2020年公示地価発表、地価上昇は続いているが・・・

2020年(令和2年)1月1日時点の公示地価が、国土交通省から発表されました。全国の全用途平均地価が5年連続で上昇し、地方圏でも上昇地点が全体の約4割を占めるなど、地価上昇の傾向は続いています。

地価上昇の波が地方圏へも拡大

毎年、国土交通省が発表する公示地価は、1月1日時点の地価を調べたもので、複数ある地価指標の中でも代表的なものとして知られています。2020年(令和2年)の公示地価では、全国の全用途平均地価が5年連続の上昇を示し、上昇幅も4年連続で拡大するなど上昇基調が続いています。

東京、名古屋、大阪の三大都市圏では商業地が5.4%(前年5.1%)、住宅地は1.1%(前年1.0%)上昇し、7年連続のプラスとなり上昇幅も拡大しています。地方圏でも、全用途平均・住宅地は2年連続、商業地・工業地は3年連続の上昇となり、いずれも上昇基調を強めています。地方圏のうち、地方四市(札幌市、仙台市、広島市及び福岡市)では全ての用途で上昇が継続。また、地方四市を除くその他の地域においても、全用途平均・商業地が28年ぶりに上昇、住宅地は平成8年から続いた下落から横ばいとなり、工業地は2年連続の上昇となりました。

地価上昇率の上位ポイントをみると、商業地は北海道倶知安町、沖縄県那覇市、大阪市中央区と続いています。インバウンド増加による商業地需要が継続しているよう­です。住宅地でも上昇率上位1、2位は北海道倶知安町、3位は沖縄県糸満市、4位は沖縄県宮古島市、5位は福岡県博多市博多区と続きます。

都心部の上昇幅は鈍化する傾向に

東京圏の住宅地ではどのような変動があったのか、詳しくみていきましょう。都県別では東京都が2.8%上昇(前年2.9%)、神奈川県は0.3%上昇(前年0.3%)、埼玉県は1.0%上昇(前年0.7%)、千葉県は0.7%上昇(前年0.6%)となりました。

東京都では23区すべてで上昇しているものの、9区で上昇幅が昨年よりも縮小するなど、都心部から広がった地価上昇の動きがやや鈍化する傾向もみられます。一方、さいたま市では2.2%上昇(前年1.9%)となるなど、東京都心への利便性の高いエリアでは上昇幅の拡大が続いています。埼玉県では川口市、蕨市、戸田市などで上昇幅が拡大しました。千葉県では千葉市の全区で上昇が続き、中央区など多くの区で上昇幅が拡大しました。神奈川県では横浜市が1.1%上昇(前年1.0%)、川崎市が1.6%上昇(前年1.7%)、相模原市が1.4%上昇(前年1.2%)などとなっています。

この先も地価上昇傾向が続くのか?

2020年の公示地価では、前年の台風によって大きな浸水被害を受けた長野市の住宅地が全国で最大の下落幅を示しました。また、長野以外でも自然災害によって、地価が影響を受けている地点も少なくありません。地価は災害などの外的要因だけでなく、景気動向や需給バランスの変化によっても大きな影響を受けます。

そういう意味では、新型コロナウイルスによる感染症の拡大が、今後の地価動向にも影響を及ぼす可能性があります。インバウンド需要の大幅減少、経済活動の停滞が長期化するならば、地価上昇幅が縮小したり、または下落への変化をみせるエリアもでてくるでしょう。これからマイホームの購入や土地探しを考えている方にとっては選択肢が広まる可能性も高まりそうです。

国土交通省「令和2年地価公示」

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000380.html

       







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