ドイツパンが美味しいベーカリーカフェ/Bakerycafe COPPET 奥山誠さん
Bakerycafe COPPET
店長 奥山誠さん
サザンオールスターズも食べた!?
地域に愛されるコペのパン
県道18号の桜台交差点にある「Bakerycafe COPPET(ベーカリー コペ)」は、30年以上地域に愛されてきたパン屋さん。毎日焼く50種類ものパンを目当てに、お客さんの足は途絶えることがない。イートインもあり平日は地元の主婦の皆さんの憩いの場としても利用されている。店内にはお店のキャラクター「コペニョン」がいたり、小学校の社会の授業の教材として活用されていたりと、パン以外にも話題の絶えないお店だ。そんな「Bakerycafe COPPET」について、2代目店長の奥山誠さんにお話を伺った。
まず始めに、この青葉台エリアにお店をオープンしたきっかけについて教えてください。
僕は2代目で、先代がこの地で「Bakerycafe COPPET」を始めました。この店自体は30年の歴史があり、2015(平成27)年で代替わりをしてから13年目になります。僕とこのお店との出会いは、高校生の時でした。当時「将来何になろうかな」と悩んでいたときだったのですが、ある日姉が買ってきたコぺのパンを食べた瞬間に「おいしい!これだ!」と直感したんですね。気付いたときにはアルバイトとして応募をしていました。
高校を卒業した後、専門学校に行き、「Bakerycafe COPPET」に就職しました。それからずっとこのお店でパンを販売しています。長いようですがあっという間ですね。「コペ」という名前は、スイスにあるレマン湖の近くのコペ村が由来です。先代がそこを訪れて、すごく素朴な村だと気に入り、「コぺ」という名前をつけたと聞いています。
お店に来られる方は、周辺にお住まいの方が多いのでしょうか。また、年齢層などについても教えてください。
時々都内から買いに来て下さる方もいるのですが、だいたいはこの周辺にお住まいの方ですね。年齢層は40歳前後で、9割の方が女性です。ファミリー層が多いので、休みの日には朝から子どもたちが走って買いにきたりします。買ったパンをその場で食べられるイートインも完備しているので、焼きたてのパンをその場で召し上がっていただくことができますよ。おかわりは一律200円で別のドリンクに変更可能です。平日は主婦の皆さんが来て、楽しくおしゃべりをしていますね。青葉区は子どもが多いので、ベビーカーで来店されるお客さんも多いですよ。
また、お年寄りの方もよくご来店されます。皆さん知識が深いので、僕よりマニアックなフランスパンの食べ方を知っていたりするんですよ。お話を聞くと、バブル時代にドイツなどのヨーロッパによく行かれていたそうです。
そのほかにも、「横浜市立青葉台小学校」の3年生の社会科で、11月初めから12月終わりまでの1ヵ月間、コペを研究する授業にあててくれています。コペを題材にして、スーパーマーケットにある袋に入ったパンとの違いや、コぺのパンの作り方など、いろいろな視点で社会というものを考える授業です。研究結果の成果物はどれも素晴らしく、また子どもたちの目はキラキラしていて、僕としても嬉しい夢のような時間でしたね。
販売されているパンの種類や、販売時間などについても教えてください。
営業時間は朝7時半から夜7時半まで。カフェは朝9時から夕方6時までとなっています。パンは50種類前後ですね。一番人気なのはクリームパンです。ベースになるものと季節ごとに楽しめるものとがあります。デニッシュやカレーの具材など、パンの1割くらいが季節ごとに変わります。
土日は家族連れが多いのでお惣菜のパンや、子どもたちが好きそうなキャラクターのパンを多く作っています。お惣菜は11時から12時にかけて焼きたてを出すようにしているので、それを目当てに来てくださる方もいます。また、朝食に焼きたてを召し上がっていただきたいと思い、土日は朝7時半くらいに焼きたてのフランスパンも提供しています。
青葉台周辺エリアの飲食店とコラボもされていますが、このような企画を始められたきっかけについて教えてください。また、このような取り組みにより、お店同士の関係など変化はありましたか。
先日、コぺとイタリアンのお店とラーメン屋さんの3軒で、ミュージシャンが同時にライブを開催しました。「街のBGMプロジェクト(仮名)」と名付けているイベントです。そのほかにも、「シュタットシンケン」というドイツソーセージを作っているお店があるのですが、そのお店で出すホットドックのパンをコぺで作っていたり、ステーキ屋さんとは、大きさや具材を話し合ってハンバーガーを一緒に作りましたね。また、コぺのカツサンドのカツやコロッケ、メンチカツはお肉屋さんに作ってもらっています。カツはヒレカツの特注で、パンのサイズに合わせて作ってもらっていて、お店同士本当に仲がいいですね。
きっかけは東日本大震災で、商店街が静かになってしまったことです。何ができるかわからないけど、集まって話をしようということで、青葉台でフェイスブックでつながった人たちとAFF(青葉台で「face to face」)という会を立ち上げました。今でも年に5、6回、80人ぐらい集まります。目的は特になく会って話をするという感じです。
