旧東海道沿いの“あおよこ”で、職人が創るこだわりのフランス洋菓子/「レ・サンク・エピス」 中村シェフ
青物横丁の商店街の真ん中辺り、旧東海道沿いにある「レ・サンク・エピス」は、老舗が多いエリアで、おしゃれで洗練された雰囲気がひときわ目を引くパティスリー。地域密着型の“街のケーキ屋さん”を目指し、親しみやすい品揃えで近隣住民などから高い支持を得ている店である。今回は、こちらのケーキづくりを一手に担うシェフパティシエ・中林和也さんに、お店の特徴と人気商品、地域の魅力などについてお話を伺いました。
地域密着型のケーキ屋さんに
――まず、お店の沿革と概要についてお聞かせください。
中林シェフ:開店は6年前の2011(平成23)年になります。先日、2017(平成29)年3月3日に6周年を迎えてまして、7年目に入ったところです。
私はここがオープンした翌年に入ったのですが、元々は、イタリア料理が専門の料理人のオーナーが、ここのすぐ近くでイタリア料理店「Ristorante KOUJI cordiale(リストランテ コージ コルディアーレ)」を経営しているんですが、実はフランス菓子も大好きな方でして、お菓子屋さんをつくることが、レストランともう一つの夢だったそうなんですね。そんな時に、ここに新しい建物が建つという話があって、「じゃあ、始めちゃおうか」ということで、このお店が誕生したようです。オーナーから「これをやれ」というようなことは一切無いので、自由にやらせていただいています。
――「レ・サンク・エピス」のコンセプトは何でしょうか?
中林シェフ:コンセプトは、大きく言えば、“地域密着型のケーキ屋さん”です。有名店になろうだとか、華やかなケーキを出そうというわけではなくて、なるべく、この辺りにお住まいの方が気軽に、頻繁に来られるようなお店にしようと思っています。その中でも、ちょっと個性を出したり、ほかのお店にないようなオリジナリティも出せるように心がけています。
商品として一番力を入れているのは、ベーシックなラインですね。チーズケーキが一番人気ですが、ショートケーキやガトーショコラなど、一般的なケーキ屋さんにある主要なものはどれも力を入れています。ただ普通に作るのではなくて、“+α(プラスアルファ)”と言いますか、「ちょっとほかの店には無いよね」と思っていただけるような要素をアクセントに加えるようにしています。
――具体的にはどのようなケーキに、どのようなアクセントが効いているのでしょうか?
中林シェフ:たとえばチーズケーキの場合は、ほかの店ではまず使わないようなチーズを材料に使用していますし、製法も、クッキーの生地にちょっとグラハム粉を入れて、食感を楽しめるようにしています。ガトーショコラの場合は、フォークを入れたらほろほろと崩れてしまうタイプなのですが、口に入れるとなぜかすごくしっとりとしている、という仕上げにしています。見た目は普通だけれど、食べると「おっ!」と驚きがあるような感じですね。
――プチガトーや焼き菓子は何種類ぐらいあるのでしょうか?
中林シェフ:通年を通して出している定番商品が、だいたい5、6種類あり、季節限定のものが10種類ぐらいです。焼き菓子は定番のものが多く、30種類ぐらいあります。
――ほかにもお薦めのケーキがあれば教えてください。
中林シェフ:ほかには、イラストのプレートを乗せたホールケーキが人気ですね。特に最近は、この辺りにファミリー世帯の方が増えたこともあり、口コミやご紹介で多くの方にいらしていただいています。白いチョコのプレートにプリントする形でご提供していまして、絵柄はアニメなどのキャラクターが一番多いですけれども、写真などもきれいにプリントできます。お子様の写真をプリントされる方も多いですし、大人の方向けに使われる方もいらっしゃいますね。同じように、イラスト入りのクッキーにも対応させていただいています。
最近は特に「和」の素材を使ったものにも力を入れていまして、焼き菓子では「和っ菓」という焼きドーナツがいま一番のお薦めです。これはその名のとおり和素材を使ったドーナツでして、あずき、玄米、きなこ、抹茶、ゴマといったものがあります。この場所が旧東海道沿いですので、和をイメージして作ってみたらどうかな、と思って作ったものです。
季節限定で出しているものでは、「みたらし」という、シューを3連にして串に刺したお菓子が人気でして、テレビの取材などでも何度かご紹介いただいています。中には、豆乳のカスタードクリーム、求肥(ぎゅうひ)、みたらしあんと生クリームを合わせたものの3種類が入っています。桜の時期には、「桜のサントノーレ」なども人気があります。
多くの人に楽しんでもらえる工夫
――どのようなお客様が多いのでしょうか?
