緑豊かな環境で、「学校+家庭+地域」を掲げ ”優しい心” をはぐくむ/東村山市立青葉小学校(埼玉県)
所沢街道近くにある「東村山市立青葉小学校」は、2022(令和4)年度で創立から50周年を迎える小学校。今でも隣に雑木林があるという緑豊かな環境で、500人ほどの子どもたちが学んでいる。また、「国立療養所 多磨全生園」が近くにあることから、伝統的に人権教育に熱心な学校としても知られていて、地域の人々に支えられながら、心優しい子どもたちを育んでいる。
今回はこちらで4年前から校長を務められている小板橋悦子先生を訪ね、学校の特徴、教育に対する思い、地域との連携、地域の魅力などについてお話を聞いた。
自然と共に歩む、世代をつなぐ学び舎
――今年(2022年)で創立50周年を迎えられるそうですね。学校の沿革、現在の学校の概要についてお聞かせください。
小板橋先生:本校は1972(昭和47)年に、667人、19学級でスタートした小学校になります。今年でちょうど開校から50年を迎えます。開校当時はこの辺りの宅地開発が進んでいた時期で、それにともなって人口が非常に増えたために、新しい学校が必要ということになり開校したという経緯があります。
――この秋には、50周年事業も計画されているそうですね。
小板橋先生:50周年式典は10月29日の土曜日に計画していますが、コロナ前に行われていたように、PTAの方や地域の方も含めて、大勢を一か所に集めて開催するという形にはできません。ですので、子どもたちと限られた外部の方だけが参加する式典を1時間くらいで開催しまして、その後に、全校児童、保護者の方、地域の方にも一部ご参加いただけるような集会活動を、感染対策をしながら、実施したいと考えています。
――学校施設のハード面での特徴があれば教えてください。
小板橋先生:まず、校庭は市内でもかなり広いほうです。のびのびと身体を動かしたり、遊んだりできる環境はあると思います。
それから、校庭のはじのところにちょっとした山がありまして、子どもたちからは「青葉山」と呼ばれています。「青葉山」のすぐ横にはみかんの木があって、実際に温州みかんも収穫できますし、雪が降れば、子どもたちがそこで滑って遊んだりしている光景も見られます。
また、学校のすぐ隣にクヌギの雑木林があります。秋になると、学校のほうにも、公園の側にも、どんぐりがいっぱい落ちてくるんですよ。実は本校の校章に描かれているのも、このクヌギの葉なんです。
校舎と校庭の間に緑のトンネルのようになった通路がありますけれども、ここには「青葉の小径」という名前が付いています。春にはサクラやツツジの花が咲く中を子どもたちが通ることができます。
教師も一緒に、好奇心を大切に育む環境
――教育目標、特に力を入れて取り組んでいる教育活動について教えてください。
小板橋先生:教育目標については、「進んで学ぶ子」「豊かにかかわる子」「じょうぶな身体をつくる子」「いのち・人権を大切にする子」という4つの言葉を掲げています。
ここ数年は「進んで学ぶ子」の育成というところに重点をおいていまして、「教師から教える」という学習ではなく、「子どもたち同士が学びあう」とか「自分で課題を見つけて取り組む」ということを大切にしたいと考えています。
教師たちにも同じように自分で課題を見つけて、手立てを考え、実践し、振り返って、また新たな課題を見つける、という流れを実践してもらい、校内研究を続けているところです。
――課外活動や学校行事について、主要なもの、ユニークなものがあれば教えてください。
小板橋先生:本校では「総合的な学習の時間」の中に人権学習を位置付けていまして、「国立療養所 多磨全生園」との交流でハンセン病の学びを通じ、人権について幅広く考えていくことを行っています。
コロナウイルスもそうでしたが、「正しいことをきちんと知らない」ということは、差別や偏見につながりかねません。本校の子どもたちの間では、コロナに対し偏見や差別が生まれていることに対して、「それは違うんじゃないか」という意見がたくさん行き交っていました。そうした様子から「人権の学び」が、子どもたちの中にすとんと落ちていることを感じ、嬉しく思いました。
SDGsやICTなど、話題の取組みも積極的に取り入れる教育姿勢
――課外活動、学校行事、クラブ活動などについて教えてください。
小板橋先生:学校行事は、10月に運動会を、11月に展覧会と音楽会を交互に開催しています。
校外学習については、6年生が日光の移動教室に行っていまして、本年度も予定通り実施することができました。ほかの学年の遠足については、まだ公共交通機関を使うのは憚られますので、近くにある市の運動公園で、それぞれの学年ごとに遊びを楽しむという形で行ってきました。
クラブ活動については、学校でやっている活動ではないのですが、女子のミニバスケットクラブの強豪校として知られていて、もう10年以上も前になりますが、全国大会で優勝したこともあるそうです。ほかにも、これも外部のものになりますが、野球チームとサッカーチームがありまして、土日に校庭を使って活動をしています。
――タブレット端末やICTを活用した学習も進んでいるかと思います。どのような利用をされていますか?
