演劇人が拓く交流の場のカフェスペース

経堂エリアで演劇の世界をより身近に。アートとアーティストの交流の場「APOCシアター」の魅力とは。


経堂エリアは、都心からも近く商業施設が充実する人気の街。「千歳船橋」駅近くにある黒い三角形が特徴的な建物「APOCシアター」をご存知だろうか。劇場としてバラエティに富んだ公演はもちろん、さまざまなアートやアーティストが交流できる場として注目のスポットである。同劇場を訪れ猪俣さんに施設について、経堂エリアの魅力について話を伺った。

アートとアーティストの交流の場「APOCシアター」
アートとアーティストの交流の場「APOCシアター」

気軽に演劇を楽しむことができる三角形の空間。

――「APOCシアター」を始めた経緯について教えてください。

猪俣さん:「APOCシアター」は貸し劇場としてだけではなく、さまざまなアートやアーティストが交流できる場をコンセプトに立ち上げた一軒家のカフェシアター。国籍や年齢、ジャンルを問わず、アート作品のプロデュースや演劇その他のアトリエ開催、外国の劇団のプロデュース公演等、様々な企画をアーティスト達と一緒に作っていく劇場になります。“APOC”は「A Piece Of Cake」の略で、建物の形がケーキの一片に似ているところから命名。個人(piece)が集まると一つのホール(hall)になること、アーティストもお客様も元は一個人、集まることでホールが出来ることから、また「A piece of cake」は俗語で“へっちゃら”や“楽勝”という意味を持つことから、皆さんに気軽に芝居を楽しんで頂きたいという思いも込め劇場の名前にしました。私は元々音楽をやっていて、そこから趣味で芝居にのめり込んでいったのですが、主人は商業として役者やアート作品の制作に携わっていました。二人とも芝居の世界が好きで劇場を始めたいと考えましたが、運営に関しても当時はわからないことばかり。しかしながらこの建物のオーナーさんを始め多くの方々の協力を得て環境が整い、2011年に劇場をオープンすることができました。オープンまでは大変でしたが、知らなかった強みと言いますか…、劇場オープンまでの段階や経緯、大変さを知っていたら、実現できなかったかもしれませんね(笑)。

「APOCシアター」外観
「APOCシアター」外観

月ごとの予定表
月ごとの予定表

女性や地域の方の来場も多い、バラエティに富んだ公演内容。

――どのような公演が行われているのでしょうか。

猪俣さん:キャパが40から60席の小規模の劇場になりますので、劇団の旗揚げ公演からじっくりと観覧できるベテランの方の二人芝居まで様々な公演が行われています。劇場が他劇場とは違い変形した作りになっていますので、その変化が面白いと感じていただけるお客様も多くいらっしゃいますね。当劇場にはご覧のとおり一階にカフェが併設されていますので、女性の団体やお客様が多い公演にも好評を頂いています。この地域在住の役者が多く所属する劇団「丸福ボンバーズ」さんには、公演活動の拠点として当劇場をお使い頂いています。「丸福ボンバーズ」さんは、商店街のイベントに参加することも多く、それがきっかけで地域の方が芝居を観にここへ足を運んでくれることも多いですね。

猪俣さん
猪俣さん

カフェが併設されている
カフェが併設されている

観て帰るだけではもったいない!温かくて美味しいカフェご飯を劇場で。

――カフェを一緒に運営されているシアターは珍しいですね!

猪俣さん:私自身演劇が大好きで、ヨーロッパやアメリカなどを度々訪れていました。現地ではどんなに小さい劇場でも必ずカフェやビアホールが併設されていて、みんながドリンクを片手に気軽に演劇を楽しんでいる空気感がとても心地よかったことを覚えています。“カフェの併設”は、私が劇場をするに当たって絶対に外せない条件で、主人は長年バーテンとしての経験もありましたので、このスタイルを実現することができました。カフェでは、個人焙煎の「moicoffee」の豆を使用したオリジナルブレンドコーヒーの他、豆たっぷりのヘルシーな「ダル(豆)カレー」や香草入りのミートボールをトマトソースで和えたモロッコ料理「ケフタ(ミートボール)タジン」などフードメニューも充実。お客様はもちろん、劇団のスタッフさんもカフェご飯を楽しみに来てくれる方が多いですね。カフェ内には、主人が創作した数々のアート作品や海外旅行好きのスタッフが集めてきた珍しいお土産品も多数展示。お芝居を楽しむだけではなく、役者さんやお客様がゆっくりと寛ぎ、交流できる空間もご用意しています。

モンゴル料理「ケフタ(ミートボール)タジン」
モンゴル料理「ケフタ(ミートボール)タジン」

お洒落な店内
お洒落な店内

劇場発のイベントも盛りだくさん!気軽に演劇の世界を。

――今後、力を入れていきたいことはありますか。

猪俣さん:5回目の開催になる、ひとり芝居だけの祭典「APOFES2019」が2019年1月11日から27日まで行われます。ひとり芝居に特化した公演になりまして、20組の役者さんが参加。観て癖になること間違いなし!の盛りだくさんなフェスになっています。全公演を何度でも観られるお得なフリーチケットもご用意しておりますし、期間中5組以上ご観劇のお客様は「オーディエンス賞」選考の権利が得られるのでオススメです。今後も「APOFES2019」を始め、様々な企画を劇場からも発信していきたいと考えています。多くの方にお芝居の楽しさを知っていただけたら嬉しいですね。

店内に陳列されているパートナー「Shozen Kajima」のアート作品
店内に陳列されているパートナー「Shozen Kajima」のアート作品

ゆっくりと寛ぎ、交流できる空間
ゆっくりと寛ぎ、交流できる空間

パートナー「Shozen Kajima」のアート作品
パートナー「Shozen Kajima」のアート作品

すっかり店の看板となっているゴリラくん
すっかり店の看板となっているゴリラくん

住みやすさが魅力の街で、エンターテイメントのある生活を。

――最後に、経堂エリアの魅力についてメッセージをお願いします。

猪俣さん:経堂エリアは都心からのアクセスが良く、緑が多い環境は子育てにも最適。どこか懐かしさを感じる温かい街並み、落ち着いた閑静な住宅街は住みやすさ抜群です。駅周辺は商店街が充実しているので、地元だけでもショッピングが楽しめます。近年は新しい住宅やお店も多く街は活気に溢れているのも良いですね。オススメスポットは、「千歳通り」の桜並木。千歳船橋から馬事公苑まで続くこの通り沿いには桜の木が植えられていて、春には美しい桜の景色でいっぱいになるので、お散歩にも最適です。このエリアには当劇場を始め、楽しい場所や面白い場所がたくさんあるので、街歩きにでかけるのもオススメです。当劇場は、演劇が初めてという方でも大歓迎。近所でお芝居をやっているから行ってみよう!など皆さんが気軽に足を運んでいただける場になれば嬉しいです。演劇関係の方も多く住むエリアですので、お芝居のある生活を身近に感じて欲しいなと思います。

 

今回、お話を聞いた人

APOCシアター

猪俣さん

※掲載の情報は2018(平成30)年12月のものになります。

経堂エリアで演劇の世界をより身近に。アートとアーティストの交流の場「APOCシアター」の魅力とは。
所在地:東京都世田谷区桜丘5-47-4 
電話番号:03-6321-7690
利用時間:10:00~23:00
https://www.apoc-theater.com/