老若男女が楽しめる図書館を目指して/豊島区立中央図書館 館長 山根 斎さん
豊島区立中央図書館
館長 山根 斎さん
老若男女が楽しめる図書館を目指して
「豊島区立中央図書館」の取り組みとは
「豊島区立中央図書館」は東京メトロ有楽町線「東池袋」駅と直結し、平日は夜10時まで開館している都内屈指の便利な図書館。蔵書は25万冊あり児童書も4万冊と充実した環境が整っている。さまざまなイベントも企画され、小さな子どもから高齢者までみんなが楽しめる図書館だ。そんな 「豊島区立中央図書館」について今回、館長の山根 斎さんにお話を伺った。
まず始めに、豊島区立中央図書館の概要・コンセプトについて教えてください。
中央図書館は、図書館だけの独立した建物ではなく、東池袋の再開発の際に建てられた15階建ての民間ビルの中にあります。15階建ての建物の4階と5階を占める中央図書館の面積は3,065平方メートルあり、メインカウンターは4階になります。中心が吹き抜けになっており、開放感のあるつくりなので、利用者の方からは、ゆったりと読書にひたることができると好評です。蔵書数は約25万冊。視聴覚資料も一定程度所蔵しています。点字図書館も併設しているので、点字図書、音訳の図書等の制作と貸出し、朗読ボランティア等も行っております。
地下鉄有楽町線「東池袋」駅に直結しているので、利用者は非常に多いですね。開館当初は1日に3千人、年間百万人もの方が来られていたそうです。現在は、ピークの頃に比べると利用者は少なくなりましたが、それでも1日に約2,800人、年間で約85万人の方が利用しています。平日は夜10時まで開館しているので、会社帰りの方の利用も多いですね。
コンセプトとしては「ビジネス支援」を打ち出しています。4階のビジネスコーナーにはパソコン席が10席、パソコン持ち込み席が16席ありますし、そこにビジネス書、法律や経済や就労支援の書籍、新聞雑誌を揃えています。土曜日にはNPO法人「豊島創業ネットワーク」の方がそこでビジネス相談も行っています。
同じビルに入っている「あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)」との複合施設であるメリットについて教えてください。
ビル2階、3階をしめる「あうるすぽっと」と中央図書館が豊島区の文化芸術の拠点になっています。 図書館の入口に展示コーナーがありますので、「あうるすぽっと」で行われる演劇に関連する図書の特別展示を開催したり、演目の紹介をしたりといった連携を取っています。
中央図書館では、どのようなイベントを開催しているのでしょうか。
先述で、蔵書が25万冊とお伝えしましたが、そのうち4万冊が児童書です。4階の児童書と一般書コーナーは、新聞や雑誌のコーナーを挟んで分かれているので、気兼ねなく親子で来ていただけます。
また、イベントについては、幼児と小学生向けのお話会が毎週日曜日の午後2時から、児童コーナーで行っています。赤ちゃん向けのお話会は毎月最終日曜日の午前11時からです。
夏休みに入ったときに10日館くらい「図書館タンテイ」という子ども向けのイベントを開催しています。出題された問題の答えを図書館の資料で調べ、正解を導き出すという内容で、最後には表彰状も授与される人気のイベントです。これは区内の図書館すべてで開催しています。小学生向けで何回も来るお子さんもいますね。また夏には小学生向けに怪談話のお話会や、冬はクリスマス会で、その時期にぴったりのスペシャルなお話会を開催しています。
点字図書館もありますので、夏には子ども向けの点字教室も開催します。こちらも人気の教室で、自分で名前を打って点字に触れるなど、学校でもなかなか体験できない内容も盛り込んでいます。このような活動を通して、視覚障がい者の方の生活に関心を持ち、今後ボランティア活動などで活躍してくれると嬉しいなと期待しています。
一般向けのイベントでは、古典文学読書会や現代文学読書会を月に1度開催しています。図書館の専門研究員で、郷土史の先生が講師をしてくださり、一緒に本を読んでみんなで意見を交わすという会です。 また、年に1度、地域研究ゼミナールという豊島区のソメイヨシノや、昔の川、鉄道など地域研究のテーマを決めて取り組む講座を、セミナー形式で開催しています。
