葛飾区都市整備部 金町街づくり担当 課長 原田さん、龍味さんインタビュー

開発によって新旧さまざまな個性が共存する街へと変化を遂げる葛飾区金町エリアの現状と今後の展望とは?/葛飾区役所(東京都)


JR常磐線と京成金町線の2駅2路線が利用できる葛飾区金町(かなまち)エリア。古くから交通利便性の高いエリアとして発展し、近年は駅を中心とした大規模な再開発事業が進められ利便性と快適さを兼ね備えた住みやすい街として注目を集めている。

2021(令和3)年7月には駅前の再開発事業として進められていた「ベルトーレ金町」が竣工し、洗練されたその佇まいは駅前の顔に相応しく金町の未来を感じさせてくれる。今回は金町駅周辺の再開発の現状や街の魅力について知るため、葛飾区都市整備部 金町街づくり担当の窓口を訪ねお話を伺った。

駅周辺のまちづくりや基盤整備が活発に進められている葛飾区

葛飾区都市整備部 金町街づくり担当 龍味さん(左)、課長 原田さん
葛飾区都市整備部 金町街づくり担当 龍味さん(左)、課長 原田さん

――まず葛飾区の概要についてお聞かせください。

原田さん:葛飾区は東京都の東部に位置し、東は江戸川を境にして千葉県と、北は中川の支流の大場川を境にして埼玉県と隣接しています。人口は2021(令和3)年8月1日現在およそ46万3千人で、面積は34.80平方キロメートルです。 葛飾区では現在、駅周辺のまちづくりや基盤整備が進められておりまして、利便性の向上や良質な住宅を確保する取組みが行われています。 本日お話しさせていただく金町はJR常磐線と京成金町線の2駅2路線が利用できる交通利便性の高い地域として発展してきた場所で、葛飾区都市計画マスタープランにおいても「広域複合拠点」に位置づけられていることから、駅を中心とした交通の要衝として賑わいと活力ある街づくりが進められています。

JR「金町」駅の南口、北口でそれぞれ進められている大規模な再開発事業

ベルトーレ金町
ベルトーレ金町

――金町駅周辺地区の再開発の概要について教えてください。

原田さん:まずいわゆる再開発事業と呼ばれるものと道路の拡幅や駅前広場の拡張といった基盤整備とに分けて簡単にご説明させていただくと、JR「金町」駅の北口と南口でそれぞれ大規模な再開発事業が進められています。

南口については、2009(平成21)年度に竣工した「ヴィナシス金町」と今年の7月に竣工したばかりの「ベルトーレ金町」という2つの高層複合施設がありまして、両地区とも第一種市街地再開発事業で整備されました。

それぞれ低層階に商業施設と区の公益施設が入り、上層階は分譲住宅という構成になっています。「ヴィナシス金町」は1、2階が商業施設で、3階には区の「中央図書館」が入っています。また「ベルトーレ金町」も1、2階が商業施設で、3階には「カナマチぷらっと(金町駅前活動センター)」という複合サービス施設が11月13日にオープンしました。お子様から高齢者まで様々な世代の方々が利用できる施設で、キッズスペースやワーキングスペースをはじめ、視聴覚室や工作体験ができるような創作室も設置されています。その他にも料理実習室や集会室、音楽室など、いろんな人が気軽にぷらっと立ち寄れる施設を目指して整備しました。

一方、北口でも第一種市街地再開発事業が進められています。JR常磐線で松戸方面に向かうとき、金町駅手前の左手に自動車教習所のある建物が見えるかと思いますが、こちらが東金町(ひがしかなまち)一丁目西Ⅰ地区となります。今年の4月に組合設立が認可され、2022(令和4)年度から着工する予定です。計画では2025(令和7)年度に新しい商業施設が誕生(Ⅰ期先行オープン)し、全体の工事が完了するのは2030(令和12)年度になります。

新しくできる建物は1階から3階が商業施設で4階には区の公益施設が入る予定です。現在この地区に隣接している「金町地区センター」の機能を移転させる他、各種催し物ができるようなバンケットホール等の整備が計画されています。上層階にはタワーマンションが整備されます。建物の高さが、150mとなるため、金町の新たなランドマークになると注目されています。

北口では他にも新宿(にいじゅく)六丁目地区で、工場跡地を活用した大規模な再開発が行われていまして、2013(平成25)年4月に開園した「葛飾にいじゅくみらい公園」や「東京理科大学 葛飾キャンパス」の開設、さらには民間開発による大規模な住宅整備が進められています。

周辺の人口や駅利用者の増加に伴って進められる基盤整備

まちづくりプラン「取組のまとめ」
まちづくりプラン「取組のまとめ」

――金町駅周辺地区の基盤整備の概要についても教えてください。

原田さん:駅周辺の開発や住宅整備に伴い人口や駅利用者が増えたことによって、駅と大学とをつなぐ「理科大学通り」が非常に混雑し、特に通勤通学の時間帯になると車道に人が出て歩いているような危険な状況があることからも、「理科大学通り」の拡幅が喫緊の課題になっています。

また「北口駅前広場」も交通結節点としての機能が低下していたり、地域の活性化やにぎわいの創出を図るためにも駅周辺の回遊性を高めること等が課題として挙げられていました。このような状況を踏まえて今年の6月に「金町駅周辺地区まちづくりプラン」を策定し、金町駅周辺地区の目指すべき将来像や実現に向けた取組を具体的に明示しました。詳細は区のHP(こちら)からもご覧いただけるようになっています。

基盤整備に関して簡単にご説明させていただくと、現在、道路幅員が11mほどの「理科大学通り」を16mに拡幅して、「北口駅前広場」も現在の約2.5倍の広さにしようと検討が進められています。なお、「東京理科大学 葛飾キャンパス」では2024(令和6)年4月に新校舎が竣工する予定で、その翌年度に薬学部が移転してくると学生・教職員を合わせて2,000人ほど人数が増える見込みもあるため、早急に基盤整備を進めていかなければいけないと考えております。

またJR「金町」駅北口を出ると正面に総戸数1,417戸の「UR金町駅前団地」がありますが、1968(昭和43)年の入居開始よりすでに50年以上が経過しておりまして、高経年化への対応が必要となっています。このため、UR都市機構では「ストック再生」団地として位置づけ「建替え、集約、用途転換、改善」を複合的・選択的に実施する方向で検討が開始されたところです。

さらに長期的な取組みにはなりますが、JR「金町」駅の南北を結ぶ通路については、常に混雑していることからその解消に向けてJRと協議を進めています。また地元の方ではないとなかなか馴染みの無い場所ですが、東金町一丁目西地区の西側に常磐線のアンダーパスがありまして、道路幅員1.8m×高さ1.8mくらいの非常に狭い通路なので、ここについても将来的に整備していくことが必要であると考えています。

以上が金町駅周辺地区のハード面に関する説明となります。続いてまちづくりに関するソフト面のお話をさせていただきます。

次ページ:エリアマネジメントによるまちづくりが動き出す金町駅周辺地区

1 2