長・学習したことが身に着き、社会に羽ばたく子どもたち。これから八王子への移住と、子どもの教育を考える際の参考にしていただければ幸いです。
八王子市立七国小学校
校長 鈴木淳 先生
所在地:東京都八王子市七国5-27-1
電話番号:042-635-2100
URL:http://hachioji-school.ed.jp/nnkne/
※この情報は2018(平成30)年11月時点のものです。
最新設備と個性的教育を導入、歴史・自然と共に歩む/八王子市立七国小学校(東京都)
所在地:東京都八王子市七国5-27-1
電話番号:042-635-2100
https://hachioji-school.ed.jp/nnkne/