地域と手を取り合って子どもたちを育くむ「千葉市立磯辺第三小学校」/校長 鶴岡克彦先生、教頭 鈴木恵子先生


2017(平成29)年で開校37年目を迎えた「千葉市立磯辺第三小学校」。地域とのつながりがとても深く、「三小を助け隊」と呼ばれる大勢の地域ボランティアと共に子どもたちを元気にたくましく育てている学校だ。今年度同校に着任した鶴岡克彦校長は“挨拶の声が大きい元気な先生”として子どもたちからも地域からも愛される存在、鈴木恵子教頭は学校と地域をつなぐ窓口として信頼が厚い。同校を訪れ、学校活動や街の魅力について鶴岡校長と鈴木教頭にお話を伺った。

まずはじめに「磯辺第三小学校」の沿革、概要について教えてください。

千葉市立磯辺第三小学校
千葉市立磯辺第三小学校

鶴岡校長:本校は1981(昭和56)年4月に千葉市101校目の小学校として創立され、今年で37年目になります。近年学校周辺地域にマンション建設がされたこともあり、児童数は若干増えております。現在372名、特別支援学級を含めて14学級の学校となっています。教育目標は、「自分を 友だちを そして地域を愛する子どもの育成」を掲げています。自分を大事にできない子が、友だちや地域を大事にはできない、という考えを踏まえて、子どもたちが自己肯定感を高め、友だちや地域と密接に関わりながら生活できる環境づくりをしています。

「三小を助け隊」について教えてください。

千葉市立磯辺第三小学校 三小を助け隊
千葉市立磯辺第三小学校 三小を助け隊
「三小を助け隊」の活動の様子

鶴岡校長:磯辺第三小学校地区における千葉市の事業「学校支援地域本部事業」が通称「三小を助け隊」です。これは保護者や地域のボランティアによる学校支援を通じて、学校教育の充実はもとより、地域の教育力の向上やコミュニティの活性化を図ることを目的としています。今年度も、一緒に子どもたちの教育を行いませんか?と保護者や地域の方にお声がけしたところ、約160名の方々に登録頂きました。地域の皆さんが学校に対してとても協力的でありがたいと思っています。
「三小を助け隊」の活動内容はミシンやそろばんなどの指導補助、「町たんけん」、昔遊び、読み聞かせ、登下校の見守りをする「セーフティーウォッチャー」、畑・花壇の管理など様々です。「町たんけん」では10グループくらいに分かれて町を探検するのですが、子どもたちだけで行かせることはできませんので、教員の他に「三小を助け隊」の方々に同行して頂いています。また、地域の敬老会「磯寿会」のお年寄りにベーゴマなど懐かしい遊びを教えて頂き触れ合う「昔遊び」は、子どもたちだけではなく「磯寿会」の方々にもとても楽しみにして頂いている活動です。

千葉市立磯辺第三小学校
千葉市立磯辺第三小学校

鈴木教頭:5年生でミシンを使用する授業があるのですが、初めてミシンに触る子どもたちも多く、糸のかけ方や糸調子が上手くいかなかったり失敗してしまったりということもあります。授業時間内でミシンの細かい手作業を一人の教員が一人一人に教えていくことには限度がありますので、「三小を助け隊」の方々に指導補助をして頂いています。裁縫が得意なお母さん方など、ベテランも多く教え方がしっかりとしているので安心ですし、子どもたちからも評判です。その他「三小を助け隊」には、「放課後子ども教室」のお手伝いもして頂いています。今後も本校では教職員と「三小を助け隊」が連携しながらより良い授業作り・環境づくりをしていきたいと思います。

「地域を助け隊」という取り組みもあるようですね。

千葉市立磯辺第三小学校 敬老会
千葉市立磯辺第三小学校 敬老会
「地域を助け隊」の活動の様子

鶴岡校長:「三小を助け隊」に対して、学校側がみなさんに助けて頂くだけではなく、自分たちも地域に対して何かを発信していこう!という思いから、地域清掃活動や地域敬老会のお手伝いなどを行っています。地域敬老会のお祝いを本校の体育館で行って頂いて、そこで本校の子どもたちが受付などのお手伝いをしています。また年度初めに「仲良くなろう集会」を開催し、年度終わりには「三小を助け隊」としていつも見守って頂いていることに対して「ありがとう集会」を開いたり、「6年生を送る会」にご招待したりしています。さらに今年度からは「ボランティアクラブ」を創設し、地域の福祉施設に足を運び交流する活動も行っています。
その他、毎年「磯辺保育所」と津波対策の合同避難訓練を実施したり、「千葉県立磯辺高等学校」の陸上部の皆さんが「小学校陸上大会」に向けて指導に来てくださったりするなど、学校と地域全体を良い意味で巻き込んで広く活動を行っています。

「かもめフェスティバル」とはどのような行事でしょうか?

