地域とともに生徒の夢を叶える学校/世田谷区立瀬田中学校 校長 銅谷新吾先生
世田谷区立瀬田中学校
校長 銅谷新吾先生
地域とともに生徒の夢を叶える学校
東急田園都市線・大井町線「二子玉川」駅から徒歩12分、閑静な住宅街の高台にある「世田谷区立瀬田中学校」。1948(昭和23)年に開校した伝統ある学校で、「よき校風を継承し、豊かな心を持ち行動力のある生徒の育成」を教育目標に掲げています。確かな学力を基にした高い進学実績を目指すとともに、地域でのボランティア活動にも積極的に取り組んでいます。赴任から4年目を迎えた銅谷新吾校長先生に、地域との絆で結ばれた教育活動を中心に伺いました。
「世田谷区立瀬田中学校」の概要について教えてください
昔からの良好な住宅街である瀬田に新制中学校としてつくられ、65年を超える歴史があります。高台にあるため、校庭のグラウンドが校舎より下にあるのが特徴で、地域の方が一生懸命整地をしてくださって完成しました。
学区はこの瀬田と今開発が進んでいる二子玉川という、多摩川に向かって南側の斜面一帯になります。生徒数は各学年3クラス、全体で約300人で世田谷区では平均的な規模の学校です。
「生徒の夢を叶える学校」を目指していらっしゃいますが、学習面ではどんなことに力を入れていますか?
もともと十分な学力がある地域なので、日々の授業とともに高校進学指導に力を入れ、進路実績をさらにアップしていこうと取り組んでいます。私は長年高校教員を経験してきたのですが、そのノウハウを生かし、3年生へ高校の選び方や入試の仕組みについて話をしたり、面接の採点ポイントやそのための対策を解説する特別面接講座、希望者を対象にした小論文と作文の講座などを行っています。
また、高校の校長もしくは副校長、入試担当を招き、保護者にも参加していただいて、学校説明会とブース形式による合同説明会も開いています。こうした説明会は東京都などでも行っていますが、参加するのがなかなか大変なので、あらかじめ本校の生徒に見合った学校約20校を選んで開催することで、保護者へ利便性を図るとともに、子どもたちへの意識づけをするという意図があります。
各高校との関係がないと難しいので、公立中学では珍しい試みですね。都立高校の校長先生2人に学校評価委員に入っていただき、高校と連携を図りやすくしています。
地域でのボランティア活動がとても盛んだと伺っています
本校は地域の方がとても大切にしてくださる学校です。行事が盛んということもあって、地域の方がさまざまな場面で生徒の参加を促してくださっています。盆踊り大会や運動会、フラワーランドフェスティバルや花みず木フェスティバルでの模擬店や抽選会の手伝い、多摩川の花火大会の後のゴミ拾いなどさまざまなボランティア活動があり、生徒は月に1回以上は地域活動に参加しています。また、用賀の児童館での赤ちゃんとの触れ合いや、小さいお子さんたちのイベントの手伝いなどにも行っています。
地域の方からお声掛けがあると、校内の掲示板に案内を掲示して希望者を募ります。地域行事のイベント担当が学校運営委員を兼ねていらっしゃる場合が多く、生徒の受け入れも非常にスムーズです。
ボランティア活動を通して、困っている人や地域の人に尽くすことは、子どもたちにとって生きた社会勉強になります。いろいろな年齢層の方と接して直(じか)に褒められ、励まされ、時に叱られたりすることで、自尊感情を高め、あるいは反省点を持つことができるんです。また、自分はどう生きるのかといった将来の職業選択について考えたり、自分が今している勉強が社会にどう生かされるのかといったことに気付くための「キャリア教育」にもなっています。
地域に開かれた学校であるということですね
PTA活動、運動会や発表会といった行事はもちろん、毎土曜の学校公開日と年3回、1週間の学校公開週間を設けて、保護者の方に自由に学校を見学していただいています。また、年1回、地域の防災担当をお呼びして地域防災訓練を実施し、いざという時に地域で中学生が役立てるようにと、地域の方や保護者と一緒に起震車や消火器などの体験をしています。
保護者の方たちもたいへん協力的です。正面玄関の前に第1回の卒業生が寄贈した二宮金次郎像がありますが、その周りのイングリッシュガーデンは有志の方が年に数回植え替えをして大切に整備をしてくださっています。
「いじめ防止プログラム」があるとお聞きしました。具体的にはどのような取り組みでしょうか?
