首都圏の高速道路網は東名、中央、関越、東北、常磐道など放射状に伸びる道路が先行して整備されたが、それぞれをネットワークする環状道路の整備が遅れている。結果的に、複数の放射状の道路網を利用するためには都心部を通過する必要が生じ、首都高速道路の渋滞が慢性化している。都心部では通過するだけの車が6割以上あるといわれるほどなので、都心を迂回する環状道路を整備して通過車両を減らすことができれば、渋滞が大幅に緩和される可能性があるのだ。
この問題を解決するためのネットワークルートとして3つの環状道路、首都高速中央環状線(中央環状)、東京外かく環状道路(外環)、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)を整備する計画がつくられたのが1963(昭和38)年、前回の東京オリンピックの1年前のこと。それ以来、長年に渡り事業が進められてきたが、いよいよ2014(平成26)年度から2015(平成27)年度にかけて開通する部分が一挙に増え、オリンピック・パラリンピックが開催される2020(平成32)年までには9割が完成する見込みとなった。
3つの環状道路計画のうち、最初の「環」として完成を迎えようとしているのが、2014(平成26)年度に開通予定の中央環状品川線だ。中央環状品川線は大井ジャンクションで高速湾岸線と、大橋ジャンクションで高速3号渋谷線と接続される9.4kmの全線地下トンネルのルート。大橋ジャンクションからはすでに新宿、板橋方面へ山手トンネルが完成しているため、残された最後の未開通部分“ミッシングリンク”がつながることで中央環状線が完成するというわけだ。大深度の地下を貫くトンネル工事には最新のシールド工法が使用されており、最深部では地下55mを通る全長18km、日本最長の道路トンネルとなる。
この中央環状線が開通すれば渋滞解消に役立つことはもちろん、羽田空港や東京湾岸部の物流拠点へのアクセスが大きく改善される見込みだ。たとえば現在は新宿から羽田空港まで40分程度かかっているものが20分と大幅に短縮され、オリンピック・パラリンピック会場となる臨海部へ向かうアクセスルートの選択肢も増えることになる。また、すでに羽田空港周辺などの臨海部では、交通ネットワークの改善を見込んで物流拠点の整備が着々と進んでいる。さらに、外環や圏央道周辺でも物流拠点計画が目白押しだ。
圏央道は2014(平成26)年度から2015(平成27)年度にかけて多くの区間で開通が予定されており、大きな「環」の完成が近づいている。外環では2015(平成27)年度に千葉県区間の約12kmが開通予定だが、大泉ジャンクション~東名ジャンクションの本格着工がこれからの予定だ。3環状道路の完成する日が待ち遠しい!
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■参考■
http://www.ktr.mlit.go.jp/honkyoku/road/3kanjo/progress/index.htm
http://www.shutoko.jp/ss/tokyo-smooth/
■開発種別:道路
■エリア:首都圏
■完成時期:2014年度~(最終完成年度は未定)
■事業主体:首都高速道路ほか
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