千葉市立磯辺第三小学校
千葉市立磯辺第三小学校

鶴岡校長:“かもめ”は本校の校章にもデザインされており、学校のマスコットキャラクター的な位置づけになっています。校章のデザインの由来は、限りない発展と未来を望む児童への教育信条を加味して、開校当時の市花「夾竹桃」と「鴎」を図案化したものだそうです。海岸を自由に飛び交う三羽の鴎は「知・徳・体」「教師・子ども・保護者」を表し、互いに羽を接しているのは、交互の精神を意味しています。「かもめフェスティバル」は本校が毎年行う文化祭で、当日は保護者や地域の方を学校にお呼びして各学年による発表形式の授業参観を行っています。子どもたちは楽しんでもらいたい、自分たちが調べた事や取り組んできた事を伝えたい、と発表方法を工夫してたくさん練習して臨んでいます。今年の1年生は「あきのおもちゃやさんへようこそ」、2年生は「町たんけん発表会」、5年生は「ジャパンウォッチング~和の心でOMOTENASI~」など、各学年工夫を凝らした学習の発表がなされました。その他にも本校には「かもめ学級」、「カモメ水族館」、「かもめ写真館」など“かもめ”を名前に使用した施設や取り組みが多いのも特徴です。

「“わかる授業”の具現化」を掲げているとお聞きしました。具体的にどのような授業を行っているのでしょうか。

千葉市立磯辺第三小学校
千葉市立磯辺第三小学校

鶴岡校長:本校では「認め合い、学び合い、進んでなかまとかかわる児童の育成」を主題とし、かかわり合いを深めるための支援や工夫について全職員で研究しています。また「NPO法人ちば教育夢工房」に所属する教員OBのみなさんにボランティアで授業に来て指導して頂いておりますので、よりきめ細やかな指導をすることが可能になっています。今年度より国語科の言語活動を通して、「話す・聞く」をポイントに授業の中に話し合いの場を多く設定したり、話す表現方法について工夫したりするなど、日常的に意識してより多くの言語活動を取り入れられるようにしています。従来の講義型の授業ではなかなか子どもたちに浸透しにくかった部分を改善し、授業で聞いたものを自分の言葉に置き換えて発信できるように努め、それが最終的に子どもたちの「わかる授業」につながると考えています。

貴校に通う子どもたちの特長、また学校の雰囲気についても教えてください。

千葉市立磯辺第三小学校
千葉市立磯辺第三小学校

鶴岡校長:毎朝、私が安全指導も兼ねて校門でハイタッチをしながら子どもたちを迎え入れています。みんなとても明るく、登校が完了する頃には手が痛くなってしまうくらい元気にハイタッチを返してくれます。高学年が学校を引っ張り、要所要所で率先して学校の為に動いてくれているのも特徴で本当に助かっています。特に6年生は下級生の面倒をよく見てくれていて、下級生からはお兄ちゃん、お姉ちゃんと慕われています。本校では教室の配置を、2階フロアの真ん中に6年生、その両サイドに1、2年生の教室とするなど工夫をしておりまして、給食や掃除の時などもすぐに上級生が下級生を助けることができるようになっています。

鈴木教頭:6年生は常に1、2年生に見られている、良い手本を見せたいという思いにつながっていることも良い効果につながっていると思います。

千葉市立磯辺第三小学校
千葉市立磯辺第三小学校

鶴岡校長:また本校の子どもたちの歌声は千葉市に誇れる高いレベルにあると思っています。私が初めて着任し、その歌声を聞いた時は鳥肌が立ちました。ぜひ一度聴きにいらして頂きたいです。

鈴木教頭:昨年の「6年生を送る会」では歌を聴いていた人たちが皆涙していました。子どもたちのひたむきさが心を打つのだと思います。

海も近く自然溢れる魅力的な街ですね。子育て環境はいかがでしょうか。

ヤオコー  検見川浜店
ヤオコー 検見川浜店

鶴岡校長:治安がとても良い地域です。地域の人たちとの連携がしっかりととれていて、見守り活動なども積極的に行ってくださいます。街には公園が点在していて、公園で遊ぶ親子やゲートボールなどで体を動かすお年寄りなど、外に出て活動する方が多い印象で、明るく活動的な街の雰囲気が安心して子育てできる環境を支えています。買い物には「マリンピア」や「ヤオコー」、「イオンスタイル」も新しくオープンするなど、ますます便利になっています。

鈴木教頭:学校の参観日や行事の際には、お母さんだけではなくお父さんやおじいちゃん、おばあちゃんの姿もよくみかけます。家族や地域全体で子どもを育てる意識が強く、温かい雰囲気の街だと思います。海が近くて街並も綺麗ですので、子育てには適した場所かと思います。

千葉市立磯辺第三小学校
千葉市立磯辺第三小学校

千葉市立磯辺第三小学校

校長 鶴岡克彦先生

所在地:千葉市美浜区磯辺1-25-1
電話番号:043-277-1021
URL:http://www.cabinet-cbc.ed.jp/school/es/101/

※2017(平成29)年11月実施の取材にもとづいた内容です。記載している情報については、今後変わる場合がございます。

地域と手を取り合って子どもたちを育くむ「千葉市立磯辺第三小学校」/校長 鶴岡克彦先生、教頭 鈴木恵子先生
所在地:千葉県千葉市美浜区磯辺1-25-1 
電話番号:043-277-1021
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