また、豊島区は椎名町に手塚治虫先生などが活躍されていたトキワ荘があったので、トキワ荘のコーナーを設けています。そこで活躍されていた赤塚不二夫さんや藤子不二雄さんなどの作品を集めるとともに、関連する本も充実しています。このコーナーは、一般の方から年配の方に向けて人気ですね。
子どもたちも一般の方も、このような機会を通して、本を身近に感じ、読書習慣のきっかけになればと思います。
近隣の児童館や保育施設、学校、公共施設などとの連携はありますか。
学校とは緊密に連携しています。学校用の図書もこちらで用意してまとめて送ったりしています。児童・生徒の移動教室等の事前学習のために、団体貸し出し用のセットを用意しています。それを貸し出したり、「としょねっと便」という交換便で、区立図書館の本の貸し出しや返却を定期的にできるようにしています。
そのほかにも、区民が集う区民ひろばや保育園、小学生の放課後の施設「子どもスキップ」に読み聞かせのボランティアを派遣しています。今は約40人のボランティアさんに年間200回ほど、子ども施設に行っていただいています。ボランティアさんは、図書館で養成して読み方や本のもち方、本の選び方などの講習会を行い、講習会を卒業された方をボランティア登録させていただき、活動していただいています。
利用者やイベントに参加される方は周辺エリアの方が多いのでしょうか。
利用者は乳児、幼児から高齢者までと幅広いですね。午前中は、 保育園の園児や親子連れ、高齢者の方が多く、午後は小学生や中学生、高校生が多くなりますし、夜はやはり会社員の方が多くなるようです。利用される方の住所は、豊島区のほか、文京区、板橋区、練馬区など近隣の区から来られる方も多いのですが、埼玉県や千葉県、神奈川県の方もいらっしゃいます。
東池袋エリアの子育て環境として魅力について教えてください。
充実した教育機関はもちろんですが、駅前にある「サンシャインシティ」には、水族館や博物館、劇場、プラネタリウム、ナンジャタウンなど子どもたちが楽しめる施設が多くあります。
南池袋に隣接する雑司が谷も江戸時代からの流れを組む賑わいの場所で、桜が見事な法明寺や大イチョウが有名な鬼子母神など、歴史のある土地でもあるので、散策にもぴったりだと思います。
また、「豊島区立南池袋小学校」の校内に「豊島ふくろう・みみずく資料館」という施設があります。池袋は「いけぶくろう」ということで庁舎の中にもたくさん「ふくろう」を飾ってあるんですね。土日開館しているので、散策の穴場としておすすめです。また造幣局の中には「東京造幣博物館」があり、コインなどを展示しています。
※2016年10月、造幣局東京支局がさいたま市大宮区に移転。これに伴い「東京造幣博物館」も閉館いたしました
再開発の進む東池袋エリアで、今後さらに期待する点について教えてください。
住所は南池袋ですが、区役所の新庁舎がすぐ近くに建ちました。区役所に来られて、そのついでに図書館に寄っていかれるということもあると思います。また、区役所の屋上には「豊島の森」という周辺の自然環境をそのまま再現した屋上庭園があり人気のスポットになっています。ビオトープもありますので、子どもの環境教育にもなります。造幣局の跡地が公園になるので、緑豊かな環境が広がると期待してます。
最後に、今後新たに東池袋エリアに引っ越してくる方に向けてのメッセージをお願いします。
東池袋はファッションや食事、量販店、デパートなどがある「池袋」に近接していますので、とても便利なエリアです。池袋駅からは、交通網が発達していますし、近くに雑司が谷のような歴史的、文化的な資源もあります。子育てにも良い住みやすい街です。
今回、話を聞いた人
豊島区立中央図書館
館長 山根 斎さん
豊島区立中央図書館
所在地:豊島区東池袋4-5-2 ライズアリーナビル4F・5F
電話番号:03-3983-7861
http://www.library.toshima.tokyo.jp/contents?3&pid=40
※記事内容は2015(平成27)年10月時点の情報です。
老若男女が楽しめる図書館を目指して/豊島区立中央図書館 館長 山根 斎さん
所在地:東京都豊島区東池袋4-5-2 ライズアリーナビル4F・5F
電話番号:03-3983-7861
開館時間:10:00~22:00(土・日曜日、祝日は18:00まで)
休館日:第2月曜日、第4金曜日(祝日を除く)、特別整理期間、年末年始(12/29~1/4)
https://www.library.toshima.tokyo.jp/con..