親子三代の通う伝統校の、シンボルツリーとともに歩んだ歴史/横浜市立城郷小学校(神奈川県)
1900(明治33)年に創立した「横浜市立城郷小学校」。もともとは「高等城郷小学校」という校名で始まっている。歴史があるということはそれだけ卒業生の数が多く、結果として寄せられる思いは大きいものとなる。地域と学校に関係するエピソードからは、地域から暖かく見守られていることが伺える。
――創立から120年を超える歴史があるそうですね。まずは学校の沿革と、学校概要について聞かせてください。
三瓶先生 本校は、1900(明治33)年に5・6年生を対象とした「高等城郷小学校」としてその歴史が始まります。その後、子どもの数が増え、1年生から4年生を受け入れるようになったことで「尋常高等城郷小学校」となりました。当時の校舎は現在の「鳥山池公園」の近くにあったのですが、1922(大正11)年、校舎とともに本校のシンボルツリーであるイチョウもこの場所に移ってきました。2020(令和2)年には創立120周年を迎えたのですが、コロナ禍のためささやかな記念式典を開催するにとどめました。現在の学級数は、個別支援学級5学級を加えた24学級で、児童数は581名です(2023(令和5)年2月時点)。
本校では、来年度から授業時間が変わります。これまでの午前中授業が少し増え、午後は生徒の帰宅時間が30分早くなります。これまで午後に入っていた授業のいくつかは、教員の出張や成績処理などによりカットされてしまうことがありましたが、今回の変更により、その数を半減できる計算です。また、子どもたちの集中力が高い午前中に多く授業を行うことは意義がありますし、午後に時間ができることで教員も余裕を持って子どもたちと接することができます。
地域や人との尊重や思いやりを教育で伝える
――「城郷小学校」の教育目標と、力を入れている教育活動はありますか?
三瓶先生 教育目標には“ともに学び よりよい生き方を 見つけだす しろさとっ子”を掲げ、自ら課題を発見し、思いや考えを深め、学び合う姿勢の“知”、できる喜びを感じ、自分らしく、思いやりをもって伝え合う心の“徳”、自分の生活に関心をもち、健康な体と根気強く取り組む力の“体”、社会や地域とのつながりを大切にする心の“公”、多様性を尊重し、夢や希望をもって挑戦する心の“開”を養う教育を目指しています。このような理念や目標というのは、文面にするとどうしても長くなってしまうので、常に意識して教育に臨めるように、それらの内容を噛みくだいて伝えるようにしています。
個人的な思いとしては、相手を尊重し、自分の考えや意見を伝えながら理解する心の育成。それと、地域との関わりを深めたいと思う子どもに育ってもらえたらと考えています。
――SDGsの教育についてはいかがでしょうか。
三瓶先生 本校には、アフリカに青年海外協力隊として派遣されていた職員がおり、SDGsの観点からアフリカで感じたことや学んだことを子どもたちに伝えると同時に、困難のある社会のなかで、どうすれば活躍できるのかというテーマで話し合いを行ったりしました。
地域の皆さんとともに取り組むイベント行事も
――「城郷小学校」の特徴的な行事はありますか?
三瓶先生 コロナ禍で思うようにはいきませんが、運動会と同じくらい盛り上がるのが音楽会です。6年生が器楽合奏と合唱、5年生がボディパーカッションと合唱、それ以外の各学年は歌を2曲ずつ歌うことになっています。
ほかには、1年生と6年生、2年生と4年生、3年生と5年生のペアで「新横浜公園」まで行き、フィールドワーク、オリエンテーリング、鬼ごっこなどを楽しむなかよし遠足や、地域の環境を活かした行事として、近くの畑での収穫体験もあります。1年生がさつまいも、2年生になると大根、6年生はじゃがいもを掘り起こします。
また、学校行事でありませんが、PTAが主催する「しろさとフェスティバル」も盛り上がります。野菜、漬物を販売するテントが立ち並び、子どもだけでなく大人も楽しめるイベントです。
――地域の方々と関わる機会は何かありますか?
三瓶先生 本校は「日産スタジアム」の半分が学区に含まれていることもあり、キャリア教育の一環として「横浜F・マリノス」さんとの継続的な関わりがあります。どうすれば観客が増え、試合に何度も足を運んでくれるようになるのかというテーマで、社長の前で子どもたちが発表した年度もあります。“大人にはない発想が面白いですね”と感想をいただきました。
受け継がれた愛着のある町・港北区烏山町
――烏山町とその周辺エリアについて、どのような印象を持っていますか?
三瓶先生 県内有数のビジネス街である新横浜が近く、「日産スタジアム」や「横浜アリーナ」にも歩いていける距離なのに、本校周辺のように緑が多く、大変落ち着いた環境です。鳥山地区は、鎌倉時代には馬の飼育場だったそうで、今でもいたるところで馬頭観音があります。
また、親子三代が本校の卒業生という家庭も珍しくなく、愛着を持って接してくださる方が大変多い地区です。登校中に生徒が怪我をしたこともあったのですが、たまたま通りかかった方が救急車を呼び、さらには学校にも連絡してくだいました。出勤途中で急いでいるなかでの対応です。
本校の生徒については、素直で、子どもらしい表情をする子どもが多いですね。私の前で立ち止まり、丁寧な挨拶をしてくれる女の子がいました。やがてその子が挨拶する様子を見ていた子どもたちも、同じことをするようになりました。挨拶というのは言わされてするものでもないですし、特定の人だけにするものでもありません。その女の子の丁寧で、心のこもった挨拶ももちろん立派でしたが、その光景から何かを感じ取り、自分もしようと思った子どもたちも立派です。
――範囲を広げて港北区の魅力はいかがですか?
三瓶先生 区内には1,000人規模の小学校もありますが、それは街がたくさんの子育て世代に選ばれた結果でもあります。鉄道のアクセスもよく、ビジネス街があるにもかかわらず、「竹灯籠まつり」で使用する竹がすぐに手に入るなど自然にも恵まれていますから、色々な面で生活しやすい街ではないかなと思います。
横浜市立城郷小学校
校長 三瓶淳先生
所在地:神奈川県横浜市港北区鳥山町814
電話番号:045-471-5340
URL:https://www.edu.city.yokohama.lg.jp/school/es/shirosato/
※この情報は2023(令和5)年2月時点のものです。
親子三代の通う伝統校の、シンボルツリーとともに歩んだ歴史/横浜市立城郷小学校(神奈川県)
所在地:神奈川県横浜市港北区鳥山町814
電話番号:045-471-5340
https://www.edu.city.yokohama.lg.jp/scho..