スペシャルインタビュー

スペシャルインタビュー/葛飾区子育て支援部育成課長 柏原正彦さん


下町の風情が今なお残り、人と人とのつながりも感じられる葛飾区。昨今は再開発に伴い利便性の高い商業施設やマンションの開発等も進み、子育てファミリーの注目を集めています。保育園の整備をはじめ、子育て支援策に早くから取り組み、子育てしやすい街としてのイメージのある葛飾区ですが、平成29年度から葛飾区版ネウボラ「ゆりかご葛飾」という事業もはじまり、ますます充実する子育て支援に期待が高まっています。今回は葛飾区子育て支援部育成課長の柏原正彦さんに、区の子育て支援策と今後の取り組みについてお話を伺いました。

保育園の整備が奏功し、子育てしやすい街として知られる葛飾区

――葛飾区の子育て事情について、待機児童の現状についてもお聞かせください。

柏原さん:葛飾区は比較的早い段階から保育園の整備を進めてきたこともあり、保育園に入りやすい地域というイメージがあって、子育てしやすい街として知られています。

葛飾区役所
葛飾区役所

待機児童数については、一時、葛飾区全体でどのエリアでも待機児童が多い時期はあったのですが、今はだいぶ落ち着いてきています。葛飾区を4つの生活圏域で捉えた東部・西部・南部・北部で分けた場合の、西部に位置する「お花茶屋」駅周辺の状況を見てもだいぶ落ち着いてきていると言えると思います。

葛飾区独自のデザインケースに入れた「マタニティパス」の交付

――葛飾区の子育て支援策について具体的に教えてください。

柏原さん:妊娠期から出産、子どもが就学するまでの切れ目の無い子育て支援を行うネウボラという言葉を聞いたことがある方も増えてきているかと思います。葛飾区版のネウボラ事業も平成29年度からはじまり、「ゆりかご葛飾」という名称で事業を展開しています。これまでも乳幼児を対象とした事業、妊婦さんを支援する事業と言うのはそれぞれあったのですが、ネウボラとして系統立てて再編したのは昨年のことで、今まさに葛飾区の子育てを象徴する取り組みです。

具体的な子育て支援策としては、まず母子手帳をお渡しする際に「マタニティパス」交付があります。交通系ICカードに区が5,500円をチャージして、お渡ししています。妊娠すると体調の変化や不安などから外出する機会が少なくなったり、妊娠後期になると自転車も利用できなくなるため、健診に行くときなどにも役立てていただければという外出支援を目的に、オリジナルデザインのケースと一緒にお渡しします。

モンチッチがデザインされた「マタニティパス」ケース
モンチッチがデザインされた「マタニティパス」ケース

このケースは葛飾区独自のもので、描かれているモンチッチは実は新小岩が発祥の地なんです。葛飾区には他にも全国的に有名なキャラクターが多数いますが、マタニティのピンクに合うキャラクターでなおかつ今の子育て世代にぴったりという点でモンチッチを採用しました。

子育てに関する話やアドバイスを聞ける「ゆりかご面接」

――支援策の一つ、「ゆりかご面接」とは?

柏原さん:葛飾区では母子手帳を交付した後に「ゆりかご面接」を行っています。子育てについて悩みを相談していただいたり、今後こういったことに気をつけていきましょうねといったアドバイスを受けていただいた方に「妊娠子育て応援券(1万円分)」を郵送で交付しています。面接は助産師や保健師、看護師といった知識的にも経験的にもしっかりした方が対応していて安心ですよ。

「ゆりかご面接」を実施している場所は、区役所のほか青戸・金町・新小岩・水元の4ヵ所の保健センターと、児童館のなかでも基幹型児童館として位置づけられている7ヵ所の児童館で行っていて、基本的にはお電話でご予約をいただき日程調整したうえでお受けいただいています。「お花茶屋」駅の近くは「小菅児童館」や「青戸保健センター」もあるのですが、区役所も近いので、ぜひ新館4階の育成課までお越しください。区役所の向かいには「葛飾赤十字産院」があるので、そこで診断を受けてからその足で育成課にいらっしゃる方も多く、午後5時まで窓口にて対応しています。また基幹型児童館は土日も対応しているので、平日にお勤めをされている方はそちらもご検討ください。

葛飾区役所のそばにある「葛飾赤十字産院」
葛飾区役所のそばにある「葛飾赤十字産院」

自転車のある生活が主流の葛飾区ならではの「三人乗り自転車購入費助成」

――特色ある支援策だと感じた、三人乗り自転車の購入費助成とは?