「Bakerycafe COPPET」ならではのイベントについて教えてください。
音楽のライブのほかに落語ライブも開催しました。僕自身、落語が好きで、歌でライブができるなら落語でもライブができるんじゃないかと考えました。この話をお客さんにすると、アマチュアで落語をやっている方を紹介してもらうことができて。お店を閉めてから、店の真ん中に高座を作って、囃子をかけて、とっても面白かったです。そういうイベントって都内に出ないと行けなかったりするので、子どもを連れていける距離でイベントが開催されるのはすごく嬉しいと、そんな声もいただいています。平日の夜なので、働いている方も仕事帰りに寄ってくれます。コぺでのイベント開催がきっかけで、周辺のいろいろなお店でもさまざまなイベントを開催するようになりました。
起爆剤としての役目は終わったかなと思い、イベント自体は今お休みしているところです。朝から仕事して、イベントをやると、最終的にお店を閉めるのが夜11時くらいになってしまいます。一時期、毎月開催していた頃、スタッフがくたくたに疲れてしまって、今はお休みをしています。
そのほかにラジオ番組も持っています。「FMサルース」という青葉台のコミュニティラジオがあって、土曜日の夕方6時から「Bakery cafe COPPET Presents 佐々木優太のミュージックデニッシュ」という音楽番組を放送しています。プロデューサーがその時間が空いたのでラジオ放送をやらないかと声をかけていただき、始めました。ミュージシャンの佐々木優太さんがパーソナリティを務めています。番組内に「今日のコペパン」というコーナーがあり、佐々木優太さんが食べて音楽で表現するんです。「Ustream」でも見ることができますよ。
近くには、「桜台公園」。少し足を伸ばせば、「もえぎ野公園」と自然も豊かですが、奥山さんがオススメする、パンを片手に楽しむ周辺エリアの散策について教えてください。
「桜台公園」という桜がきれいな公園があります。その公園には、池があったりと起伏がある公園なので散歩には向いていますね。この交差点(桜台交差点)から桜のトンネルができるので、春はとてもきれいです。また、商店街にもいろんなお店があるので、一軒一軒回ってみるのも楽しいかもしれません。
「もえぎ野公園」もやっぱり起伏がある公園で池に桟橋があるんです。桜の季節はコぺでパンを買ってそこで召し上がる方が本当に多いですね。
「コペニョン」というキャラクターが人気だそうですね。
昔からコペニョンっていう存在しないキャラクターがいたんです。心のきれいな人にしか見れないというキャラクターです。仕事をしていて、誰もいないところでガシャンって音がすると「今のはコペニョンの仕業だ!」とか、お客さんが来ないと「コペニョンがドアを閉めているんじゃないか」と、先代からそんな話がありました。
2年くらい前に「コペニョン」を描写するとどうなるだろうと、スタッフが考えてきたんです。同時に絵本も描いてきてくれたので、原画を写真にとってフォトブックにしました。すると、とても人気が出て、コペニョンストラップを販売すると、1週間もしないで完売してしまいました。「コペニョンろうそく」や「キーホルダー」、「シール」もあります。周辺の小学生はみんな知っていると思います。
サザンオールスターズの『ピースとハイライト』のPVでお店を使われたそうですね。
サザンオールスターズのメンバーの方がコぺを知っていたみたいで、スタッフの方が見に来られたんです。その方から「急な話ですが、4日後にコぺで撮影がしたい」とお願いされたのですが、指定の日が営業日だったので、「撮影はできません」と伝えると、撮影に訪れるのは、「サザンオールスターズ」なんだと。即「どうぞ」と承諾しました(笑)。実際に来るまでは信じられなかったです。当日、メイクさんやスタッフの方々も多く、撮影中は同じ空間にいるけれど不思議な距離を感じましたね。
撮影が終わってから熱狂的なファンの方が来店されました。しばらくは撮影に使ったトレーを飾っていたのですが、その写真を撮っていましたね。今は飾っていないので、もしかしたらお客さんは知らず知らずにそのトレーを使っているかもしれません。本当に夢のようでした。
長年お店を営まれてきたからこそ感じる、周辺エリアの魅力について教えてください。
街が本当にきれいですよね。よく壁面に落書きがある街もありますが、青葉台にはありません。朝5時くらいに、この辺りの有志の方がゴミ拾いをしてくださっているんです。そのような常に街をキレイにするということに関心の高い方が多いと思います。そのほかにも、青葉区は男性の平均寿命が長いことでも知られていますし、小学校など教育施設も充実していて、お年寄りも子どもも一緒に共存して暮らしている街です。美術大学や体育大学もあるので若者も多いですね。緑も多く自然環境にも恵まれています。
※記事内容は2015(平成27)年7月時点の情報です。
ドイツパンが美味しいベーカリーカフェ/Bakerycafe COPPET 奥山誠さん
所在地:神奈川県横浜市青葉区青葉台1-29-3
電話番号:045-983-5176
営業時間:ベーカリー 7:30~19:00、カフェ 10:00~17:00
定休日:水曜日、第2、第4火曜日
https://445.co.jp/coppet/index.html