職員 岡村敦史さん、左近友美さん、中西桃子さんインタビュー

子育て世代のうれしい居場所、悩みも気軽に相談できる/地域子育て支援拠点わんぱくひろば(滋賀県)


愛荘町内に3ヵ所設置されている未就学児とその保護者向けの「地域子育て支援拠点」。そのうちのひとつが「福祉センター愛の郷」で開設されている「わんぱくひろば」だ。愛荘町社会福祉協議会が町の委託を受けて運営しており、保育士や地域のボランティアが常駐し、子育て中のお悩みなどを気軽に相談できるところが大きな魅力。地域には県外から引っ越してきた保護者も多く、まだ地域のことがわからない子育てファミリーにとっても心強い味方になってくれるはずだ。

今回は「わんぱくひろば」を訪ね、同センターの事業概要や取り組み、保育士やボランティアの役割などについてもお話を伺った。

「わんぱくひろば」のみなさん(左二番目から、お話をうかがった岡村敦史さん、左近友美さん、中西桃子さん)
「わんぱくひろば」のみなさん(左二番目から、お話をうかがった岡村敦史さん、左近友美さん、中西桃子さん)

親子が気軽に集まれて交流できる施設として発足

―まず、こちらに「わんぱくひろば」が開設されることになった経緯を教えてください。

岡村さん:愛荘町に新興住宅が増え、子どもたちが増えてきたタイミングで、愛荘町社会福祉協議会の子育てサロン事業として、自由に親御さんや子どもたちが集まって遊べる場所として、保育士さんと一般の方のボランティアさんにより「わんぱくサロン」がスタートしました。その後、社会福祉法人 愛荘町社会福祉協議会が2011(平成23)年に町から委託を受け、「わんぱくサロン」を引き継ぐかたちで「わんぱくひろば」をスタートすることになりました。

愛荘町立福祉センター「愛の郷」内にある地域子育て支援拠点「わんぱくひろば」
愛荘町立福祉センター「愛の郷」内にある地域子育て支援拠点「わんぱくひろば」

―「わんぱくひろば」の概要、ご利用方法についてご紹介ください。

左近さん:地域のボランティアさんのご協力をいただきながら、子どもたちが安全に安心して過ごすことができるスペースとして開放しています。未就学児とその保護者が利用でき、保護者・子どもたちの出会いや交流の場としてご利用いただいています。開催日時は毎週月曜・水曜・木曜日の週3回の9時から15時まで。午前の部9時から12時、午後の部13時から15時で開催しています。以前は30組ほどの親子でにぎわっていましたが、現在はコロナの影響で、15組までという人数制限をかけながら運営しています。
※ボランティアさん:愛荘町内を中心とした、子育て支援に協力したいと思って集まっていただいた有志の方々。年齢制限を設けていないため、長期休み中の学生も含まれます。

お子さんを預かる場でなく、親子で一緒に遊ぶという感じですね。親御さんたちは、お悩みなどを私たち保育士に気軽に相談できますし、私たちもお子さんの様子を一緒に見ながら、アドバイスをしたり、相談に乗ったりしています。

子どもたちが思い思いに遊ぶことができる広々とした室内
子どもたちが思い思いに遊ぶことができる広々とした室内

中西さん:お子さんの年齢は、0~3歳児が中心です。4・5歳児も利用はできるのですが、幼稚園が14時まであるので、利用者は少ないです。1歳~2歳のお子さんが多いですね。ご兄弟姉妹がいると、まだ生まれて間もないお子さんを連れてこられたり、先生に赤ちゃんを見せに来られたりする方もいますね。

左近さん:上の子を連れて来ていたので、下の子が生まれてからもここに連れてくるというリピーターの方は多いです。私たちも成長の過程がみられるのはうれしいですね。

保育士が常駐し、地域のボランティアさんがサポートする「わんぱくひろば」

―「わんぱくひろば」の特徴や魅力を教えてください。

中西さん:保育士さんとは別にボランティアさんがたくさん来てくださっています。サロン立ち上げ時から関わってくださっている方や、新しく登録してくださった方も多いですよ。ここは、社会福祉協議会が運営しているので、地域やボランティアさんとのつながりを大切にしています。ほかのひろばにもボランティアさんはおられますが、「わんぱくひろば」は保育士さんとボランティアさんの距離が近く、保護者さんともよくお話ししてくださっていますし、“つながり”を感じますね。

