新潟市まちづくり推進課 鈴木智之さん、佐藤正宗さんインタビュー

歴史と文化、自然が調和した新しいまちづくりを目指す/新潟市都市政策部まちづくり推進課(新潟県)


新潟市中央区の古町(ふるまち)地区は、古くから新潟の中心地として発展してきた。北前船の寄港地として、日本有数の商業都市として栄えていました。

開港5港に指定され、1869(明治元)年に開港。新潟開港150周年を迎えることを契機に、新潟市ではまちづくりのグランドデザインとなる「新潟都心の都市デザイン」を2018年7月に策定。新潟駅周辺から万代地区及び古町地区へ連なる都心軸を中心としたまちづくりに取り組んでいます。

近年では、中心市街地の再開発も進行している。2020年には「古町ルフル」がオープン。生まれ変わりつつある古町エリアについて、新潟市まちづくり推進課の鈴木智之さん、佐藤正宗さんにお話を伺いました。

古くからの街並み、文化が残る「新潟のまちの発祥の地

――新潟市古町エリアの概要をお聞かせください。

鈴木さん:古町は「新潟のまちの発祥の地」ともいえる場所です。もともと新潟は港町として発展してきました。江戸時代から北前船の寄港地としてたいへん栄え、港町としての文化が色濃く残っている地域です。古町花街、古町芸妓のほか、鍋茶屋、行形屋(いきなりや)をはじめとする歴史ある料亭が今も営業しています。古くからあるまちなみ、文化が残っているということで「歴史と文化のまち古町」として情報発信をしています。

今回取材に協力をいただいた新潟市都市政策部まちづくり推進課の鈴木さん(左)、佐藤さん
今回取材に協力をいただいた新潟市都市政策部まちづくり推進課の鈴木さん(左)、佐藤さん

――新潟市まちづくり推進課のお仕事について聞かせてください。

鈴木さん:まちづくり推進課の業務は大きく分けて2つあります。ひとつは、再開発事業などを推進する市街地整備事業です。まちなかにおけるオフィスや商業ビル、マンション、ホテルなど民間の開発に対して支援を行なうことで、街並みや建物の更新を促す役割です。

もうひとつは、「都市デザイン」です。まちの全体的なデザイン、景観、公共空間などをデザインする仕事です。古町エリアにおいては「風格ある街並み」「うつくしい街並み」をテーマに、新たなまちづくりを形成する動きが進んでいます。

もともと新潟のまちは、信濃川、関屋分水路、日本海に囲まれた一帯、いわゆる「新潟島」と呼ばれる一帯を中心に市街地が形成されていました。開港150周年を迎え、「次の150年」を見据えてあらたな軸を生み出していこうと考えています。

公共空間の活用については、賑わいあふれるまちなかを創出する目的から、信濃川やすらぎ堤で「ミズベリング信濃川やすらぎ堤」を2016(平成28)年から開催しています。今後はやすらぎ堤に限らず、道路空間などで賑わいがあふれるように規制緩和を実施するなどで、様々な仕組みづくりを進めています。

新潟の都心機能を向上させる。「古町地区未来ビジョン」

「古町地区未来ビジョン」概要
「古町地区未来ビジョン」概要

――古町エリアの「古町地区将来ビジョン」について教えてください。

鈴木さん:先ほどもお話ししたように新潟市ではまちづくりのグランドデザインとなる「新潟都心の都市デザイン」を策定しました。2020年3月に策定した古町地区将来ビジョンにおいては、古町地区をさらに5つのエリアにわけ、それぞれの強みを生かしたまちづくりの方向性を示しています。

古町花街および白山神社に近い上古町エリアでは、歴史的な街並みや文化などを生かしたまちづくりの方向性を示しています。一方で、柾谷小路エリアを「古町の表玄関」とし、都市機能を更新・拡充していこうという方向性を打ち出しています。古い建物は耐震性の面でも心配があります。

そうした建物を立て替えに合わせて都市機能の拡充をおこない、風格ある街並みの形成を目指しています。オフィスであれば最新型のオフィスに更新するなど。それによって多くの人が流入することを目指しています。