中林シェフ:やはり、ご近所のお客様が中心になります。少し前までは割とご年配の方が多かったのですが、ここ1~2年でガラッと変わりまして、ベビーカーを引いた奥様方などがすごく増えましたね。やはり、周辺にマンションなどが出来て新しくこの街に住むご家族が増えたからだと思います。
店頭にはデリも置いていて、カフェスペースでイートインもできますから、平日のお昼頃には近くの企業にお勤めの方が多くいらっしゃって、デリと飲み物で召し上がったり、中にはケーキを召し上がっていく方もいらっしゃいます。午後の時間帯になりますと、主婦の方の集まりが多くなりますね。夜になると、デリとワインを楽しまれるという方もわりといらっしゃいます。ケーキ屋でお酒の提供をしているのは、珍しいかもしれませんね。
――「Ristorante KOUJI cordiale(リストランテ コージ コルディアーレ)」で作られたお惣菜を、こちらでも楽しめるということですか?
中林シェフ:そうですね。ここにあるデリは全部「Ristorante KOUJI cordiale」で作ってもらっています。反対に、レストランでお出ししているデザートの一部は、こちらで作っています。ですから本来はレストランに行かないと食べられないようなものも、デリとして気軽に手にとっていただけますし、その分、時間もお金も節約していただくことができるかと思います。
「レ・サンク・エピス」が根ざす品川シーサイドエリアの魅力とは
――中林シェフが感じられている、この地域の魅力について教えてください。
中林シェフ:やっぱり、この静かな環境は魅力的ですね。品川とは思えない落ち着いた環境があって、ゆったりとした時間が流れています。それでいて、少し行けば大井町や品川の街もあって、交通の便も素晴らしいですし、便利な場所だと思います。羽田に行くのにもあっという間ですし、品川に出れば新幹線にもすぐ乗れますし。
買い物についても、近くに大きなイオンがあって便利ですし、大井町まで行けば、だいたい何でも揃います。昔からの商店街「青物横丁」も味があっていいですね。
育児については、品川区がすごく育児関連の施設や制度が充実している区ということを聞きますから、子育てもしやすい地域なのではないかと思います。ベビーカーを押して歩くにしても、道に段差なども少ないですし、歩道も広いところが多いですから、子どもと一緒に歩くのも楽だと思いますよ。
また、歴史のある街ならではの魅力もあって、街を歩いているだけでも昔にトリップしたような感じが味わえますし、お散歩をするのが楽しい街ですね。休日になれば街道歩きを楽しまれている方も沢山お越しになります。昔からのお祭りも沢山残っていて、うちも年に何回かのお祭りの時には、店の前に出店を作り、かき氷やジュースなどをお出ししながら、一緒に楽しませていただいていますよ。
パティスリー レ・サンク・エピス
シェフ 中林和也さん
所在地:東京都品川区南品川2-17-26
TEL:03-5460-3382
URL:http://www.cinq-e.jp/
リストランテ コージ コルディアーレ
URL:http://www.kouji-cordiale.com/
※この情報は2017(平成29)年4月時点のものです。
旧東海道沿いの“あおよこ”で、職人が創るこだわりのフランス洋菓子/「レ・サンク・エピス」 中村シェフ
所在地:東京都品川区南品川2-17-26 アスキー南品川III 1F
電話番号:03-5460-3382
営業時間:10:00~20:00
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
http://www.cinq-e.jp/