先代から受け継いだ歴史を守りつつ、新しい取り組みにも果敢にチャレンジする創業約100年の鰻割烹/恵比寿亭(埼玉県)
大正時代の創業から約100年の歴史を有し、地域を代表する名店のひとつである「恵比寿亭」。先代から受け継いだタレを使った鰻料理をはじめ、家族のお祝いごとや特別な日に相応しい季節の食材を使った料理に出会えるとして評判のお店です。 今回は注目の「Agetake(アゲテイク)」をはじめ新しい取り組みにも果敢にチャレンジする4代目の宮島真亜久さんを訪ね、お店の歴史やこだわり、上尾の魅力についても語っていただきました。
大正時代から約100年続く、地域に根差したお店
――まず「恵比寿亭」の歴史についてお聞かせください。
宮島さん:当時の資料が残っていないので詳しいことはわからないのですが、開業したのは大正時代の終わり頃と聞いています。もともと東京と上尾にお店があったのですが、震災の影響で東京のお店が立ち行かなくなり上尾のお店に集約したそうです。
当時から割烹として営業していたようで、おそらく今年で96〜97年目になります。私はもともと料理人として都内のお店で修行しており、今から5年ほど前にお店に戻ってきました。まずは下積みを重ねたのち、3年前から4代目としてやらせていただいています。
都内のお店とはやり方の違うところもあり、日々勉強になることが多く、地域密着のお店として今後どうするべきか、一歩一歩やっています。
先代の頃から変わらぬ味を提供。季節ごとの食材を使った料理も評判
――お店のこだわりについて教えてください。
宮島さん:鰻に関しては「坂東太郎(ばんどうたろう)」というブランドの鰻と九州産の特選鰻を扱っていて、時期によって旬の鰻を仕入れるようにしています。「坂東太郎」というのは利根川の愛称で、古くから天然の鰻が獲れたことからその名前がつけられました。現在は数に限りがあるため養殖を提供していますが、時期によっては利根川産の天然鰻を提供することもあります。
先代から受け継いだタレを使っていることも、こだわりのひとつです。他のお店ではなかなか使うことのない九重みりんという高級なみりんを使い、甘すぎず飽きがこない特徴を持つタレです。食べたあとずっと口の中に余韻が残るような上品な風味があります。 先代の頃からの鰻職人や20年以上ずっと板場でやってくれている料理長など、店の歴史を知るスタッフたちとともに日々取り組んでいます。
お座敷や個室もあるので七五三やお祝い事にも人気
――ご来店されるお客様はどのような方が多いですか? 子ども連れでの利用も可能でしょうか。
宮島さん:お客様はご年配の方が多いですかね。先代の頃から来てくださっている常連の方も多くいますし、お座敷や個室もあるのでお祝い事などで使ってくださる機会も多く、お子さまも大歓迎です。 当店では桃の節句や端午の節句など季節に合わせて期間限定のコースも提供していますし、七五三のコースも人気があります。 今はちょうど店内に雛壇を飾っていますが、お子さまがいらっしゃった時にそこで記念撮影をさせていただいて、お食事が終わって帰る頃に写真をプレゼントさせていただくといったこともしています。
ご家庭で楽しんでいただけるような期間限定の出前メニューも提供
――出前や仕出しもされていらっしゃいますが、詳しく教えていただけますか?
宮島さん:当店では以前から出前や仕出しをやっていまして、「鰻重」をはじめ、鰻の「蒲焼」や「白焼」、鰻を2本並べた「いかだ二枚重」や「うなぎ棒寿司」といった鰻料理を提供しています。お子さまにも人気の「鶏唐揚げ」や人気の「もつ煮」など一品メニューも幅広く出前に対応しています。
仕出しに関しては事前にお電話でご予約をいただき、季節の食材を使ったお弁当や「お造り盛り合わせ」、「和風オードブル」などをご用意させていただきます。また、お子さまのお祝いにおすすめの「子祝い手巻き寿司」や「手毬寿司」など、季節ごとにご家庭で楽しんでいただけるような料理をご用意しています。
上尾市内のお店が協力して始めた「Agetake(アゲテイク)」
――コロナ禍で始めた新しい取り組みなどはありますか?