また、古町地区においては景観ガイドラインの策定にむけた取り組みを進めています。柾谷小路が「古町の表玄関」としてふさわしい場所として、どのように景観を形成していくかは大きな課題であると考えています。

2020年開業の「古町ルフル」を中心に、新たな回遊性を生み出す
2020年開業の「古町ルフル」を中心に、新たな回遊性を生み出す

――旧新潟大和百貨店の跡地にこのたび複合施設「古町ルフル」が完成しました。

佐藤さん:2020年2月に本体の建物が竣工しました。「ふるまち庁舎」として新潟市役所の一部部署が入居するほか、薬局やコンビニエンスストア、銀行、オフィスなど建物内テナントが4月1日から順次、供用を開始しました。また、2021年4月には、10階、11階に「開志専門職大学アニメ・マンガ学部(仮称・学部設置認可申請中)」がオープンする予定です。

鈴木さん:現在、建物の解体を行っている柾谷小路側の敷地には、全面屋根付きの広場が整備されます。イベント等での活用やキッチンカーの出店などを想定しており、賑わいの創出につながるように期待しています。

また、すでに古町エリアで定期的に行なわれているイベントとも連動したり、古町全体の賑わいを演出するエリアになればと期待しています。

エントランスの風除室には「新潟漆器」の木製パネルを配置。漆器職人が1年をかけてひとつひとつ製作
エントランスの風除室には「新潟漆器」の木製パネルを配置。漆器職人が1年をかけてひとつひとつ製作

――特徴的な意匠が各所にみられますが、建物のデザインテーマをお聞かせください。

鈴木さん:「お祭りの盆踊りの中心にある櫓(やぐら)」というのがデザインのコンセプトとなっています。建物全体に配置された格子状のサッシが特徴的ですが、これは、歴史的な街並みがすぐ近くにあるということで、和風のテイストを加えたものです。3フロアごとにガラスのボリュームを分割して配置することにより、建物の表情を豊かにするとともに、圧迫感を軽減する効果もあります。

1フロアあたりの面積は約3000平方メートルと、古町エリアではいままでにない大きな面積の建造物ですので、周囲といかに調和できるかは重要でした。

広場が完成することで、柾谷小路、西堀ローサ商店街、古町モールなど、隣接する商店街等に接続します。お祭りにおける櫓のように、回遊性の中心として機能することを目指しています。

歴史と文化、自然に親しむ都市型ライフスタイル

鈴木さん:「都市型のライフスタイルを楽しみたい」という方は、きっと満足されるのではないでしょうか。徒歩と自転車で移動可能な範囲内にスーパーマーケットや商店街など、都市生活に必要なほとんどのものが揃っていますし、公共交通機関も便利です。

一方、自然との距離が近いことも特徴です。川や海が近く、白山公園、西海岸公園などの公共エリアも整備されています。新潟島を一周するサイクリングコースやジョギングコースは、古町エリアに住む方から非常に人気が高いです。

新潟市まちづくり推進課と市民団体が共同で製作した「新潟下町まちあるき」の各種マップ
新潟市まちづくり推進課と市民団体が共同で製作した「新潟下町まちあるき」の各種マップ

また、歴史や文化に親しむまちあるきイベントも盛んに行なわれています。都市でありながら、歴史や文化、自然に親しむライフスタイルが実現できるのは古町エリアの大きな魅力であると思います。ぜひ新潟市古町エリアにお越しください。

新潟市中央区ふるまち庁舎

新潟市都市政策部まちづくり推進課:鈴木さん(左)、佐藤さん(右)
所在地:新潟市中央区古町通7番町1010(古町ルフル5階)
電話番号:025-226-2703(直通)
URL:https://www.city.niigata.lg.jp/
※この情報は2020(令和2)年7月時点のものです。

 

歴史と文化、自然が調和した新しいまちづくりを目指す/新潟市都市政策部まちづくり推進課(新潟県)
所在地:新潟県新潟市中央区学校町通1番町602-1 
電話番号:025-228-1000
開庁時間:8:30~17:30
閉庁日:土・日曜日、祝日、12/29~1/3
https://www.city.niigata.lg.jp/