子どもたち自身でいじめを防ぐプログラムで、NPO法人湘南DVサポートセンターと協力し、世田谷区では本校が初めて取り組みました。まず1年生を対象にいじめについて考える講座を開き、その後、希望者を対象にいじめの構造やカウンセリングの知識などを学ぶ“スクールバディ”の講習を開いています。
講習を修了した生徒は“スクールバディ”に任命され、いじめが起こらないように昼休みに校内を巡回したり、放課後に相談窓口になったりします。深刻で緊急性がある場合は教員に報告するように指導していますが、子ども同士で励まし合い、相談し合うことで解決してしまうことが多いですね。今、全校で30名ぐらいが“バディ”として活動しています。
世田谷区では近隣の小・中学校で「学び舎」を作って9年間教育を行っています。瀬田中ではどのように連携をしていますか?
学区にある「世田谷区立瀬田小学校」と「世田谷区立二子玉川小学校」と3校で「多摩川の学び舎」を作り、学校行事などで交流を図っています。ボランティアを兼ねて本校の生徒が小学校の運動会で用具係や低学年のお世話をしたり、本校の合唱コンクールのオープニングイベントで小学生に合唱をしてもらうなどの交流があります。
また、本校は世田谷区が指定する「地域運営学校」であり、学校運営委員が主体となって各種検定を実施していますが、小学校へ呼びかけて小・中学生が合同で漢字検定を受けています。年に2回実施し、毎回小学生100人、中学生50人ぐらいが参加しています。
先生からご覧になって、瀬田中にはどんな生徒さんが多いでしょうか?
基本的にまじめですし、なにより家庭がしっかりしていることによる力は大きいと思いますね。学力調査と合わせて生徒に生活環境調査をしていますが、「学校が楽しい」「家庭が楽しい」「一家団欒の時間がとれている」「食事は家族みんなでする」といった回答の割合がすごく高い。しっかりしたご家庭で、すくすく育っている子どもたちだなと思います。
周辺エリアの魅力についてご紹介ください
なんといっても環境がすばらしいですね。良好な住宅街であり、良好な商店街があります。駅周辺もファッショナブルで洗練されていて、商業施設は「玉川タカシマヤ」が高級志向、「二子玉川ライズ」が若者向けとうまく分かれています。繁華街といっても健全な印象で、そういう地域で育つことは子どもたちの健全育成にとって大きいと思います。
2年生は3日間、地域の事業所や商店で職場体験をさせていただいていますが、子どもたちを送り出すにもまったく心配がいりません。体験先もたくさんあって、「玉川タカシマヤ」や「二子玉川ライズ」、有料老人ホーム、保育園など、さまざまな職場で貴重な体験をさせていただています。
地域の方々からお声掛けをいただき、生徒数に限りがあるため、お断りしなくてはならない場合があるほどです。地域ぐるみで子どもを育て、やがてよき社会人として地域の担い手になってほしいという地域の方たちの思いがとてもありがたいですね。
今回、話を聞いた人
世田谷区立瀬田中学校
校長 銅谷新吾先生
住所:東京都世田谷区瀬田2-17-1
電話番号:03-3700-6900
http://school.setagaya.ed.jp/tseta/
※2014(平成26)年11月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。
地域とともに生徒の夢を叶える学校/世田谷区立瀬田中学校 校長 銅谷新吾先生
所在地:東京都世田谷区瀬田2-17-1
電話番号:03-3700-6900
http://school.setagaya.ed.jp/tseta/