柏原さん:一時は全国的に実施された支援策だったのですが、三人乗り自転車の購入費助成を行っているのは、東京23区内では葛飾区のみです。葛飾区は自転車が利用しやすいフラットな地形で、自転車を主流にしたライフスタイルが確立されているんです。区役所に勤める職員も区内居住率が高く、通勤も自転車が主流ですね。また三人乗り自転車を対象としたのは、多子世帯を支援しようという区長の考えもありました。他の自治体ではあまりやっていない葛飾区ならではの特色ある子育て支援策だと思います。対象品目も一部拡充をして、ヘルメットの購入やバッテリーの追加購入もできるので、ぜひご活用ください。

またこの助成制度が生かされる地域の特性として、区内にある46もの自転車屋さんの存在があります。小学校で交通安全講習会を開いてくださったり、無料の点検をしてくれたりする「東京都自転車商協組合加盟店」に加盟するお店での購入を前提としているため、地域経済の活性化はもちろん、下町ならではの人と人とのつながりも育める葛飾区ならではの取り組みです。良い意味でのおせっかいな葛飾らしい人情のあるお付き合いができれば良いのかなとも思います。

お花茶屋には商店街もあり人とのつながりが感じられる街
お花茶屋には商店街もあり人とのつながりが感じられる街

区内初となる子育て支援拠点施設の整備に着手

――今後の新しい子育て支援の取り組みについて教えてください。

柏原さん:葛飾区では、今まさに児童館の機能と役割が変わっている転換期で、子育て支援拠点施設の整備を進めていく予定です。お花茶屋からは少し距離がありますが、「細田児童館」そばの都営住宅建て替えに伴い、およそ2,200平米の土地を区が借り受けるかたちで、保育園と児童館の機能を再編した葛飾区で初となる子育て支援拠点施設の整備を進めていくことになりました。年齢別活動の充実や乳幼児検診・児童生徒の健全育成に取り組むほか、地域の子育て力向上のため、保育園での交流もできるように考えています。妊娠期から出産後まで総合的に子育てを支援していける複合的な施設展開を検討しており、7月の後半から工事に着手します。

現在、区内に7ヵ所基幹児童館として位置づけられている児童館があるのですが、改築するタイミングで子育て支援拠点施設化していくことを検討しており、細田をモデルケースに地域ごとの特性なども考慮しながら、よりいっそう利用しやすい子育て支援の拠点づくりを進めていきます。

今回お話をうかがった、育成課長 柏原さん
今回お話をうかがった、育成課長 柏原さん

柏原さん:また、小学生が放課後ものびのびと過ごせる場所の整備にも取り組んでいます。朝、学校に登校し帰宅するまで、学校の中で安全に過ごしましょうという考えに基づくもので、放課後も学校にいることで、大人の目もあるし友達も多いので安全ではないかと。子育てしやすい街として認知され児童数も増えているので、新たな試みも必要になってきています。

春の桜と夏の水遊びはお花茶屋ならではの光景

――「お花茶屋」駅周辺や葛飾区内で子育て環境として魅力的だと感じる場所、施設を教えてください。

柏原さん:夏の時期は「曳舟川親水公園」ですね。四つ木の方まで1kmくらい続いており、水辺を散策したり水遊びができる場所があるんです。週末になると小さい子どもとその親御さんがいっぱい集まって、楽しそうに水遊びをしています。春は桜がきれいで花見客も多く、この地域ならではの光景かなと思います。親水公園として整備されたのは20年以上前のことで、私も子どもに浮き輪を持たせて一緒に遊びに行った記憶があります。

水遊びもできる「曳舟川親水公園」
水遊びもできる「曳舟川親水公園」

「お花茶屋」駅を北上して徒歩10分くらいのところにある「葛飾区郷土と天文の博物館」もいいですね。全国的にも数少ない生解説のあるプラネタリウムとして知られています。「今日はあいにくの雨ですが、プラネタリムのなかは満点の星空です」など、当日のお客さんの年齢層や男女比、季節やその日の天気によって解説が変わる特色ある施設です。

私自身もこの地域に長く住んでいるのですが、葛飾区は子育てに適した場所だと思いますよ。長く住めば住むほど良さに気づきます。

育成課長 柏原さん
育成課長 柏原さん

葛飾区 子育て支援部

育成課長 柏原 正彦さん
所在地:〒124-0012 葛飾区立石5-13-1
電話番号:03-5654-8297
URL:http://www.city.katsushika.lg.jp/index.html
※この情報は2018(平成30)年7月時点のものです。

スペシャルインタビュー/葛飾区子育て支援部育成課長 柏原正彦さん
所在地:東京都葛飾区立石5-13-1 
電話番号:03-3695-1111
開庁時間:8:30~17:00 ※水曜日は一部業務のみ19:30まで開庁
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始 ※毎月1回日曜日は一部業務のみ開庁(9:00~12:00)
https://www.city.katsushika.lg.jp/