社会福祉法人 愛荘町社会福祉協議会 わんぱくひろば保育士 左近友美さん
社会福祉法人 愛荘町社会福祉協議会 わんぱくひろば保育士 左近友美さん

―ボランティアさんの役割は何でしょうか。

中西さん:基本的には、お子さんの見守りや一緒に遊ぶことが中心です。イベントがあるときはイベントのお手伝いもお願いしています。例えば、2人のお子さんを連れて来られたときは、下の子を抱っこしてくださると、ママは上の子と遊ぶことができますよね。こちらも手が足りないことがあるので、とても助かっています。ボランティアさんがどちらかのお子さんと関わっていると、お母さんはもうひとりのお子さんと密に関わることができます。

おうちでは2人同時にとか、3人同時にとかはなかなか遊べないですよね。ここに来るとボランティアさんが「見ていてあげるわ」と言ってくれるので、親子でしっかり遊ぶこともできます。ボランティアさんは、多いときは4名くらいに来てくださるんですよ。

―保育士の方は何人いらっしゃいますか。

左近さん:6名の保育士が勤務しています。午前中の方がお子さんが多いので3名、午後から2名になるようにシフトを組んでいます。

季節の行事やイベント、保健師さんによる専門講座も開催

―「わんぱくひろば」では何ができるのでしょうか。

左近さん:普段のひろばは、ここにある遊具で遊んだり、折り紙などの制作をしたりしています。ここは、約315平方メートル(畳なら約190畳)とスペースが広いので、大きなブロックやトンネル、ボールなどを出して体を動かすこともできます。そういった遊びができるので、ここに来たいという方も多いですね。おうちの中ではなかなか走り回れませんから。

中西さん:イベントは季節ごとにひなまつりやお花見、七夕まつり、ハロウィン、運動会ごっこ、クリスマス会などを開催しています。先日の節分では、新聞紙で豆をつくって豆まきをしました。迫力のある鬼が実際に登場し、節分を盛り上げてくれました。他にはない特徴だと思います。

「わんぱくひろば」では、季節ごとの行事やイベントを大切にしている
「わんぱくひろば」では、季節ごとの行事やイベントを大切にしている

左近さん:普段の遊びで人気があるのは、おままごと。おうちにないおもちゃで遊ぶ子も多いです。お絵描きなどもここではよくしています。

岡村さん:ボランティアさんで詳しい方に教えていただきながら、プランターに野菜や花を植えたりしたこともあります。プチトマトやきゅうり、いちごを育てて、収穫もしました。また、となりに障がい者の方の作業所があるので、交流することもあります。クリスマス会ではハンドベルを披露してくださいました。

楽しく遊べる遊具が豊富
楽しく遊べる遊具が豊富

―「保健師講座」というものも開催されているようですね?具体的な内容やどのような方が受講するか教えてください。

中西さん:保健師さん、臨床心理士さん、歯科衛生士さん、栄養士さんを「わんぱくひろば」に呼んで、講座を開催しています。講座のあとに、個別相談も受けてもらえるので、親御さん方に喜ばれています。町でもこういった相談は対応しているのですが、「町に予約してまで行くのはちょっと……」という方もいらっしゃいます。たまたまここに遊びに来た日に開催していたら、「聞いてみようかな」という方も多いですね。毎回、子育てで役立つようないろいろなテーマを決めて専門の方にお話ししていただいています。

申し込み不要で利用できる「わんぱくひろば」

―「わんぱくひろば」を利用するにはどうすればいいですか?

中西さん:申し込みは不要です。突然来てくださっても受け入れさせていただきます。ただ、愛荘町内在住か在勤の方、実家がここにある方限定になります。持ち物も特になく、お子さんの着替えや飲み物くらいですね。登録はしていただくのですが、来てくださったときに書いていただくだけでOKです。

社会福祉法人 愛荘町社会福祉協議会 中西桃子さん
社会福祉法人 愛荘町社会福祉協議会 中西桃子さん

―「わんぱくひろば」をご利用になった親御さんの声などを教えてください。

左近さん:家で夫婦で話すだけでは解決しないこともあると思います。お悩みに対して「共感」してもらうことで気持ちが楽になることがあるはずです。私たち保育士も子どもがいるので、親御さんのお悩みに共感することが多く、「話して良かった」と言って帰っていかれる方も多いですね。また、年代の近い親御さんが多いので、「私はこんなふうにしているよ」とか、親御さん同士で情報交換されるケースもたくさんあります。幼稚園や小学校、中学校と親御さん同士のお付き合いも長くなるので、ここで知り合いができることが強みになっているようです。

申し込みなどの手続き不要で参加できるのがうれしい
申し込みなどの手続き不要で参加できるのがうれしい

―やはり、一人で悩みを抱えて孤立してしまう保護者の方もいらっしゃるのでしょうね。

中西さん:新興住宅地なので核家族が中心です。近くにおじいちゃん、おばあちゃんがいないとか、知り合いがいないので気軽に相談できないとか、孤立してしまうケースはありますね。県外から引っ越して来た方や、ご夫婦お二人ともここが地元ではなく、仕事の関係で住むようになった方もいらっしゃいます。「わんぱくひろば」がきっかけで気の合う親御さん仲間ができて、長くお付き合いされている方もいらっしゃいます。

地域に根付いた子育て支援施設

―ここで大切にされていることはありますか?

