世界遺産の城下町が目指す新時代のまちづくり/姫路市 観光経済局(兵庫県)
姫路市といえば、やはり世界遺産である姫路城が有名ですが、街の魅力はそれだけに留まりません。近年、駅前を中心に再開発が進み、にぎわいのある街へと生まれ変わりました。また、中心市街地活性化基本計画に基づく事業が実施され、さらに魅力的な街へと変貌を遂げようとしています。今回、姫路市 観光経済局 商工労働部 産業振興課のもとを訪れ、姫路市の風土や文化、まちづくり、そして将来の展望についてお話を伺いました。
「住みたい街ランキング1位」に選出された姫路市
――まずは姫路市の概要について教えてください。
坂元さん 本市は、兵庫県で人口約52万人、面積は534平方キロメートルの中核市です。兵庫県では神戸市に次ぐ人口規模を誇ります。北部には標高700~900メートルの山々があり、南は美しい瀬戸内海に面しています。瀬戸内海に浮かぶ数々の島も本市に含まれます。瀬戸内海側は播磨臨海工業地帯として、鉄鋼や化学工場が集積し、高度成長期の産業を支えました。最近では観光産業にも力を入れており、その中心地となるのが世界遺産姫路城です。姫路城は、平成5年(1993年)に奈良の法隆寺地域の仏教的建築物とともに、日本で初めて世界遺産に登録されました。シラサギが羽を広げたような優美な姿から「白鷺城」の愛称で親しまれ、日本の城郭建築の傑作として、日本の歴史や文化を今に伝える貴重な存在です。美しい四季折々の景観と共に、その壮大な構造と繊細な装飾が訪れる人々を魅了しています。
――姫路市における住環境の魅力について教えてください。
坂元さん 城下町の面影を残す街並み、北に広がる山々と畑、南に漂う穏やかな海など、姫路市はさまざまな魅力を有しています。観光の街として知られる一方、住みやすさからも評価されています。とある民間調査では、近畿圏の住みたい街ランキングで1位に選ばれました。特に南部は、年間を通じて比較的温暖で、降水量が少ない瀬戸内海式気候で、年間を通じて快適な居住環境を享受できます。
尾崎さん JRを使えば、大阪まで1時間、神戸まで40分という立地です。また新幹線も止まるので、遠方にも行きやすく、交通の便は素晴らしいです。ただ、あまりにも交通の便が良すぎて、観光客が姫路に滞在せずに、通過型観光であることが課題となっています。
市民や観光客が楽しめるイベントが満載
――姫路市で開催されるイベントについて教えてください。
坂元さん 本市では、年中を通じてさまざまなイベントが開催されています。特に毎年5月に開催される「姫路お城まつり」は、姫路駅と姫路城をつなぐ大手前通りが歩行者天国となり、たくさんの人でにぎわいます。
尾崎さん 近年の開催としては、スポーツ文化ツーリズムアワード2016でスポーツ庁長官賞を受賞した市民参加型マラソン大会「世界遺産姫路城マラソン」や姫路駅前から姫路城前までの沿道樹木を約22万球のフルカラーLEDなどで装飾する「Himeji大手前通りイルミネーション」なども開催されています。特に、令和5年度は、姫路城が世界遺産登録30周年を迎えたため、さまざまな記念事業イベントが開催されています。
さらなるにぎわいと住環境の魅力が増す街へ
――姫路市のまちづくりのビジョンを教えてください。
坂元さん 姫路市では長期的な展望で総合的かつ計画的なまちづくりを進めるための指針として、姫路市総合計画「ふるさと・姫路プラン2030」を策定し、2021(令和3)年から2030(令和12)年までの10年間にわたり実施しています。「ともに生き ともに輝く にぎわい交流拠点都市 姫路」を掲げ、人口減少や少子高齢化に対応しながら、豊かな歴史、文化、自然環境を生かしたまちづくりを進めています。市域を越えた生活の結びつきに着目した広域的な視点と、市内各地域の特性に応じた都市機能の更なる集約化と各地域間を結ぶ交通待機の強化(コンパクト・プラス・ネットワーク)の観点から、本市をはじめ、たつの市、太子町、福崎町の中播磨圏域が連携することで、地域の活力の向上を目指す多核連携型都市構造を進めています。また、姫路駅および姫路城を含む中心市街地については、「姫路市中心市街地活性基本計画」を策定し、にぎわい創出に取り組んでいます。
――「姫路市中心市街地活性化基本計画」について詳しく教えてください。
坂元さん 姫路市では、平成21年12月に「姫路市中心市街地活性化基本計画」を策定し、官民一体となってまちなかの活性化に取り組んでいます。特に、第1期、第2期を通して姫路駅を中心としたまちなかが美しく整備されたため、現在(第3期)では、「国内外の人々が行き交い愛され、市民が愛着をもつ城下(まち)」を基本テーマに、民間事業者と共にさらなるにぎわいと回遊、滞留を促すソフト面に力を入れて取り組んでいます。具体的には、中心市街地において歩行者優先の居心地が良く歩きたくなるまちなかを目指し、「姫路市ウォーカブル推進計画」に基づく公共空間利活用の仕組みづくりや姫路駅の西側の遊休不動産に若い事業者を誘致する「リノベーションまちづくり」などが挙げられます。また、シンボルロードである大手前通りを歩行者中心の道路空間として「歩行者利便増進道路(ほこみち)」に指定するなど、規制緩和による公共空間の利活用にも取り組んでいます。
――「姫路市中心市街地活性化基本計画」の実施において、期待されることはなんでしょう?
坂元さん 市民に本市に求めることについてアンケートを実施したところ、「さまざまなジャンルのイベント開催」、「休憩場所の提供」、「子供が安心して遊べる場所の設置」との回答が上位の要望でした。これらの回答の実現を目指すのが「姫路市中心市街地活性化基本計画」であり、まさに市民にとってより良い環境が構築できるのではないかと考えています。
――最後に、今後姫路市に住むことを検討している方へのメッセージをお願いします。
坂元さん 本市は姫路駅を中心とした市街地をはじめ、歴史・自然・文化・食といった多彩な魅力を持つ街です。例えば、平日は仕事帰りに姫路駅に寄ってお買い物。休日はちょっと足を伸ばして、手柄山でスポーツを楽しんだり、瀬戸内海の島々で、美味しい魚介類を食べてみたりなど、多様なライフスタイルが実現可能です。また、最大50万円が補助される移住支援の制度も充実しています。ぜひ姫路に住んでいただき、姫路の豊かな自然や文化的背景を生かした生活を楽しんでいただければと思います。
尾崎さん 神戸や大阪といった大都市の魅力もありますが、姫路は住みやすさで選ぶ価値があります。これからも多様な事業を展開し、魅力的な姫路市をPRしてまいります。
姫路市役所
姫路市観光経済局 商工労働部産業振興課 中心市街地活性化推進室 坂元洋介さん、尾崎貫介さん
所在地:兵庫県姫路市安田4-1
電話番号:079-221-2111
URL:https://www.city.himeji.lg.jp/
※この情報は2024(令和6)年2月時点のものです。
世界遺産の城下町が目指す新時代のまちづくり/姫路市 観光経済局(兵庫県)
所在地:兵庫県姫路市安田4-1
電話番号:079-221-2111
開庁時間: 8:35~17:20
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
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