小板橋先生:GIGAスクールの施策によって、本校にも1人1台のタブレットが昨年度から入りまして、貸与という形で子どもたちに渡されています。
タブレットが入ったことによって、自分たちで課題を解決するといった方向に、学習の形が変わってきているのかなと感じています。 ただ、教員も習熟していかないといけないので、サポートをいただきつつ使い方の研究をしているところです。
――教室には大きなモニターもありましたが、どのように使われていますか?
小板橋先生:授業の中ではもちろん、集会の時などによく活用しています。
たとえばクイズ集会の時などは、スライドでクイズを作って、画面共有をしながら集会活動をするというのは、子どもたちだけで当たり前にできるようになっていますね。音楽集会についても、自分たちが奏でた伴奏でみんなに歌ってもらったり、生放送をしたり、録画したものを放送したりといったことを、音楽委員会が中心になってやっています。
――近年はSDGsに関する活動にも力を入れているそうですね。
小板橋先生:SDGsについては、東村山市がSDGsのパートナー認定制度というのを行っていますので、本校でもその認定制度を受けて、SDGsの推進をしています。
本校はSDGsの10番(人や国の不平等をなくそう)、11番(住み続けられるまちづくりを)、15番(陸の豊かさも守ろう)の3つを掲げています。 今行っている教育活動をSDGsに関連させながら、教育活動をしているという感じです。
地域一帯となって見守る、明るい青葉の子どもたち
――地域との連携や、地域と一緒に行っている行事などがあれば教えてください。
小板橋先生:本校では教育活動の中に「地域コーディネーター」の方がいろいろな形で関わってくださっていて、これは大きな特徴になっていると思います。
たとえば、図書ボランティアの方が積極的に活動してくださっていて、図書室の本の整理や、図書室の環境整備などをやってくださっています。今は「スイミー」の飾りが飾られていますけれども、これも図書ボランティアの方が作ってくださったものです。
下校中の見守りについても、市から派遣されて来てくださっている方と、青葉町の地区のボランティアの方が登下校時に、PTAの方は当番を決めて、朝の登校時に、毎日子どもたちを見守る活動をしてくださっています。これも本当に有難いですね。
このほか、青少年対策地区委員会の方々も例年、いろいろな行事を企画してくださっているのですが、今はコロナの関係でなかなか実現できないことが多くて、そんな中でもなんとか、日帰りキャンプを企画してくださったりと、子どもたちのために動いてくださっています。
――青葉小の子どもたちについて、どんな印象がありますか?
小板橋先生:とても元気で、明るい子が多いですね。あいさつもしっかりできる子が多いです。あとはやはり、心の優しい子ばかりですね。友達に自分と違うところがあっても、そこを指摘したりするのではなくて、「一緒の仲間だよね」という気持ちで接していて。 もちろん人権教育の影響もあると思いますけれど、保護者の方もよく育ててくださっているのかな、ということは日々感じています。
――東村山市、青葉町周辺の環境の魅力をお聞かせください。
小板橋先生:すごく自然が残っているということです。雑木林もそうですし、空堀川についても、川沿いが遊歩道になっているので、歩いても楽しいですし、水辺になっているところもありますし。また、遊んだりはできないのですが、「多摩北部医療センター」の周りにも雑木林がよく残っていますね。そういう風景を見ていると、すごく心が落ち着きます。
あとは、地域の方が素晴らしいですね。青葉小学校のことを本当に身近に感じてくださっていて、「青葉小学校だったら協力するよ」ということでいつも力を貸してくださって、学校としても、すごく大きな支えになっています。
東村山市立青葉小学校
校長 小板橋悦子先生
所在地:東京都東村山市青葉町2-33-1
URL:https://www.fureai-cloud.jp/e10-aoba/
※この情報は2022(令和4)年9月時点のものです。
緑豊かな環境で、「学校+家庭+地域」を掲げ ”優しい心” をはぐくむ/東村山市立青葉小学校(埼玉県)
所在地:東京都東村山市青葉町2-33-1
電話番号:042-391-8110
https://www.fureai-cloud.jp/e10-aoba/