宮島さん:2020(令和2)年4月の最初の緊急事態宣言の時ですかね。予約も無くなってお客さまが全く来なくなってしまい、何かできることはないかと考えていたところ、北上尾にある須田商店というお米屋さんが、テイクアウトのフェスをやってみようと。 その名も「Agetake(アゲテイク)」。上尾をアゲていくとテイクアウトをかけて一昨年から取り組んでいます。最初は「上尾」駅の東口に市内にある6店舗が集まって始めた取り組みなのですが、2021(令和3)年は約40店舗が集まって「AGETAKE FES コロナに負けずに上尾をアゲテイク 2021」と題してフェスを開催することができました。 飲食店だけではなくお花屋さんや市場の魚屋さんなどいろんなお店にも集まっていただいて、多くの方にご来場いただきました。
お客さまの中には「Agetake」が美味しかったから「また来たよ!」と言ってくれるファンの方もいて、いろんなつながりができたと思います。 参加した方から「(コロナで大変だけど)大丈夫?」って声をかけていただけるだけでも「頑張ろう!」って前向きな気持ちになりますし、まだまだ飲食店にとっては大変な状況ではありますが、コロナ禍でもプラスになった新しい取り組みのひとつだと思います。 今後の予定についてはコロナの感染拡大状況等にもよりますが、facebookなどSNSで情報発信していきますのでぜひご覧ください。
商業施設が充実していて買い物に便利。交通の便も良く都内へのアクセスも良好
――上尾エリアの街の魅力についてお聞かせください。
宮島さん:「上尾」駅の周辺にはもともと「丸広」さんや「イトーヨーカドー」さんといった大きなお店がありますが、最近は郊外に大きな商業施設ができています。2020(令和2)年に開業した「イオンモール上尾」さんもそうですし、買い物できる場所がたくさんあって便利ですね。あと普段の食料品の買い出しは、隣にある「ヤオヒロ」さんもお野菜が安くて便利です。
交通の便については、湘南新宿ラインと上野東京ラインがあるので都内へのアクセスも良いですね。自分が学生の頃は池袋に行くので精一杯でしたが、今は渋谷、恵比寿、東京、品川にも一本で行けるようになったので便利です。 それもあって最近は物価や家賃も上がっているように感じますが、そういう意味でも上尾が注目されてきているのかなと思います。
大きな公園もあって子育てしやすい素敵な街
――これから新しく住まわれる方に向けて、おすすめの過ごし方などはありますか?
宮島さん:自分も子どもが生まれたので、子育て環境の大切さを感じています。このあたりには「上尾運動公園」や「上平公園」、ちょっと離れた場所には「丸山公園」もあって、とても良いなと思います。 子どもができてから知ったのですが、子どもと公園で遊ぶのはとても楽しいですね。
「上平公園」は北上尾の方にあり、「上尾市民球場」と一緒になっていて、高校野球の試合が行われたり、プロ野球の選手が来て試合が行われたりする立派な球場です。「Agetake」のフェスもこの公園で行いました。小さな子どもが遊べる遊具も揃っているのでおすすめです。
また「丸山公園」に遊びに行った帰りに「榎本牧場」でアイスを食べるのがゴールデンコースですね。自分も子どもの頃から「榎本牧場」のアイスが大好きで、父がよく連れて行ってくれたのを覚えています。実はお店でも「榎本牧場」さんのアイスクリームを提供しているんです。 上尾で生まれ育ち、今も上尾で子育てをしながらお店をやっていますが、素敵な街だなって思います。
恵比寿亭
店主 宮島真亜久さん
所在地 :埼玉県上尾市上町1-5-19
電話番号:048-771-0138
URL:http://www.ebisutei.net/
※この情報は2022(令和4)年2月時点のものです。
先代から受け継いだ歴史を守りつつ、新しい取り組みにも果敢にチャレンジする創業約100年の鰻割烹/恵比寿亭(埼玉県)
所在地:埼玉県上尾市上町1-5-19
電話番号:048-771-0138
営業時間:11:00~14:30、16:30~22:00(土・日・祝日の14:30~16:30は完全予約制で営業。要相談)
定休日:不定休
http://www.ebisutei.net/