左近さん:ここでお子さんと遊ぼうと思って来てくださっている親御さんの気持ちを大切にし、お子さんはもちろん、親御さんとの関係性も築きたいと思っています。ここでホッとひと息つけるような場所にしたいですね。

中西さん:私は社協の職員ですので、福祉的な観点をもってひろばを運営したいといつも思っています。保育士の先生方が聞いてくださった困りごとを行政や保健センターにつなげる役割もありますので、親御さんのSOSをきちんと受け止めていきたいですね。

岡村さん:ここは福祉センターですので、ボランティアさんだけではなく、地域の方に「わんぱくひろば」の存在を知ってもらって、地域に根付いたひろばにしていきたいという思いがあります。

子どもたちがのびのびと走り回れる空間に
子どもたちがのびのびと走り回れる空間に

地域の人があたたかく、子育てに安心の環境が整っている愛荘町

―最後に、愛荘町エリアの魅力(暮らし、子育て環境など)をお聞かせください。

左近さん:私も町内に住んでいます。引っ越してきて6年目です。昔の様子も知っているのですが、新興住宅が建って、本当に町の雰囲気が変わりました。子どもも多く、同級生と一緒に遊べる環境で良かったと思いますね。大きな「愛荘町立 愛知川図書館・愛知川びんてまりの館」があるので、子どもが小さな頃はよく絵本を借りに行きました。図書館の近くで川遊びをしたり、お弁当を食べたり、ピクニック気分を味わえるのも魅力です。

「愛荘町立 愛知川図書館・愛知川びんてまりの館」
「愛荘町立 愛知川図書館・愛知川びんてまりの館」

中西さん:町内に子育て支援センターとして「あいっ子」「つくしひろば」、地域子育て支援拠点として「わんぱくひろば」と3つもあるので、子育てもしやすい環境が整っていますね。3つとも回っている方もいらっしゃいますし、自分に合うところに行けるのも、親御さんにとってはありがたいと思います。月曜から土曜までどこかが開いているので、行きたいときに行けるのもいいですね。人もあったかくて、ほっこりできる町だなと思います。

社会福祉法人 愛荘町社会福祉協議会 地域福祉係長 岡村敦史さん
社会福祉法人 愛荘町社会福祉協議会 地域福祉係長 岡村敦史さん

岡村さん:町の人が気軽に声をかけてくれますし、となり近所のお付き合いがある温かい町です。水に関係する企業や酒屋さんが多く、水がおいしいんですよ。「宇曽川ダム」の奥にある山比古湧水という場所では川遊びができ、親子連れで夏はにぎわっています。住まいの近くに、自然を体感できる場所があるのはとても魅力的ですね。やはり子育てには申し分のない環境だと感じますね。

子育て世代が、子育ての悩みを気軽に相談できる「子育て支援センター わんぱくひろば」
子育て世代が、子育ての悩みを気軽に相談できる「子育て支援センター わんぱくひろば」

子育て支援センター わんぱくひろば

職員・スタッフのみなさん
写真左二番目から今回お話をうかがった
岡村敦史さん、左近友美さん、中西桃子さん

所在地:滋賀県愛知郡愛荘町市731 福祉センター愛の郷
電話番号:0749-42-7170
開館時間:9:00~15:00
※休室日:火・金・土・日曜日、祝日、年末年始
URL:https://www.town.aisho.shiga.jp/soshiki/kodomo/kosodatesien/wanpaku/974.html
※この情報は2023(令和5)年2月時点のものです。

子育て世代のうれしい居場所、悩みも気軽に相談できる/地域子育て支援拠点わんぱくひろば(滋賀県)
所在地:滋賀県愛知郡愛荘町市731 福祉センター愛の郷
電話番号:0749-42-7170
開催時間:9:00~15:00
休室日:火・金・土・日曜日、祝日、年末年始
https://www.town.aisho.shiga.jp/soshiki/..