学校法人荒畑学園 なおび幼稚園 園長 神保佳世子先生 インタビュー

豊かな自然とオープン園舎が特徴の私立園/学校法人荒畑学園 なおび幼稚園 園長 神保佳世子先生


ふんだんな緑と築山を擁する園庭、それを囲むように建つL字型の平屋の園舎、裸足で元気に遊び回る子どもたち。どこを切り取っても理想的な幼稚園生活が実践されている小平市の「なおび幼稚園」。「生活と遊びのなかでこそ、子どもは育つ」という信念のもと、保育者全員で子どもたちを見守る、伸び伸びとした幼児教育が行われています。「毎日、大きなひとつのお家で子どもたちを育てているような気持ち」と語る神保園長先生に、幼稚園のことから地域の魅力までたっぷり語っていただきました。

子どもは、「生活と遊び」のなかでこそ育つ

広々とした園庭
広々とした園庭

――園の歴史と概要について教えてください。

神保先生:1963(昭和38)年に私の祖父が開園した幼稚園です。子どもたちがすくすくと育つことを願って「なおび」と命名したそうです。今年度は年少組2クラス、年中組3クラス、年長組3クラス、合計8クラス222名で運営しています。2004(平成16)年に園舎の全面建て替えを行い、特徴あるオープンスペースの園舎での保育が始まりました。

「いつも同じように、ゆったりと過ごす」ことを基本としている
「いつも同じように、ゆったりと過ごす」ことを基本としている

――園の1日の流れはどのようになっているのでしょうか?

神保先生:子どもたちの日々の生活は、できるだけ「いつも同じように、ゆったりと過ごす」ことを基本としています。登園して初めにするのが持ち物の整理、9時15分には全園児が登園します。クラスごとに朝の会を行い、その後全園児がホールに集まって歌を歌い、お話を聞く「しずくの会」が始まります。

そして、積み木やお絵かき、粘土、ままごとといった「内あそびの時間」「おやつの時間」「外あそびの時間」などがあります。お昼ご飯をいただいてひとあそびすると、帰りの会です。13時30分から降園が始まります。また、当園は小平市の“アットホーム事業”に協力していますので、朝7時30分から保育開始時間までと、保育終了後から夕方6時30分まで希望されるお子さんの預かり保育を実施しています。

のびのびと遊ぶ子どもたち
のびのびと遊ぶ子どもたち

――教育方針について教えてください。

神保先生:「子どもは生活とあそびのなかで育つ」と考えています。子どもたちにとっては日々の生活と遊びが学びの場であり、その生き生きとした生活体験の積み重ねが子ども一人ひとりの人間形成につながっています。

本園の教育で重点目標にしていることは、「生活の重要性」「あそびの充実」「環境の熟慮」です。まずは「生活の重要性」、基本的な生活習慣を根気よく具体的に経験していくことは、社会生活の約束や他者との関係のつくり方を学んでいくことにつながります。つぎに「あそびの充実」、あそびの中で子どもたちの日々溢れる「どうして?」を発展させ、探究する気持ちや想像する思考を育て、「こうしたらどうかな?」と創造する力を養っていきます。幼児期の子どもにとって、あそび=学びなのです。 最後に「環境の熟慮」、子どもにとってどのような教育環境が望ましいか常に考え、子どもたちが充分に自己充実できる設備・環境を用意して保育するように心がけています。

大きなお家と武蔵野の雑木林をイメージしてつくった園舎と園庭

子どもたちが集うホールは天井高が6mもある
子どもたちが集うホールは天井高が6mもある

――特徴あるとても素敵な園舎ですね。

神保先生:園舎と園庭の環境は幼児の教育環境として重要な要素です。「なおび幼稚園」の園舎はとても近代的に思われるのですが、原点は「日本の昔の大農家」の広々とした平屋、ふすまを取り払えば大きなひとつの空間になりすべてが見渡せ、そして、日差しが差し込む長い縁側が子どもたちのいいあそび場になり、縁側からポンと外へ出て遊ぶ…。

近代的に見える園舎の原点は「日本の昔の大農家」
近代的に見える園舎の原点は「日本の昔の大農家」

このような環境を園舎にしようと思って、“箱の家”で有名な建築家の難波和彦さんに設計をお願いして12年前に全面建て替え工事をしました。園舎の天井高は4m10cm、子どもたちが集うホールは天井高6mです。園舎全体は、基本的に部屋を仕切る壁がありません。子どもたちの生活スペース、職員の事務スペースやキッチンも子どもが見える場所にあり、キッチンでおやつのお菓子を焼いている匂いが自然に漂ってくるような環境です。そのほかに、和室スペース、隠れ家スペース、子どもたちのあそびが発展していける環境が園舎の中にあります。

