地味だけど見逃せないコンクリート強度とは?

マンションは何年間住み続けることができるのか?日本の集合住宅として100年を経たものはありませんし、50年程度で寿命を迎えているマンションもあります。「100年住宅」を目指す動きもありますが、その実現に向けて重要な意味を持つのがコンクリートの強度です。

鉄筋を覆うコンクリートの「かぶり厚」が強度に影響する理由

マンションのほとんどは鉄筋コンクリート造(RC造)、もしくは鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建物。つまり鉄とコンクリートの組み合わせでできていますが、その強さと耐久性のポイントのひとつはコンクリートの厚さです。

鉄は水や空気と触れると酸化、つまり錆びを生じていきます。錆びると膨張してコンクリートのひび割れが発生し、そこから雨水などが侵入することで酸化が一層すすむという悪循環が生まれ、耐久性を大きく落としてしまう原因になります。一方、コンクリートはアルカリ性の性質を持っているので、内部の鉄筋や鉄骨をしっかりと覆うことで鉄の酸化を防ぐ役割を果たしています。しかし、コンクリートそのものも、空気と触れることで徐々に中性化して行く特性を持っています。そのため、コンクリートの量を多くする、つまり厚みを持たせることで酸化を遅らせる効果につながるのです。

鉄筋、鉄骨を覆っているコンクリートの厚さを「かぶり厚」とよび、建築基準法では主要な柱や梁については30mm以上と定められています。基準以上の強度を目指した物件では「かぶり厚00mm」といった数字を打ち出して、セールスポイントとしているケースもあります。

高層建築には「高強度コンクリート」を採用するケースも登場

もうひとつポイントは、素材としてコンクリートそのものが持つ強度。コンクリートはセメントに砂や砂利など(骨材)を混ぜ、水を加えることで化学反応を起こして固まったもの。骨材の材質改善と水分を減らすことで強度をあげた「高強度コンクリート」と呼ばれる素材が登場しています。

コンクリート強度は、圧縮する力をかけて耐えられる重量によって測定することができ、N/mm² (ニュートン・パー・平方ミリメートル)という単位で表されます。この数値が高いほどコンクリートの密度が高く、強度も増していくことを示しますが、目安となる数値は24N/mm²。日本建築学会が定めた仕様書によると24N/mm²であれば65年、30N /mm²であれば100年大規模補修が不要 とされています。高強度コンクリートを柱や梁、スラブに採用することで、地震にも強く高い耐久性を持つ建物となりますが、最近の高層マンションでは45N /mm²といった高強度コンクリートを採用している物件もみられます。ただし、その分コストもアップするので、建物全体ではなく重量がかかり、強度が必要な下層階部分で用いられるケースが多いようです。また設計通りの強度を持たせるためには正しい施工と、固まるまで適切な養生時間を設けることも必要です。強い建物をつくるためには、きっちりと真面目に時間をかけてつくる必要があるということです。「かぶり厚」、「コンクリート強度」というキーワードにも注意しながら物件選びを進めてください。

       







PAGE
TOP