自然に近い、まるで森の中にいるような園庭
自然に近い、まるで森の中にいるような園庭

――市街地に近いこの場所で、これだけの広さと樹木が揃っているというのは、とても恵まれた園庭ですね。

神保先生:園庭は、創立50周年の記念に「50年たったら森になる!」というコンセプトのもと、子どもや保護者と植樹した木々が武蔵野の雑木林のような風景を造っています。自然は、子どもたちにたくさんの恵みや学びをくれます。きっと子どもは1日中でも森の中であそべるでしょう。昨今は、自然に近い環境がどんどんとなくなっていき、子どもの教育の場には無機質な遊具が並んでいます。悲しいことです。少しでも自然な環境の中で子どもが自由に解き放たれて遊ぶ園庭にしたいのです。園庭の環境づくりは今も現在進行形です。なおびの庭であそび育った子どもたちが大きくなった時、幼稚園の庭を裸足で駆け回り、夢中で虫探しをしたことを楽しかったな…と思い出してくれればうれしいです。

園庭を裸足で遊ぶ子どもたち
園庭を裸足で遊ぶ子どもたち

――朝登園したら裸足になって、園庭も裸足で遊ぶそうですね。

神保先生:はい。登園したら靴の中に靴下を入れて、あとはずっと裸足で過ごします。園庭に出るときも裸足です。「芝生はチクチクして気持ちいい」「カンカン照りの日向と木陰の草の上では、足の裏が暑かったり冷たかったりする」というように、子どもの感覚器官を刺激します。

入園したての子どもたちは、裸足になることをためらうこともありますが、園生活に慣れていく中で気がつくと自分から裸足になっています。「気持ちがいいよ!」と笑顔で自信をもって土を蹴って走っていく姿を見ると、裸足の良さを子どもはよくわかっているのだなと感心します。

3年間裸足で過ごす子どもたちは、足の指のグリップや土踏まずのアーチもしっかりして、たくましい足に成長しますよ。以前、小学校の先生から「入学の記念に足型をとったのですが、この子の足裏はとてもしっかりしているなと思って、どこの幼稚園だったの?と尋ねると、皆、なおびだよと言ってびっくりしました」という話があるくらいです。

よいものは積極的に取り入れるフレキシブルな教育活動

ままごとセット
ままごとセット

――選択授業としての英語教育も実施していらっしゃるとか。

神保先生:本園では生活と遊びの時間を充実させることが第一優先なので、子どもたちの生活時間を少なくすることなく、保育終了後に「選択授業」というシステムで英語教育を導入しました。幼児にとってまず学ぶ言語は母語です。母語をしっかり話せるようになることが、母語以外の言語習得につながります。幼児の英語教育は、英語のサウンドを楽しむ、異文化の先生と英語で交流するという、いわば遊びのひとつと考え、学習方法が詰込みや訓練ではないグレープシードカリキュラムを実践しています。小学校6年生まで継続できるカリキュラムですので、卒園した子どもたちが放課後に園に通って来てくれるのも嬉しく感じます。

幼稚園がカフェになる「1 Day Café」、「野菜マルシェ」など様々な行事も
幼稚園がカフェになる「1 Day Café」、「野菜マルシェ」など様々な行事も

――特色のある行事などはありますか?

神保先生:園行事のために園生活があるというのではなく、日々の生活の延長線上に行事があります。行事としては、夕涼み会やお泊り保育(年長)、運動を楽しむ会、さつまいも掘り遠足、表現を楽しむ会、子どもたちのせいかつ展などいろいろとあります。 またお母さま向けのオーガニック料理講座、幼稚園がカフェになる「1 Day Café」、「野菜マルシェ」など、子どもを幼稚園に預けている間にお母さまたちが楽しめるような行事も行っています。

明るく開放感のある園内
明るく開放感のある園内

――最後に、幼稚園の周辺エリアの魅力を教えてください。

神保先生:小平市内には15園の私立幼稚園があり、「小平市私立幼稚園協会」として幼児教育の向上や教諭の育成などに全園が協力して取り組んでいます。どの幼稚園も質の高い教育をしていますので、小平市や国分寺市、隣接する地域のお子さんのご家庭は、安心してお子さんの園選びができるのではないかと思います。また、小平市独自の子育て事業として“アットホーム事業“もあり、共働きのご家庭も幼稚園にお子さんが入園できる環境があります。

地域環境は、小平開拓時代から続く地元の方々と、近年急激に増えたマンションや住宅にお住いの方々がいらっしゃいますが、もともと穏やかで助け合い精神の強い地域ですし、地元のお祭りや地域活動などでもお互いに協力して和気あいあい生活していると思います。子育て世代も多いので、情報交換もしやすい環境が整っているようです。 自然環境もまだまだ残っている地域なので子どもの遊び場も多いですね。「国分寺」駅まで自転車でも10分足らずですし、バスに乗れば5分。交通の便もよく、通勤にも通学にも便利な立地です。利便性と住みやすさが両立している環境ですね。

シンボルツリー
シンボルツリー

学校法人荒畑学園 なおび幼稚園

園長 神保佳世子先生
所在地:東京都小平市上水本町4-21-1
TEL:042-321-4671
※この情報は2017(平成29)年1月時点のものです。

豊かな自然とオープン園舎が特徴の私立園/学校法人荒畑学園 なおび幼稚園 園長 神保佳世子先生
所在地:東京都小平市上水本町4-21-1 
電話番号:042-321-4671
https://www.naobi.net/